とある島では異様な空気が漂っていた。その島は深海棲艦の前線基地であり、絶えず深海棲艦を送り出している。この世界に出現してからは、連戦連勝だ。艦娘という人類が造り出した対抗策も、浦田重工業の産物で蹴散らしてやった。後は残党や抵抗勢力の掃除だけだが、予想外の結果が現れた。最新鋭兵器が突然、精度が落ちた。いや、機械そのものは健全だが、対策されたケースがあった。しかし、それは大したものではないだろうと高を括っていたが、被害が増すにつれて流石の深海棲艦も焦りを感じた。そのため司令官である戦艦ル級改flagshipに報告した
「何ダト……」
戦艦ル級改flagshipは怒った。いや、部下のミスや作戦失敗など些細な事案だったらいい。問題は被害が余りにも大きい事だ
「アノ、アメ公ノガラクタガ!!」
戦艦ル級改flagshipは怒り狂っていた。余りにも殺気を出したせいで、他の深海棲艦にいた全員が怯んでしまった。まるで目の前に戦車の大砲を突き付けられているような、そんな感覚に全員が襲われる。
「ハァ…ハァ…ソ連トフランスノ戦艦ヲ沈メタト思ッタラ、今度ハアメリカ…。シカモ、近代兵器ニ対抗…」
報告では敵は妨害電波を出してレーダー誘導ミサイルや火器管制レーダーを無力化したとの事だ。しかも近代兵器の弱点を的確に突いて攻撃しており、返り討ちに会うというケースが多発されている。原子力潜水艦であるロサンゼルス級をモデルとした潜水ソ級も超空の要塞を模して造ったB52爆撃機も倒された。ここまで来ると、流石に無視できない
大阪の戦いで近代兵器を装備したアイオワが現れた時には驚いたが、特に気にはしなかった。たかが戦艦一つで戦局転換にはならないだろう。そのため、太平洋は部下に任せ、欧州軍の生き残りを掃討するために大西洋へ出向いた。欧州軍の残党は意外に強く、戦艦の艦娘2人も加わっていたが、結局は近代兵器と数で押し切って殲滅した。戦艦は自らの手で倒した。大西洋を片付いたと思ったら、予想外の戦局が待ち受けていた
「イイダロウ。タカガ改装サレタ戦艦ニ何ガ出来ル。精々、己ノ国ガ造リ出シタ兵器ノ強サヲ目ノ当タリニスルガイイ」
そのためには、「主」に対して本格的な近代兵器を装備する必要がある。負担がかかるとか言って削減したツケを払ってもらう。しかし、準備するのにはやはり時間がかかるのは言うまでもない
食堂では、艦娘は祝杯を上げ騒いでいた。勝てない敵に勝てたからだ。アイオワのお蔭でもあるが、やはり勝てて嬉しいのだろう。久しぶりに笑い声と歓声が食堂内に響いた。しかし、瑞鶴や天龍など姉妹艦を失った一部の艦娘は、この宴に参加しなかった。提督もアイオワもである
「敵が弱過ぎると?」
「Yes。U.S.NAVYにしては考えられない弱さ」
提督室でアイオワと提督が密かに話していた。日向と伊勢にSH60シーホークを、基地航空隊にはF-100スーパーセイバーを配備した。本当はB52爆撃機を撃退するには第三世代以降ののジェット戦闘機が楽なのだが、妖精が持つ技術で近代兵器を再現できたのはこれが精一杯だった。対潜装備も短魚雷やアスロックが欲しい所だが、仕方ない。SH-60が意外にも原潜である潜水ソ級を撃沈とは言え、効果は抜群だった。爆撃機と潜水艦を蹴散らす事が出来たのだからこれで良しとしよう。提督も艦娘も喜んだが、アイオワは全く喜ばなかった
「電子戦や弱点onlyで負けるほど弱くない」
アイオワの指摘に提督は深く考えていたが、やがて机からある写真をアイオワに渡した
「浦田重工業がイージス艦を造り進水式を行った当時の写真だ。この艦に見覚えは?」
提督の話だと、浦田重工業が開発していたイージス艦らしい。本来は軍事機密だが、最新鋭兵器の正体が分かった今、機密にする必要性すらないとの事だ。アイオワは早速、写真を見たが、違和感を覚えた
「……??妙ね……。似ている……でも違う」
「どういう意味だ?」
イージス艦の写真を見たアイオワ。しかし、艦だった頃の記憶にあるイージス艦とは似ても似つかない姿だった
「イージス艦には間違いない。But,似ているだけ。強いて言えば、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦に似ているけど違う。……でも『こんごう』型にも似ていない。それにしては小さすぎる」
「何処が違う?」
「イージス艦については、あまり詳しく知らないけど……VLSやアンテナ類が微妙に違う。CIWSも形が変。フェーズド・アレイ・レーダーも小さすぎる」
アイオワは困惑した。リムパックなど散々、イージス艦を見て来た。海上自衛隊が持っているイージス艦も見た事がある。しかし、この写真のイージス艦は似て似つかない
「アドミラル。イージス艦はライセンス生産によって他国に供与された事がある。だから国によっては独自設計で造られた事があるけど……これはそれすら当てはまらない」
ライセンス生産とは設計・製造技術を貰う代わりに、許可料をあげる事である。設計や技術があれば、自国内で生産する事が可能である。しかし、技術漏洩にも繋がるため、軍事機密になるものは提供しない場合もある。そのため、『こんごう』型のイージスシステムの一部は供与しなかった。また、国によっては国の事情により独自設計になる事もある。実際に『こんごう』型のイージス艦はアーレイ・バーク級よりも一回り大きい。だが、この船はどれも当てはまらない。余りにも異質過ぎる
「コピー艦……かしら?アメリカ国外で建造されたイージス艦は、大なり小なりアーレイ・バーク級の影響を受けて造られているけど、これは似すぎている」
「この世界の技術でイージス艦を建造出来る可能性は?」
提督の質問にアイオワは首を振った
「答えはNO。イージス艦だけじゃない。近代兵器は技術を盗んだだけでは造れない。特に高度なコンピュータやソフトウェアがないと不可能。高度な技術を持って自力で開発できる OR した経験があるレベルの国や企業がないと無理」
アイオワは説明したが、提督は顔をしかめた
「すると、どういう事だ?浦田重工業も深海棲艦も魔術を使ってイージス艦やジェット機などの最新鋭兵器を召喚出来たという訳か?神か悪魔から新兵器を授かったとでも?奴らはこっちの妖精よりも凄い存在なのか?」
アイオワは答えられなかった。と言うより本人自身も分からなかった。妖精は艦娘のサポートから装備の開発まで行えるが、あくまで常識の範疇だ。アイオワのような未来艤装を携えているならともかく、一から造るとなると話が違う。基地航空隊に配備されたF100スーパーセイバーは何と超音速機である事には提督も明石も驚いたが、これでも骨董品だ。これが限界だった。深海棲艦が持つ最新鋭兵器には太刀打ちできない。またメンテナンスや補給も問題だ。近代兵器は強力な反面、メンテナンスや補給などの後方支援が尋常ではないらしい。実際に未来艤装しているアイオワの補給やメンテナンスは他の艦娘とは比べものにならない。しかし、深海棲艦はそれを難なくクリアしている。海底資源だけで賄えるものだろうか?
「I don't know…。But、これだけは言えるわ。Warは奇跡など起こらない。戦争は冷徹な物理学と数学、そして経済学の産物。説明のつかない事象が起こったとしか思えない」
アイオワは思い切った事を言ったが、意外な事に提督は何も追及して来なかった
「敵から情報を聞き出さないと意味がない。しかし、その余力もない。大本営が崩壊した現状では、どうする事も出来ない。尤も、気になるのがアイオワの産物がいつまで効果があるか、だ」
アイオワは苦々しい顔をした。アイオワの考えはあくまで苦肉の策だ。対策されたら、もうお手上げだ。敵が手招いている訳ではない
「OK…。何とかするわ。『新型兵器』完成まで時間は稼げる」
しかし、やれる事は限られているだろう。もうここで骨を埋める事になるのだから
初めは善戦は出来た。ミーの妖精のお蔭である程度の近代兵器を生産は可能になった。しかし、それは長くは続かなかった
「撤退!撤退だ!この海域は放棄するぞ!」
「電……そんな……。もう、許さない…許さないんだから!」
資源の補給を確保したのもつかの間、敵は戦力を増強させた。ECCMを強化したのか、妨害電波は通用しなかった。ECMポッド搭載の二式大艇は真っ先に落され、電子妨害も効果が薄くなった。爆撃機が現れなくなったが、代わりにA-10AとF-16Cが現れピンポイント爆撃でこちらの被害が多発した。性能が違い過ぎるためF100は通用せず、基地航空隊は壊滅した。自国で見た兵器が敵に使われるのを見てアイオワは歯を食いしばった。こんな事あってたまるか
(妨害電波が効かなくなった……。もう既に対抗手段が……)
アイオワが危惧した事が起こった。現代戦もだが、戦争はいたちごっこだ。相手は手を招いているほどバカではない。妨害電波の対策なんて既に実用化されているのだから
異動を繰り返しながら戦う一軍。既に劣勢を覆す程の戦力もない。また、新たな問題も出現した。深海棲艦は何と人間を使って艦娘達を攻撃して来た。誘導している事から地対艦ミサイルと分かったが、なぜゲリラがこんな物を持っているのか分からなかった
「アイオワ、この地対艦ミサイルは見たことあるか?」
「No。少なくともmade in USAではない」
地上部隊を率いる陸軍将校が、ゲリラとの戦闘で地対艦ミサイルを鹵獲に成功した。しかし、捕虜から情報は何も聞き出せなかった。自決したらしい
「missile自体はハープーンではない。……でも、操作盤にはジャパニーズキャラクターしか書かれていない。But、
ブツブツと呟くアイオワ。アイオワ所属の妖精も首をかしげるばかりだった
「なるほど……。つまり、手作りと言う事だ」
「手作り?まさか……いえ、あり得る。対艦ミサイル発射なんて難しくない」
イージス艦を造れる程の相手だ。地対艦ミサイルを造るのは容易だ。そもそも、対艦ミサイルを発射する「だけ」ならミサイル艇でも航空機でも出来る
「食料をエサに釣るのは的を得ているが……ゲリラにこんな物を渡すとはな。マニュアルも配布していたらしい」
「性能は大分、劣るわ。威力はともかく、射程も異様に短い」
つまり、劣化版地対艦ミサイルという事だ。射撃システムとレーダーを一体化しているものの、射程は短い。しかし、これは艦娘にとって脅威だった。中破して帰投する中、陸が見えたと思ったら地上から攻撃を受けたという。幸い、現段階では沈んだ艦娘はいなかったものの、この攻撃のお蔭で艦娘の中には人間不信に陥り、避難民を守る事自体、疑問が出ているという
(操作どころか構造が簡単。妨害電波とチャフで余裕で躱せる。まるで供与のために造られたみたい)
何気に思うアイオワ。しかし、ある事をハッと思う所があった
(まさかソ連侵攻のアフガン紛争を参考に……?でも……あり得るの?)
1978年、ソ連によるアフガン侵攻時にアメリカはゲリラに非公式であるものの、携帯地対空ミサイルであるFIM-92スティンガーを大量に供与された。高性能であるため、多数のソ連軍攻撃ヘリを撃墜し、ソ連から「ハインドキラー」として恐れられていた。この地対艦ミサイルは性能は劣るものの、艦娘が有しているミサイル防御システムは完璧ではない。別に高性能で造る必要はないという事だ
(この地対艦ミサイルが……スティンガーの役割…?いえ、まさか……)
ゲリラ攻撃は確かに厄介だ。しかし、ゲリラにしては画期的過ぎる。深海棲艦に未来知識を持つ深海棲艦がいるというのか?
『オ前、『アイオワ』ダロ?シカモ、太平洋戦争時ノ装備ジャナイナ?』
あの戦艦ル級改flagshipの言葉が気になる。なぜミーを知っているのか…?時代に合わない軍事技術といい、深海棲艦は己自身が艦だった世界から軍事情勢を学んでいる形跡がある
これは一体、どういう事なのか?深海棲艦にも未来から来た者でもいたのか?それも技術や軍事などの知識やノウハウを持ったもの。しかし、なぜ艦娘側には誰もいないのか?それが不思議だった
深海棲艦との戦い、疲弊する艦娘、資源の枯渇、ゲリラ攻撃、避難民とのいざこざ、食料危機、暴動……
解決する道がなく、日に日に精神がすり減る毎日。伊401も伊26ももういない。サブマリンは全て沈められた。資源調達で活躍していたサブマリンがもうこの世から去った
アイオワはあるグループを集め、提督にある事を提案しようと相談した。グループは長門、プリンツオイゲン、サラトガ、酒匂。酒匂には『新型兵器』の実情を説明し、他言を禁じるよう命じた。驚いた事に酒匂も素直に同意した。そして、一同はある提案を提督に進言した
「……俺が……俺が最悪の兵器の開発を許可しろ、と言うのか?原子爆弾とやらを?」
提督は真っ青になりながら言った。当然だ。たった一発で大都市を破壊する爆弾を造るよう提案したのだから
「造るのはW23と呼ばれる戦術核兵器の1つで――」
「そういう問題じゃない!お前達が艦だった世界では……その兵器は恐ろしいものなんだろ?日本の広島と長崎に落されて、しかも複数の国が持っているらしいな。そんな兵器を俺が認めると思っているのか!?こんな俺でも良心というのはあるぞ!」
「I see。その気持ち、分かるわ。でも、このままだと形勢逆転はあり得ない」
サラトガは暗い口調だ。核兵器……アイオワが所属する妖精に聞くと開発は可能だとの事。ただ原料となるウランが必要だった
「お前達は……お前達は核実験と呼ばれる究極兵器の実験場を目の当たりにしたんだろ!?その恐ろしさと愚かさくらい分かるはずだ!俺は政治家でも科学者でもない!」
「提督、分かっている!でも、『新型兵器』である『タイムマシン』が完成しなかったらどうするつもりだ!」
珍しく長門が吠えた。長門だけでない。プリンツも酒匂も同じだ。平時であれば、クロスロード組も己の上官に核兵器開発するなどあり得ない。だが、進言した理由は、負け戦続きでクロスロード組も既に限界が来ている
「私だって知っている……。ここにいる皆も。最後の記憶は、ここにいる自分達は核実験の標的艦にされた。だが、方法がない。良心が残っているなら、それは捨ててくれ。今は必要ない」
「今、決めないといけないのか?」
底冷えするような声。提督は額に額に脂汗がにじみ出ている
「今でなくてもいい。ただ、決めるなら早めにしてくれ。心配するな。責任は私である戦艦長門を含む5人が取る」
「ミー達がウランを採取する。採取した後は、明石達と合流します」
流石に核兵器は、手持ちの資源だけでは開発出来ない。明石や夕張は既にある場所へ移動し、タイムマシンの製造に取り掛かっている。提督はしばらく黙っていたが、検討しておくと言った
使われる事はないと願いたいが、残念ながらそれは来なかった
深海棲艦は、ゲリラ戦だけでなく、非道な事をやった。人質として脅迫する事を…。アドミラルは強引に作戦を決行した。ビデオに敵の位置も教えている事から間違いないだろう
罠だと知りながら
「俺を止めないのか?」
作戦会議の後、提督は未だにいるアイオワに声を掛けた。他の艦娘は出撃準備のために全員出て行ったにも拘らず、アイオワは出て行かなかった
「間違っていない…」
アイオワは静かに言った。そう…間違っていない。友軍の救助は別に珍しくない。米軍は戦場でのレスキュー活動に多大なエネルギーを注いでいる。旧日本軍ですらやっていた。但し、日本海軍は救助が容易な状況で無ければ救助そのものをしなかった。尤も、人命軽視というより大量喪失に慣れた感覚で特攻隊を生んでしまった
「本当か?艦娘に死にに行かせるようなもんだ」
「これはレスキューよ……ミーが艦だった世界の時のカミカゼアタックと違うわ」
「同じだ!あのビデオは、明らかに罠だ!だが、見捨てる訳にはいかない…!」
降伏か見殺しか……。提督にとって苦渋の選択だ。仲間を見殺しにするのはもってのほか。かと言って、新型兵器であるタイムマシンを敵の手に渡す訳にもいかない
「アドミラル…辛いのは分かる」
司令官は時には非情な命令を下す事もある。どうしようもない事も……
「お前は……どうするつもりだ?」
不意に提督が聞いた。……声が震えている
「ミーも出撃する。私はUSソルジャーではなく艦娘。つまり、仲間を救助するために戦う」
「幸運を祈る」
二人は互いに敬礼した。そして出撃した
我を忘れ怒りを身に任した艦娘の艦隊は……無残な敗北と化した。エネミーの戦力は強大なものとなっていた。ミサイルの雨が降って来て、大半の艦娘は海に沈んだ……。敵にもう小細工は通用しない。ジャミングは無意味。AWACSや電子戦機がいるのだろう。無駄が何1つもなかった。長門もウォースパルトも沈んだ。あの戦艦ル級改flagsihpの砲撃で沈んでしまった
「マタ1隻……。戦艦ニシテハ弱イ」
あの声……。知っている!大阪の戦いで対峙した時の!
気がつけば全速力で駆け出していた。自分の姉が撃沈され怒りで突進する陸奥を追い抜き、トマホークと16インチ砲を撃っていた。これだけの近距離だ。砲弾はともかく、ミサイルは確実に命中した
「……!?」
「ホウ……マタオ前カ。部下ガ随分ト世話ニナッタ。ドウダ?私ノ最強ノ軍団ハ?」
戦艦ル級改flagshipは高々と笑った。確かにトマホークは命中したが、相手はかすり傷すらついていない
「モウ誰モ我ラヲ止メラレナイ!コレデコノ世界ハ私ノモノダ!」
「Are you crazy?世界を支配してどうする気?やっている事は理解出来ないわ」
アイオワは非難したが、戦艦ル級改flagshipは鼻で笑った。まるでバカにしているかのように
「貴様ニ言ワレタクナイ。艦娘ニナッテモアメリカハアメリカダナ。ソ連ノ戦艦ノ方ガクレイジーダッタゾ。簡単ニ沈ンデ笑イ転ゲタゾ。コノ星ノ数ヲ見ロ!」
戦艦ル級改flagshipの腕には星が沢山ついている。まさか……
「You……まさか……」
「沈メタ艦娘ノ数ダ。ヨーロッパハ手強カッタガ、所詮ガラクタダ。近代兵器デ簡単ニ海ニ沈ンダ」
気付けばアイオワは全砲門撃っていた。アドミラルは苦しんでいた。あの戦艦ル級改flagshipと近代兵器によって艦娘が沈むのを。国を守れなかった無力さを。そして、他国の艦娘まで手を出し海に沈めたという豪語している戦艦ル級改flagshipに対する怒りを。アイオワは怒りでその戦艦ル級改flagshipを攻撃したが、砲弾やミサイルはイージス軽巡ツ級に迎撃され攻撃が通らなかった。代わりに倍返しで襲って来た。戦艦ル級改flagshipの砲撃だけでなく、他の艦から発射される対艦ミサイルとジェット機の爆撃からの集中攻撃を受け、アイオワは意識を失った
目が覚めたとき、自分は白いシーツの敷かれたベッドの上で目覚めた。体を起こそうとするが背中から激痛が走り、すぐに中断された
(そう……ミーは負けた……)
ボロボロと目から涙をこぼしながら、アイオワは泣き叫んだ。かつて自国の兵器がこの世界に牙を向け、狂わせている事に。それを止める手段が全くない事に。暴れるアイオワに取り押さえる者がいた。陸奥、そして神通と川内だった。
落ち着いた所で3人から事情が分かった。怒りで突撃した艦娘も被害がうなぎ登りに増大し、アイオワもやられたため陸奥は撤退命令を出したとの事。以前いた基地は放棄され、数百キロにある海軍基地跡地に異動した事。アイオワは5日間意識不明だったとの事。生き残った艦娘は数少なくなっている事……
淡々と語られる神通からの敗走にアイオワは口を挟まずに聞いた。事情が分かると3人にアドミラルの事を聞いた
「提督はもう心が弱っています。守るはずだった難民キャンプの人達を見捨てて、艦娘に無茶な作戦をさせて――」
「誰のせいでもないわ。あのビデオを見たら、誰だって冷静になれない。ほとんどの艦娘は反対しなかった。代償に多くの艦娘が沈んだ。姉の長門は……もう帰って来ない。捕まっていた子達も」
暗い顔をする陸奥。既に分かっていた。ミーは理解した。この世界は死にかけているのだと。残された手は……
「ミーのお願いを聞いてくれない?」
アイオワは3人に頼んだ。やらなければならない事は……
「アドミラルを24時間見張って。責任に押しつぶされて自殺する可能性があるわ」
「分かりました。私と川内姉さんが見張ります。ですから、しっかりと休んで」
神通は頷き、3人は部屋から出て行った。アイオワは再びベットに横になると、これから先の事を考えていた。やるべき事は限られている。どうするべきか。そして、妖精から指摘されたW23も問題をどう取り込むべきか
W23の核砲弾の開発には問題があった。妖精の話だと艦娘用ではなく、実物しか出来ない。言い換えると、深海棲艦にダメージを与える事が出来ない
何とかしなくては。敵は待ってくれない
おまけ
提督「核なんか使って見ろ!不死身の怪獣王が誕生する可能性だってあるんだぞ!」
長門「提督、流石にその設定はもう古いぞ。ファイナルウォーズまでだ」
酒匂「今では、太古の海洋生物が深海に投棄された放射性廃棄物によって誕生した設定などシリーズ作品の設定の一切を受け継いでいない独立した怪獣王が人気ですから」
長門「心配なのはマグロを食っている怪獣が、誕生するかも知れないと言う事だ」
プリンツ「え?流石に私達艦娘でも倒せるんじゃない?ミサイル数発食らって死ぬくらいだし」
提督「では、問題ないな。開発するのを許可しよう」
サラトガ「もし本物の怪獣王が誕生したら、サラはニミッツ級原子力空母となって戦います」
アイオワ「……ユーは深海海月姫になっていなさい」
W23はアイオワ級戦艦の16インチ艦砲向けに開発された核砲弾。11話辺りでタイムマシンの開発と並行して核砲弾も開発出来たのはアイオワのお蔭です。ただ、妖精の限界なのか艦娘用には造れませんでした
まあ、核砲弾の開発が完全に成功しアイオワに載せたとしても、本作品で戦局を転換できるかどうか微妙です。沈黙の艦隊である原潜「やまと」のようにはいきません。通告しても向こうは無視して攻撃されるだけです。核抑止力とは……
余談ですが、2014年のハリウッド版ゴジラに出て来た空母の名前は「サラトガ」。『GODZILLA 怪獣惑星』の前日譚である『GODZILLA 怪獣黙示録』でも架空艦であるニミッツ級空母「サラトガ」が登場し、13体の怪獣と交戦するという武勲艦。何気に長門と同様にゴジラとの関わりが深い艦だったりする
また艦娘はゴジラには勝てませんが、マグロを食っている怪獣(ジラ)相手なら倒せると思っています