時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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第97話 能力の発達

 時雨達は、戦艦ル級改flagshipがいるであろう場所に向かった。東京湾での海戦は初めてだ。それもそのはずで、大抵は外海が主な戦いの場所だ

 

だが、近くまで来て時雨達は、あるものを見て衝撃を受けた

 

「提督……聞こえているか?」

 

『どうした?』

 

「信じられない……深海棲艦のボスが……」

 

『何だ?どうかしたのか!?』

 

「深海棲艦のボスが、撃沈している!」

 

そう……長門達は信じられない光景を見ていた。南方棲戦鬼は火だるまになっていた

 

「ソンナ…マサカ…ソンナ事ガ……」

 

 南方棲戦鬼は無念そうに口にした後、海に沈んだ。時雨も不知火も摩耶も唖然としていた。戦闘ヘリであるアパッチを簡単に墜としたボスが撃沈した

 

「チッ、手コズラさせやがって。深海棲艦の軍団を再び操る事はいいが、現代兵器を捨てるよう命じるとはな。今のところ、一隻しか生き残っていないが」

 

 浦田結衣は頭を掻きながら、再び操って呼び寄せた深海棲艦を眺めた。洗脳が解かれた深海棲艦の艦隊が、再び浦田結衣のものとなってしまった

 

 その光景を見た艦娘は衝撃的だった。長門や鳥海などは目を見開いた。忘れるわけがない。武蔵を戦闘不能に追いやった者が、鬼級である深海棲艦のボスの近くに浦田結衣が面倒くさそうに立っている。下級の深海棲艦を従えて

 

「浦田結衣!貴様ー!」

 

「大きな声を上げなくても聞こえているぞ。レーダーでとっくに掴んでいる」

 

 長門の怒りに結衣は呆れるようにこちらを見た。長門の威圧を何ともないかのようだ

 

「どうした?自ら沈みに来たのか?安心しろ。全員、戦闘不能にした後、海底が尤も深いマリアナ海溝に沈めてやる」

 

 一同は唖然とした。マリアナ海溝は世界で最も深い海溝である。沈んだら浮き上がれないかも知れない

 

「貴様、堂々と戦え――」

 

「貴様は黙ってろ。ガラクタが」

 

 長門の怒りを結衣は黙らせた。結衣にとって長門の怒りは、目の前に飛ぶハエが邪魔のような存在だ

 

「用があるのは時雨……お前だ」

 

 戦艦ル級改flagship……いや、結衣の目線は時雨しか見ていない。不知火や吹雪は時雨の前に出て庇うように立っている

 

「僕は大丈夫」

 

「おい、時雨!」

 

 天龍達の制止を振り切って時雨は艦隊の前に出る。長門達は警戒している。突然、攻撃して撃沈されたらたまったものではない。初めて対峙する2人。未来では戦艦ル級改flagshipの軍団は優位に立っていた。しかし、今は逆転している。そのはずだ!

 

「ただの小娘がここまでやるとは……」

 

「僕だけじゃない。提督と周りの人のお蔭だよ」

 

 時雨は建造されてから今までの出来事を振り返った。仲間と自分を犠牲にしてまで過去へ送り込んだ未来の提督。学生で右も左も分からない過去の提督。艦娘である僕達を造ってくれた提督の父親である博士。巨大な悪に屈することも無く戦い挑んだ将校と軍曹、その部下である502部隊の隊員達、そして浦田社長と決別し密かに対抗兵器のデータをパソコンに忍ばせたディープスロート……

 

僕達である艦娘以外に支えている者がいた。自分達は、ただ造られた存在ではないのだと

 

「浦田社長は死んだよ」

 

「知っている」

 

時雨は兄の死を伝えたが、結衣はあっさりと即答した

 

「死体も確認した。だが、兄は使命を果たした。第二次世界大戦を止めるための計画。つまらないものだと思っていたが、改めてそれが正解だと認識したよ」

 

 結衣は、時雨を睨んでいる。時雨は気付いた。ボスが現れた原因は、提督であると。だから、先ほど提督を殺そうとしたり、東京湾で暴れているボスを倒したりしたのはそれだ

 

「話し合いなんてしてくれないのは分かる。復讐のためでしょ?」

 

 時雨は、ワームホールが見せたビジョンを思い出しながら、伝えた。彼女は昔、虐められた。理由は不明だが、何らかの原因があるはずだ

 

「僕は知っている。君の過去を」

 

 時雨は話しだした。周りの艦娘も知っているため、口を挟まない。尤も、出撃する前に浦田結衣の過去を周りに話した時は驚いていたが。話している間、浦田結衣は睨んだだけで口を挟まない。話終えたと同時に結衣はため息をついた

 

「どこで知ったかなんて興味は無い。だが、それは昔の話。男女関係なく虐められた時はそうだった」

 

結衣は何も隠さずに話し始めた。向こうはこっちが調べたと思っているだろう

 

「だが、虐められた原因はすぐに分かった。何だと思う?」

 

「誰かに怨まれたとか?」

 

「違う。1人の勝手な妄想だ」

 

 結衣は語り始めた。戦艦ル級改flagshipの艤装はこちらにしっかりと向けられていたが、彼女の目は怒りに満ちていた

 

「日露戦争が勃発した時、父は兵士だった。当時は徴兵制だったから不思議では無かった。そして父は、親友と共に戦死した。だが、その父の親友には、娘がいた。私は戦争だから仕方ないと割り切っていたが、その娘はそうは思わなかった。私の父が殺したと勝手に思い込んだ」

 

「なっ!?」

 

 長門達は驚愕した。周りの艦娘達には、戦艦ル級改flagshipや浦田結衣の事を伝えた。流石に未来の提督が幽霊になって現れた事は伏せたが、それ以外は全て伝えた。伝えたこその反応だ

 

「その娘の母親は再婚したが、相手が悪かった。酒癖が悪く、借金ばかり作ったらしい。その堕落した人生を私のせいだと思い込んだ」

 

「そんなバカな……日露戦争で日本は大勝利した。国も戦死者には補償が――」

 

「そんな事か?長門、私もその娘も国の功績や名誉なんてどうでもいいんだよ」

 

長門が口を挟んだが、結衣は冷たく言い返された

 

「この力を手に入れ、嘗てのクラスメイトを皆殺しした。親や家族までもね。情報を引き出して聞いた時は呆れたよ。逆恨みも甚だしい」

 

「それで、その娘はどうしたの?」

 

時雨は分かっていて聞いた。結衣が何をしたのか、何となく分かったような気がした

 

「私を見た時は真っ青になったわ。あの顔は傑作だった。そして、捕まえて心も身体も完全に壊れるまで痛めつけた事も。初めは威勢が良かったがな。『お父さんを返して』とか『お前は悪だ。正義のためにやったんだ』とね。最後には自殺したが」

 

その場にいた全員、息を呑んだ。その娘は人間だ。深海棲艦になった結衣の力に為す術がなかった

 

「だから僕達を痛めつけたんだ。ただ殺さない理由も」

 

「ああ、満足して死ぬのは見たくない。恐怖で震え絶望して死んだ方が、面白味があるだろう」

 

 結衣の歪んだ顔に時雨は、歯を食いしばった。ビジョンを見た事も含め、戦艦ル級改flagshipは艦娘を痛めつけてから沈めている。未来の戦争において、艦娘を捕虜したのも切り札であるタイムマシン、『新型兵器』を探るためではない

 

時雨を拷問したのも、情報を吐き出すためではない。全ては己の欲求のため

 

「だが、戦艦棲姫のお蔭もある。兄がもたらした平行世界の情報だけではない。この世界情勢も学んだ。戦艦棲姫は、人を嫌うのは人間の本性を知っているからだ。過去に何をしたのか。世界史を学べば、係わりたくない生き物だ。間違ってはいない」

 

「お前も人間だろう!」

 

「私は人間を超越した。人はどんな策を練っても、必ずボロが出る」

 

結衣は時雨だけでなく、長門を睨んだ

 

「だから私は兄の計画に賛同した。人はつまらない事でいがみ合いをする。ならば、支配して世界の頂点に立ってやる」

 

 しかし、ここで何かが結衣に向かってきた。影は三つ。姿形からして鬼か姫級だろう。艦娘を気にせずに結衣に向かって突進してきたのだ

 

「フン、軽巡と駆逐艦の鬼と姫か」

 

 三つの深海棲艦のボス……軽巡棲姫と軽巡棲鬼、そして駆逐棲姫が砲や魚雷を放ちながらやって来る

 

「あの鬼め、増援を呼びやがったな。いいだろう!お前達に見セテヤル!」

 

「ウオオォォ!」

 

 軽巡棲姫は、叫びながら結衣に向けて突進してくる。艦娘達はどうすべきか迷った。逆鱗に触れたのか、怒りが尋常ではない。しかし、両方相手する暇はあるのか?

 

「どうするネ!?」

 

「っ!撃つな!まだ攻撃はするな!」

 

 長門は戦闘態勢を取り、今にも砲撃しようとする摩耶や鳥海に厳命した。ここで、無理に相手する必要はない。一方、結衣は攻撃を受けているのに、反撃してこない。それもそのはずで軽巡棲姫達が放つ砲弾は全て弾かれている

 

魚雷も易々とかわされる始末だ

 

しかし、軽巡棲姫は諦めない。隠し持っていたナイフで刺そうとする。接近戦をするつもりだ。だが、結衣の方が速かった

 

素早く右手で軽巡棲姫の頭を掴み、渾身の力で締め上げる

 

「グァアアアアアッ!!」

 

凄まじい悲鳴に時雨は、全身の毛が逆立った

 

「放セ!」

 

駆逐棲姫は捕まった仲間を助けようも駆けつけたが、逆に蹴られ倒れている所を強く踏まれた

 

「な、何を?」

 

鳥海は愕然とした。あの姫と鬼を簡単に捕まえた。何故、倒さないのか?

 

しかし、疑問よりも早く結衣は捕まえた3人を解放した

 

自由になった軽巡棲姫と軽巡棲鬼、そして駆逐棲姫は浦田結衣を攻撃しない。それどころか艦娘にしか目を向けていない

 

「まさか……そんな!」

 

「時雨、貴様のお陰で鬼や姫も操れるぞ。軽巡と駆逐艦クラスが精一杯だが、最終的には全て操ってやる!戦艦棲姫も空母棲鬼も地上型の深海棲艦も!」

 

結衣の能力を見た艦娘達は、悟った。コイツが深海棲艦の全指揮を取ったら世界を攻撃する!自分達は日本とその周辺しか守れない!

 

「これが貴様等の違いだ。兄ガ死ンデモ私ガ受ケ継グ。世界ノ頂点ニ立チ」

 

『聞こえているか!全員、あいつを倒せ!奴を東京湾から出すな!』

 

提督もモニターしていたのだろう。無線機が喚いていた。提督も、たった今、結衣の脅威を認識した

 

このままだと、世界どこでも好き勝手に攻撃出来る!質どころか数ですら敵う相手ではない!

 

「世界中の人々を虐殺する気か?」

 

「確カニ辛イ選択ダロウ。ダガ、人が増えれば増えるほど、争いは発展する」

 

「正気ではないぞ!」

 

「いや、私だけ分かる事だ。人それぞれ様々な考えがある。僅かに考えが違ったり、欲があったりすると争いになる。私が受けた虐めも社会現象の1つに過ぎないだ。唐突に起きた。なら、その元を断てばいい」

 

ここまで聞いた長門は愕然とした。これでは、独裁者そのものではないか!

 

「何でも悪と決めつける気か!?」

 

「お前は全ての人や国が、博愛主義のような人達ばかりだと思うか?お前らを弾圧する者だっているかも知れない。そんな奴がお前達の前に現れたして、それでも人を守りたいと思うのか?」

 

「勘違いしている!僕達だってそれくらいの善悪の区別くらいついている!」

 

長門が口を開く前に時雨は、吠えた

 

「僕達だって意志はある。君より強い!」

 

時雨から出た言葉に長門を始め、この場にいる艦娘達は驚いた。どうやったら、そんな言葉が出るのだろう

 

(時雨……そうか、我々は無機質の兵器ではない)

 

 長門は思う所は合った。博士や提督から深海棲艦や艦娘の存在について聞いていた。確かに人類の敵である深海棲艦は脅威だ。しかし、人類を守るために自分達が戦う必要性はあるのだろうか?

 

『艦だった頃の世界』の戦争でも人の争いをよく知っている。そして、己自身がビキニ環礁にて実施された原爆実験である「クロスロード作戦」に参加させられた。争いに果ては無い

 

 だが、それでも日本を守るという使命はある。自分は、日本を代表する超弩級戦艦長門だ。ビックセブンなのに、海戦はほとんど行っていない。矛盾はあるかも知れない。浦田結衣から否定的な意見にも一理あるかも知れない。しかし、それが正解なのかと聞かされると首を横に振るだろう

 

「そうだ……私達は人間ではないかも知れない。私達を嫌っている人もいるだろう。だが、私は艦娘の前に国を守るための建造された軍艦。人々の命が脅かされる者を倒すためにいる!それが艦娘だ!お前如きに屈するような者ではない!」

 

 長門は結衣に向かってきつく言い放った。結衣は何か言おうとしたが、彼女は戦闘態勢を取った。OPS-28対水上レーダーに多数の未確認機を捕らえていた。OPS-14対空レーダーに、まだ反応は無い。と言う事は……

 

「超低空飛行していたか。道理で空母が見当たらないト思ッテイタガ。イイダロウ!全力デ掛カッテ来イ!」

 

 OPS-28対水上レーダーは水上目標のみならず、低空警戒レーダーとして低空を飛行する対艦ミサイルも探知可能だ。対艦ミサイルよりも鈍足で多数の敵機なら捕らえる事は容易だ

 

「低空飛行でも捕らえるなんて……」

 

鳥海は舌を巻いた。レーダーに捕捉されないために航空機は、低空飛行を飛ぶといった事はよくある。しかし、敵のレーダー性能は、自分達よりも性能が良い

 

「来イ、時雨!オ前ノ力ヲ見セテ見ロ!」

 

 

 

 海岸で無線と双眼鏡で見ていた提督と博士は驚愕した。あの戦艦、鬼と姫まで操っている!

 

「不味い事になりおった。まさかと思うが……奴はボスである鬼や姫まで操り追った!」

 

「不味いどころではないだろ!おい、聞け!奴を東京湾から出すな!どんな手段を使っても構わん!攻撃するんだ!」

 

 もはや、無線傍受なんて気にする必要はない。海岸で待機している艦娘も驚愕していた。まさか、こんな事に成るとは

 

「親父、流石に艦娘まで操られるって事はないよな?」

 

「構造が違うから、それは考えられんが」

 

「それを聞いて少しは安心した!」

 

「全然、安心ではないのです!」

 

 そばで博士と提督のやり取りを聞いていた電は絶叫した。いや、意識不明の重体である大淀を除くその場にいた艦娘達も同様だ。これでは、敵が増えていくのではないか!

 

提督は何を考えたのか、話している陸軍将校達の所へ足を運んだ

 

「すみません!この近くに浦田重工業の私設部隊に艦隊を攻撃する部隊を知りませんか!?」

 

「何を言っている?」

 

「知りませんか!?」

 

「確か暴れまわっていた深海棲艦を攻撃しようとした部隊が居た。だが、回転翼機が落とされてから大半の兵士は兵器を置いて逃げたぞ」

 

軍曹の代わりに戦車長が代わりに応えた。距離はそう遠くないらしい

 

「待て、どうするつもりだ!?」

 

「敵の武器を奪ってあの野郎を攻撃するんだ!多分、電磁パルスでやられた兵器を修理したに違いない」

 

「おい、待て。落ち着け。……一緒に行くぞ。確かに浦田重工業が造った兵器なら効果あるかもな。少佐、頼めるか?」

 

「……お前ら、こんな現象を見てよく平然としていられるな」

 

 戦車長は頭を抱えていた。話は聞いていたが、武器を抱えながら海の上を航行する艦娘、威圧感と殺意と怨念を放ちながら浦田重工業を攻撃する深海棲艦達。戦争止めるも謳いながら深海棲艦を操り世界征服を企む浦田重工業……

 

突拍子のない事を平然と話す502部隊に戦車第三師団の連中は困惑するばかりだ

 

「取り敢えず、ヤバい連中を倒すため武器を奪うって事だな。どうせ、浦田兵を倒しに向かったんだ。それくらい手伝わせてやるよ」

 

戦車長は呆れながらも了承した。何策があるのか?

 

「親父、武蔵と大淀を頼む」

 

「言われんでも分かるわい。……回復できるかどうか……」

 

負傷した艦娘を明石や博士に任せることにした。連れていっても無理だろう

 

「将校殿、一緒に行ってもいいでありますか?」

 

「どうせ、そのつもりだ。しかし、陸戦は――おい、待て。それは何だ?」

 

「武器であります」

 

「何処で手に入れた?」

 

 あきつ丸も行く気満々だったが、あきつ丸は何かを背負い、巨大なものを手にしていた。見たことがない武器を抱えるあきつ丸に全員、驚いた

 

「これでありますか?これは敵兵が乗り捨てた車両にあったものであります。明石殿が改造してくれました」

 

「弾に限りがあるから気を付けてね」

 

手当てをしていた明石は注意をしていた。だが、陸軍将校達は唖然としていた。武器が大きすぎて鈍器かと思ったほどだ

 

「鹵獲した武器を使うのはよくあるが……明石、お前」

 

「いいではないですか」

 

 博士も呆れていたが、明石は知らん顔だ。あきつ丸のやっている事は別に珍しくもない。『艦だった頃の世界』の太平洋戦争でもどこの国でもやっていた。但し、大抵は使い切りであり、弾が無くなれば破棄か破壊である

 

「あの~、隊長さん。まるゆは?」

 

 白いスク水着を着こんだまるゆは軍曹に聞いたが、軍曹は艦娘達がいる方へ指を指していた

 

「お前も支援して来い」

 

「ええ!?」

 

「魚雷は撃てるだろう!明石から聞いたぞ?」

 

 軍曹の命令にまるゆは驚いた。いきなり実戦である。まるゆは困惑するばかりだ。何しろ、まるゆは輸送用潜水艦である。伊号潜水艦とは別物だ

 

「おいおい、お前は艦娘なんだろ?役に立たないのか?」

 

「そんな事ないです!まるゆもきっと、お役に立ちます!」

 

 軍曹の懐疑的な言葉にまるゆは即答した。流石にそこまで言われると黙ってはいない。が、勿論これも計算の内である。軍曹は満足そうにうなずくとまるゆを抱え込むと海に向かった

 

「よし、ではお前もあいつを倒して来い!」

 

「え?隊長、まだ心の準備が」

 

「陸軍も深海棲艦倒せる事を証明するためだ!頑張れ!」

 

「まるゆ、怖いです」

 

「心配するな。奴の目の前にいたのに攻撃されなかっただろ!」

 

 浦田結衣が奇襲攻撃した時、腰を抜かしたまるゆが近くにいたが、艦娘を攻撃する浦田結衣は、なぜかまるゆを攻撃しなかった。目すら合わせていないため、気がつかなかったらしいが

 

「大丈夫だ。こっそりと近づいて魚雷をぶっ放せばいい」

 

「隊長、大雑把過ぎます!」

 

 まるゆの両肩に手を置き励ます軍曹にまるゆは全身震えて首を横に振る。役立つと言った事を後悔してしまう

 

「これが終わったら、甘いお菓子買ってやるから」

 

「え?本当!」

 

「そうだ。という訳で。さっさと行って来い!」

 

 軍曹はまるゆを素早く抱きかかえると、ボールのようにまるゆを投げた。ダイナミックな進水方式である

 

 宙を舞って着水するまでまるゆの悲鳴が響いたが、着水時の水しぶきが上がり収まった時には何もなかった

 

「直ぐに潜水するとは、あいつもなかなかやる」

 

(潜水というより沈んだように見えたような……)

 

 提督を始め、他の艦娘も唖然として水面を見ていた。気泡が見えたが、やがて姿を消した。無事、潜航したようだ。多分、沈没はしていないはずだ

 

「よし、行って来い。ワシは元帥に連絡する。無線機は持っておるか?」

 

 

 

 

 浦田結衣の能力に驚愕したのは、艦娘や軍人だけではない。深海棲艦の姫や鬼達であった。南方棲戦鬼が撃沈されたことよりも衝撃的だった

 

「アイツ……マサカ、アンナ能力ヲ!」

 

戦艦棲姫も予想できなかった。たかが一隻の戦艦に何が出来るのか?例え、強力でもいつか消耗して撃沈される。そう思っていた。しかし、戦艦ル級改flagship(浦田結衣)は、どういう訳か進歩していた。改装と言った方が正しいかも知れないが、意味の違いに変わりはない

 

「待テ!オ前ガ行ッテモ、操ラレルノガオチダ!」

 

 怒り任せに動く戦艦棲姫に空母棲鬼は立ち塞がった。空母棲鬼が放った艦載機が戦艦棲姫の周りにまとわりついている

 

「デハ、ドウシロト?」

 

「マア、待テ。奴ガ操ル力ヲ持ッテイルナラ、我々モ無事デハ済マナイ」

 

 空母棲鬼は、考えた。確かに自分達である鬼・姫級を操る力は恐ろしい。だが、効果範囲はあるはずだ。で、無ければここにいる自分達は操られてるだろう。限定的だが、時間が経つにつれてこちらにとって脅威だ。あの戦艦は、艦娘が戦うのだ。どうやって、あの化け物戦艦を倒すか、遠くで観察する必要がある

 




おまけ
まるゆ「やだ!どんどん沈んじゃうー!」
只今、海底に向けて潜水中(注、沈没ではありません)


時雨とその仲間、浦田重工業壊滅させ、現代兵器を破壊
しかし、戦艦ル級改flagship、能力をアップ

長門以下の艦娘は、東京湾で艦隊決戦仕掛けようとしますが……

一方、まるゆは軍曹によってダイナミック進水させられます。行け、まるゆ!
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