幻想地霊鏡〜Underground Fantasia 作:枝豆。
ー古明地さとり
零話「過去へと・・・・・・」
地霊殿。そこは地上の幻想郷とは一風変わって独特の文化を築いている地底の一角にある屋敷である。この地霊殿には、古明地家の私さとりと妹のこいし、ペットの霊烏路空と火焔猫燐が住んでいる。事件と言えば空が何かをやらかすぐらいで特に何もなく、比較的平和に暮らしている。
「こうやって、のんびりとお茶をする時間も重要ね」
地霊殿のテラスで私はゆっくりとお茶を嗜んでいた。いつもは忙しいから、こういう風にゆっくりまったりと出来るのは、とても嬉しいことだ。
「お母さん、ただいまー」
あ、もうこんな時間なのね。そうこうしている内に、娘の稔が帰ってきた。
「お帰り、稔。どうだった?お父さんの仕事場は?」
私がそう聞くと、稔は身振り手振りをして、「優しい人がいっぱいいたよ。でも、怖い人達もたくさんいたからびっくりした」と、一生懸命私に説明した。
「そう、それはよかったわ。それで、とても嬉しそうだけどどうしたの?彼氏でも出来た?」
「うん、まあ。お父さんの友達の子供で、名前はアレクサンドル・ロマノフっていうらしいよ。何でも人と悪魔との間の子供だから、並大抵の悪魔じゃ太刀打ち出来ないらしいよ」と、稔は嬉しそうに私に言ったので、「そう、それはとても心強そうね。今度会ってみたいわ」と返答した。すると娘は、「うん!」と元気良く答えた。
私は娘にあることを提案した。それは私の暗黒の歴史、一部を除いて決して人には話したくない過去を娘に告げることだった。それでも聞いてくれるかと告げると、娘は静かに頷いた。
「そう、なら部屋にいらっしゃい。稔にはすべてを話すわ」
そう言って、私は娘を部屋へと招いた。私の部屋は書物や花、肖像画で一杯だったので、それを見た娘は一度は見た光景だが、再び見て感嘆の溜息を出さざるを得なかった。
「さて、今から稔が聞くのはあなたの生誕の秘密。そして私とレイ、この地底にいる人達の忘れてはならない、されど忘れたい過去。それを聞いて、私達を疎まない自信はあるかしら?」
そう聞くと、娘は唾を飲み暫し考えた後、意志を固めたように静かに頷いた。それを認識すると、私は鍵のかかった机の引き出しから一冊の本を取り出した。
それは私とレイとの出会いや稔の生誕、そして幻想郷の変遷である。せっかくだから私は本に残していたものを頼りにあの時に物語を語るとしよう。幻想の賢者によって依頼され、史実に残す為に用意した本を。ーそう、あれはいつも通りの静かな地霊殿で散歩をしていた時だった・・・・・・。
零話「過去へと・・・・・・」、如何だったでしょうか?
さとりと娘の稔、そして夫であり悪魔達の頂点のレイ・ルシフェルとの関係が明らかになり、そしてさとりの本によって稔をも知らないさとりとレイの過去へと読者様方を誘うように作りました。
出来ればコメントの方、よろしくお願いします!
次話、お楽しみに!