時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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第61話 未来からのメッセージ

 僕と提督は、博士に連れられてある部屋に連れていかれた。そこには、既に陸軍将校と軍曹がいた。彼らは神妙な顔つきで待っていたのだ。その他には、テレビとビデオデッキもあった。挨拶が済むと陸軍将校は口火を切った

 

「時雨、でいいかな?これだけは確認しておきたい。君は今から約4年後の未来から来たと。そして、未曾有の危機が訪れ世界は崩壊した。それを防ぐためにタイムスリップしたと?」

 

 時雨は頷いた。博士が既に説明をしたらしい。将校と軍曹は顔を見合わせ、深い吐息をついた。艦娘という存在は受け入れたものの、まさか未来から来たとは予想もしなかったらしい

 

「僕は君達を知っている。会ったことがあるんだ。反艦娘団体からのゲリラから僕達を護衛してくれた」

 

「私が?」

 

 陸軍将校は戸惑い、軍曹はどう反応してイイのか分からなかった。提督も博士も未来の記録で陸軍の部隊が味方してくれたのが、502部隊であると伝えると驚いた。なぜ、極秘にしたのかは不明だが、どうも意図的に書いていないのは確かだ

 

「未来から来たなら、俺達はどうなった?仲間は?帰る方法もないのか?」

 

「軍曹、そこまでにしてくれ。今は重要な映像を流す」

 

 軍曹から質問があったが、博士が遮った。時雨は分かっていた。もう、仲間は既に居ないのだと

 

「親父、何を流すんだ?」

 

「時雨が持って来たハードケースの中に、このビデオがあった。CIWSとかいう兵器と共に巧妙に隠されておった。ワシはそれを見たから記録と共に隠した。お陰で浦田重工業の奴等に見つからずにすんだが」

 

「だから、未来の記録は奪われなかったのか!」

 

提督と時雨は驚いた。こんなものが隠されているとは思いもしなかった

 

「どうして、隠したの?」

 

「……多分、未来の息子はこういう事になるのを予期していたらしい」

 

時雨は博士の言っている事が理解出来なかった。こういうことを予想していた?

 

「とにかく、見てくれ」

 

博士はビデオデッキにビデオをセットすると、ビデオを再生した。モニターに映し出されたのは……

 

「て、提督!」

 

「これが……未来の俺!」

 

 そう……忘れもしない。未来の提督だった。あの時は、海軍でもないにもかかわらず、毎日ちゃんと海軍の制服を来ていた。顔はやつれているが、髭は剃っている。あの時はいつも髭を剃るのを忘れていて、無精髭していた。映像のために剃ったのか?なら、何時撮ったんだろう?場所は横須賀の地下部屋で撮ったんだろう。部屋に見覚えがある。そして、提督の横にもう一人の女性がいた。その人は、セーラー服を来ており、眼鏡をかけている。……間違いない!

 

「大淀さんもいる!」

 

「あいつも艦娘か?」

 

 軍曹は素っ頓狂な声で聞いたが、時雨は気にはしなかった。まだ、時雨以外の艦娘には会ったことがないのだから

 

「うん!でも、一緒に居たのを見なかった。横須賀の地下基地らしいけど……何時、撮ったんだろう?」

 

「それは後にしよう。よく聞くんじゃ」

 

博士はざわめきを静まらせた

 

 

 

『こんにちは。私は提督。元海軍少佐。認識番号MO24-454356H 。本名は万が一のために伏せておきます。この映像を見ていると言う事は、私の部下である艦娘であるタイムスリップ作戦が困難、若しくは遂行出来ない、死亡しているのいずれかと思われます。出来れば考えたくはありませんが、そうも言ってられません。これは第三者及び作戦不可能と考えている艦娘へ向けての映像です。これを見ている皆さんも彼女からお聞きになったと思います』

 

 未来の提督は映像を通して説明を淡々と行っていた。どうやら、これは万が一のために映像らしい

 

『艦娘である彼女から耳にしたでしょう。『新型兵器』若しくはタイムスリップ作戦の事を。過去へ送り、浦田重工業よりも先に深海棲艦を倒すのが優先だと。そうすれば、我々の世界は奇跡で救われる。……残念ながら半分は間違っています』

 

 提督は無念そうな声が流れた。時雨は驚きはしなかった。深海棲艦は浦田重工業が操り世界を手中にしていたからだ。僕達は、生け贄にされた

 

『タイムスリップ作戦は私の過去と私の父である創造主に警告を行うためのもの。それだけです……我々は助からない。この映像を見ていることは、過去へ送った艦娘1人を除いて私と艦娘達は既に殺されているでしょう。例え奇跡的に生き残ったとしても死んでいるのは間違いない。……我々にはもう、手はないのです。嘘じゃない』

 

提督は数歩歩いて大淀に近づく。大淀は大きな紙に書かれた資料と写真を掲げた。戦艦ル級改flagshipと、近代兵器を装備した深海棲艦の写真だった

 

『深海棲艦の異変に気づいた時には手遅れでした。この異変に対して止める術は何もない。アイオワの未来技術を用いても奴等の侵攻を止めるには圧倒的に火力不足です』

 

 未来の提督が説明する度に大淀は、紙をめくる。次は世界地図だが、深海棲艦が侵攻した事が書かれたもの。そして、世界各地の崩壊した都市、深海棲艦に挑み無惨にも大破し横たわる艦娘の艦隊と農作物や森が枯れて更地になった写真。青葉が撮ったのだろう。カメラを持ち歩きその度に写真を撮っていた。ほとんどの者は、青葉の取材と写真撮影に抗議しなかった。青葉は確か……救助作戦の前までは生きていたと思う。

 

『深海棲艦は、浦田重工業の科学技術を使い我々を攻撃している。しかも、ねずみ算式のように増殖し我々の世界に対して無差別攻撃している。また、赤い水から降り注ぐ雨により生物圏は破壊されていくでしょう。このままだと地球の生命はいづれ滅びてしまう。地球の大地は不毛の地となり、世界規模の絶滅はもはや避けられません』

 

 時雨は驚くと同時に疑問を抱いた。浦田重工業は世界を手中に納めるために操っている。しかし、未来の提督は、深海棲艦によって絶滅すると言っているのだ。……浦田重工業は暴走したのか?

 

『この強大な敵に艦娘は歯が立ちません。例え、浦田重工業の同様な兵器が合ったとしても、数の暴力で太刀打ち出来ないでしょう』

 

 資料をめくる大淀は、涙を堪えている。彼女もこの理不尽な現状に嘆いているのだ。しかし、今はそれは出来ない。未来の提督は気づいていないのか、話を続けている

 

『この災厄を解決出来るとしたら、数年前の事件。ワームホールが出現した原因となった隕石衝突を食い止めるくらいでしょう。しかし、当時の隕石の規模は直径50キロメートルに及ぶため現在の科学技術では、これを防ぐ事は不可能です』

 

『……我々に残された時間は数年……いや、数ヶ月しかない。タイムマシンが完成出来たのが奇跡です。艦娘の犠牲は無駄ではなかった。そこまでして完成させたのは、もう道がないからです。この災厄に対して地下シェルターに逃げて待てば良いようなものではありません。世界は変わり果てた姿となる。命は無くなり、有害な空気と岩と水。そして、何かを破壊していく無数の深海棲艦だけの世界となる』

 

この説明に時雨だけでなく、博士を除く全員が息を飲んだ。ここまで酷くなるとは思わなかった

 

『これが『新型兵器計画』及びタイムスリップ作戦に隠されたおぞましい真実。……私の嘘。数十人の無実の艦娘達に戦いで犠牲を強いるためについた嘘です。何故か?』

 

未来の提督はカメラを見据えていた。大淀も資料を片付けると提督に倣う

 

『それは……使者として送った艦娘と共に未来を切り開くため。そのための時間稼ぎ』

 

時雨は一言も聞き逃すまいとしっかり聞いた

 

『世界が滅亡する日は迫ってきている。過去へタイムスリップしようが、それだけでは時間を止めることは出来ない。タイムスリップ作戦の本質は、未来への可能性を紡ぐこと』

 

未来の提督と大淀は、姿勢を正した。気を付けの姿勢だが、逞しく見える

 

『暗闇に差す一筋の光は、過去へ送った艦娘に委ねる。例え、任務失敗しても誰かが受け継がなければならない。何か手を打たなければ、この世界は同じ過ちを繰り返すだけ。私からは以上だ』

 

 これで終わりでない事を祈りたい。何か対策案があるはず。しかし、現実は非情だった。映像は真っ暗になり、何も映し出さない。時雨を初め、全員は暫くの間、何も写らない映像を見続けていた。やがて、博士はビデオデッキからビデオを取り出した

 

 

 

「未来では……こんな事が起こるのか?」

 

 暫くして陸軍将校は恐る恐る時雨に聞いたが、時雨は頷いただけだ。その他のものは口を開かない。提督と中佐はショックを受け、軍曹も言葉を失っていた

 

「あれが……未来の俺……やせ細っていたな」

 

自分の姿に驚いたらしい。あんな深刻な事を話すとは思いもしなかっただろう

 

「これで終わり?」

 

時雨は博士の方へ向けたが、何も答えない

 

「本当に?」

 

提督も聞いたが、博士は何も言わずビデオデッキからビデオから出しただけだ

 

「いや、まだある。さっきの映像は、まだ艦娘を過去へ送るのを決めていない時の頃だろう。このメッセージは失敗、若しくは困難である時に見るためじゃろう。もしものために……私の息子か時雨が何者かに殺され、第三者に見せる為の……」

 

 つまり、失敗した時のために用意されたらしい。未来の提督は、時雨と過去の自分が逃げ出す事までも予想していたらしい。そのためのビデオだ。真実はおぞましいであると。先ほどのように、隠れて静かに暮らすような事はやめさせるための映像だろう。そして、死んだとしても第三者にも伝えようとするため。……これを見た人はどう思うか分からない。これが精一杯という所だろう

 

「全く……未来の俺は、艦娘だけでなくて自分自身も容赦ないな」

 

自分を知っているからあんな事が出来るのだろう。長所も短所も理解してやがる

 

 時雨と提督が考えている最中、博士はビデオを弄った。分解し、テープを取り出すと別のテープを入れ換えた

 

「それは?」

 

「お前さんと時雨へのメッセージだ。まさか、テープをもう1つ用意するとは。ケースに巧妙に隠すとは」

 

 博士はビデオテープの組み立てが終わるとビデオデッキにセットした。これから何が映るのだろうか?

 

 今度の映像も提督が映っていたが、側には大淀さんではなく、明石さんだった。場所も違っており、提督の後ろの部屋にはあの機械があった。タイムマシンだ!その横には大きいコンテナもあったが……アイオワの手紙だと……あの中に核爆弾が……

 

「あの機械……タイムマシンだ!」

 

「あ、あれが!」

 

 提督は驚いた。まさか、映像で見れるとは思いもしなかったからだ。将校も軍曹も驚いたが、博士は驚きはしなかった。既に見たのだろう

 

映像に映っている提督は口を開いた

 

『こんにちは。……時雨……それと過去の俺……そして、父さん。私の……いや、もう堅苦しいのは無しだ。この映像は『新型兵器』の正体を明かす1時間前の映像だ。この映像を見ていると言う事は、俺は既に死んでいるだろう。何と言えばいいのか……時雨……元気にしているか?』

 

時雨は固まった。新型兵器の正体を明かす直前に撮ったのか!

 

「提督……僕は……元気だよ!」

 

 記録用の映像にも関わらず、時雨は声を上げた。未来の提督は……本当に僕達を……

 

『俺は戦争犯罪者だ。タイムマシン建造のために、勝てない敵に対して艦娘を出撃させた。かなりの艦娘が撃沈された。既に負けると分かっているのに出撃命令を出した。それに加え、大本営や政府、そして市民まで騙して来た。全てはタイムスリップ作戦のため。一部の者しか真実を語らず。恐らく、歴史史上最悪の事をした。アイオワや長門、プリンツオイゲンなどから『艦だった頃の世界』の歴史を学んだ。チンギスハン、ヒトラー、スターリン以上の恐ろしい事をした』

 

部屋は重苦しい空気に包まれた。仕方がないとは言え、真実を語らずに戦ったのだから

 

『だが、これだけは言わせてくれ。俺はお前達である艦娘を仲間だと思っている。そして、俺は自分の意志で軍人に成った。入隊した当初は名誉と汚名返上。ただ、それだけだった。艦娘達と出会うまでは』

 

 未来の提督は話始めたが、しゃべり方は過去の提督と同じだ。歳をとっても変わらない。まあ、4年しか経っていないのだが

 

『俺は『東京湾駆除作戦』に初期艦である5人を出撃させたくなかった。理由は……可哀想だったからだ。変に思わないでくれ。幼い少女が深海棲艦を倒せる訳ないと。見た目で判断した。だが、叢雲に一喝されたよ。『見た目で判断しないの!……何、不満なの?』って』

 

 未来の提督は僅かながらにやりとした。しかし、目は笑っていない。明石は銅像のように立っているだけだ。未来の提督は経験した事を語り続ける

 

『しかし、俺の予想と違って吹雪達は東京湾にいた深海棲艦を倒した。あれは驚いた。ニュースになった時は全員、喜んだ』

 

 未来の提督は朗らかに話しているが、口が震えていた。時雨には分かっていた。あれは恐怖。これから起こる事への……

 

僕を過去へ送るために艦娘が総動員して防衛にあたらせた

 

『今は違う。そんなのは昔話だ。俺は深海棲艦を調べていた。なぜ、陸地に関心のない連中が躍起になって攻撃したのか?なぜ人間のように学習し戦略が立てれるのか?なぜ、深海棲艦である姫級が現れなかったのか?』

 

未来の提督は顔をしかめた。明石が駆け寄ったが、未来の提督は制した

 

『俺はある仮定にたどり着いた。信じたくはなかったが……何者かが深海棲艦を操り世界を攻撃しているとしか考えられない。しかも、人である可能性が高い。俺達は……餌だ。そのためだけに。ずっと待っていた。家畜のように艦娘が強くなり、戦力拡張している俺達を奴らは舌を舐めながら待っていた』

 

怒りを抑えながら、悔しそうに言った。未来の提督は気づいていた

 

『だが、証拠はない。タイムスリップする際に情報を与えなかったのは、混乱を招くからだ。現場の現状と当時の社会情勢は違う。それに左右され任務に失敗するのだけは避けたかった。怒るかも知れないが、分かってくれ!この作戦はやり直しはきかない!そして、お前にプレッシャーを与えたくなかったからだ!』

 

 時雨は口を挟まず黙って聞いていた。部屋は映像から流れる音声以外は、何も聞こえない。陸軍将校達も同様だ

 

『武器も絶望的だ。アイオワの予備であるCIWSしか送れない。ミサイルは論外だ。そのアイオワも……撃沈された。あの忌々しい戦艦ル級改flagshipによって。サラトガが知らせてくれた』

 

 しかし、武器が送れても浦田重工業が保有する戦力に勝てる事はないだろう。未来兵器である攻撃ヘリや無人航空機も持っているのだから。撃墜出来たのは幸運だ。幸運は二度も続かない

 

『……すまん……俺は……この後の新型兵器の説明しないといけない。分かるだろう。……明石……頼む』

 

明石は無言で頷き、未来の提督の側に立つと口を開いた

 

『時雨ちゃん……聞いている。私も怖いの……これから起こることが。でも、伝えないと。これは失敗したときのバックアップ映像だから』

 

明石も同じく映っていたが震えていた。彼女も未来の提督と同じだ

 

『悪い知らせは聞いたとおり、変異した深海棲が世界を滅ぼしている。崩壊ではない、消滅しようとしている。何者かが深海棲艦を操っていると提督は考えているけど……疑問もあるの。こんなことして誰が得をするのかを』

 

 明石は淡々と説明したが、時雨達は分かっていた。原因は浦田重工業。原因は不明だが、浦田社長の野望通りにならなかった

 

『もし、本当に人が関与しているのであれば、その関与した人は何処へ住んでいるのか?そこが重要な問題だと私は思う。惨劇を見る限り、どの土地もどの海域も人も艦娘も住めそうにない。嘘じゃないわ』

 

 明石の声もまた暗かった。こんな暗い声を聞いたのは数回あるが、今映し出されている明石の表情は、それよりも暗かった

 

『その関与した人が何処へ逃げるのか?私の考えは2つ。1つは異変した深海棲艦が拠点としているトラック島とハワイ諸島。恐らく、そこだけが人が暮らせるよう改造している。もう1つは……その関与した人が、もう人間ではないという可能性』

 

明石の告白に全員が衝撃を受けた。……関与した人が人間ではない?

 

『衝撃的な言葉でしょう。でも……これは提督と工作艦である明石と大淀、そして海外艦であるアイオワが情報共有して導き出した答え。その根拠は……時雨ちゃん。知っているなら話すわ。『超人計画』って知っている?』

 

「っ……!?」

 

 時雨は目の前が真っ暗になった。未来の提督は知っていた!どうして!?どうして、平然としているんだ!?

 

『知っている前提で話すわ。『最新鋭兵器』によって被害が出た事により……提督と私と夕張、そして秋津洲は提督の父親が残した研究所をひっくり返して『タイムスリップ理論』を見つけ出した時……提督は別の資料見つけたの。『超人計画』というのを。そして、提督の先祖の事を。この秘密を知っているのは、提督と私である明石だけ。夕張と秋津洲は知らない。知る者が少ない方がいいとの判断で。こんな世界になってしまった為、状況が状況だから。私達……艦娘は……人間ではない。しかし、深海棲艦みたいにただ殺戮や破壊を繰り返すだけの兵器ではない。私達は自分の意志で生きている。人と同じように感情がある』

 

 未来の提督は『超人計画』を知っていたが、皆には黙っていた。しかし、明石はどうして平然として話しているのだろうか?

 

『私は衝撃を受けたけれど、同時に納得出来た。私達は人から造られた存在。しかし、違う所は使われるだけの存在ではないという事。そして『艦だった頃の世界』とは違い過ちを繰り返さないため。私は工廠で兵器を開発し改修していた。当時、兵器の問題を抱えていた所を改善し、零戦や烈風などの艦戦など航空機を一新した。艤装では、それがフルで使える。改装計画も実現出来た。でも……その努力も未来兵器には敵わなかった』

 

 明石の思う所は確かに当たっていた。兵器は物に過ぎない。しかし、兵器は人類の技術が結晶化したものであり、戦いの勝敗に繋がるため軽視は出来ない。戦艦にしろ空母にしろ単純に、この兵器はあれよりも優れている、と比較する事ができないため当たり前である

 

『アイオワが情報を提供してくれた未来兵器を参考に、私達……異変した深海棲艦のボスである戦艦ル級改flagshipの弱点を探るべく分析しました。改修された形跡はあるものの、あれは『艦だった頃の世界』に誕生した戦艦ではない。砲は大和型戦艦が搭載した主砲と同等かそれ以上の強力な艦砲であり、ある程度の対空戦闘は可能。射撃システムも一新しているかも知れない。着弾率はとても正確だと長門さんは言っていた。しかし、重要なのは対空・対潜任務は戦艦ル級改flagshipを随伴している軽巡ツ級ということ』

 

「つまり……あいつは無敵ではないのか?」

 

 提督は呟いた。軽巡ツ級を倒し攻撃を仕掛ければ勝機はある。まだ、戦艦ル級改flagshipは全ての深海棲艦を掌握していない。時雨も分かっているが、問題があった。普通の軽巡ツ級だったらいい。イージスシステムを持つ軽巡ツ級は対処しようがない

 

『人類の敵である存在を操り世界を支配しようとしている者がどんな理由で実行しているかは分からない。それも目先の利益で動いている可能性が高い。最悪の結果をもたらす事を知らずに。それを防ぐのは私達だけと言う事。私達の存在は、深海棲艦を倒すだけではないの。『艦だった頃の世界』の惨劇を防ぐため』

 

 明石はそこまで言うとポケットから紙を取り出し、カメラに映すために広げた。そこに書かれているのは設計図だ。それも……『大型建造計画』

 

『これは……不可能な夢ではない。矢矧や伊401しか建造出来なかったけれど……もし……彼女の力なら……』

 

 時雨は明石の思惑が分かったような気がした。大型建造は強力な艦娘を造り出せる。だが、それは大量の資源を要する。そして何よりも、現れるとは限らない

 

 しかし、何もデメリットばかりではない。あの建造ユニットはまだノーマルだ。もし、大型建造出来るのなら……本来の出来事とは早く強力な艦娘が存在していれば……

 

未来の提督と明石さんは、そんな事を……

 

『私の手元にある建造ユニットは、大型建造は出来る。時間を労したけど、改造出来た。だけど、大型建造が可能だった頃は、深海棲艦は変異していた』

 

 つまり、間に合わなかった。だから、未来の提督は大型建造をやらなかった。敵が強大になり、損傷や撃沈した艦娘が多くなったから取りやめた。そのように聞いている

 

『時雨ちゃん、これを見ていると言う事は辛い目に合っていると思う。私には何が起こったのか、確認する事が出来ない。でも、よく聞いて。重要なのは、これで終わらないと言う事。どんな強敵が現れようとしても、力を尽くせばきっと達成出来る』

 

 明石はそこまで言うと未来の提督に目を向けた。未来の提督は石造のように微動だに動いでおらず、明石が説明している間、口を挟まなかった

 

明石が話を終えたのを確認すると、未来の提督はようやく口を開いた

 

『もし……もし、これを見ている者が過去の自分と親父と……502部隊である中佐であって欲しい。俺は敵が……何者かまでは突き止められなかった。もし、その敵が強大であっても諦めずに戦って欲しい』

 

未来の提督は決したように言った

 

『世界崩壊は避けられない。敵の手に渡さないためにタイムマシンの設計図も機械も破壊しなければならない。つまり、やり直しは出来ない。辛いだろう。でも……時雨、お願いだ。お前しか出来ない。真の敵を倒し、共に未来を現実のものとしてくれ』

 

 映像は終わった。この後、何があるのは時雨は分かる。『新型兵器計画』の正体は兵器ではなく、タイムマシンだったと言う事を。確か天龍が怒り狂ったっけ?僕が止めたけど

 

 この映像のメッセージを見る限り、未来の提督も艦娘も生きてはいない。でも……やり直しは出来る。たった一度だけのチャンス。浦田重工業も時雨の秘密を見破られた

 

「提督……みんな……うん……逃げてはダメだね。逃げても解決した事にはならない」

 

 時雨は何も映っていないモニターに向けて呟いた。もう迷う必要もない。逃げてはダメだ。でも……そのためには敵をどうにかしないと

 




おまけ
提督「これが未来の俺か」
時雨「うん。そうだよ」
提督「髪はあるな」
時雨「まだ若いから」
提督「あのコンテナには核爆弾があるのか?」
時雨「僕は見てないけど」
提督「実はピンボールの部品を使ったインチキ爆弾とかないよな?」
時雨「提督、安心して。ドクはいないから」
提督「デロリアンか猫型ロボットがあれば……」
時雨「だから無いから」

やり直しはきかない。デロリアンか猫型ロボットがあれば……無いですね

ところでファ○通の表紙に『艦これ』五周年記念特集として海自の制服を来た伊勢と日向がありました
階級は不明ですが……伊勢には防衛記念賞がたくさん着けていたのには驚きました
何を貢献して受賞されたのかな?多分……瑞雲祭りかな?
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