時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

88 / 120
初秋イベの攻略は終了したので、後は掘りですね
……大変だ


第88話 戦艦怪物の過去Ⅱ ~乗っ取り~

 浦田結衣は自殺を偽装した。社会に出た兄を捨てた。どういうトリックをしたか知らないが、農家から会社経営に栄転したらしい。元々、兄は自己中心的だ。母親を気遣っていたかも知れないが、私は母親が嫌いだった。働いていて家を開けていたからではない。私を憎んでいた。私の姿を見て。老いていく自分の姿と私である姿の差に不満を感じたのだろう。確かに私は綺麗ではない。しかし、だからと言ってこちらに八つ当たりは勘弁してもらいたい。母親は言った。兄を見習えと

 

だが、死に際直前に母親はこう言った

 

「私と似た者同士ね。どんな手段を使っても勝ち取りなさい」

 

 そして、母親は犯罪者によって殺された。いや、自ら殺されに向かったのだ。私は身分を偽装してトラック島へ向かった

 

 トラック島は、軍事基地の建設のために発展途上だった。海軍は欧米に追い付こうと軍艦をせっせと造っているが、それでも数は足りない。私はコッソリと生きていく事を決めた。あの犯罪者は牢屋の中だ。私の自殺偽装は証拠がないため、例えしゃべったとしても証拠がない

 

 と言っても、自分がこれからする事に目標は無かった。何か力があればいいのだが。せいぜい、働いている同僚のトップの座に君臨するくらいだ。殴ろうとした相手に対して徹底的に痛めつけた。あまりの行為に周りは怖気づき、止めに掛かった店長ですら気が引けた。だが、それだけだ。水商売の良い身分になったに過ぎない。こればかりは無理があるためどうすることも出来ない

 

 一方、兄は出世して大企業の社長になった。新聞で何度も見たし、浦田重工業が造り出したテレビは驚くばかりだ

 

 手紙でこちらを勧誘する話はあったが、私は断った。身分が違いすぎる。 私は存在しない人間。自分の事で兄の人生を滅茶苦茶にしてはいけない。そう考えてひっそりと暮らした

 

人生を諦め、命が尽きるまでコッソリと生きる。それだけだ

 

 

 

あの日が来るまでは

 

 

 

 あの日、海軍が避難命令を出した。何でも海底地震によって津波が来ると。しかし、私はそれが嘘だと分かった。なぜなら、説明が簡潔明瞭だからだ。私は不平不満を言いながら防空壕へ向かう避難民から抜け出して山に隠れた。途中で兵士達の集団を見つけて聞き耳を立てていた。何でも隕石が落ちてくるとか

 

 隕石……そうか、それであんなに慌てていたんだ。夜空にはっきりと輝く彗星は、私でも見たことがない。彗星接近には、尾に含まれる猛毒成分により、地球上の生物は全て窒息死するという噂が流れたが、どうでも良いことだ。それで、死んだらそれまでだ。人間も所詮は生き物に過ぎず、天体の災害には勝てないと

 

 だが、いくら日が過ぎても何も変化はなかった。毒ガスで人がバタバタ倒れる事もなく、地震も津波も襲ってこない。避難命令も解除された。

 

 人々は何があったのか、口々に政府や軍に不平不満言ったが、それも数日だけで町の活気は元に戻った

 

 しかし、軍港や飛行場は違った。ひっきりなしに輸送機が到着して、兵士達も慌ただしかった。士官の人間が沢山、こちらにやって来ている。中には、大学教授らしき人もいる。何があったのだろうか?

 

 だが、時を経つにつれて軍の活発な動きに誰も気にしなくなった。遊びに来た軍人も「軍事機密だ」としか言わなかった

 

 他国と戦争するかと思いきや、そうではない。最近は海外の軍艦も停泊している。その海外の海軍士官も水兵もどういう訳か、殺気立っていた。何があったのだろうか?

 

 

 

 奇妙な動きが起こってから数年後……悲劇が起こった。トラック島に正体不明の軍隊が攻めてきた。それは人でない。異形の姿をした集団だった。どういう原理で水の上を進んでいるのか、軍の攻撃をもののせず一方的に蹂躙しているのか、分からない。遂に上陸まで許してしまった。異形の集団は(後に軽巡ロ級や雷巡チ級と呼ばれる)上陸すると、地上部隊と交戦していた。しかし、地上部隊や陸戦隊は異形の集団にかすり傷を負わせる事も出来なかった。お偉いさんは既に逃げていた。島民を見捨てたのだ。兵士達を全員殺した深海棲艦は、民間人を捕らえた。燃える街や軍港を見て茫然とする人々は、抵抗する気も失せていた。いや、中には勇気を持って隠し持っていた武器で殺そうとしたが、全員死んだ。怪物は死なず、死体が増えていくだけ

 

「ココヲ私達ノ前線基地ニスル。人間達ハ、ココヲ奪還シニ来ルダロウ」

 

「デモ、勝テルノ?私達ダケデハ………」

 

「威力偵察ト仲間ノ救出。ソシテ、北方棲姫ニ実戦経験ヲ積マセルタメダ。妹思イモ大概ニシロ。人間達ハ、私達ノ世界ヲ攻撃シヨウトシタ」

 

 私は物陰から観察していた。深海棲艦のボスだろう。他の深海棲艦とは違う姿をしている。そして、何と言っても威圧感が半端ない。学校に人々を収容し捕まえたにも係わらず、堂々と話している。あの怪物を飼っているのか、武器と生き物を融合したものを引き連れている。人々は恐怖した。どうすることも出来ない。立ち向かう者がいたが、全部無駄に終わった。彼女の肌はナイフを突き刺さらず、弾丸も刺さらない。逆に立ち向かった者は簡単に殺された

 

「人間ッテ愚カネ。勝テナイノニ戦ウナンテ」

 

 圧倒的な強さの差に人々は、震え上がった。救助も期待できない。勝てるならここが占拠される訳がないのだから

 

 次の日には、多国籍軍がここの島を攻めてきた。水平線から多くの軍艦が現れ、灰色に染まった。世界各国から集まった各国の軍艦がトラック島に終結した。多国籍軍だが、海軍を持っているのは少数だ。よって、大半は日本海軍である

 

 島民は喜んだ。これで自分達は助かる。例え助からなくても、自分達を軟禁状態にした深海棲艦を倒してくれると

 

 島民が歓喜に包まれる中、深海棲艦は特に民間人を弾圧しなかった。いや、する必要性はないと言った方がいいだろう。角が一本しかなく、大きな鉤爪を持つ深海棲艦のボスが部下達に命じて迎撃に入った

 

 

 

結果から言うと、喜んだ島民は全て絶望と恐怖に飲み込まれた

 

 各国が派遣した艦隊は、ことごとく沈められた。深海棲艦はこちらを攻めてきたと同様に全く攻撃が通用しなかった。ボスは戦闘機や攻撃機を多数召喚して爆撃したり、砲撃で戦艦を撃沈したりしていた。これは戦争ではない。一方的な虐殺だ。多く沈められ、数隻だけが逃げてしまった

 

「何だよ、こいつら」

 

「連合艦隊が……アメリカの太平洋艦隊が……壊滅した……もうおしまいだ」

 

 島民は絶望する中、私は顔には出さないものの内心では嬉々していた。こんな奴等がいるとは!変な武器を身に付くだけで、戦艦を難なく倒した。しかも、攻撃受けてもビクともしない!虐められていたから求めていた答えだ!自分は弱い。だが、奴等の力は強大だ。どんな軍隊を退ける程の力を持っている!

 

 

 

数日後、とある海岸では、またしても2人のボスが話し合っていた

 

「戦艦棲姫、ソッチハドウ?」

 

「アア、沢山沈メテ来タ。『ハワイ島』ト呼バレル島ハ手強カッタガ、全部沈メタ。艤装ニ付イテイル、コノ星ノ数ハ沈メタ軍艦ノ数ダ」

 

「……悪趣味」

 

 戦艦棲姫は怪物艤装の手足に沢山の星形の印を付けて、見せびらかしていた。つまり、それだけの数を沈めたのだ。港湾棲姫は、あきれているが

 

「北方棲姫ハドウダ?」

 

「ヨク戦ッテイル。戦艦レ級ガ面倒ヲ見テイル」

 

 港湾棲姫は言葉を濁したが、戦艦棲姫は問い詰めなかった。何故なら、雷巡チ級が1人の女性を連れてきたのだ

 

「何ダ、人間?」

 

 戦艦棲姫は凄まじい殺気と威圧感を放ちながらドスの効いた声で聞いた。大抵の人間は、これで震え上がるものだ。しかし、その女性は怯みもしなかった。それどころか、訴えて来たのだ

 

「お願いです……捕虜の人達を本土に帰して下さい」

 

「何?」

 

 戦艦棲姫は唖然とした。ここのところ、深海棲艦は捕虜をほったらかしだ。しかし、食料補給はないので飢えてしまうのは時間の問題だ。深海棲艦は人との交流は避けていたため、捕虜は野放し状態だ。あちこちで略奪や暴行が多発している

 

「勿論、タダとは言いません。私だけがこの島に残ります!」

 

 1人の女性は訴えたが、戦艦棲姫の艤装の怪物は、咆哮を上げて威嚇した。戦艦棲姫も鬱陶しく冷たくあしらった

 

「帰レ。人間デアルオ前ラニ興味ナイ!」

 

「コイツらを探して居るんでしょ?」

 

その女性は、本を掲げて戦艦棲姫に見せびらかした。それは……

 

「っ!コレハ!」

 

 戦艦棲姫だけでなく、近くにいた港湾棲姫も驚愕した。それは、自分達に関する事であった。『超人計画』という資料と自分達に関する書類。なぜ、人間は深海棲艦である自分達の事を知っているのか?

 

「誰ガコレヲ書イタ!?」

 

「分からない。でも、見つけ出して上げる。誰のものか」

 

 この資料はほんの一部しか見せていない。というのも水墨画である深海棲艦の一覧が書かれてあった本を崩壊した軍港から見つけたのだ。人々は食料を探すために崩れた基地を荒らしたが、資料は手を付けていない

 

 何か役立つ物がないか調べたが、海軍士官の部屋に二冊の本があった。恐らく、トラック島が攻撃された時に慌てていたため、落したのだろう。この本の持ち主を探さなくては……

 

 

 

「つまり昔、お仲間がこの世界に来たの?」

 

「ソウヨ。私達ノ住ム世界ハ違ウ。ワームホール出現時ニコノ世界ヲ知ッタ。第二ノ故郷トシテ住ム」

 

 戦艦棲姫の説明によると、深海棲艦と呼ばれる異形の集団が住む世界は、特殊らしい。新たな住処を求めてここに来たらしい。しかも、以前にもワームホール出現したらしい。ただ、以前のは不安定で仲間が先に行ったっきりであるという

 

「だったら、見つけてあげる。島民は疲れ切っているの!」

 

「イイダロウ。気ニ入ッタ!」

 

戦艦棲姫はニヤリと笑った。どうやら、使える人間がいたのに喜んでいた

 

 

 

「ドウシタ、港湾?浮カナイ顔ヲシテ?」

 

 浦田結衣が島民に本土へ帰れると伝えるために街に戻った後、港湾棲姫と戦艦棲姫は場所を移動していない

 

「アノ子……何カ不気味ニ思ウ」

 

「ソウダナ。巧妙ニ隠シテイルガ、中々ノ憎悪ト妬ミダ。差別サレタノダロウ。人間ハ団結出来ナイ愚カナ生キ物ダ」

 

 元々、深海棲艦は撃沈された艦や沈んでいった船の魂が別世界に流れ込み、生命体となる存在である。人間の負である絶望や憎しみや悲しみなどを敏感に感じ取っている。だから、人の短所である事は手に取るように分かるのだ

 

「エエ……ダケド……」

 

「心配シ過ギダ」

 

 戦艦棲姫は呆れていた。港湾棲姫はおっとりとした性格だが、人類が造り出した艦隊をたった1人で壊滅させる程の力を持っている。それをただの1人の人間で心配する必要はない

 

「勿論、裏切リハ想定シテイル。デモ、逃ゲラレナイヨウニシテアゲル」

 

戦艦棲姫は嬉々していたが、この幻影を見ていた時雨は叫んだ

 

「ダメだ!その女性を深海棲艦にしては!」

 

 過去の映像だろう。変えられない過去の出来事だと分かっても、時雨は叫ばずにはいられなかった

 

「本当に!奴は悪魔なんだ!深海棲艦にしたら、世界を破壊する!」

 

 

 

 その翌日、深海棲艦は沈んだ輸送船を引き上げて動かせるようにした。どういう原理か知らないが、まるで魔法のようだ。島民も目を丸くしたが、戦艦棲姫の言葉で一目散に輸送船に乗り込んだ

 

「サア、サッサト乗ッテ。乗ラナイノナラ殺スワヨ」

 

 目を光らす深海棲艦に島民は歓声を上げなかったが、それでも逃げるように乗り込んだ。島民の中に船を操縦出来る者がいるらしく、出港した

 

「約束は守ったんだね」

 

 浦田結衣は安堵するように言った。自分は正しい事をしたと感じているのだろう。……実際は違うのだが

 

「エエ。デモネ、私達ハ人間ヲヨク知ッテイル」

 

 戦艦棲姫は浦田結衣に対面すると冷笑した。次の瞬間、浦田結衣は首を掴まれた。戦艦棲姫の爪が浦田結衣の首に食い込んでいた。血が流れるかと思いきや、流血はしない

 

「な……何を……」

 

苦しみながら息絶え絶えになる浦田結衣は、戦艦棲姫に聞いた

 

「ダカラ、裏切ッテ逃ゲナイヨウニシテアゲル。オ前ハ私ノ血ヲ送リ込ンダ」

 

 不意に戦艦棲姫は首を掴んだ手を放した。浦田結衣は地面に倒れ込んだ後も苦しんでいる

 

「人ハチョットノ事ダケデ蔑ム。ダカラ、オ前ノ身体ヲ人間デハ無イヨウニシテヤル。拒絶反応デ死ンダラソレデ終ワリダケドネ」

 

 戦艦棲姫は苦しみ悶える浦田結衣を置いて後を去った。戦艦棲姫は、良い手駒が手に入ったと思っている。人が深海棲艦になったら、簡単に裏切る事は出来ない。人間社会では、受け入れないし、実験材料となるだけだ

 

 しかし、戦艦棲姫は1つだけミスを犯した。……それは普通の人間だったらの話。では、何かしらの野望を持って近づいたのなら?

 

「フフフ……アハハハハハ!」

 

 深海棲艦が近くに居ない事を感じ取った浦田結衣は、狂ったように笑った。苦しみはとっくに無くなっていた

 

 これだ!この力だ!どんな攻撃を受けても死なない身体になった!そして、人間の数倍の力を手に入れた!近くに立っている大木をパンチ1つだけでへし折る事が出来た!

 

 しかし、まだ自分の能力を把握していない。鏡で外見を見ると、右手は鍵爪になっており、頭部には角が生えている

 

「だが、まだまだこんな物では無イハズダ。イズレハ深海棲艦ヲ手中ニ収メテヤル。ダガ、協力者ガイル」

 

 浦田結衣の声は、深海棲艦独特の声に変化した。どうやら、人間と深海棲艦のハイブリッドが誕生したようだ。しかし、悲しむ必要性は何処にも無い。嬉々していた。自分に秘められている強力なパワーを制御するには、何かしら支援が必要だ。だが、浦田結衣は既に目を付けていた

 

 日本の大企業の社長になり、財界や政界に顔を利かせている身内がいる。化け物扱いされたら他所を当たるが、もし手を貸してくれるのなら……

 

 

 

 深海棲艦のボスである戦艦棲姫は人間社会に潜り込めるために行く制していた。数日間は戦艦棲姫に戦い方を教え込まれ、そしてスパイとして働くよう叩き込まれた

 

 それは、洗脳教育である。別にこれは、人間同士の戦争においてよくある洗脳のやり方だ。だが、戦艦棲姫は人間の醜い部分を浦田結衣に見せた。それが手っ取り早い方法だったのだろう。人質として監禁されたトラック島の街でも死体は数体確認出来た

 

「見テ。コノ女性ノ死体。ストレスノハケ口トシテ性的暴行ヲ受ケテ死ンダワ」

 

戦艦棲姫は女性の死体をゴミを見るような眼で冷たい。浦田結衣はというと……

 

「そうね。これは酷い」

 

 死んだ女性に同情するかのように悲しんでいる。可哀想なので埋葬してもいいのか、と聞いたらあっさりと認めてくれた

 

 数日後、このトラック島にある船団がやって来た。その船団は白旗を掲げるとともに船員全員が両手を上げた

 

『We are not enemies. We want a discussion(我々は敵ではありません。我々は話し合いを望んでいます)』

 

 拡声器から英語が流れ込んでくる。浦田結衣は学生時代にはいじめもあった事もあり英語の授業は禄に受けていない。しかし、今の自分は英語が分かる。まるで、脳内変換されているかのように……

 

「私達ノクラスニナルト人間ノ言語ハ、息ヲスルヨウニ分カル」

 

「凄い」

 

浦田結衣は、驚いた。深海棲艦には、こんな能力があるなんて

 

 船団はイギリス海軍だった。特使として派遣したらしい。整った顔と制服を着こんだ特使と陸海軍の士官が立っており、話し合いを持ちかけたのだ

 

「我々は対話をしに来ました」

 

 一緒に乗り込んでいるであろうと従軍記者もしきりにカメラを撮っている。撮影用のフィルムも回っている

 

「貴方達は、人間並に高い知能がある事は分かっています。興味深い事です。しかし、我々は平和のためにここへ来ました」

 

海軍士官は深海棲艦のボスである戦艦棲姫に手を差し伸べた

 

「『手を差し伸べる』という行動は、万国共通です。文化や民族が違えど、講和を望んでいる事が伝わるでしょう」

 

 英国海軍の士官の手の差し伸べに、戦艦棲姫はしばらくの間、手を見つめていたが、やがて戦艦棲姫はその手を取った

 

「やった!」

 

「話が通じた!」

 

 乗組員も従軍記者も歓声を上げた。嬉しいのだろう。未知の生物と交渉するのは。だが、浦田結衣は見逃さなかった。戦艦棲姫がニヤリと笑っている事に

 

「っ!」

 

 海軍士官も感じ取ったのか、手を引っ込めようとしたが、力の差があり過ぎて中々手を離せない。そして、戦艦棲姫は素手で士官を殴った。力は人間の数倍はある。そのため、士官は吹っ飛び絶命した

 

「ち、中将!」

 

「う、撃て!撃ち殺せ!」

 

「やっぱり対話無理じゃないか!!」

 

「米国から聞いていた情報と違う!」

 

「誰だよ、こんな奴と交渉しようと持ち掛けた奴は!ひたすら待ち続けた時間はなんだったんだ!?」

 

 船員は大混乱した。どうやら、トラック島とハワイ島ヲ含む海域は、随分前から世界の国々が注目していたらしい。しかし、戦艦棲姫は容赦しない。隠していた怪物艤装を呼び寄せると船団全員皆殺しにした。また、待機していた港湾棲姫の指示で深海棲艦達は、イギリス船団を一気に襲った。ほとんどの者は殺したのだ

 

「なぜ、殺したの?」

 

「嘘臭イカラヨ。欲望ノ塊ガ見エ見エ」

 

 どうやら、イギリスは深海棲艦を何らかの方法で自分達の物にしようという考えらしい。爆発炎上する船団の中から北方棲姫と戦艦レ級が、鞄を抱えて持って来た。詰め込んで持って来たらしい。それは……

 

「医療機器に銃器。それに捕獲方法の訓練が書かれた本と資料」

 

「コレガ奴等ノヤリ方ダ。人ハ欲望塗レタモノヨ。ヨク平和ヲ口ニスルワネ」

 

 戦艦棲姫は既に見切っていた。奴等が何をするかを。こちらをどうやって利用するかを考えていたようだ

 

 

「イギリスがこんな事をするなんて」

 

「アラ?貴方ハ人間ナノニ過剰評価スルノネ」

 

戦艦棲姫は嘲笑った

 

「人間ハ私達相手スルヨリモ、人間同士争ウノヲ優先スル存在。人類ハ愚カナノ」

 

 戦艦棲姫は浦田結衣に人類が愚かな存在を教えている。こいつらは救いようがないものだと。自分勝手なものだと

 

 戦艦棲姫の言っている事はある意味正しいかも知れない。有史において、人類が博愛主義であり、紳士的で平和を愛する存在はいない

 

「貴方は何と比べて、人間は醜いと感じているの?」

 

「全テヨ」

 

戦艦棲姫が言うには、深海棲艦から見れば人類はこう見えるらしい

 

 野蛮な毛無し猿、異物には過剰に反応・排除、それでいて、強者の影に隠れながら弱者に見せ掛けの優しさで近づき、陥れ、その傷口に死なない程度に塩を塗り込み、助けるフリをしながら搾取し、自己保身も済ませ勢力を蓄えてきたあたりで、吸い尽くされた弱者の屍を踏み台にし、今度は邪魔な強者の抹殺に掛かる

 

 そういう観点らしい。だから、戦艦棲姫は警戒しているのだ。自分達は人類に関わるのは得策ではないと

 

「平和?講和条約?私達ワ、違ウ種族ヨ?肌ノ色ヤ民族ダケデ、イガミ合ウ人間ガ、私達デアル深海棲艦ト仲良ク成レル訳ナイジャナイ」

 

そう言う風に言われたら普通の人間なら怒るだろう。そう……普通の人間なら

 

 余談であるが、ワームホールが開いて数年の間、様々の国が訪れ調べ始めたという。あまりにしつこかったため、深海棲艦はこの世界に来て排除したらしい。しかし、戦艦棲姫は深海棲艦の方が被害者だとばかり言う

 

 この幻影を見た時雨はどうする事も出来なかった。人間がそういう生き物だから仕方ないと割り切れる事は出来る。『艦だった頃の世界』でも知っているからだ。だが、相手は普通の人間ではない。まして、誰も助けも来ないいじめられた人間だ。浦田結衣はクラスメイト、そして深海棲艦に歪められた。そして、心の中で怪物となる

 

 こうしている内に使節団はやって来る。アメリカ、フランス、ソ連。中には中国や日本もやって来たが、戦艦棲姫がやった対応は同じ。全員皆殺し。これを見た時雨は、深海棲艦がやっている事は仕方ないのではないかと思った。確かに深海棲艦がやっている事は残虐行為だろう。しかし、各国の使節団は、明らかに深海棲艦を何かしら利用しようとするために近づいて来る。戦艦棲姫や港湾棲姫にとっては、自分達の仲間を守っているに過ぎない。人間の負の部分を知っているからこその反応である

 

 

 

 数日後、戦艦棲姫は浦田結衣に日本潜入の任務を与える。変形能力を身に着けたお蔭で外見は人間そのものに変身できる。戦艦棲姫も港湾棲姫も喜んだ。北方棲姫は可愛くすればと助言したほどだ

 

「行って来る」

 

「重巡棲姫ト駆逐古姫ノ行方ガ知リタイ」

 

 戦艦棲姫はそう言った。この世界の移住が目的だが、仲間の事を気にしていた。例え遥か昔に死んだとしても。だが、何かしら暮らしていたのなら分かるはずだ。『超人計画』と書かれた本を見れば

 

「コレノ持チ主モ知リタイ」

 

「分かった。期待して」

 

 浦田結衣は海に進んだ。彼女は深海棲艦と同様に海の上を立つ事が出来る。戦艦棲姫は、重巡リ級eliteと軽巡ツ級elite、そして戦艦ル級改flagshipを浦田結衣に同行するよう命じた。護衛と監視目的である

 

「奴ガ裏切ッタラ躊躇ナク殺セ」

 

「分カリマシタ」

 

 この戦艦ル級改flagshipは他の深海棲艦と違って話せるのだろう。自我はあるようだ。だが、この場面を見た時雨は嫌な予感がしてならなった。この戦艦ル級改flagshipは、普通だ。語弊はあるかも知れないが、未来の世界で残虐性を露わにしたようなものではない

 

 

 

 場面は暗くなり、次の画面を見せられた時雨は絶句した。硫黄島だろう。『艦だった頃の世界』で島の特徴はある程度、知っている。だが、その島ではとんでもない事に成っていた!

 

「……お、お前……深海棲艦と取引して俺達を見逃した女」

 

「そうよ」

 

 島は血の海と死体の山だった。状況から察するにトラック島の島民達が乗った船は硫黄島に漂流したらしい。そこへ浦田結衣は訪れた。浦田結衣は、漂流者を全員殺した

 

「なぜ……なぜ俺達を殺す!お前は……俺達を!」

 

「簡単な話。目撃者は殺す」

 

「なっ!」

 

水夫は絶句した。トラック島での取引は何だったんだ!

 

「本土にたどり着けないよう重油の量を調節しておいた。深海棲艦の奴等は気付かなかったようだが。私は海運会社にも勤めていた。無駄な知識が役ニ立ッタヨウダ。細工シテ正解ダ」

 

「ひっ!」

 

 水夫は絶命した。彼女が手に持っていた重機関銃によって。対空機銃だが、威力は高い。浦田結衣の大虐殺を見ていた戦艦ル級改flagshipら三人は、絶句していた。確かに自分達も人を殺しているかも知れない。しかし、ここまで残虐はしていない。まして、無抵抗な人間なら。自分達はあくまで正当防衛のためだ

 

「何ヲシテイル?」

 

「醜い人間を殺しただけだ。お前達と同じように」

 

「貴様ト同ジニスルナ!」

 

 戦艦ル級改flagshipは激昂した。人間はどうでもいいが、異常ともいえる虐殺に戦艦ル級改flagshipは嫌悪感を覚えた。幾ら何でも酷い

 

「敵を倒すためには手段を選ばない。それが貴様らの考えではないのか?」

 

「確カニソウダ。ダガ、不必要ナ殺戮ハシナイ!」

 

 戦艦ル級改flagshipは重巡リ級eliteと軽巡ツ級eliteに命じた。奴を殺す命令を出した。だが、浦田結衣の方が一枚上手だった。深海棲艦の力で招喚した機関銃で手足を狙った

 

「グッ!」

 

 通常兵器ではないため、深海棲艦も悲鳴を上げる。致命傷ではないが、急所に当たる。怯んだ隙にそれぞれ拳を入れた

 

「チッ!コイツ、何カ企ンデイルナ!」

 

 戦艦ル級改flagshipはこの女は危険と判断した。羊を被った狼とはまさにこの事だ。あれは演技だ。戦艦棲姫を騙せる人間が存在するとは!

 

 しかし、相手を捕らえられない。戦艦ル級改flagshipの砲弾は、地面を耕すだけだ。浦田結衣は、砲撃を躱しながら戦艦ル級改flagshipに急接近する

 

「私は人間を超越する。そのためには、力のある貴様の精気を吸い取ってやる!」

 

 浦田結衣は、戦艦ル級改flagshipの首を掴むと爪を首に食い込んだ。戦艦ル級改flagshipは抵抗したが、既に吸われているのか地面に倒れ込む

 

「そうだ!貴様の力を寄越せ!強いのだろ!トラック島から見ていたぞ。私はチャンスを得た。深海棲艦の研究をしていた者がいた!『超人計画』を手に入れた!」

 

 浦田結衣は、ある海軍士官の人間が持っていた資料を読んでいた。それが『超人計画』。戦艦棲姫にすら教えていない。焼けたと思わせて偽装したのだ。論文は既に読み終えていた。あの本には、こう書いてあった。深海棲艦の力を人に取り込むにはある条件が必要だと

 

それは3つである

 

・女性である事

 

・憎悪、嫉妬、殺意、憤怒、狂気、絶望などのいずれかの負の感情が増大である事

 

・深海棲艦の力は普通の人間では、制御できない。人の感情や衝動が適正でなければ暴走してしまい、最悪の場合、死んでしまう。人間性がある限り、人が深海棲艦になるどころか、制御できない。制御出来れば、超人的な腕力や敏捷性を得る。ただし、理論だけで成功した者はいない

 

 これだけ読むと深海棲艦の力を人には扱えないものだと分かる。第一、深海棲艦は強力な力を持っている。通常兵器が一切効かない相手に対してどうやって捕らえろと?仮に捕らえた所でどうする事も出来ない。また人の感情や心は、そう簡単に操れたりしない。実行したとしても、『超人計画』は未知の領域だ。膨大な金と時間がかかるのは明白だ

 

 だが、浦田結衣はそれをやってのけた。それが出来る要因があったからだ。戦艦棲姫だ。人を見下すあまり、逃げられないように血を与えたが、それと同時に彼女に力を与えてしまった。そして、偶然にも『超人計画』の条件が揃う結果となった

 

「貴様、ヨクモ!離セ!」

 

「嫌だね!私は人間や深海棲艦を超越スル!例エ、戦艦棲姫ダロウト倒ス!貴様ノ軍団ヲ手ニ入レル!」

 

 浦田結衣は、戦艦ル級改flagshipの力を吸っている。相手は見る見る内にミイラになっていく

 

「グッあああアアァァ!」

 

 浦田結衣は、ミイラになった戦艦ル級改flagshipを離すと同時に苦しみ出し、地面に倒れ込んだ。とても苦しいらしく、結衣は悶絶した

 

 このビジョンを見て、時雨は失敗したと願った。無駄な願いかも知れない。勿論、浦田結衣は死ななかった

 

地面に倒れ込んだ結衣は目を開けた。口からは笑い声が漏れていた

 

地面から立ち上がる頃には、戦艦ル級改flagshipに成り代わっていた。力を手に入れたのだ

 

「フフフ……アハハハハハ!」

 

 浦田結衣は、戦艦ル級改flagshipとなった。皮肉にも『超人計画』はある一族ではなく、復讐と野望に満ちた女性が手に入れた

 

「ホウ……重巡リ級eliteと軽巡ツ級eliteガ私ニ従ウノカ。気ニ入ッタ」

 

 浦田結衣を殺そうと敵意をむき出しにしていた重巡リ級eliteと軽巡ツ級eliteは、突然大人しくなり、従うという仕草をした

 

 どうやら、下級の深海棲艦はある条件で従うらしい。それは戦艦棲姫が血をわずかに注入したからだろう。微量とは言え、結衣は姫級の能力まで手に入れてしまったのだ

 

「サア、兄サンノ所ヘ行コウ。最先端ノ科学技術ヲ持ッテイル。深海棲艦ニハ出来ない事が出来る」

 

 戦艦ル級改flagshipは浦田結衣に変身した。短時間で自分の能力を大まかであるが、理解したのだ

 

 

 

再び場面が変わった。浦田重工業の本社ビルの中だ

 

 大勢の警備員が武器を構えて戦艦ル級改flagshipに向けている。入り口に入るまで強引に入ったらしい

 

「深海棲艦め、このビルから立ち去れ!」

 

「言ッタハズダ!社長ヲ呼ンデ来イ!」

 

 双方とも一歩譲らない。時折、はずみで警備員が銃を暴発させたが、戦艦ル級改flagshipにとっては、かすり傷にもならなかった。かと言って、その者を殺そうとしない。双方ともにらみ合いが発生している中……浦田社長が現れた

 

「来てやったぞ!何者だ!?」

 

浦田社長は脅すように言った

 

「お前を殺す事が出来るぞ、侵入者。まだ試作段階だが、対深海棲艦の兵器は開発済みだ!」

 

「ソレハ駆逐イ級ヲ倒ス程度ノ威力デシカナイ。人間ノ科学技術ダケデハ、深海棲艦ヲ倒ス事ハ出来ナイ」

 

 戦艦ル級改flagshipは姿を変えた。本来である浦田結衣に。他の警備員もだが、浦田社長が一番驚愕した。死んだと思った妹。自分ではどうする事も出来ず、死を受け入れた浦田社長

 

「いいだろう。客だ。案内させろ」

 

「社長、気は確かか!?罠かも知れないぜ!」

 

 警備員の長だろう。本人は警備隊長と名乗っていたが。浦田社長に警告を出した。人類の敵を招き入れるなんて正気の沙汰ではない

 

「大丈夫よ。戦艦棲姫みたいに殺しはしない」

 

 

 

 連れて行かれたのは会議室だが、そこにいたのは浦田社長と警備隊長。そして、浦田結衣である。警備隊長は浦田結衣の正体を知って驚愕した

 

「自殺は偽装で深海棲艦の能力を手に入れた。しかも、強い力を……ハハ、とんでもない妹だな」

 

 浦田社長は何も言わない。複雑な気持ちだろう。学生時代に自分の妹がいじめにあったのに何も出来なかったのだから

 

「気にはしていない。だけど、私も驚いた。ワームホールを通じて高度な科学技術をとり込み日本を発展させるなんて」

 

「だが、暮らしが豊かになっても国の進む道は変わらない。政治家や軍人たちは調子に乗っている。平行世界の日本の歴史とは違うが、同じ道を歩もうとしている」

 

浦田社長は苦い顔をした

 

「このまま暴走が続けば、私達のような人は現れる。政府のエゴによって戦争で親が死ぬような社会は御免だ」

 

「でも、何も日本だけではないでしょ?戦艦棲姫は言っていた。『私達ハ言葉モ心モアル。人間ニ近イ。ジャア人間同士ハ戦争ヲシナイ?言葉ト心ガアルカラスグニ和解出来ルノ?人間達ハ団結スラシナイ生キ物ダ』とね」

 

浦田結衣は、人間はダメな生き物だと言われ続けていた戦艦棲姫の言葉を引き出した

 

 

「間違ってはいない。平行世界で人類の歴史を学んだ。第二次世界大戦では各国とも何をしていたか、気になるかね?」

 

 浦田社長は、映像を見せた。浦田社長が何を見せようとしているのか、この場を見ていた時雨は理解出来た。自分が捕まった時に見せた『艦だった頃の世界』で起こった太平洋戦争を映像だ。もし、深海棲艦が現れていなければ起こっていただろうという映像だ。ただ、浦田社長は時雨が見せた時よりも長いものだった

 

 第二次世界大戦が起こったものについてだ。世界大恐慌が起こった事で世界の歯車が狂い始める

 

 満州事変、日中戦争、ナチスドイツの誕生、日独伊防共協定、第二次世界大戦が勃発、日独伊三国同盟締結、日本軍が真珠湾攻撃を行い、太平洋戦争が始まる

 

映像は続く

 

 ポツダム宣言で日本は無条件降伏。日本は焼け野原となった。そして日本は高度経済成長期を迎え、平和で豊かになった

 

 しかし、それは日本だけの話だ。海外では核兵器が開発され、核戦争に突入すれば人類は滅びるだろうと言われている。冷戦が終結しても貧困、紛争、格差社会などは全く解決されなかった。社会主義国家であるソ連ですら解決出来ず、それどころか崩壊してしまった

 

「これが真実だ。深海棲艦がこの世から消えたとしても、映像で映し出された歴史は必ず起こる。日本はアメリカかソ連と戦争状態になるだろう」

 

「そうね。戦艦棲姫は知っていた。別次元の世界から見ていた」

 

 戦艦棲姫から色々と教わった。欧米が東南アジアでの植民地支配を。東南アジアのある国に上陸した浦田結衣は戦艦棲姫に連れられて見せた

 

「コレガ人間ノヤル事ダ。人種ガ違ウダケデ奴隷ノヨウニ扱ウ」

 

 現地民は欧米人に対して頭を下げるばかりだ。安い労働力で働かせ自分達は利益を得ている。しかも、兄から見せた映像だと太平洋戦争では日本軍は南方資源の獲得のために東南アジアを支配下に収めた。映像の一部では植民地解放と言っていたが、日本軍も欧米と同じ事をしている

 

 第二次世界大戦、太平洋戦争、冷戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻、湾岸戦争、同時多発テロ、イラク戦争……

 

近代史を見せられ浦田結衣は、口にした

 

「弱い者が淘汰され、強い者が幅を利かせる。そして、弱者は何も得られない。例え、素晴らしい思想を掲げても結局は、何処も同じ」

 

 浦田結衣は、ある野望を抱かせた。自分は既に人ではない。人と深海棲艦を超越した存在だ。全ての頂点に立っている。まだまだ能力向上出来る。初めは国をそして世界を支配する。戦艦棲姫は自分達の仲間を守る事しか考えていない。奴等の住処は海だ。陸の支配なぞ考えていない!

 

「父さんが戦死し、いじめられて分かった。この世を救う神なんていない。何処だろうと同じ」

 

「同意見だ。私も失望した。国を豊かにさせれば、明るい社会を築けると思ったんだがね」

 

 浦田社長はため息をついたが、浦田結衣は目に火がともった。自分は蔑まれて来た。追い込まれ死んだ方がマシかと思ったが、死んでも意味は無い。復讐なんて降りかかる火の粉を払いのけただけだ

 

「大本営は、中国大陸へ向けて軍を派遣しようとしている。満州事変を起こす計画まである。ドイツも政局不安定だ。歴史通りになる可能性が高い。深海棲艦なんてヨーロッパの人々から見ればどうでもいい案件だ」

 

「ならば私と手を組み、世界を手中に収める。人間性や平和解決を解いても無駄」

 

「目的は何だ?犠牲者が出るぞ」

 

「他人の事なんて興味ない。広島長崎の原爆投下や枯葉剤、劣化ウラン弾を見たでしょう。他国の人間なんてどうでもいいのよ。勝てば官軍負ければ賊軍ってもの。平行世界の国では、核兵器を持って発言力を得た。この世界において私達はそれ以上の力がある。どんな攻撃も受け付けない深海棲艦と最先端の兵器がある。これで世界の頂点に立つ」

 

 浦田結衣の提案にその場で見ていた時雨は、 戦慄を感じた。虐められた人間が、復讐に走ったが、力を欲し、そして世界の頂点に立つと言う

 

「気に入った。だが、お前の話だと深海棲艦は姫級である姫級3人が支配しているんだな?どうやって、深海棲艦を手中に収める?」

 

「暴力だ」

 

「……別の方法がある。偶然お前が見つけた『超人計画』の本。私は誰が持っていたのか知っている。史上初めて深海棲艦を手中に収める事が出来る。『あの一族』よりも」

 

浦田結衣は眉を吊り上げた。あの一族が、後に『艦娘計画』を立案する博士であると

 

 

 

 場面は変わり、再びトラック島である。トラック島の周りには、深海棲艦が警備をしている。空母ヲ級と軽空母ヌ級は艦載機を飛ばして上空を警戒し、駆逐軽巡は目を光らせていた。指揮をしていたのは、戦艦レ級。彼女は警備を請け負っていた。何もないだろうと思われた時、何かが近づいて来る

 

 戦艦レ級は首を傾げた。こちらに向かって来ているのは、浦田結衣という女性を監視していた戦艦ル級改flagshipだ。しかし、様子がおかしい。負傷しているのだ

 

「ウ……ウウ……」

 

「何ガアッタ!」

 

 戦艦レ級は駆け寄った。人間が深海棲艦を倒す手段は、持っていないはず。なのに、なぜボロボロなんだ?

 

「結衣ガ……結衣ガ……」

 

 戦艦レ級は気付くべきだった。警戒すべきだった。倒れ込む戦艦ル級改flagshipを抱えていなければ、捕まる事は無かった

 

「結衣ハ、人間ト貴様ヲ超越シタ!」

 

 戦艦ル級改flagshipはナイフで戦艦レ級の胸を突き刺した。深海棲艦の力で召喚した武器なので容易に貫通した

 

「キ、貴様ー!」

 

 戦艦レ級は素早く離れると攻撃するよう命令した。だが、周りの深海棲艦は頭を抱えている。中にはのたうち回っている者までいる

 

「バ、馬鹿ナ!」

 

 戦艦レ級は目の前の戦艦ル級改flagshipに恐怖した。いつも笑顔で海を駆け巡っていた戦艦レ級が、初めて顔をこわばらせた。こんな事はあり得るのだろうか?下級の深海棲艦に命令するなんて。まるで鬼・姫級のような

 

 戦艦レ級は主砲を戦艦ル級改flagshipに向けて砲撃した。相手が不明過ぎるのと身の危険を感じた。こちらの火力は強力だ。戦艦レ級は戦艦では出来ない艦載機の発着艦と雷撃が出来る。戦艦ル級改flagshipに数発砲弾をぶち込むと、艦載機で空爆。そしてトドメの雷撃を食らわせた。この攻撃を凌ぐ船はいない。深海棲艦でも鬼姫級くらいだ

 

 だが、ある光景を見て戦艦レ級は驚愕した。水しぶきと爆炎が収まると戦艦ル級改flagshipは平然と立っていたからだ。いや、艤装は破壊されていたが、何と修復している

 

「ナ、何ガ起コッテイル?何ナンダ?オ前ハ、人間ナノカ?」

 

 戦艦レ級は浦田結衣の存在を感じていた。どうやって戦艦ル級改flagshipになったかは知らない。力を奪ったのはいいとしよう。だが、どう見ても戦艦ル級改flagshipよりも強力だ!戦艦レ級の攻撃を受けてもものともしないなんて!

 

「戦艦レ級、私ハ素晴ラシイ力ヲ手ニ入レタゾ。『超人計画』ト戦艦棲姫ノ血デ私ハアラユル存在ヲ超エタ!」

 

 戦艦レ級に下級の深海棲艦が寄ってくる。まるで、ゾンビのようだ。コイツ、姫級のテレパシーを使って操っている!

 

 自分の部下を撃つ事に躊躇した戦艦レ級は、ここで命取りとなった。仲間から砲撃を立て続けに受けてしまい、大破してしまった

 

 

 

「ナ、何ダ!?」

 

 トラック島でのんびりしていた戦艦棲姫は驚愕した。仲間の様子が変だ。沖合いで爆発音と砲撃音が聞こえたと思ったら、近くにいた下級の深海棲む艦は、頭を抑えた苦しみだした

 

「ワ、分カリマセン……姫級デハナイ、テレパシーデ自我ヲ失イソウデス」

 

 側近に居た空母ヲ級改flagshipは、苦しみながらも伝えた報告に戦艦棲姫は愕然とした。テレパシーは姫・鬼級の特権の能力だ。これで下級の深海棲艦を操り従えている。複雑な交信は出来なくても、距離は関係なく情報共有もできる。地球の裏側でもだ

 

 何者かがその能力を悪用している。しかも、洗脳のようだ!混乱している戦艦棲姫に、1人の女性が近づいてきた。浦田結衣だ

 

「貴様……ドウイウ事ダ。何故私達ノ能力ヲ使エル!答エロ!」

 

「『超人計画』のお陰よ」

 

激昂する戦艦棲姫に対して浦田結衣はさらりと言った

 

「過去に来た二人の深海棲艦の姫級は、ある人間と接触。そこで非人道的な実験をした」

 

 浦田結衣は、提督の先祖である事を伝えた。戦艦棲姫でなく、この場面を見ていた時雨も息を飲んだ

 

 内容は捕まえた時に聞かされたのと同じ。平安時代に遭遇した一族は、知識と力を手に入れた。それだけでなく、深海棲艦を自分達のものに出来るかを研究していた

 

それは……

 

「人間に深海棲艦の血を投与しても、タダの下級怪物になるだけ。強力な深海棲艦の個体の精気を全て吸い取らないと発揮できない。だが、それだけではその個体をコピーしたに過ぎない」

 

ここまで聞くと戦艦棲姫は愕然とした

 

「マ、マサカ!貴様、脳ヲ!」

 

「知っていたのか。脳を弄れば、人間の未知の才能を開花させる事を。過去に重巡棲姫と駆逐古姫がここへやって来た。その一族は、ある結論に達した。いくら深海棲艦と人間は違えど、身体の造りは大まかに似ていると。肉体もだが、脳も改造しないといけない」

 

 戦艦棲姫は唖然とした。この女、本当に人間か?普通の人間ならこんな事はしない。例え、非道な研究員や政府機関でさえ手を出さないだろう。人格多重を引き起こし拒絶反応を起こす。確率は遥かに高い。無駄に金だけ吹っ飛ぶだけだ

 

仮に成功したとしても、人間には戻れるか分からない。と言うより、前例がない

 

「私と私の知り合いである者は、極秘裏で過去に接触した『ある一族』を見つけた。そして、2人が死んで埋葬された墓も。数百年埋もれていたにも拘わらずミイラ状態だったが、私は二つの身体の一部を使い、脳手術を施した」

 

「コ、コイツ!」

 

「貴様は私に血を与えた。人間だから扱えないと。もう、人間の暮らしは出来ないと判断した。だが、私は違う!普通の暮らしなぞ興味ない!」

 

 戦艦棲姫は間違いだったと悟った。洗脳は失敗した。それどころか、逆に利用された!しかも、強くなっている!

 

「今では貴様よりも強イ。私ノ野望ノタメニ軍団ヲ渡シテクレ。コノ世界ノ頂点ニ立ツタメニハ、深海棲艦ノ力ガ必要不可欠ナノダ」

 

 ここまで聞くと戦艦棲姫は、怒り出した。こいつは深海棲艦の禁忌を犯したのだ。よりによって、深海棲艦の力をただの人間が手にしたのなら……怒る以外に何があろうか?しかも、姫級である自分を騙したのだ。プライドが許さない!

 

「仲間ヲ売ルクライナラ、死ンダ方ガマシダ!コノ戦艦棲姫ニ刃向カウトハ!覚悟シテモラウゾ!」

 

 戦艦棲姫は怪物艤装に命じて攻撃を命じた。戦艦ル級改flagshipも攻撃態勢に入った。だが、戦艦棲姫は見抜いた。明らかに従来の戦艦ル級とは違う艤装に

 

「コイツ、艤装マデ改造ヲ!」

 

「ホウ!私ノ戦艦モデルはH42ト呼バレル戦艦ヨ!架空艦ヲ実現シタ!48cm砲ノ威力ヲ食ラエ!」

 

 戦艦棲姫は青ざめた。戦艦棲姫が保有する主砲は16インチ砲……つまり、40.6cm砲である。姫級である自身の強さもあって火力は倍増されているが、相手の方が上手だ!コイツ、私達を倒す気である!ハッタリでない!

 

「沈ミナサイ!」

 

「消エロ!」

 

 双方の砲から火を吹いた。素早く移動し砲撃して、相手の攻撃を躱す。雷のような砲声が轟くと同時に地震のような地響きが起こる。周りの木や建物は砲弾が命中すると木端微塵に吹き飛ばした。近くに居た深海棲艦は、爆風に吹き飛ばされ、小型の駆逐イ級達は海まで飛ばされた。時雨は耳を塞いだ。何という激戦だ!たった2人の戦いで周りが滅茶苦茶だ。結衣は戦いに専念しているためか、テレパシーの呪縛から解かれた周りの深海棲艦達は戦艦棲姫に援護しようとするが、巨大砲弾が飛び交っており、危なくて援護できない。何しろ、空母ヲ級改flagshipは空母組に空爆要請し戦艦棲姫をバックアップするために艦載機を飛ばしたが、結衣の対空射撃でほとんど落とされた

 

「対空射撃ダケデ落サレルナンテ!」

 

 空母ヲ級改flagshipは驚愕したが、時雨は何をしたのか分かった。未来兵器である対空兵器で全て撃ち落したのだ!この時点で既に対空能力を手に入れた!

 

 激しい砲撃戦が繰り広げられる戦い。爆炎と爆風で埃や塵が舞い、何が起こっているか分からない。長く感じられたが、数分だったかも知れない。不意に砲撃戦が終わった。視界が晴れた時に映し出された光景は、衝撃的だった

 

 

 

 戦艦棲姫は、鉄の槍で串刺しになっていた。提督達と一緒に掘り出された時に、刺さっていたのは分かっていたが、実感できなかった。あんなに強い姫級が……

 

 尤も、浦田結衣も無傷ではなく、負傷しており艤装も中破している。しかし、従えたのだろう。補給ワ級が近づくと彼女の前に資源を差し出した。浦田結衣は手を伸ばし物資を体内に取り入れ始めた。負傷や損傷した箇所はたちまち治った。どうやら、補給しただけで体力は回復するらしい。入渠や高速修復を必要とする艦娘とは違う修復力!恐るべき身体能力だ!

 

 深海棲艦を倒さないといけない使命を背負っているのに、時雨はなぜか姫級を応援していた。浦田結衣を倒す手段なんて何でもいいとさえ思った。姫級を倒せるなんて……自分達に倒せるのだろうか!

 

 そんな時、遠くで悲鳴が上がった。時雨は声がする方向に目を向けると、港湾棲姫と北方棲姫がいた。恐らく、戦いが発生した時に駆けつけたが、戦艦棲姫が浦田結衣にやられた映像を見て衝撃的だったのだろう

 

「北方、逃ゲテ!」

 

港湾棲姫の鋭い声に北方棲姫は一目散に逃げた。逃がしたと言うべきか

 

「ヘェ。深海棲艦デモ家族愛ハあるのか。私と違って……いい身分だな」

 

「オ前。何ヲシタ!」

 

 おっとりとした外見とは違い、港湾棲姫は姫級。殺気と威圧感を露わにし、時雨は背筋が寒くなった。過去の映像であるにもかかわらず

 

「見たままの通りだ。戦艦棲姫を殺した。いや、まだ生きているかな?だが、残りはお前だ」

 

「私ヲ倒シテモ深海棲艦ヲ掌握出来ナイ。私達ハ威力偵察デ来テイル」

 

 港湾棲姫は艤装を展開した。滑走路を模した怪物は、威嚇するように咆哮を上げている

 

「ああ、知っている。だが、ワームホールは私の仲間が抑えた。今頃は、塞ぐ事は出来なくても来れないようにしている。つまり、貴様らは孤立したという訳だ」

 

 ゲラゲラ笑う浦田結衣に港湾棲姫は歯ぎしりした。こんな人間がいるなんて。これだから人間はあまり好きではない!

 

「私の駒として働くなら命は助けよう。断るなら戦艦棲姫の二の舞いになる」

 

 串刺しにした戦艦棲姫を地面に投げ捨てるとそのまま蹴りを入れた。力が尽きたのか、戦艦棲姫の身体はサッカーボールのように飛び、地面に激突。深海棲艦の特徴はあるため怪我は無いものの、扱いが酷い

 

「私ハ港湾棲姫。陸上型深海棲艦デアリ、深海棲艦ノ長。オ前ニ明ケ渡スヨウナ愚カ者デハナイ。私ヲ倒シテカラニシロ!」

 

港湾棲姫は浦田結衣を睨み、戦闘態勢に入った。浮遊要塞がどこからか出現し、彼女を守るように浮いている

 

「フン、ならばしょうがない。力ずくデ貴様ラノ軍団ヲ奪ウシカ無イナ!」

 

浦田結衣は戦艦ル級改flagshipに変身した

 

 これを見た時雨は思った。深海棲艦は深海棲艦の考えはあるのだろう。人類に脅かす存在だが、彼女達にも事情はある。だが、港湾棲姫も戦艦棲姫もこの世界を破壊する事は望んではいない。やり方が酷いとは言え、第二次世界大戦を止めるために深海棲艦の力を使う浦田重工業。話し合いすら応じず、自分達のために行動し、例え邪魔が入ろうと全力で排除しようとする深海棲艦。どちらが正義なのか、分からなかった。ただ、分かっている事は港湾棲姫や戦艦棲姫は、浦田結衣とは違い真っ当な考えを持っている

 

「オ前ハ何モ分カッテイナイ。大キナ過チヲ犯シテイル!」

 

「違ウ。全テハ我ラノ意ノママニ……」

 

 港湾棲姫の艤装は口を開いた。口から多くの艦載機が飛び出した。エイのような艦載機と丸い艦載機が混じりあった深海棲艦の航空機は、纏わりつくように飛び回ると、港湾棲姫の指示で戦艦ル級改flagshipに突進した

 

「フフフ……ハハハハハハ!」

 

 戦艦ル級改flagshipは突進した。対空射撃しながら、バカデカイ主砲で応戦する。港湾棲姫も負けじと砲撃を開始した

 

 双方とも譲らない戦い。砲撃の中、肉弾戦まで行われた。まるで、映画かアニメで見た映像が、目の前で繰り広げられている。トラック島が沈むのではないかと思われた

 

 だが、戦いは続かない。いや、結果は分かっていた。だが、認めたくなかった。港湾棲姫が勝てばいいと思ったりした

 

戦艦ル級改flagshipは、歴史通り港湾棲姫をぶちのめした。艤装は徹底的に破壊され、港湾棲姫自身も満身創痍だ

 

「ウワアァァァー!」

 

 陰で見ていたのだろう。北方棲姫は怒りを顕わにして浦田結衣に襲ったが、結衣はパンチ1つで無力化した

 

「愚カナ。私ニ力ヲ与エテオキナガラ、私ノ野望ニ同意しないとは。だが、これでやりやすくなる。人類の兵器が一切通用しない深海棲艦に、驚異的な科学力を持つ近代兵器で、この世界を支配してやる!邪魔する者は全て葬ってやる!」

 

 浦田結衣は笑った。絶対的な力を手に入れた。姫級であるボスを倒し、ワームホールの出入りを妨害した。増援は来ない。周りの下級の深海棲艦は膝を着いて頭を項垂れている。こちらの指示に従うと言う事だ。逃げていった個体もいるが、どうでもいい

 

上空には数機のヘリが飛来した。既に計画は進んでいた。私は浦田結衣。戦艦ル級改flagshipであり、深海棲艦のボス。兄と組んで世界の頂点に立つ!

 

「本当に制圧して掌握しやがった」

 

 高度な文明の発展を遂げた別世界の日本から来た警備隊長は、唖然呆然とした。ここまで無茶ブリをし、人類の敵である深海棲艦を掌握するとは思わなかったからである。他の警備員も同様だ。浦田社長を除いて

 

「流石は妹だ」

 

 浦田社長も笑った。兄は自分が描く理想像を実現出来ると思ったのだろう。私はどうでもいいが、世界の頂点に立つためには組むしかない!

 

 このビジョンを見た時雨は、体を震わした。狂っている!初めの苛められた少女の姿はどこへ行ったのか?哀れみを感じ同情した自分を恨んだ。数日で深海棲艦を掌握するなんて、どんな艦娘でも出来ない!いや、どの国の人達だろうと、出来ないだろう!

 

 歪んだ心は、大きく育ち世界に牙を向いた。国を滅ぼせるような力を持つ深海棲艦のボスを、浦田結衣はバックアップはあるものの事実上、単身打倒した。つまり、浦田重工業はどの組織よりもどの国家よりもはるかに強大な存在を手に入れた

 

 どんな犯罪や虐殺を起こそうと誰にも止められない!誰だろうと、例え国家の元首や国王、大統領ださえ彼女の自由を束縛することはできない。

 

 気まぐれ1つで、国家は滅亡し、社会秩序は崩壊してしまう!いや、既に未来では起こった!

 

 廃工場での夜襲でダメージを与えたが、あれは相手が油断したに過ぎない!今では対策され、より強くなってしまった!

 

(僕は何も出来ない!僕は何も守れない!)

 

 深海棲艦に対抗する存在である艦娘でさえ止められなかった。艦娘ですら止められない深海棲艦が出現したら……僕達はどうなるんだ?

 




おまけ
劉就武(大丈夫だ。テラフォーマーズと和平交渉してすれば、日本の実権を握る事が出来、我が国がヒーローとなる!)
イギリス士官(大丈夫だ。深海棲艦との和平交渉が成立したら、世界の覇者となる!)
祈る者(いやいやいや……君達はバカなの?)
戦艦棲姫(余りにも腹黒過ぎるわ。第一、違う種族との話し合いなんて……)
祈る者・戦艦棲姫((人間と話し合いをすれば禄でもない事くらい、誰でも知っていますよ))


まあ、生まれも外見も異なるから人との対話なんてしないでしょうね。特に人類の敵は。深海棲艦と艦娘が仲良く出来るのは、ギャグ漫画くらいだと思います

また、艦これSSの中でオリ主(オリ艦)が深海棲艦化になる話がありますが、あまり艦娘と全面対決しません
そこで私はこう思います。こんな人もいるんじゃないかと思ったりします

ディオ「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ!」
ディオ「俺は人間を超越するッ!」

このような腹黒い人がいてもおかしくないかと

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。