時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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第62話 一致団結

 映像を見終わった一同の反応は様々だ。ため息をつく者、互いに顔を見合わせる者。そして、未だにモニターを見続けているもの

 

暫く沈黙は続いていたが、陸軍将校である中佐は沈黙を破った

 

「すると私は本来よりも早く出会ったということか。艦娘とやらに」

 

「そういう問題ではないですよ、中佐!浦田重工業が暴走していたのなら、我々の任務は失敗したんですよ!」

 

 軍曹は真っ青になった。初めはタイムスリップやら世界崩壊やらを聞いたときは、信じられないが、先程の映像を見て真実だと受け止めることしか出来なかった

 

「良いではないか、軍曹。分かっただけでもいいことだ」

 

陸軍将校は時雨と提督、そして博士と向き合った

 

「クーデターの参加を強要されたとはいえ、 浦田重工業は我々の仲間を殺した。そして、今度は己自身も暴走している。それを食い止めなければならない。もう任務や汚名返上だけではない。しかし、我々の力だけでは無理だ。お願いだ、力を貸してくれ」

 

 陸軍将校は軍曹と共に頭を下げた。時雨も提督もどう反応していいのか迷ったが、博士は頷いた

 

「そうじゃな。ワシらもあんた達抜きでは『艦娘計画』が完成出来なかった。未来の息子の声も聞けた。済まない事をしたと思うが、あいつは立派だった」

 

「もう自分探しや逃げるのを止めた。俺は戦いは得意じゃないが、指揮や分析は出来る」

 

「でも銃持って戦っていたけど?」

 

時雨は指摘したが、提督は苦笑いしながら首を振った

 

「銃声や爆発音で耳が変になってさ。それに、俺の戦果はヘリ一機と敵兵1人だけ倒しただけだ。深海棲艦なんて倒せる力なんて無い」

 

「お前はまだ新兵だからだ。それに陸軍の部隊ではない」

 

 陸軍将校は指摘した。まだ戦い慣れていないので仕方ない。しかし、知識と分析能力は優れていると思う。『艦だった頃の世界』の帝国海軍は夜戦が得意だったり、兵器の性能と弱点を僅かの時間で把握するのを見ると素質はあるだろう

 

「そう言えば無人航空機に追われた時に、どうして『あれは機銃はついていない。それにオリジナルではない』と言ったの?」

 

 無人航空機に追われた際、提督は的確な指示を出した。あの時、まるで無人航空機であるUAVを知っているような感じだった。アイオワの情報だけで見破られたとは思えない

 

「ああ、あれか。無人航空機についてはアイオワの情報だけだ。しかし、あの無人航空機……結構近づいてミサイル撃っていただろ?」

 

「うん……確かにそうだった」

 

 夜だったため距離感覚は掴めなかったものの、対空電探ではそこまで離れて撃っていない

 

「アイオワの情報だと空対地ミサイルであるヘルファイアの最大射程は約8,000m。しかも、命中率は余程の事がない限り必ず命中する。本物なら俺とは時雨はこの世にいない」

 

 時雨は真っ青になった。最大射程が8,000mで必ず命中する!?こんな物で僕達を殺そうとしたのか?

 

「でも、そうはならなかった。CIWSのお陰もあるだろうが……あの無人航空機は性能が落ちているようにも見える。少なくともアイオワに書かれてあった情報よりも」

 

「でも、根拠はないんでしょ?」

 

「確かに根拠はない。でも浦田重工業が建造したイージス艦だってそうだ。金を巻き上げるために造るにしてはおかしい。金儲けならコストを抑え、大量生産可能で使い勝手の良い兵器を売りさばけばいい。しかし、そうはしなかった」

 

時雨は舌を巻いた。提督はそこまで考えていたの!

 

「イージス艦は何か別の目的に使うため?」

 

「そうとしか考えられない。アイオワの手紙にも書いてあったように、この世界はアイオワが居た世界と違ってミサイルもジェット機も存在しない。にもかかわらず、浦田重工業はアイオワも首を捻るような粗悪なイージス艦を数隻造った」

 

 時雨だけでなく、その場にいた全員が驚いた。この男、まだ学生なのにここまで分析出来たのか?

 

「まだ推測だから真に受けないで欲しいけど」

 

「いや………頭の片隅に覚えておこう。では、もう一度聞くが、未来のワシの息子のメッセージに従うのじゃな?」

 

博士は自分の息子の推測に驚きはしたが、直ぐに気を取り直し全員に聞いた

 

「今更だが、相変わらずぶっ飛んだ話だ。俺は中佐と共に数年間、陸軍で飯を食って働いてきたが、こんな奇妙な任務は初めてだ」

 

部隊長である軍曹はニヤリと笑った

 

「深海棲艦が現れた時点で突拍子のない事だが……ここまで来たら降りる訳にも行かない」

 

 陸軍将校も降りないようだ。彼も複雑だろう。浦田重工業を崩壊させようも動いていたが、こんな事になるとは思わなかったようだ。まして、艦娘と関わるとは思わなかった

 

 時雨は提督を見た。こちらを見ている事に気づいた提督は、罰が悪そうに笑ったが、彼も同じだ

 

「趣味と軍の入隊試験の勉強でやって来たが、もう腹を括るしかないな。あん悲惨な現象を見たくはない。俺と艦娘達を追い詰めた元凶を倒さないと前には進めないからな」

 

「提督……みんな……ありがとう」

 

 時雨は嬉しかった。艦娘だけではない。他の者も戦おうとしている。提督ももう逃げないだろう。戦う事は出来なくても自衛と艦娘の指揮は出来る

 

「よし、決まりのようじゃ。ワシも戦艦ル級改flagshipに殺されたくはないの。問題はそいつじゃ」

 

 博士は深刻そうに話した。浦田重工業は陸軍に任せるとして、時雨である艦娘は深海棲艦を操る事が出来る戦艦ル級改flagshipを相手しないといけない

 

「問題はやはり戦艦ル級改flagshipの能力と武装だ。奴の力は戦艦だが、普通の戦艦ル級以上の力を持っている。ワシは港であれを初めて見たが、改flagship級でもこんな馬鹿げた力は見たことがない。しかも自立しているどころか、北方棲姫に楯突いた。こんな現象は深海棲艦と言えど、反する行為じゃ」

 

「そうなの?」

 

時雨は驚いた。深海棲艦にもルールというのがあるのだろうか?

 

「北方棲艦は幼いとは言え、姫級だ。戦艦ル級や空母ヲ級などは彼女達の部下のようなもの。人間とは違い自由意思は存在しない。他の者への攻撃とボスである姫や鬼級を命捨てて守る」

 

「そこまで違うの!」

 

 時雨は驚愕した。僕達、艦娘は深海棲艦は『敵』という考え方だけだ。中身は知らない。というより、誰1人として深海棲艦を知らなかった。報道だと宇宙人だとか神の怒りだとか政府が極秘裏に作り出した生物兵器が逃げ出したとかで憶測が流れたものの、正確に正体を把握した者は居なかった。艦娘でも分からなかった。未来の提督は知っていたものの、博士ほど詳しくは知らない。先祖と『超人計画』の産物だろうが、今はそれが頼りだ

 

「怨念の存在とは言え、あくまで生き物。そして人とは違う。文化も思考も違うのじゃろう。しかし、姫や鬼級は知的生命体で上位個体じゃ。それに逆らう者は港で現れた例の戦艦ル級改flagshipだけじゃ」

 

 博士が言うには、戦艦ル級や空母ヲ級などの通常個体の深海棲艦は姫や鬼の為なら命を捨てて守るというものらしい。現に港湾棲姫は浮遊要塞を召喚したが、浮遊要塞は体当たりをしてまでミサイル攻撃から港湾棲姫と北方棲姫を守った

 

 本来はそのはずだが、なぜか戦艦ル級改flagshipは違うらしい。守るどころか、見下している。実際に時雨も見た。牢屋で港湾棲姫と北方棲姫を敬意すら払わず殴る行為を目撃した。深海棲艦同士の争うと思ったが、博士の話だと違うらしい

 

「夜襲ももう通用しない。対策されるだろう。奴の能力と正体を見破らないと、返り討ちにあう」

 

「ちょっと聞いていい?」

 

時雨は博士と提督が考えている最中、聞いた。ずっと引っ掛かっている事を

 

「あいつは僕に酷いことをされた。だけど……どうやって僕が未来から来たというのを見破ったんだろう?あいつも未来から来たのかな?」

 

「いや、それだったら親父どころか俺もとっくに殺されていただろう。……自力で調べたにしても、深海棲艦の姿のままウロウロしたりしないはずだ」

 

提督から否定されて安心した。本当に未来から来たら歯が立たない

 

「それ以前に……本当に人のように滑らかに話したのか、あいつは?」

 

 時雨は頷いた。これを聞いたのは、時雨だけだ。いや、港で中破まで追い込んだ時の戦艦ル級改flagshipは普通の人の言葉で話したが、攻撃を受けて一時的に声が変わったと思っている。しかし、時雨は確信している。あの声……何か訳がある!

 

「北方棲姫は何処?あいつなら知っているかも知れない」

 

「残念ながら、今は療養中だ。いつから閉じ込められたかは知らないが、あの戦艦の攻撃を食らっていたため既に瀕死状態だ。まともに口を聞けず、何も聞けない。ただ、あいつが全てを知っているとは思えん」

 

 港湾棲姫が奪われた事が痛かった。あの姫なら知っていただろう。港湾棲姫は確かこう言った

 

『アレハ私ノ仲間デハナイ』

 

 港湾棲姫は知っていたかも知れない。あれが何者なのか。博士にも牢屋で港湾棲姫とのやり取りを話したが、首を傾げるだけだ

 

「済まないが、ワシにも分からん。情報不足だ」

 

「ごめんなさい」

 

「何も謝る必要はなかろう。それはそうとして、今日はここまでにしよう。ワシも疲れたからな」

 

 博士の一声に皆が同意した。色々あって皆は疲れていた。皆が纏まったのは良いとしても、敵を倒さなければ意味はない

 

 

 

浦田重工業の本社ビルにて

 

 浦田社長は疲れていた。何しろ、今回の被害は予想よりも大きい。捕らえた例の親子と艦娘である時雨は、502部隊によって奪われてしまった。しかも、深海棲艦である姫級二人まで。奪還しようと戦力を送り敵にダメージを与えたが、逃げられてしまった。増援を送ろうにも、注目を集めてしまう。マスコミが嗅ぎ付けられたら厄介だ。幸いにもマスコミを取り押さえる事が出来、国には偽装の情報を流した。まだ、この時代にはインターネットは存在しないため真実が漏れる事はほとんどない。仮に漏れたとしても都市伝説の類に過ぎない

 

 とは言え、無人航空機であるMQ-9リーパーと攻撃ヘリコプターであるAH-1Sコブラ、そして軍用ヘリであるUH-60ブラックホークが失ったのは痛かった

 

「全く兵器を何だと思っているんだ?タダではないんだぞ」

 

 これらの攻撃力は貴重であるため、3機の損失は痛かった。機体の残骸は回収出来たが、どうする事も出来ない。補充も出来るかどうか……

 

 ヘリ部隊を率いた警備隊長に報酬を与えるとある部屋に向かった。社長室と向かい側にある部屋。個人用の部屋にはある人物が椅子に座っていた

 

 彼女は怪我をしていた。傷口に包帯を巻き、特殊な注射を打っている。しかし、時雨に吹き飛ばされた右腕は、何事も無かったかのように付いていた。彼女が座っている横に深海棲艦のものである艤装が置かれていた。戦艦ル級改flagship用である。まがまがしい艤装は、今にも火を吹きそうだ

 

 だが、浦田社長は臆することなく部屋に入ると咳払いした。自分で治療していたので気付かなかったのだろう

 

「大丈夫か?お前が艦娘にやられるとは」

 

「私のミスです。怪我は治ります。損害報告と改修案を後で提出します」

 

「いいか!ここでは敬語はいらん!」

 

 浦田社長は彼女の肩を掴むと安否確認をした。彼女は普通の女性だ。しかも、戦艦ル級改flagshipに変身出来る。彼女は人間かどうか?それは分からない

 

「お前がまた死ぬような事があってはならない。だから――」

 

「浦田社長、私は貴方に従うために力を貸している訳ではありません。私自身の意志です。そのためには、強力なパワーがいる」

 

「だが、核兵器も生物兵器も化学兵器もダメだ。私は第二次世界大戦を食い止めるために計画をしているだけだ。国の戦争によって、親しい者が失うのは見たくない。だが、国は違う。己の私腹のために戦争を行っている。枢軸国や連合国といった国のトップさえいなければ。悲劇は食い止められる」

 

 浦田社長はどうも時雨やアイオワなど『艦だった頃の世界』を知っているらしい。なぜ、知っているのか?ただはっきりしている事は、その情報を使って悪用しているのである。尤も、本人は気付かないだろうが

 

「大丈夫。そんなものは必要ない。社長のモラルに反する兵器が無くても勝てる。まさかレーダーを破壊して奇襲するとは、あいつ中々やる」

 

 平然としているが、内心は怒りで一杯だろう。口調が変わっているのが何よりの証拠だ。まさか、ここまで攻撃を許したのは初めてであろう。港湾棲姫との戦いの際ですら、自分は小破すらならなかった。今回は違う。弱点を見抜かれ、しかも駆逐艦である艦娘にやられたのだ。まして、無誘導である魚雷攻撃を食らったことで彼女のプライドはズタズタだった。しかし、彼女はいつまでも怒っているだけではない。彼女は立ち上がると10枚の紙を渡した。浦田社長は手にしたが、最初のページを見た瞬間、目を見開いた

 

「おい、お前……」

 

「私の事は心配しないで」

 

浦田社長は信じられなかった。しかも、真剣な表情でこちらを見ている。正気か?

 

「そういう問題ではない。操れるのか?こんな機能は、姫か鬼級にしか出来ない。まして、戦艦に艦載機を乗せようだなんて」

 

「出来ない?それは違う。居たでしょう?戦艦レ級が。私が真っ先に倒して、今は独房に捕らえている。戦艦にも拘わらず空母の機能を持ち、雷撃出来る。魚雷は要らない。代わりに別の兵装を付ければいい。但し、あくまで自衛用」

 

「しかし、どう……まさか!」

 

浦田社長は彼女が何をするか分かった。それは自殺行為だ!改装になるが、それには戦艦レ級の能力を!まさか――

 

彼女は浦田社長の考えている事を見抜いたのか冷たく言い放った

 

「私は貴方の影。技術面は任せる。能力は……あいつから戦艦レ級から奪う」

 

「なぜそこまで……私のために?」

 

「貴方のため?それもあるけど利害の一致。貴方の秘密と私が手に入れた力で世界が手に入る」

 

彼女の答えを聞いても浦田社長はそれでも納得がいかなかった

 

 それだけなら自分と同じだからだ。力は違えど、相手をぶちのめす力はある。しかし、どこが違うのだろう?

 

彼女は浦田社長の疑問に気付いたのか、更に口角を上げながら言う

 

「私は貴方以上に社会から拒絶された。父は戦死し、母は私に対して口を聞いてくれなかった。学校では苛められ、世間では差別を受けた。しかし……力を手に入れ、奴等に武器を向けたときは笑ったよ。許してとね。でも……許したとしてその人は改心すると思うの?」

 

 その怨嗟の声を聞いて浦田社長は後退りした。彼女の怨念は、他の深海棲艦より遥かに強烈だった。確か……彼女は人間だったはず!知っているのだから!

 

「ぶち殺してやった!全員ね!弱い者に対して見下す癖に、身の危険を感じたら逃げるなんて馬鹿げているわね!」

 

 右手の拳を掲げながら冷たく笑い、浦田社長は全身の毛が逆立った。ホラー映画に出て来る怨霊が現実に現れたかのような錯覚に陥った。人が深海棲艦になったら、こうなるのか?

 

「貴方が教えてくれた深海棲艦を倒すための計画である艦娘。あれは面白いわね。艤装外せば自由に生きていけるなんて」

 

「だが、お前も出来るだろう?人の姿に戻れるのは」

 

「いいえ。全然違う。時雨を見て分かった。艦娘は私である深海棲艦を狩る事が正義だと思っている。戦争を遊びか何かと勘違いしている。そして、陸に上がったら人とは変わらない生活が出来る。食べたり、遊んだり、仲間と遊んだり……私とは違う。よく、そんな事が出来ると感心する。だから……奴らに絶望を与えてから沈めてやる!死の方が楽と思わせるくらいに!」

 

 浦田社長はやっと彼女……戦艦ル級改flagshipが通常の深海棲艦と違って強いの分かっただけでもような気がした。確かに浦田社長は艦娘を快く思っていない。艦娘が『軍艦だった頃の世界』である大日本帝国海軍の亡霊とみていた。しかし、彼女は世界どころか艦娘までも憎悪する。艦娘と深海棲艦の違いに対してを。人ではないが、人として生きる能力に嫉妬していた。そして、国防のためと胸を張っていける姿に憎悪していた。親が戦死しても誰も慰めてくれなかった。しかしあいつ(艦娘)は違う。仲間が失っても泣いてくれる。艦娘として生きて行けなくても、第二の人生として暮らせる事も可能だ

 

 だから時雨を拷問した。うっかり殺さないよう痛めつけた。逃げないように足をへし折ったり、右腕を踏み潰したりしたのはそのためだ。拘束しただけでは自力で逃げられてしまう。そして、あいつから泣き喚く姿を彼女は存分に楽しんでいた

 

 また彼女は知らないが、未来では艦娘を何人も沈めた。しかも相手のプライドをへし折るのが好きなのか、生き残った艦娘を確認すると堂々と艦隊決戦を挑んだ。ビックセブンの長門をコテンパンにやっつけたのは彼女だ。アイオワが邪魔しなければ大阪湾に沈められていたらしいが

 

 浦田社長は彼女の事を誰よりも知っているつもりだが、目の前にいる女性はまるで別人のように見えた。変身する以外は、自分が知っている姿。しかし、浦田社長は見捨てるといった選択肢は無かった

 

「分かった。お前の好きにするがいい。何とか要望には応えよう。だが、こちらの兵器提供にも限度はあるくらいは理解してくれ。……押収した建造ユニットの件の事もある。それまで養生しろ」

 

「そうして。出来るだけ早く」

 

 浦田社長は部屋から出ると、彼女は確かに呟いた。誰にも聞こえない程、小声だった

 

「時雨……お前の大事なものを奪ってやる。誰かを守るため?私はお前のような小娘は嫌いなんだ。特に綺麗事しか言えないような存在は」

 

偽装を装着し動作を確認する。もう不意打ちは食らわない!

 

「浦田社長……いえ、兄の邪魔はさせない。私は影。その為ニハ、ヤハリ艦娘ヲ始末スル」

 

 彼女は戦艦ル級改flagshipに変形すると何もない壁に睨みつけた。黄色いオーラを纏い、片方の目から青い炎のようなエネルギーを発している。艤装を装着すると、深海棲艦を集めるため部屋から出る。本社ビル深海棲艦が現れても、誰も気にはしない。それどころか、ある人物と出会った

 

「ブラックホークで海のど真ん中まで載せてってやろうか?」

 

「首ニナッタノデハ無イノカ?」

 

戦艦ル級改flagshipを待っていたのか、警備隊長は廊下の壁にもたれ掛かっていた。彼女の問いに警備隊長は首を振った

 

「ボスはヘリを失ったのは俺のせいにしたが、俺は気にはしなかったぜ。金は貰えた。あのアパッチを操縦出来るのは俺だけだ。首にされると思うのか?時間かけて502部隊の工作員の侵入を許した警備主任とは違う」

 

最後になって警備主任は軍の工作員を見つけたが、社長室の金庫に入っていた例の物は奪われたままだ。しかし、何故か浦田社長は気にしていないらしい

 

「遠慮シテオク。燃料ガ勿体無イ。奴ラヲ仕留メルタメニ」

 

「そうか。今度は何を捕まえる?空母ヲ級か?」

 

断られ通り過ぎようとする戦艦ル級改flagshipに声を掛けた。彼女は立ち止まって振り返ったが、意外な言葉が返って来た

 

「軽巡ツ級eliteを2人連レテ来ル。コイツヲ私ノ護衛トシテ働イテ貰ウタメ」

 

簡潔に答えると今度こそ海に向かった。そんな彼女を警備隊長は、見えなくなるまで見送っていた

 




おまけ
浦田社長「貴重なヘリを失いおって!」
警備隊長「申し訳ございません」
浦田社長「許さん」バチバチ
警備隊長「グアアア、己……時雨め!今度こそ、今度こそは!!」

警備兵(油断が原因でヘリを失ったのは揺るぎない事実。罰せられるのは仕方ない。しかし……なぜ……なぜDr.ヘルとあしゅら男爵のやり取りなんだ?)

敵の兵器や戦力の分析は必須。しなければ同じミスをするだけ。それは相手も同じ。奇想天外な攻撃を仕掛けるかごり押しか?
艦これのゲームの場合だと空母に積む艦載機の配置がちょっと面倒です。今では強力な艦戦があるため楽になりました。その反面、撃沈させてしまうと艦載機まで失うので出撃の際(特にイベント)では大破していないか確認していますね。応急修理女神なんて貴重ですから

兵器の損失は痛いものです。有限ですから。なので、アパッチを操縦していた警備隊長はマジンガーZのあしゅら男爵のように土下座したのでしょう(多分)
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