時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

64 / 120
皆様、こんにちは。雷電Ⅱです。ちょっと悩み事があります。それは春のミニイベが意外とキツイと言う事です
春イベで食材掘っていますが、お米がたくさん貯まる一方です。他が中々出ません
福江のレベリングも兼ねてやっていますが、福江はもうレベル50以上に達してしまいました
ただ良い所は資源はそんなに減少していない事です。バケツは減っていますが


第64話 暴露 前編

 ある日、提督は皆を呼び集めた。部屋には僕以外の他に502部隊の部隊長である軍曹、将校である中佐、そして博士だった

 

 提督は、浦田重工業の本社ビルに侵入した工作員が奪った機械の調節をしていた。しばらく時間がかかるのでリラックスして待ってくれと言っていた

 

「あいつは何をしているんじゃ?」

 

「分からない。朝は喜んでいたけど」

 

時雨も分からなかった。朝起きたら、提督は嬉しそうだった。何があったのだろうか

 

「準備ができた。……すみません。実は、西村軍曹達が金庫から奪った機械から重要なデータが見つかりました」

 

「見つかった?この機械が?」

 

 軍曹は素っ頓狂な声を上げた。実は西村軍曹達が浦田社長の金庫から機械を盗んだが、どうやって操作すればいいのか分からなかった。本が付属していたが、全部英語で書かれていたため分からず仕舞いだった。しかも、間が悪い事に502部隊の隊員全員は英語を習っていない。悩ましい所だった

 

「しかし、英語が読めたとしてもその機械が何なのか全く分からない。我々も見た事がない。これは何なのだ?」

 

「この本は説明書です。しかし、これは全て専門用語が書かれているため私でも分かりませんでした。ですが、データの中身は違います。日本語です。そして、その資料を作った者がこういう事を予期していたのか、隠していたのです」

 

「資料を作ったもの?何者だ?」

 

中佐は質問したが、提督はかぶりを振った

 

「分かりません。作った本人は匿名で『ディープスロート』と名乗っているのですが」

 

提督も分からないらしい

 

 提督は例の機械を操作すると機械に接続したテレビから映し出されていたのは、数々の兵器だった。しかも……

 

「おい、これは何だ?何かの冗談か?」

 

「あの無人航空機と攻撃ヘリ!イージス艦まであるが、浦田重工業が建造していたと違う!何でこんなに詳細な情報が書いてあるんだ!?」

 

「あの艦載機……未来で赤城さん達を追い詰めたジェット戦闘機だ!提督、これは一体?」

 

 将校、軍曹と共に時雨は驚愕した。浦田社長が刺客として送り込まれた兵器が写し出されていた。しかも、未来において一航戦や五航戦など空母組のプライドをコテンパンにした空母ヲ級が積んでいた航空機まで写し出されていた。その機体の塗装は、黒ではなくちゃんと迷彩色をしている。アイオワの手紙に書いて合った通り、星のマーク、つまりアメリカ海軍のマーキングがあった。捕まった時に浦田社長が並べてあったプラモデルとそっくりだ。イージス艦もそうだ。浦田重工業が造り出したイージス艦と比べると雲泥の差だ。パソコンに映し出されているイージス艦の方がカッコイイ。しかも、その軍艦のマストには旭日旗と日の丸を掲げている

 

「提督……これが何なのか分かっていたの?」

 

「いや、俺も初めて見た」

 

時雨の問いに提督はきっぱりと否定した。知らなかった?

 

「しかし、これが何なのか分かる。これはラップトップ。日本語では『ノート型パソコン』と呼ばれるものだ。簡単に言えば、電算機を高度に発達させた電子機器だ」

 

「「「え(はぁ)?」」」

 

 時雨は呆然とし、残りの三人は間抜けた声を上げた。何を言っているのか分からないという事ではない。これが電算機である事に信じられなかった

 

「ちょっと待て。技術に関しては詳しくないが、電算機ってどういう造りだ?真空管ではないのか?そもそもどうやって映像を映し出されている?ブラウン管でもないのに?」

 

「疑問は分かっています。まず、順番に説明します。ただ、説明の半分は推測です」

 

将校から質問が飛んだが、提督は制した。提督はノート型パソコンを操作した

 

「アイオワの手紙の中に兵器が発達した一因となったのがコンピュータと呼ばれる電子機器です。トランジスタやICチップとかありますが、私は科学者ではないのでそこは省きます。アイオワが『艦だった頃の世界』の未来では、ミサイルやジェット戦闘機などが存在しました。そして、異変した深海棲艦もアイオワが知っている未来兵器が使われていました」

 

提督は一息つくと言葉をつづけた

 

「重要なのは、浦田社長はこれを持っていた。アイオワが『艦だった頃の世界』の未来の世界で使われているコンピュータと呼ばれるものです。しかも、深海棲艦のものではありません。正真正銘、人類が開発した代物です。分かります?私達の未来の世界ではありません」

 

 将校も軍曹も顔を見合わせ、時雨は唖然とした。博士は顔色一つ変えなかったが、内心は驚いていただろう

 

「つまり……浦田社長はその……艦娘が艦だった頃の世界……その未来の軍事技術を使ってこの世界を侵略している。そう言いたいのか?」

 

「ええ。そうです。そして、証拠もあります」

 

 提督は言葉を切り、ある写真をテレビに映し出した。それは何かある機体が行方不明になっている事件だった

 

「これは……何だ?」

 

「ニュースです。この世界のものではありませんが」

 

新聞のものだろうか?時雨も博士も知らない社名が書かれているが、見出しにはデカデカと書かれている

 

『陸上自衛隊のAH-64Dアパッチ1機、演習中に行方不明!』

 

『残骸見つからず!隊員も機体も依然として行方不明!』

 

そして、写真に映し出された機体は……

 

「おい!これって!」

 

「嘘だろ」

 

 陸軍二人は呻いた。行方不明になる数日前の機体の写真だった。そっくりだ。いや、そっくりな訳ない。こいつだ。こいつが俺達を襲った。時雨も歯を食いしばった。間違いない。あのヘリ、本当に未来の兵器だ。それをそのままこっちの世界に持って来たんだ。なぜ、そう思うのか。見間違う訳ない。だって、警備隊長が乗っていた機体と交戦した時に分かる。だって、探照灯に照らされた機体に施された迷彩色が一緒だ。それに……ローター付近に書かれていた機番。先日に見た機体に書かれていた番号と一緒だ。番号が偶然の一緒とは考えられない

 

「こいつら……まさか、別世界で陸上自衛隊という軍の機体を盗んだというのか?」

 

「アパッチも、です。他にも何かしらの方法で盗んだかもしれません。それとも、別の方法で調達のか?そこは確かめようがないのですが……親父、薄々気付いているんだろ?」

 

 親父は頷いていた。これには予想していたらしい。あのイージス艦だってそうだ。一企業が造り出せるような代物ではない

 

「ああ。確かに感じていた。だが……奴らが造り出した兵器は……まさか……」

 

「そうです。時雨達の『艦だった頃の世界』の半世紀以上先の未来の時代から来たのです」

 

 提督の衝撃な言葉に、全員が絶句した。博士はため息をつき、時雨は頭が真っ白になった

 

「アイオワさんと同じく第二次世界大戦後の未来の世界から来た人達って事?」

 

「恐らく、それより先の未来だろう。このパソコンに時計もあるが、何と西暦2020年と表示してある」

 

将校はハンカチで汗を拭いた。これは予想外だったんだろう

 

「つまり我々の敵は、深海棲艦の他に異世界の、しかも半世紀以上の未来からこの世界にやって来た人類と見ていいか?」

 

「正確には浦田社長は、異世界の科学技術を手に入れ悪用し、この世界を侵略したと見た方がいいでしょう」

 

提督は訂正した。どうも、違うらしい

 

「おい、こんなのあり得ない……中佐!こんなバカげた話を信じるのですか!?」

 

軍曹は立ち上がって叫んだ。こんな無茶苦茶な話は聞いた事が無いのだろう

 

「軍曹、落ち着け。『自衛隊』という文字に見覚えはあるだろ?浦田重工業から自動小銃の設計図を盗んだのを。64式小銃……あの設計図に『自衛隊』という単語がたくさんあったじゃないか」

 

「っ!」

 

 将校の指摘に軍曹は狼狽した。なぜなら、知っていたからだ。新兵器を求め浦田重工業から自動小銃という兵器を手に入れた時は、502部隊は喜んだ。しかし、設計図のあちこちに『自衛隊』が書かれていたため首を捻った。色々と探ったが、『自衛隊』という組織は知らなかった。何処にもないはずだ。異世界にあるのだから

 

「話は後にしてくれませんか。まだ、話があるので」

 

提督は言葉を続けていいか、聞いてきた

 

「あ、ああ。続けてくれ」

 

「アイオワの話によると、第二次世界大戦後、日本は朝鮮戦争など様々な条件により大発展し高度経済成長期まで達成しました。そして我々の世界でも時期は違うものの、ある期を境に経済力も工業力も農業力も大成長しました。インフラ整備など国では出来なかった事を何者かが関わった事で成し遂げられました」

 

「それが浦田重工業か?」

 

 軍曹は不快感を露わにした。日本がある期を境に経済も工業力も成長した。何もかも。考え方まで変わった。浦田重工業が関与していたのは明白だ

 

「恐らくそうでしょう。なぜ、浦田重工業はここまで日本を発展し、その後に日本も含め世界を攻撃したのかは分かりません」

 

「……分かるよ」

 

時雨は呟いた。全員の目が一斉に集まった

 

「浦田社長はこう言っていた。失望したって。自分の知識を使って貧困や格差を無くして日本をより良い国を目指すって。でもあれほど尽くしたのに、国は変わらないと愚痴を言っていた」

 

 時雨は聞いたからだ。あれは本心だったのだろう。しかし、そう簡単に上手く行かないのが世の中だ

 

「……俺は政治家ではないから、何とも言えないな。俺も国が何をしたいのかが分からない。……失礼、続けます」

 

提督は咳払いすると再び続けた

 

「そうなると敵は、どうやって未来兵器を手に入れたかは分かりません。なので、推測になります」

 

皆は再び提督に注目した

 

「答えは時雨です。浦田社長の言葉を正確に覚えたお蔭で、ある推測が確信となりました」

 

「あ、あれが?」

 

 時雨は驚いた。僕はそんな事を言った覚えはない。あれは僕達、艦娘を蔑む言葉だけだった

 

「そんな訳ない!浦田社長は僕を――」

 

「時雨、俺はバカじゃない。お前から聞いたら怒り狂うのは分かるが、冷静になれ。お前が聞いた浦田社長と戦艦ル級改flagshipの言葉は、ちゃんと書いている」

 

 提督は数枚の紙を掲げた。書かれていたのは浦田重工業の時に捕まり、罵られた言葉ばかりだ

 

「言いたい事は分かる。だが、重要なんだ。奴らは、お前を蔑むあまり大事な事をうっかり喋ったんだ」

 

顔に出たのだろう。提督は慌てて付け加えた

 

「『学校に通えなかった私は、稲作をする事にした。だが、ある日のことある天災で田んぼは全滅。私が絶望したが、それと同時にチャンスを掴んだ。知識と真実を手に入れた』……これだ。時雨、あいつは確かにそう言ったんだな?」

 

「う……うん」

 

時雨は困惑しながらも頷いた。余り思い出したくはないのだが、答えるしかない

 

「これの何処が――」

 

 軍曹が顔をしかめながら聞いたが、突然博士は立ち上がった。まるで、たった今走って来たかのように汗をかき、荒い息をしている

 

「博士、どうしたの?」

 

「お、お前……まさか!?いや……だが……確かに筋は通るが、そんな事あり得るのか!?」

 

 博士は提督に早歩きで近寄ると紙をひったくった。何度も読み直した後、時雨に近づいた

 

「時雨、あいつは本当にそう言ったのか!?」

 

「うん……そう言ったよ」

 

 何が起こっているのか分からない。余りの形相で聞いてくるため、ビクつきながら答えた

 

「……まさか。ちょっと待て!直ぐに戻る!」

 

 中佐も答えが分かったのか、立ち上がると荒々しく立ち去った。そして数分後、沢山のノートを抱え込んで来ると初めから開き始め調べ始めた

 

「中佐?」

 

「お前も手伝え!青年時代だから、この年の事件一般と奴の生い立ちだ!」

 

「中佐?一体?」

 

「これは命令だ!いいか!確か、ある村の田畑で前代未聞の災害が発生して農産物が全滅したって!台風ではない!あの日だ!」

 

 軍曹は狼狽したが、命令なので探した。ノートをめくる音と独り言がしばらく続いたが、数分後見つけたらしい

 

「これだ!奴の稲作が全滅した日だ!」

 

 ノートを広げ提督達に見せた。それは新聞の切り抜きと地図だった。見出しにはデカデカと書かれていた

 

『農家の田畑に隕石が衝突!○○村の稲作は全滅!』

 

『昨日の未明に物凄い衝撃音と地震が発生。警察の調べによると浦田氏が保有する田畑に隕石が落ちた可能性が高いと見ています。この落下の衝撃で学校や住居のガラス窓が割れたり、地響きによって田畑が滅茶苦茶になったりなど被害が出ています。専門家は田畑の持ち主に落下地点の現場から立ち退くよう申告しましたが、浦田氏は拒否。『隕石はやるからさっさと帰ってくれ!ここは私有地だ!』と石を渡しただけで協力を拒否しました』

 

博士は陸軍将校からノートをひったくると、声に出して読んだ

 

「専門家は『目撃者によると、夜空に強い閃光を放ち、煙の尾を曵きながら落下するのを見たと証言している。目撃証言と被害を察するに隕石の直径は約10メートルもある。にも拘わらず、落下地点の付近にいた浦田氏と家屋は無事なのに不思議がった。陥没穴もないのはおかしい』……これじゃ!奴の住む近くにワームホールが開いたんじゃ!」

 

「これは何?」

 

 時雨は絶句しながら、陸軍将校に聞いた。時雨は頭がついて来れなかった。……浦田が住んでいた農家に隕石が落ちた?

 

「これは浦田社長に関する資料だ。502部隊に配属されて以来、浦田重工業打倒のために集めていた。奴に関するもの、生まれた時から今まで。ほとんど空振りだったが、まさか当たり引くなんて」

 

 中佐は興奮気味に話していた。意味もなく集めていた記録がまさか役に立つとは思わなかった

 

「この記事では浦田社長は、警察や大学教授の立ち入りを拒んだ。しかも、隕石の破片は与えているから去ってくれと叫んだ。間違いない。あいつの家にワームホールが開いたんだ」

 

 提督は苦笑いした。提督の推理はおおよそ正しいだろう。未来兵器とノートパソコンが何よりも証拠だ。異世界の産物だ

 

「成る程。奴は自分の家に隕石が墜ちてから1ヶ月後には回りの田畑を買い占めている。立ち退きを拒否した者は、数日後には自殺している。証拠はないが、殺したのだろう」

 

 軍曹は別のノートを引っ張り出して皆に見せた。それは浦田社長が住んでいた警察の記録だ。不審だったため警察は捜査したが、証拠は見つかることなく時効を迎えている

 

「あの野郎。とんでもない事をしてやがる。なるほど……道理で浦田重工業が造り出した機械は画期的な訳だ。進んだ機械をこの世界に持ち込んだのだからな」

 

 軍曹は苦虫を噛み砕いたような顔をした。浦田重工業があれほどの技術を持っていたという理由が分かったからだ

 

「すると浦田重工業や浦田社長は天才って訳じゃないって事か?」

 

「調達する事自体なら天才だと思います。何しろ、偽物とは言え軍事機密であるイージス艦をこの世界で建造しましたから」

 

 恐らく、向こうの世界では何かしらの後ろ盾があるに違いない。でなければ、こんな事はしないだろう。資料によるとイージス艦はハイテクの塊らしい。当然、機密レベルは高いはずだ

 

「しかし、そうなると疑問がある。もし、浦田社長が異世界からの技術や知識を使って日本を支配してるなら、なぜ奴は総理大臣の座につかなかったのか?下手すれば、異世界の軍団を使って武力制圧だって可能なはずだ。天皇を殺して日本の国王になる事だって出来る。だけど、奴はそれをしなかった」

 

「恐らくですが、浦田社長は国の権力者を全く信用していなかったと思います。私は聞いた訳ではありませんが……時雨が聞いた話を察するに今の国のトップに付いても無意味だったのではないかと思います」

 

 中佐の指摘に提督は答えた。時雨もよく分からなかった。なぜだろう?総理大臣に立てば好き放題出来るはず

 

「国のトップに就いたとしても回りは赤の他人です。裏切りを予想していたかも知れません。かといって、独裁国家のように秘密警察を配備し反体制派を粛清したとしても、怨みを買うだけです。私は聞いていませんが、『共産党などといった輩にも接触したが、彼等の頭は能天気だ。話にならない』と彼は言ったくらいです」

 

「確かに言っていたけど……でも、会社も一緒ではないの?」

 

時雨は疑問に思った。会社の社員も赤の他人だ。なぜなのか?

 

「会社の社員の場合は、金で雇って上手いこと従わせれば何とかなるだろう。技術と知識を我が物としていたかもな。会社員が裏切れば、最悪クビに出来る。1人ではやる事も限られているからな」

 

「何か……酷い」

 

提督の推測に時雨は、腹が立った。国を変えると言った割には結構卑怯である

 

「ま、国会議員になったとしても浮いていたじゃろう。そうなれば、厄介じゃ。自分達とは違う意見を言っても叩かれるだけじゃしな」

 

「警察も軍も黙ってはいないでしょう。しかし大企業のトップとなれば別です。金をちらつかせば、向こうから政治家は寄ってくる。警察も軍も大目に見てくれる。私腹を肥やせるからな……悔しいが、浦田重工業を快く思っていない国の機関は、まるで心変わりしたかのように浦田重工業の味方をした」

 

陸軍将校は拳を握ると机を叩いた。所詮、思想や考えは脆いものかも知れない

 

志が強い指導者でも、所詮は人である。口先では何も出来ない。人を集め従わせ、理想を目指そうとしても何もなければ誰も付いて来ない。宗教団体のようにマインドコントロールしても限度はある

 

 食料を手に入れるにも敵を倒すための武器を購入するにも、資金が必要である。つまり、浦田社長は政治家の影となって国を変えていた

 

「つまり、浦田社長は理想のために国を利用して暗躍していた、と言いたいのか?」

 

「何処まで正しいのか分かりませんが、政界に出ていない事を考慮するとそうとしか考えられません」

 

軍曹の問いに提督は肩透かした。流石にそこまでは分からない

 

「ワームホールが開いて浦田社長は、異世界の……親父の専門用語だと『平行世界』と言った方がいいのかな?そこへ行き、再び戻ってきた」

 

「でも、そんな事は出来るの?僕が時間旅行した際に未来の提督は言っていた。『普通の生命体では無理だって』」

 

「多分……浦田社長の方のワームホールは造りが違っていたのじゃろう。ワームホールの向こうの世界は、深海棲艦が住む世界ではないのが理由だからじゃろう」

 

博士ため息をつきながら時雨の疑問に答えた

 

「しかし、分からない事が1つあります。浦田社長は平行世界で何を見て、こんな狂気に走ったのか。そこが分かりません。未来のアイオワから大まかな歴史は学びました。浦田社長もその世界から学ぶことは出来たはずです。当然、第二次世界大戦が起こる事を予期していたでしょう。国際情勢も良くありませんでしたから。にも拘らず、浦田社長はそれをやらなかった。挙句の果てには、この世界を滅ぼす原因を作ってしまったのか?」

 

 誰も答えられなかった。深海棲艦が現れたのは、その後だ。第二次世界大戦を確実に防ぐためとは言え、深海棲艦を使って世界を攻撃するのは許されるものではない。『艦だった頃の世界』だってそうだ。何が正しいのかは分からない。戦争は間違っているかは……待って……間違い?

 

『帝国海軍の亡霊である兵器の存在には元々、興味はない。人間のような存在になったからと言って、私の計画の邪魔でしかない!』

 

浦田社長の蔑む姿は尋常ではなかった。まるで、存在自体を嫌っているかのように……

 

「浦田社長は僕達を嫌っていた。僕達が『艦だった頃の世界』のあの戦争は間違いだって。偏見かな?」

 

「ただの私怨かもな。これから自分の行いを棚にあげてこちらを攻撃するとは……勝てば官軍、負ければ賊軍って奴か」

 

 提督も呆れ果てた。全てを手に入れる地位を獲得したのに訳の分からない事を引き起こすとは

 

(真実を話さず勝てない敵に艦娘を出撃させた未来の俺と変わらないかも知れない。しかし、違うのは浦田社長はこれを悪と認識していないこと。正義だと思っている)

 

 提督は考えた。浦田社長の思惑を。確かに第二次世界大戦を回避するには、参戦国全てを潰せば回避出来るだろう。しかし、血は流れる。やってることは変わらない

 

「浦田社長の前に現れたワームホールを何とかしないといけない」

 

提督の提案に時雨は頷いた。これを何とかしないと、こちらは勝てない。しかも、早い方がいい

 

時雨がこの時代に来てから変わっている。手遅れになる前に何とかしなければ




今話は浦田重工業の秘密が暴露場面です
簡潔明瞭に応えると若い頃の浦田本人にワームホール開いて先は高度に発達した別世界(現実世界)だったと言う事です。それを悪用し日本を発展させたのが浦田重工業という
まあ、あれです。転生やら神様から授かったチートやらで異世界によく驚異的な技術の持ち込んでヒャッハーするオリ主さんとかいるじゃないですか。浦田社長は正にそんな人間です
しかも、ワームホールを独占しています。「ゲート」のように穏やか(?)なやり方をしていないようです

 浦田の秘密を暴かれたきっかけは捕まっていたとはいえ、時雨の手柄でもあります。もっと言えば、潜入していた西村軍曹達を時雨が助けなければ見破る事は出来なかったでしょう

次回も暴露の話です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。