時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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こんにちは。投稿が予定(?)より遅れました
というのも、友人と一緒に『よみうりランド』に行っていました
艦これやっている人が聞いたらピンと来るでしょう
「瑞雲祭り」に行ってきました
感想?運営がここまで力入れるとは恐れ入った


第58話 時雨、夜戦に突入す!

 502部隊を攻撃し、港湾棲姫を拘束し帰投するヘリ部隊は、浦田社長に報告した。攻撃ヘリAH-1Sと多目的軍用ヘリであるUH-60ブラックホーク一機失った事も伝えた。報告は大事だ。嘘をついてまで報告する必要はない。ヘリ2機の損失は痛かったが、港湾棲姫を奪還したことは良しとしよう。とりあえず打撃だけは与えたので、もう歯向かっては来ないだろう。しかし、本当の恐ろしさは既に向かっている

 

警備隊長はその者に無線で今までの事を報告した

 

「奴等は骨のある。クーデターのように早々と諦めるような者ではない」

 

『良いだろう。殲滅は任せろ』

 

「だが、油断するな。ヘリを落とされたのは502ではない。例の息子と艦娘だ。お前の力だと倒すのは簡単だが、気を付けろ」

 

 警備隊長は無線を切ると、ブラックホークを守りながら基地に向かって飛行した。後は朗報が来るのをまつだけだ。しかし……あの艦娘はよくやる。攻撃ヘリの力を見ても戦うとは

 

 

 

「気を付けろ……か。そうだな。簡単ニ逃ゲルト思ッテイルノカシラ!」

 

 攻撃ヘリからの無線連絡で報告を聞いた彼女は、ゾッとするような笑みを浮かべた。刑務所による襲撃を聞いた彼女は現場に急行したが、距離関係のため時間がかかり過ぎた。その間に浦田社長は攻撃を仕掛けたが、被害は出ているという。今は廃棄された港にいるというが、彼らの目的はすぐに分かった。深海棲艦の姫の力を復活させるためだ。ヘリ部隊の急襲によって港湾棲姫を奪還出来たが、まだ北方棲姫はいる。あいつはまだ、私の正体や動機を知らない。姿を見ていないのだから。港湾棲姫はこちらを知っているが、そこまで詳しく話していない。502部隊や博士に知られる危険性があったが、ヘリ部隊が回収したため安心していいだろう。話したかどうかは別だ。知っていなければ……まだ隠れる事が出来る。誰も気付きはしない。まさか、深海棲艦が人間に化けるなんて思いもしないだろう。浦田の従業員も秘密を知る資格を持つ者だけだ。彼らは口が固い。仮に外部に漏らしても笑われるだけだ

 

 彼女は人間だった。しかし、冬にも拘わらず海に飛び込んだ。目撃者がいれば、自殺か何かだと思うだろう。当然だ。冷たい海に飛びこめば、普通は死んでしまう。だが、彼女は数秒後に海に浮かび上がって来た。しかも、彼女の姿は人の姿ではなかった。全身黒づくめのスレンダーな女性の姿をした異形の生命体。時雨を右腕と左足を踏み潰し、廃人寸前までに拷問した彼女。戦艦ル級改flagshipは港にいる502部隊に向けて突進した。戦艦にも拘わらず、速度は高速で移動していた。金剛達やアイオワが見ていたら、仰天するだろう

 

 彼女は知らないが、未来では高速で逃げ回る戦艦ビスマルクやローマを追い付き、なぶり殺したほどだ。ビスマルクは自分達を作りだした者、日本にいる『創造主の息子』である提督に会うために滅んだ祖国に涙を流しながら捨てて、日本に向かっていたが、そこを戦艦ル改flagshipが率いる艦隊に襲われた。ビスマルクは時間稼ぎをするため、プリンツオイゲンやグラーフ・ツェッペリン達を逃がしたが、戦艦ル改flagshipの力は桁違いだった。数分でビスマルクを撃沈した後、プリンツオイゲン達に追い付き、執拗にまで攻撃した。イギリスやイタリア、イギリスの艦娘達も同じように考えていたのか、日本に向けて舵を取りながら応戦したが、戦艦ル級改flagshipの攻撃からは逃げられなかった。空母アークロワイヤルも戦艦イタリアも全力で挑んだものの、早々と沈められた。ビスマルクを追い詰めたソードフィッシュもグラーフが持つ連合軍が『悪魔のサイレン』と恐れたJu-87も戦艦ル級改flagshipには敵わなかった。どうも、航空攻撃に対して対策がしっかりとされている。おまけに戦艦ル改flagshipには随時、イージスシステムを持つ軽巡ツ級が常に四隻いるため、艦娘達は手も足も出せなかった

 

 

 

 しかし、この時代の戦艦ル級改flagshipはまだそこまで強くはない。戦力も揃えていない。だが、相手に負ける要素はない。航空攻撃は心配ない。艦娘は駆逐艦だけ

 

 殲滅するのみ!浦田社長は生緩い。どうせなら、ナパームで焼き払えばいいものを。それか、クラスター爆弾とかいう爆弾を使えばいい。あっちの世界で盗んだジェット戦闘機があるだろう!

 

「マア、私ハ経済ナンテ知ラナイ。ソレニ……」

 

それに、その方が楽しめるだろ?

 

 

 

「北方棲姫はどうだ?」

 

「何とも言えん」

 

 博士は北方棲姫を見ていたが、彼は医者ではない、そのため、軍医と手当てする羽目になった

 

「大丈夫なのか?」

 

「分からん。あれだけ爆撃受けても死なないとは……」

 

 提督は北方棲姫を警戒しながら、博士に聞いていた。時雨はなにも言わず、ぐったりしている北方棲姫を見下ろしていた。

 

 深海棲艦をここまで近くに見たのは、この時代に着てからだ。未来では、深海棲艦は容赦なかった

 

 白旗も無視し、痛めつけ、ミサイルの標的艦にされて沈まされた。そのため、時雨の心の中では、未来で仲間がやられたのを今もはっきりと覚えている。牢屋では世話になったが、改めて見ると心境が変わった

 

 見た目で判断してはダメだ。仲間は誰にやられた?操られたとは言え、直接手を下したのは誰だ?深海棲艦だ。浦田重工業と同じくこちらを否定し、圧倒的な力で攻撃し、痛め付け、海の底へ沈まされた。こいつは敵だ!何を戸惑っているんだ!時雨の心の中は、どす黒い感情が渦巻いていた

 

こんな奴が、僕たちを……僕達を海に沈めた

 

 誰も気づいていない。提督も博士も。陸軍将校も軍曹も兵士達の負傷者を見ている。ゆっくりと……音も立てずに主砲を北方棲姫を向けた

 

こいつさえ居なければ……。こいつが浦田重工業の手先として成り下がらなければ……

 

「何してる?」

 

提督が不意にこちらを向いた。ばれた!

 

「退いて」

 

「いいか。今は撃つな」

 

「嫌だ!こいつさえ……こいつさえ居なければ……夕立は!僕の姉さん達は!扶桑も山城も!最上さんだって!」

 

引 き金を引くだけなのに、力が入らない。憎むべき敵なのに、主砲が震えている。博士もギョッとして北方棲姫から離れている。だから、巻き添えなんてない!

 

なのに、何で引き金が引けないんだ!北方棲姫は瀕死状態なんだ!

 

「時雨……涙が出ているぞ」

 

 提督の指摘に時雨は、初めて頬に何かが流れる事に気づいた。目を擦った。僕が泣いている?

 

「僕は……兵器だ!敵を倒すため!仲間を守るため!僕は―」

 

それ以降、言葉が続かなかった。北方棲姫が目を覚ました。こちらが砲を向けているにも拘わらず、怖がりもしなかった。命乞いも非難も

 

それどころか近づいて来る

 

「来ないで!それ以上、近づくと撃つ!」

 

北方棲姫は時雨の警告も脅しも屈していない。それどころか……

 

「コレ、アゲル。ダカラ怒ラナイデ」

 

北方棲姫は港湾棲姫が浮遊要塞を召喚した時と同じように、召喚すると時雨に渡した

 

それは飛行機の模型のようなだった

 

「これって!」

 

時雨は気づいた。北方棲姫から渡された飛行機を。これは零戦だ!

 

「アクタン・ゼロ……アゲル」

 

 時雨は零戦を受けとるとマジマジと見た。この艦載機を知っている。確か龍驤さんの艦載機だったはず

 

 時雨は零戦を抱きしめ、崩れ去るように泣き出した。仲間とはぐれてからどれくらい日にちが経ったか分からない。お別れではない。任務が失敗すれば、もう二度と会えなくなるかもしれない

 

「コノ人、大丈夫?」

 

「あ……ああ、大丈夫だ」

 

 涙で視界がぼやけていたが、聞こえてくる会話の内容から察するに提督は北方棲姫と話している。提督も戸惑って至るのだろう。人類の敵である深海棲艦が子供のように振る舞うとは考えもしなかった

 

「時雨、泣くな。もう――」

 

「だって……この機体……龍驤さんの……。僕を守るために戦った艦娘の1人……」

 

 時雨はポツポツと話し出す。悲しい思いがこみ上げてきて涙のダムがいっぺんに切れるように流れる

 

「もこの時代に着いてから……仲間に合っていない。僕は……『艦だった世界』と同じように仲間を見送った」

 

 提督は零戦を取り上げようとしたが、時雨は離さなかった。これは……これは誰にも渡せない。龍驤さんが建造したら返すんだ!

 

「もう……嫌なんだ。こんな思いするなら……いっ――」

 

 一層……その言葉を言う前に、北方棲艦が海に向けて走り出した。脱走?いや、海に飛び込む直前、北方棲艦の顔が鬼の形相だったからだ。提督も困惑したが、次の瞬間、なぜ北方棲姫が海に向けて突進したかがわかる。沖合いに一人の女性が立っている。いや、異形の女性が立っていた。その者は、兵器を提督や時雨、そして撤退作業を行っている502部隊に向けている

 

「敵だ!早く!」

 

提督の掛け声に現場は大混乱した。

 

まさか、もう敵の追撃が来たのか?しかも、海から?だが、時雨は分かっていた。北方棲姫が激しい砲撃戦をしている相手が誰なのか分かっていた。爪が皮膚に食い込むほど両手を握りしめている

 

悲しみが引くと同時に怒りが湧き出て来る。北方棲姫がコテンパンにやられ、首を掴んでいるのを見て、その相手が何者なのかはっきりと解った

 

「戦艦ル級改flagship……」

 

 未来では深海棲艦の司令官である癖に、姫級を痛めつける謎の存在。そして、艦娘を標的艦と称して沈めた冷酷な女……

 

 主砲を構えたが、引き金は引けなかった。駆逐艦の主砲では、あの戦艦ル級改flagshipの装甲を貫通出来ない事は証明されたからだ

 

「北方棲姫が連れ去られる……」

 

「仕方ないです!残念ですが、深海棲艦の姫級は諦めましょう!」

 

 博士は悔しそうに呻いたが、陸軍中佐はそれどころではない。もし、あの戦艦ル改flagshipがこちらに振り向いて砲を撃って来たら、今度こそ全滅だ。幸い、兵士達は軍曹の指揮の元、秘密基地へ移動している。後は自分と数名の兵士。そして、時雨と博士の息子である

 

「時雨、逃げるぞ!」

 

「ダメだ…」

 

「何を――」

 

「ダメだ!あいつ……あいつが笑う姿を見たくない!」

 

 時雨は怒っている。弱っているとは言え、北方棲姫を数分で倒した。長門もミサイル装備をしていたアイオワも勝てなかった

 

「だけど……あいつは無敵だ!悔しい!どんな艦娘でも深海棲艦の姫でもあいつを倒せない!」

 

「いや、そうでもない」

 

 自暴自棄になりかけた時雨に、博士は口を挟んだ。提督は眉を顰め、中佐は呆れるように博士を見ている

 

「確かに戦艦は、強固な装甲と強力な砲を持っておる。しかし、弱点はある。艦娘だろうと深海棲艦だろうと軍艦である事には変わらん」

 

「どういう意味だ?」

 

 提督も訝し気に聞いた。提督も初めて戦艦ル級改flagshipを見た。姫級があっけなく倒されたことに、この敵が如何に強いか物語っている。しかし提督の父親曰く、弱点はあるという

 

「でも、提督……未来の提督はいくら挑んでも倒せなかった!」

 

「ワシは未来の世界を見た事は無いが、記録を読んで推測は出来る。倒せなかったのは、イージス艦を模した軽巡ツ級とジェット機搭載した空母ヲ級がいたからじゃ」

 

「どういう意味なの!?」

 

 時雨は苛立った。何が言いたのか分からない。大体、戦艦ル改flagshipは戦艦同士の戦いでも負けた事は無い!

 

「ワシが言っているのは、不沈は絶対にないと言いたいんじゃ。戦場では兵科ごとに、あるいは兵器ごとに得意、不得意の組み合わせがあり、それをうまく運用するのが戦術じゃ。未来の戦艦ル改flagshipはそれを活用して弱点を浮き彫りにしなかった」

 

 博士の説明に時雨は気がついた。あの戦艦ル改flagshipは本当に姫級と同じく深海棲艦を掌握する能力はないのか?

 

「でも、工作員を助けた時には、あいつは少数の深海棲艦を操っていた」

 

「恐らく、試作段階である機能を使ったんじゃろう。それに、本当に姫級の能力があるなら、随伴艦がいるはずじゃ」

 

 確かに筋は通る。捕まった際に研究所内で空母ヲ級など少数の深海棲艦がいた。しかし、戦艦ル級改flagshipと格闘したが、研究所内にいる深海棲艦が戦艦ル級改flagshipを援護しなかった。自分のボスを大事にしないものなのか?

 

「だから時雨……怒りは分かるが、冷静になってくれ」

 

「分かった」

 

 手に持った零戦を置くと、最後の高速修復剤を被る。自分の身体が全快するのを確認すると、再び質問する

 

「あいつの弱点は?」

 

「人型になろうが、軍艦の性質は変わらん。水線下にダメージを与えれば、戦艦といえど、致命傷じゃ」

 

「魚雷は躱されてしまう」

 

 工作員を救う際に、戦艦ル改flagshipに向けて魚雷を発射したが、悉く躱された。つまり、相手は魚雷が致命傷になる事を知っている事になる

 

しかし、提督は博士とは別の案を出した

 

「何も沈めなくていい。あいつを戦闘不能にしてやればいい」

 

「何を言って……」

 

博士は呆れるように言ったが、提督は手で制した

 

「今は北方棲姫を助けるのが先だ。そのためには、戦艦ル級改flagshipを無力化しないといけない」

 

「どうやって……」

 

「簡単だ。親父……浦田重工業は最新鋭兵器を持っているんだ。そのためには……ちょっと確認したい事がある」

 

提督の思惑に博士は首をかしげた。自分の息子は何を言っているのだろう

 

 

 

 

 

「離セ、コイツ!」

 

 北方棲姫は自分の首を掴まれているのをほどこうと暴れたが、戦艦ル改flagshipは離そうとする気配もない

 

「サテ、オ前ヲ助ケタ相手ハ何処ダ?」

 

 北方棲姫は答えまいと口を固く閉ざしたが、戦艦ル改flagship鼻で笑うと、港の方へ体を向けた。ヘリ部隊からの報告だと港の廃工場にいる。移動しているかも知れないが、北方棲姫がいるということはまだ、いるかも知れない。いや、ヘリ部隊が引き上げてからそんなには時間は立っていない。戦艦ル改flagshipは北方棲姫をごみのように投げ棄てると港に近づいた。北方棲姫は無力化した。仲間も呼べない。監禁の際に、特殊な薬で無力化したのだから。復活するのは1ヶ月必要だろう。それは自分も出来るが、今の段階で仲間を呼び寄せるのは不味い。深海棲艦が北方棲姫側に付く可能性がある。部下は強い者に対して絶対服従。どんな相手だろうと。そのため、姫は絶対に存在してはならない

 

 不意にロケット弾がこちらに向かって物凄い勢いで向かってくる。コピーされたロケット砲であるRPG-7だろう

 

片手で亜音速で飛翔するロケット弾を掴むと、嘲笑ったように呟いた

 

「幼稚な奴等め」

 

 ロケット弾を別方向に向け手を離す。自由になったロケット弾は、何もない海に向かって飛翔したが、最後には海に着弾し水柱がたった。

 

戦艦ル級改flagshipは港に向けて全砲門を向けると、立て続けに砲撃を開始した

 

 浦田社長から命令は受けていたが、戦艦ル改flagshipは命令を無視した。死体確認なんて面倒だ。それどころか、どう言い訳したらいいか、そんな事を考えていた

 

 

 

「ロケット弾をキャッチした!?」

 

 RPG-7を発射した提督は元より、提督も博士も唖然とした。こんなのあり得るのか?その直後、木枯らしのような音がすると同時に、港の廃工場のあちこちで爆発した。戦艦ル改flagshipがこちらに向けて攻撃しているのだ

 

 一同は逃げたが、提督は違った。RPG-7を棄てると、今度はスナイパースコープが取り付けてある64式小銃で狙いを定めた

 

 浦田警備員から奪った暗視装置はあったものの、先の攻撃ヘリとの戦いで壊れてしまった。逃げている際にどこかでぶつけてしまったのだろう。レンズは割れ、一部破損している。もう使い物にならない

 

 しかし、無くても問題はない。なぜなら、月明かりと廃工場から燃え上がる炎のひかりのおかげで戦艦ル級改級flagshipの姿をとらえた

 

(こいつが……未来で親父を殺し、未来の俺と艦娘を追い詰めたボス)

 

確かに姿形が他の戦艦ル級と違う。主に艤装が……

 

 俺は必死になって戦艦ル改級flagshipを観察した。親父も気にはなっていた。青葉と秋雲が残した写真とスケッチで違和感を覚えたらしい。戦艦ル改級級flagshipにしては異様だ。それを他所にスコープを覗いて必死にあるものを探す。その間も、港にむけて砲撃を撃ち続けている。反撃されても対処出来るのか、顔は笑みを浮かべている。全身を観察すると、あるものを見つけた

 

(やっぱり!すでにあれが付いているのか!)

 

既に親父も502部隊も退避している。陸軍には悪いが、これは俺達の戦いだ

 

「時雨。もう一度確認するが、未来では、神通はあれを無効化した後に奇襲をかけたのだな?」

 

『うん。そうだよ。だけど……本当に信じるの?既に僕が未来から来た事に気付いている』

 

「お前も言ってただろ?神通は華のニ水戦だって。しかも、アイオワですら確認している。それに、正体を知ったからと言って、こちらがどうやって戦ったのかを知る術はない。未来の記録は、奪われていないのだからな」

 

 時雨は隠れているため、無線交信した。違っていたら、北方棲姫を諦めて逃げるしかない。しかし、こいつは俺達を追い詰めたボスだ

 

 神通は完全ではないとは言え、無力化したという。なら、俺は破壊するしかない。戦艦ル級改flagshipはこちらには気付いていない。しかし、親父や陸軍将校からは正確な射撃……つまり、狙撃をした事が無い。実戦で撃ったのは、数時間前。そんな人間が当たるとは思えない

 

海岸付近に地面に腹這いになって二脚で銃を支えスコープをのぞき込む。外したら終わりだ。もし、外したら……

 

だが、相手は海上に居る。波の影響で中々狙えない

 

(くそ……)

 

焦りのため、引き金を引いてしまい目標に当たらず装甲に命中した

 

そのため、戦艦ル級改flagshipはこちらの存在に気づいてしまった

 

『逃げて、提督!』

 

 無線はから悲鳴じみた声が鳴り響いたが、俺は逃げない。港湾棲姫は奪われてしまった。そのため、敵の正体が分からない。せめて、北方棲姫を持ち帰る必要がある。それさえ分かれば……

 

戦艦ル級改flagshipが笑いながら近づいて来るなか、俺は必死になって狙撃をした。しかし、がむしゃらに撃っているため、中々当たらない。戦艦ル改級flagshipに命中したが、ケロリとしている。相手は発砲していないものの、何もかも語らず、ただ笑いながら近づいてきている

 

 俺はまるでテレビに出て来る殺人ロボットが来るかのような恐怖に陥った。感情もない、ただ邪魔な者がいるなら効率よく倒すような存在だ。遂に俺は立ち上がって戦艦ル改級flagshipを撃ち始めた。しかし、相手は僅かに仰け反ったくらいでこちらに接近している。遂に目と鼻の先近くまで来てしまった。しかも、もう弾切れだ!弾倉もない!

 

 戦艦ル級改flagshipは俺を殴ろうとしたが、俺は間一髪かわした。隙を与えず銃で殴ったが、相手は怯みもしなかった。力を振り絞って殴った銃は艤装に当たってしまった。口角を吊り上げ、俺が逃げよう動き出す前に喉を鷲掴みにされて、高々と持ち上げられていた。握力はとても強く、いくら暴れても戦艦ル級改flagshipは微動だにしなかった

 

「オ前……ソンナ武器デ私ニ勝テルト思ッテイルノ?」

 

 戦艦ル級改flagshipはもう片方の手で64式小銃を拾ったが、何と片手だけで握り潰したのだ!こいつ、こんな力があったのか!?

 

「答エロ……時雨ハ何処ダ?」

 

「俺を殺さない理由は、時雨を炙り出すためか?」

 

「ドチラデモイイ。オ前ヲ生カシテモ、我々ハ勝ツ」

 

俺にとってどうでもいいことなのか?

 

「俺を殺すよう命じたのか?」

 

「初メハソウ思ッタ。シカシ、気ガ変ワッタ。貴様ニ絶望ヲ与エテ殺ス方ガイイ。未来デハドウヤッテ出シ抜イタカ知ラナイガ、例エ今カラ行動ヲ起コシテモ、我々ハソレヨリモ進スム」

 

 成る程、時雨が言っているように既に見破ったのか。しかし、このままやられる訳には行かない。戦艦ル級改flagshipは俺が破壊した事も気づきもしない。一瞬の賭けだが、それしかない

 

とにかく、時間稼ぎをしないと

 

「いつから気づいた。時雨がタイムスリップしたのを?」

 

「観艦式デ盗聴器ヲ仕掛ケタ。ドレダケ艦娘ガ社会ニ溶ケ込モウト我々ハ直感的ニ気ヅク。貴様ハ我々ノ生ケ贄ダ。数年前カラ監視ハシテイル」

 

 戦艦ル級改flagshipは自慢気に話している。自惚れているのか?しかし、そんな奴ではない。何としてでも沿岸付近に留まらさせなければ

 

「我々と言ったな。お前はどっちの味方だ?深海棲艦か?それとも、浦田重工業なのか?そんなに虐殺して何が楽しい?なぜ、あの浦田社長の味方をする?」

 

質問をぶつけたが、相手は答えなかった。それどころか、不審に思ったらしい

 

「貴様……時間稼ギシテルナ。何ヲ待ッテイル?」

 

 喉に掴まれた手に力が入り、俺は呼吸が出来ない。窒息死しそうだ。しかし、相手は俺に気をとられ、周囲の警戒を怠っている。しかも、仲間を連れてきていない。何故かは知らないが、どうやら理由があるらしい。不意に喉を掴まれた力が弱まった

 

「吐ケ!何ヲ企ンデイル!」

 

「『艦だった頃の世界』で帝国海軍は、夜戦が得意というのを知らないか?」

 

 

 

 戦艦ル級改flagshipは慌てて周囲を見回した。自分は自惚れてはいない。軍事関連は幾度と学び鍛えている。自分の艤装も欠点が見つかると改修をし、更には浦田重工業の技術を使っている。隠れることは出来ない!そのはずだ!

 

しかし、戦艦ル級改flagshipは驚愕することになる。後ろにいた!時雨が!

 

「何!」

 

バカな!レーダーで周囲を……

 

 ハッとして戦艦ル級改flagshipは気づいた。対水上レーダーが作動していない。いや、破壊されている!

 

 まさか、この男!さっきの銃撃は、レーダーを破壊するために!殴られた所が、変なところだったので気にはしていたが!

 

「やっぱりな。未来の俺にはサポートの艦娘がいた。そいつが言うには、レーダーは深海棲艦用に造られていない。つまり、レーダーやVLSと呼ばれるミサイル発射装置は普通に壊れると」

 

 

 

 未来の記録に前例がある。こっそりと忍び寄り、破壊工作した後に叩いた事例が。特に神通は補給し油断しているとは言え、敵艦隊をたった一人で奇襲し、空母を中核とする空母機動艦隊を海の底に沈めた。それは強力な妨害電波とアルミ箔をふんだんに使ってやったという。その技術はアイオワのお陰だった。大混乱に乗じて、川内や鳥海、足柄などは、暴れまくり近代兵器装備した深海棲艦に大打撃を与える事に成功した

 

 実は、深海棲艦の艤装に取り付けられているレーダーや電子装置を見てアイオワはある事に気づいた。電子機器は従来の深海棲艦の艤装に使われている部品と比べて脆い。いや、コンピュータを小型化したような感じといった所か。そこまで特別な装置ではないのだ

 

『ミーがいた未来世界の駆逐艦はストロングよ。But、弱点はあったわ。それはチープキル』

 

 イージス艦や原子力空母などアイオワがいた未来世界の軍艦の性能は驚くべきものだった。しかし、それと同時に新たな課題が生まれた。それは、ロケット砲や爆弾など安価な武器でも高性能な艦艇に近接して大きな損害を与えてしまう事。実際にテロリストの自爆攻撃でイージス艦に多大な被害をもたらしたらしい

 

 流石に人型となった深海棲艦相手は無理だったが、奇襲攻撃には効果があった。また、アイオワから提供してくれたスティンガーミサイルや秋月達の高射装置付きの長10cm砲の量産のお蔭で哨戒ヘリを撃墜する事も可能になった。更には、アイオワの助言で潜水艦娘である伊401であるシオイと伊26であるニムに静寂性を徹底するよう改修を重ね、深海棲艦の艦隊に大ダメージを与えた。何と遥か遠くから海流の流れだけで深海棲艦の艦隊の真下に到達し、魚雷攻撃をしたのだ。この戦術に提督は勿論、潜水艦娘も驚いた。まさか、成功するとは思わなかった。アイオワは苦笑していたが

 

 但し、その戦果は僅かであり、深海棲艦は対策を講じたため手も足も出なくなった。しかし、タイムマシン計画に必要な時間を稼げたので決して無駄ではない

 

 

 

 今回も提督はアイオワと未来の提督の記録を参考し実行した。戦艦ル級改flagshipについていたのは対水上レーダー……正確には回転しているアンテナ……対水上捜索レーダーを提督が破壊したのだ。狙撃は無理だったが、銃で殴った際に破壊は出来た。それにより、時雨は接近し攻撃を開始した

 

 

 

(提督は凄いよ。僕達のような艦娘の能力はないけど、一瞬にして戦術を立てるなんて)

 

 遠くでレーダーを破壊した事を陸軍将校から借りた双眼鏡で確認した時雨は、夜陰に乗じて戦艦ル級改flagshipに接近した。提督が捕まっても焦らなかった。戦艦ル級改flagshipは、利口だ。下手に動けば察知されてしまう。ゆっくりと……音を立てずに

 

 戦艦ル改級flagshipとの距離が縮まってくる。後もう少し。提督が捕まりながらも、質問を投げかけている。敵相手に冷静にいられる人間は早々いない。いや、本当は怖いはずだ。怒りで恐怖を誤魔化しているのか?

 

 攻撃ヘリとの戦闘や砲撃によって燃え盛る廃工場の炎によって、明るくなっているが、それでも視界が悪い。近づく時雨に戦艦ル級改flagshipは、気付く様子もない。遂に、目と鼻の先まで接近する事が出来た

 

 戦艦ル級改flagshipはようやく気がついたのか、辺りを警戒した。そして、時雨と目が合った

 

「何!?」

 

 戦艦ル級改flagshipはこの状況の不味さを理解した。何しろ近距離であり、両者とも水上に居る

 

「これは夕立の仇だ!」

 

 戦艦ル改級flagshipが動くよりも早く、時雨は12.7cm連装砲を構えた。狙うのは、装甲ではない!提督を掴んでいる腕だ!幾ら何でも腕まで装甲を施しているわけではない!しかも、提督を掴んでいるため右腕付近に付けていた艤装を外している!

 

「ギャアアァァ!」

 

 砲声が鳴り響くと同時に戦艦ル級改flagshipは、おぞましい悲鳴を上げた。砲弾は戦艦ル改級flagshipの右腕に命中し、爆発しなかったものの、ひじを丸ごと持っていかれた。腕を引きちぎられたため、提督は戦艦ル改級flagshipの腕からちぎれた手を掴まれたまま海に落下した。だが、岸から離れていないため、提督は自力で上がり逃げる事に成功した

 

「貴様!」

 

 右腕をちぎられても砲塔を時雨に向け、戦おうとする戦艦ル級改flagship。だが、時雨は既に発射していた。魚雷を

 

 戦艦ル級改flagshipは砲戦を開始する前に、時雨が放った魚雷が命中した。如何に強固な装甲を纏おうが、魚雷には弱い。水線下にダメージを与えるからだ。これは艦娘も深海棲艦も同様である。戦艦ル改級flagshipは雷撃に気づき躱そうとしたが、すでに遅かった

 

 魚雷が立て続けに命中。水柱を吹き上げて、戦艦ル改級flagshipは被弾し、中破まで持っていかれた

 

「オノレ!コノ、ガラクタガ!」

 

しかし、戦艦ル級改flagshipも負けてはいない。照準は曖昧だが、時雨に向けて砲撃を開始した。たちまち、時雨の周りに水柱が立ち上がった。だが、時雨はそんな状況でも巧みにかわして距離を取ると主砲を連射した

 

「残念だったね!夜戦は僕たちのお家芸だ!夜戦バカだけじゃない!」

 

 川内は勿論、神通や足柄達で夜戦を挑み敵を撃破した例は幾らでもある。『艦だった頃の世界』の帝国海軍では、水雷戦隊による夜戦が得意だった。昼間と比べて大分接近しての戦闘であり、いくら小さな砲でも近くで撃てば、威力が上がるものである。米軍がレーダーを発達させる前の夜戦では、日本海軍が連戦連勝だったほどだ。言い換えれば、レーダーさえ潰せば何とかなる。提督は危険を承知で実行したのだ。気を逸らすおまけつき

 

 12.7cm連装砲の威力では、戦艦の装甲を破壊する事は難しい。しかし、無傷という訳には行かない

 

「沈めー!」

 

 時雨は絶叫しながら、戦艦ル級改flagshipに向けて主砲を連射した。初めは砲弾を弾かれていたが、今では装甲が悲鳴を上げている。しかも、魚雷を食らっているため思うように立ちまわれない。戦艦ル級改flagshipはサンドバックのように時雨の攻撃を受け続けた

 

「クソガキガー!」

 

 勿論、戦艦ル改級flagshipもやられっぱなしではない。直ぐに立ち直ると、戦艦の主砲を時雨に向け、火を吹いた。たった1発。その1発を動き回っている時雨に命中させた。戦艦の主砲弾だ。駆逐艦に当たれば一たまりもない。AH-64Dのアパッチのヘルファイアミサイルよりも強力な衝撃を受け、海面に叩きつけられた

 

「ぐっ……痛いじゃないか!」

 

 強がっているものの、大破してしまった。反撃を許してしまった。無線で提督が避難するよう喚いている。うるさいが、この状態で動かない訳にはいかない。標的にされる

 

 身体の悲鳴を無視して、強引に立ち上がり、砲を向ける。しかし、時雨は引き金を引かなかった。いや、引けなかった。戦艦ル改級flagshipの様子がおかしかった

 

「ワ……ワタ……私……私……ワた……を」

 

 中破した戦艦ル改級flagshipは深海棲艦が発する怨念染みた声ではない。壊れたラジオのような、そんな感じだ。しかも、人と同じように喋っている!

 

「貴様ガ……私ヲ……傷つけただと!貴様、貴様が私に傷を負わせただと!ガラクタ如きが私に傷をつけただと!」

 

 怒りで顔を歪め、こちらを睨む。時雨は戦艦ル改級flagshipに一矢報いたという喜びや元凶に対する怒りよりも、恐怖した。戦艦ル改級flagshipの怒り狂った姿に

 

 これは何だ?怨念?いや、余りにもどす黒い。怨みという生易しいものではない。怒りと絶望と憎しみが混ざったようなものだ。時雨もこんな感情を露わにした者を見た事がない。深海棲艦で目の前にいる戦艦ル級改flagship以外にここまでどす黒い艦はいない。牢屋で会った港湾棲姫ですらこんな殺気は出せないだろう。一体、何なんだ?

 

「退却だ!修理が必要だ!貴様らは、どうあがいてモ我ニ勝テン!既ニ計画ハ前倒シダ!」

 

戦艦ル級改flagshipは体制を立て直すと、こちらに向けて冷ややかな目線を送った

 

「貴様ラハ、私ノ餌ダ!ドンナニアガコウガ、標的艦ニ変ワリハナイ!」

 

 戦艦ル級改flagshipは全速力で離脱した。深手を負ったのだろう。北方棲姫には振り向きもせず、沖合に向かい闇に消えた

 

「……はぁ……はぁ……」

 

敵が去っていく。それが分かると緊張が解け、海面に座り込んだ

 

 敵の追撃を何とか火の粉を追い払った。相手に損害を与えたが、こちらの被害も大きかった

 

「あれは何だったの?」

 

 時雨の呟きに誰も答えてくれない。提督も分からないだろう。姫級よりも強く、激しい憎悪を持つ深海棲艦を見たのは初めてだ。北方棲姫どころか港湾棲姫とは比べものにならない。どうやったら、あんな憎悪と殺気を放てるんだ?浦田重工業はあんな奴を従えていたのか?

 

 しかし、その疑問は後回しだ。やるべきことをやらないと。時雨は立ち上がると、伸びている北方棲姫の回収作業に入った

 

港湾棲姫は連れ去られたのは痛かったが、北方棲姫から何か聞き出せるかもしれない

 




おまけ1
川内「何で!夜戦と言ったら私だよ!私を召喚して!直ぐに本編に!」
提督「また今度な」
川内「夜戦したい!夜戦!夜戦と言ったら私でしょ!?」
提督「いや……夜戦を行ったのは川内だけではないからな(帝国海軍自体が相当の夜戦バカだから)」
川内「はやく夜戦~!」
提督「分かった分かった。五周年任務【伍:五周年艦隊出撃!】でクリアしなきゃならない任務があるから、5-3の海域へ行ってくれ!」
川内「やったー!夜戦だー!」
時雨「提督……5-3の海域って……」

数時間後
川内改二、夜戦で敵に挑んだものの、返り討ちに会い大破したため艦隊撤退!
川内「……」
提督「ねえ、夜戦好きなのに負けたってどういう意味?君、改二だよ?ねえ?」
川内「今度こそ……勝てるから!」ボロッ
時雨「提督……分かっていて出したでしょう(5-3ってハードの海域だったはず……)?」

おまけ2
伊401「音を出さずに海流に乗って接近し攻撃出来る方法があるなんて……」
伊26「アイオワさん、凄い戦術です!手を焼いていた軽巡ツ級(イージス仕様)と空母ヲ級(ジェット機運用)を倒す事が出来た!ありがとう!」
アイオワ「う、うん。強力な艦隊を沈めるには役立つ戦法ネ」
アイオワ(……本当は海上自衛隊を参考にした戦術なんだけど……複雑な気持ち……)


「艦これ」のゲームでは、昼間と比べて夜戦の攻撃力が高い理由は、史実を反映させている。と言うより、帝国海軍は夜戦バカだった
簡単に言っちゃうと、列強海軍に数では敵わない、どうする?どさくさに闇にまぎれて襲っちゃえ!という考えで生まれたもの
特に水雷戦隊は夜戦が得意だったようで川内だけが夜戦バカではない(川内が参加した戦闘のほぼ全てが夜戦という所を考えると……うん、間違ってはいない)
大戦中には、水兵の夜間視力を高める為にニンジンを食事に出していたのは有名な話
初戦の大戦果には夜戦の戦果が結構ある
しかし、米軍がレーダーの性能を上げ、フル活用するようになると、夜戦における日本海軍の優位性は失われました。サボ島沖海戦以降になると夜戦でも日本海軍は敗北してしまった。所詮、奇襲であり対策取られやすい

そんな訳で夜戦でも負けた旧日本軍だが、何と旧日本陸軍も夜襲をやって米軍を苦しめたという。旧日本軍はリアル川内ですね

おまけ2は、海上自衛隊の逸話。米軍との演習で、海自の潜水艦はエンジンを停止させた上で潮の流れに乗り「音もなく」米軍の駆逐艦の下に忍び寄り、撃沈判定を出すというリアル原潜『やまと』をやっている。尤も、通常潜水艦であるため特に不思議な事でもないが、相当の練度が必要であるため、ある意味凄い
本当かどうかは不明ではありますが……まあ、海上自衛隊のネタは沢山ありますから
護衛艦『ひゅうが』の艦長が『瑞雲祭り』のオープニングセレモニーで祝辞電報を送ったというエピソードもあるくらいですから
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