月の兎は何を見て跳ねる   作:よっしゅん

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第4話

 

 

 

「うーん……見つからないわね」

 

 永遠亭の中にある物置として使われている部屋、そこで私こと八意永琳は探し物をしている。

 薬作りの為に必要な器具を探しているのだが、しばらくの間それを使わなかったため、物置にしまっておいたはずなのだが……

 

「おかしいわね、どこにしまったのやら……」

 

 どうにもその時の記憶が曖昧だ。

 これでも月の頭脳と呼ばれていた私だが、記憶力に関しては最近衰えてきている気がしてならない。

 流石に歳だからだろうか……

 

 いくら物をかき分け、箱をひっくり返しても目的のものが見つからない。

 こうなると最初からここにはなく、別の場所にあるか……それともまだ探し終えていない部分に隠れているのか。

 

「……仕方ない、ウドンゲに手伝ってもらいましょう」

 

 元より彼女は私の弟子という扱いなので、このくらいの雑用なら手伝ってくれるだろう。

 今の時間帯なら家事を終えて、暇を持て余している輝夜の相手をしている筈だ。

 

 早速呼んでこようと物置から出るべく脚を動かす。

 ……そしてふと、小さな物音のようなものがした気がした。

 

「……なにかしら?」

 

 どうやら物音は物置の中から聞こえてくるようだ。

 不老不死になったとはいえ、根本的な部分は人間のままだからか……気になってしまうとそれを確かめたくなる人間の性に逆らえず、脚を翻した。

 

 音の発信源は……あの床に無造作に置かれた箱からだろうか。

 微かにカタカタと揺れている箱を両手で掴み、それを上にあげるとそこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パチリと乾いた音が響く。

 

「あ、鈴仙待った、それ待ったよ」

 

 自分のした事に姫様は不満を抱いたのか、静止の声をかけてきた。

 

(だめですよ姫様、今日はもう三回待ったしてますから)

 

 そう紙に書いて自分は抗議する。

 

「えーいいじゃない……あ、じゃあ今日の夕飯のメニュー、一品あげるわよ」

 

(いらないです、ていうかそれ作るの私ですし、ちゃんと姫様に食べてもらいたいんですけど)

 

「じゃあ私の命あげるわ」

 

 いや、そんな将棋ごときで軽々しく命を差し出さないでほしいし、だいたい姫様殺しても殺せないじゃないですか。

 

 結局交渉の末、今日の夕飯に姫様の嫌いなピーマンを食べてもらうという条件で待ったを許した。

 

「……ねぇ、まさかピーマン丸ごと出すってわけじゃないわよね? ちゃんと苦くないように味付けしてよ……?」

 

 善処します。

 ついでだからナスもメニューに加えようかな。

 姫様の好き嫌いを少しでも減らしてあげたいし。

 

 無難に炒め物にするかもっと凝ったものにするか、姫様の次の手を待ちながらメニューを考えていると、突如それが耳に入ってきた。

 

 きゃあああああああああ!!

 

「!?」

 

「んー? 今のもしかして永琳……? ってはや!」

 

 気が付けば駆け出していた。

 今の悲鳴の声は間違いなく師匠のものだ。

 何があったかは知らないが、普段はクールというか凛としていて、案外甘い物が好きだけどそれを周りに知られるのが恥ずかしいのか、夜中にこっそり人里から買ってきてあげた団子を美味しそうに頬張っているちょっと恥ずかしがり屋のあの師匠が悲鳴をあげるなんてただ事ではないはずだ。

 

 永遠亭の廊下を走りながら、普段無意識的に発動させている波長レーダーを能力を使って意図的に範囲を広げる。

 永遠亭全体をすっぽり覆うところまで広げると、師匠の波長を捉えた。

 どうやら物置の近くにいるみたいだ。

 

(師匠! 大丈夫ですか!?)

 

 やがて物置の入り口で倒れ込んで震えている師匠を発見した。

 

「う、うどんげ……ももも物置に……!」

 

 物置?

 まさか物置に師匠が悲鳴をあげる程の何かがあったということだろうか。

 しかし物置にそんな物騒な物を置いていたような記憶もないし……これはもう師匠本人に聞くしかないのだが、気が動転しているようでとてもじゃないが話せる状態ではない。

 

 仕方がないのでまた能力を使い、師匠の波長を操って心を落ち着かせる。

 

「あ……あ……!」

 

 あ?

 なんですか師匠、何が言いたんですか!?

 

「あ、阿久多牟之が……!」

 

 ……あくたむし?

 聞き覚えのない言葉だけど……虫の一種だろうか。

 

「ちょっと、何かあったの?」

 

 ここで姫様が遅れてやってきた。

 事の顛末を姫様に伝えると、納得したかのように頷いた。

 

「あー、阿久多牟之ね。そういえば永琳苦手だったけ……」

 

 どうやら姫様もあくたむしとやらを知っているようだ。

 

「え? 阿久多牟之って何ですかって……貴女知らないの? まぁ月には余計な生命体は居ないから知らなくて当然なのかしら……簡単に言えば、黒っぽくてテカテカしてて……凄く素早い小さな昆虫みたいなやつよ」

 

 黒っぽくてテカテカしてて、素早い……

 

(それってもしかして……)

 

 あれか、よく台所の冷蔵庫の下だとか暗くて狭い所に潜み、一匹みたら三十匹はいると言われている奴のことだろうか。

 要するにゴキ……

 

 まぁともかくだ、ひとまず確かめてみるとしよう。

 本日三回目となる能力を使い、物置内の波長を読み取っていく。

 ……うん、まぁあれだ。

 確かに物置の中に生命体の波長を感じるのだが……

 

(ひーふーみー……三十匹どころじゃないよねこれ)

 

 これが全部黒光りする奴だとしたら、苦手じゃなくとも多少は嫌悪感がわきそうだ。

 それにしても珍しい事もあるものだ、迷いの竹林は人間だろうが妖怪だろうが虫だろうが関係なく迷子になる場所。

 その迷いの竹林を突破してここ永遠亭の物置にまで辿り着くなんて大した根性を持っているに違いない。

 

(……あれ、師匠は?)

 

 気が付けば師匠の姿が見えなくなっていた。

 

「永琳なら大慌てで走っていったわよ、多分殺虫剤か何かを作りにいったんじゃないかしら」

 

 ……そんなに師匠は奴が苦手なのだろうか。

 でもまぁこれで事態も解決するだろう……

 

「ちなみに昔似たようなことがあったんだけど、その時は永遠亭が数日間殺虫剤と言う名の猛毒の煙に包まれて、私と永琳は死んでは生き返って、また猛毒に侵されて死んでの繰り返し地獄を……」

 

 おっと、このまま師匠を放っておいたら解決どころかより一層事態が悪化するようだ。

 というかそれもう殺虫剤じゃない、ただの殺戮剤だ。

 これは早急に対応するしかないようだ。

 

 とは言ってもどうするべきか……今から一匹ずつ退治するのは骨が折れそうだし、モタモタしてたら師匠特製の殺戮剤で永遠亭が死の屋敷と化す。

 

「一つ思ったんだけど、貴女の能力でなんとかならないの? こう虫の波長とやらを操ってこう……上手い事できない?」

 

 うーん、相手が鼠とかなら音波とかを操って追い出せたりは出来るだろうけど……虫となるとなぁ。

 

(神経信号の波とか操ればある程度こちらの意思で動かすことができるとは思うんですけど……多分時間が物凄くかかりますね)

 

 ただでさえ虫という小さな生物の波長を操るだけで、かなりの集中力が必要になるのだ。

 それに加えこの数となると、普通に一匹ずつ退治していった方が速いし楽だ。

 

「ふーん……じゃあどうする? 多分あと三十分もしない内に劇薬手に持った永琳が永遠亭中を駆け回るわよ」

 

 くっ、時間が足りない……取り敢えずてゐとかイナバ達を呼んできて手伝ってもらうしか……

 ……いや待てよ、虫を操る……むし……蟲を……

 そうか、その手があった。

 

「あれ、どこ行くの?」

 

(ちょっと竹林の外までです!)

 

 そして一気に永遠亭を飛び出し、竹林を走り抜ける。

 途中てゐが趣味で仕掛けたであろう罠を華麗に回避し、何故か道の途中で眠りこけている、白髪でもんぺを着ている知り合いの少女に風邪をひかないようにと上着を掛けてあげたりしながらも、ものの数分で竹林を抜けた。

 妖怪兎の脚力は伊達じゃない。

 

 そのままの勢いを維持しつつ、竹林の近くを流れている小川を目指す。

 あそこの川には、とある妖怪が住んでいるのだが、その妖怪の持つ能力が蟲を操ることができるというまさに今の永遠亭を救うのにうってつけな能力なのだ。

 

 そして川に到着したと同時に、その妖怪も発見した。

 

「うー寒い寒い……もう冬か。はやいところ冬眠の準備でも……あれ? そこに誰かいるの……ぉ!?」

 

 何か言っていたようだけど、こちらも時間がないのだ。

 申し訳ないと思いつつも、すぐさまその妖怪……蛍の妖怪の『リグル・ナイトバグ』を抱き抱え、そのまま竹林の方へと全力疾走する。

 

「ちょ……、なになになに!? は、はやいはやいこわい! お、降ろしてぇぇぇぇ!!」

 

 竹林に入ると、当然竹という障害物が増える。

 それらに当たらないように全力疾走しているため、抱き抱えられているリグルからしたら視界がかなり揺れて感じる事だろう。

 

「よ、妖怪攫いー! 私を食べても美味しくないですよ!」

 

 と、暴れるリグル。

 流石に無理矢理過ぎただろうか……ここは一つ、能力を使って落ち着かせる。

 ……本当に便利だなこの能力、これで普通に喋れたりしたら尚良いのだが。

 

「……ってあれ、もしかして鈴仙さんですか……? あ、あの……なんで私は鈴仙さんに拉致されてるんですか?」

 

 どうやら落ち着いたようだ。

 しかしこんな時こそ喋れたら、走りながらでも事情を伝えられるのだけど……残念ながら両手も塞がっているせいで筆談すらできない。

 非常に申し訳ないが、ここは急いで永遠亭まで行くのが先決だ。

 

「うぇ!? ち、ちょっとなんで更にスピード上げるんですか!? や、やめてぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日は幻想郷に初夏がやってきたころだった。

 私はいつも通り蟲達と楽しくお喋りをしたり遊んだりしながら、毎日を過ごしていた。

 しかしその日はちょっといつもとは違った。

 ある蟲が、何者かがここに近づいてくるという知らせを持ってきたのだ。

 正直言ってその時リグルは、川の魚でも釣りにきた人間とかだろうと思っていた。

 実際何回かは、人里に住む人間が釣竿片手にこの川にやってくることがあったからだ。

 そんな人間達に対してリグルは特に関心を持っているわけではなく、襲うなんて気もないので、いつも通り人間が去るまで隠れる事にした。

 リグルは面倒ごとは避けるタイプだ……元より特別強い力を持っているわけもなく、力が欲しいわけでも人間の血に飢えているわけでもない。

 なので人間を見かけたら基本的に避ける形を取っていた。

 ……とは言うのも、実は昔人里の近くで悪さをしてたら、人里の守護者にコテンパンにやられたのがちょっとトラウマになっているのもあるかもしれない。

 

 そうこうしているうちに、足音が聞こえてきた。

 慌てて近くの茂みに隠れ、集まっていた蟲達にはこの場を離れるよう伝えた

 蟲というだけで潰そうとしてくる人間は多いから念のためである。

 

 そして近づいてくる足音……リグルは茂みから少しだけ頭を出し、やって来たであろう人間を確認する。

 ……しかしそこにいたのは、人間ではなかった。

 

(兎の耳……? なんだ、同族(妖怪)か)

 

 姿形は人間のものだが、頭のてっぺんから生えた大きい兎の耳……あれが付け耳とかでなければ、明らかにあれは人外だろう。

 しかしなんでまた妖怪がこんな辺鄙な場所に……?

 ここには小さな川しかなく、こんなところに来て喜ぶ妖怪はリグルのように綺麗な水を好む者や河童くらいだろう。

 

(……なんだろう、何かを探してるのかな?)

 

 茂みに潜みながらも観察を続けるが、その妖怪兎はさっきからキョロキョロと辺りを見回しながら、川の周りをうろちょろしている。

 その仕草は探し物を探しているような仕草だ。

 

 あの妖怪兎が何を探しているのかは知らないが、自らには関係のないことだし、下手に接触して面倒ごとが起きるのも避けたい。

 なのでリグルはこのまま隠れる事にした……のだが、どうやらそう上手くはいかないようだ。

 いつのまにか妖怪兎の首がこちらの方に向いていて、じっとこちらを見つめているのだ。

 

(嘘、気付かれた……? うわ、こっち来てる)

 

 どうするべきか……正直言ってあの妖怪兎はかなりの腕前を持っているように見える。

 このまま無闇に攻撃を仕掛けるよりは、まず相手の出方をみた方が得策かもしれない。

 

「……え、えっとその、初めまして……?」

 

 既に気付かれているのなら、隠れる必要はない。

 潔く茂みから出て、まずは軽いコミュニケーションを取ることにした。

 しかし、相手からの反応がない……様子を伺うために妖怪兎の顔を見るべく、自分の顔を少し上へと上げる。

 

 そして不気味と思えるほど、真っ赤な瞳と目があった。

 その瞳は間違いなくリグルを真っ直ぐに捉えているのだが、まるで生気が感じられないというか……無機質なものに感じた。

 それが何故か無性に不気味に感じ、少しだけ恐ろしく思えた。

 それに加えて無表情なんておまけを付けられて、怯えるなという方が難しい。

 

 この後どういう行動をとればいいのか迷っていると、突如目の前の妖怪兎が紙切れを取り出し、筆記具を用いて何かを書き出した。

 そしてその紙切れを無言で差し出してきた……受け取れということだろうか。

 まさか『お前を殺す』……みたいな内容が書かれているのではないかと、内心ビクビクしながら紙切れを受け取って文字を読んでみるとそこには……

 

 綺麗な字で『初めまして』と書かれていた……

 若干拍子抜けというか、思ったより普通の内容に驚きながらも、お互いの自己紹介が始まった。

 その過程で、どうしてここにやってきた目的も聞き出せた……喋れないのか全部筆談だったけど。

 どうやらこの妖怪兎……名前が鈴仙なんちゃら……とにかく鈴仙さんは、水辺周辺に生息するある植物を求めてやってきたらしい。

 なんでも、薬作りの材料にその植物が必要らしいのだが、なかなか見つからないとのこと。

 そこで近くに潜んでいた私を発見したので、その植物について何か知らないか聞こうとしていたらしい……どうやって隠れていた私を発見したのかはこの際置いておくことにする。

 

 幸いにも、私はその植物について心当たりがあったので、教えてあげることにした。

 

 それからというもの、鈴仙さんはちょくちょくここにやって来るようになった。

 手伝ってくれたお礼と言って、手作りであろうおにぎりを持ってきて食べさせたり、鈴仙さんの知り合いの妖怪がやっている八目鰻の屋台に連れていかれたり、またある時は黒髪ロングで着物を着た人間を『こちらの姫様が蛍を見たいと言うので連れてきた』と言って連れてきたりと……でもまぁ、悪い気はしなかったのは確かだ。

 

 そんな彼女に対してリグルは、少し変わった妖怪だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ!」

 

 そしてリグルは目が覚めた。

 どうやら軽く気を失っていて、夢でも見ていたらしい。

 ……というか今の、走馬灯とか言う奴ではなかろうか。

 

 ひとまず状況を把握するべく、あたりを見回す……どうやらまだ鈴仙さんの腕の中らしい。

 というか此処は何処なのだろう……辺りには沢山の竹があるということは、ここは迷いの竹林だろうか。

 というか、あとどれくらいこの状態なのかなと考えていると、ようやく鈴仙さんが止まった。

 そして気が付けば目の前には大きな和風建築の屋敷があった……そういえば鈴仙さんは竹林に住んでるとか言ってたし、ここがそうなのかもしれない。

 まさか竹林の中にこんな屋敷があるだなんて思いもしなかったが。

 

「あのー鈴仙さん? ……え、ついていけば良いんですか?」

 

 ようやく降ろされ、地面に足がつく。

 そして鈴仙さんに中に入るように促された。

 屋敷の廊下を二人で小走りしながら、鈴仙さんはようやく事情を説明してくれた。

 なんでもここの物置に蟲が出たらしく、その蟲に苦手意識を持っている屋敷の主人が強力な毒物を使おうとしているので、そうなる前に私が蟲達をどうにかして欲しいとのことだった。

 

「あの、だいたいの事情はわかったんですけど……私を呼んでまで蟲達を助けようとしてくれるのですか? ……え、それもあるけど、このままだとこの場にいる全員が三途の川に観光しに行く羽目になるってどういうことです?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リグルを連れて、永遠亭の物置へと戻ってきたのだが、既にそこはひどい有様だった。

 

 壁には師匠の放ったであろう矢があちこちに刺さっており、壁自体も所々に穴が空いていたりとボロボロになっている。

 床には気絶した何人かのイナバ達とてゐが倒れ伏し、その近くには何故か縄で簀巻き状態にされた師匠が転がされていた。

 猿轡をされているためか、モゴモゴと口を動かして喋ろうとしているが、なんと言ってるかはわからない。

 そして壁際にはこれまたボロボロの状態の姫様が寄りかかっていた。

 自分がいない間に何があったかは大体予想できる。

 

「あら、やっと帰ってきたのね……この通りなんとか食い止めることはできたわ……よ」

 

 そう言って気絶する姫様……というか、最初から師匠をどうにかしてれば良かったのではないかと今更思い付いたが、時既に遅しという奴だ。

 

「えっと、取り敢えず始めていいですか?」

 

 よろしく頼みますリグルさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リグルに物置にいた蟲達を竹林の外まで連れていってもらい、ようやく永遠亭に平和が訪れた。

 

「まったく……私は同じ過ちは繰り返したりしないわよ。ちゃんと今回のは範囲を狭めた奴だから以前のような悲劇は起こらなかったわよ」

 

「えーそうだったの? じゃあそう言ってくれたら良かったのに」

 

「言おうとしたわよ、聞く耳持たずに襲いかかってきたのはどこの姫様だったかしら?」

 

「……ま、まぁでもたまには運動するのも良いと思わない? 永琳はあまり動かないから、たまには運動しないと……ね?」

 

「あらそう? なら明日私の運動に付き合ってくれないかしら。今日久しぶりに弓を使ったのだけど、どうにも腕が鈍ってるのよね」

 

 そこまで師匠が言うと、何かを察した姫様が青い顔をし始めた。

 

「も、もちろん良いわよ? けど何を手伝えばいいのか今のうちに教えてくれると私としてもやる気でるかなーって……」

 

「簡単なことよ、ちょうど人型の的が欲しかったから、貴女は突っ立ってるだけで良いわ」

 

「ごめんなさい」

 

 ……今日も永遠亭は平和だ。

 

 

 

 

 




誤字報告本当に助かります……感謝の気持ちでいっぱいです。
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