その男、グリゴリの戦士なり   作:雪原野兎

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※今回は主人公は出ません。


第8話 聖なる姉弟。

――???side――

 

玲士らが駒王町へ来る数日前…堕天使によって殺され、悪魔へと転生した男が町の中を散策している。

 

男の名は鎌瀬慎士、『赤龍帝の籠手』と『王の財宝』、2つの神器を持つもう一人の転生者である。

 

慎士「くそっ…なんで兵藤が変態じゃなくてただの良い人になってやがるんだ…これじゃあ警察に突き出して学園から追放出来ないじゃねぇか…。まあ良い、俺が主人公なんだからアーシアと会うのも俺だ、ひひひ…どこだぁ?ア―――うぼぁ!?」

 

聖職者「あうっ!?」

 

そう呟きながら歩いていると別方向を見た時に逆方向から来た聖職者の恰好をする人物とぶつかる。

 

慎士「つう…お、おい大丈夫か!?」

【来た!来た来た来たぁ!待っていたよアーシアちゃん!】

 

聖職者「は、はい…大丈夫です。」

 

そう言って手で差し伸べ、聖職者もその手を手に取り立ち上がる。

 

慎士「見ない格好だな、どこから来たんだ?」

【…なんだこの違和感は?】

 

聖職者「え、えっと外国の方からです。この町の教会に赴任するのでこの町に…。」

 

慎士「ふうん、そうなのか。…まあ、時間空いてるし案内しても良いぜ。」

 

聖職者「本当ですか!?ありがとうございます!実は妹とはぐれてしまいまして…恐らくそちらは先に教会に着任した方が見つけてくれていると思うのですが…。」

 

慎士「い、妹だと…!?お、おい名前はなんていうんだ!?」

 

聖職者「え、えっ?えっと僕の名前はアルス・アルジェントと申します。妹の名前はアーシア・アルジェントと。」

 

急に肩を掴まれ、名を聞かれた聖職者は帽子を取り、その名を名乗る。

 

慎士「そ、そうだったのか…。…ああ、俺の名前は鎌瀬慎士だ、下の名前で呼んでくれ。」

【な、なんだとぉ!?この違和感こいつやっぱり男…!くそ、ならアーシアちゃんを…いや駄目だ、そんなことをすれば俺の行動をアーシアちゃんに伝えられて好感度が悪くなっちまう…くそ、しょうがねぇが案内してやらねえとなぁ…。】

 

アルス「はい!よろしくお願いしますシンジさん!」

 

その後…教会が見える道まで案内し終えた慎士はアルスと別れ、そそくさとアーシアを探しに街の散策を再開する…。

 

――side end――

 

 

 

――フリードside――

 

場所は教会、現在レイナーレらは地下へと潜っており、フリードと町で出会ったアーシアの2名は1階の掃除をしていた。

 

フリード「アーシアちゃんすまんっすね、こっちの掃除そこまでしてなかったんすわ。」

 

アーシア「い、いえ大丈夫です!掃除するのは好きですから!」

 

フリード「ん~、ほんと良い子っすな、全く…教会は本当に無能しかいねぇな、こんな子こそ聖女だっつうのに…そういやお兄さんは探しに行かなくても大丈夫なのか?」

 

アーシア「は、はい。アルス兄さんは道に迷いはするのですが最終的には目的地にはたどり着きますので。」

 

そう言っていると教会の扉が開き、アルスが入ってくる。

 

アルス「ごめんください、ここに赴任するアルス・アルジェントです!」

 

アーシア「あ、来ました!」

 

フリード「おっ、来たな、俺っちは堕天使組織『教会』で働いてるフリードっすわ。」

 

アルス「フリードさんですね、よろしくお願いします。」

 

そう言いながら帽子をとって一礼する。

 

フリード「とりあえず荷物はあっちにお願いな、部屋は掃除済みだからここの掃除を手伝ってくれ。」

 

アルス「はい!」

 

その言葉を聞き部屋の方へ荷物を持っていく。

 

フリード【…あー、全くもって純粋な奴等だな、こいつらを殺すとかもう馬鹿堕天使共殺しちまっても良いだろ…だが多勢に無勢だからな、早く来てくれ、玲士の兄貴…。】

 

微妙な顔をしながら掃除を再開し、フリードは掃除を再開する。

 

――side end――

 

 

 

――慎士side――

 

アルスと出会ったその後、アーシアを見つける事が出来ずそのまま帰ってから数日後。

 

悪魔稼業に努めているが全てが追い返されて契約できずにおり、今日もまた新たな仕事場へと向かう。

 

慎士【…くそ、なんでこう上手くいかねぇんだ、あのロリコンやろうも化け物も…くそ、くそ、くそ!まあ良いさ…次の奴は確か殺されてフリードとアーシアちゃんがいるはず…ひひひ、ここで好印象を植え付けないとなぁ…!うぐっ!?血の匂いってきっつ…。】

 

そう思いながら一つの家の前に到達する、その家は既に扉が開いており、中より血の匂いが漂っている。

 

中へ入るとそこには床に磔にされ、至る所から血を流している男がいた。

 

男「だ…だれか、たすけてくれぇ…。」

 

慎士「なっ!?」

【ど、どうなってやがる!?壁に磔にもなってねぇし死んでもいねぇ!?いや別にそれは良いんだ、アーシア、アーシアちゃんはどこだ!】

 

知っている光景とは違う事に驚いていると別の方向から声が聞こえてくる。

 

フリード「おんやぁ…?もしかして稼業に来た悪魔くんですかぁ?」

 

慎士「て、てめぇどうしてこんなひどいことを!」

【ちぃっ!一応は原作っぽくロールプレイしねぇとな…!】

 

フリード「ぎっひひひ!そんなの決まってるじゃないっすかぁ!悪魔の力に頼って楽をしようとする馬鹿にはお仕置きしないといけないっすからねぇ!自分がどんな悪い事をしてるか分かってもらわないとなぁ!」

 

そう言いながら刃無しの柄を取り出し、光の刃を発生させる。

 

慎士「こんの、外道がぁ!」

【もうそろそろアーシアちゃんが…。】

 

そう言いながら赤龍帝の籠手を展開しながら殴りかかる。

 

フリード「おせぇんだよクソ悪魔が!」

 

それを回避しその背中を蹴り飛ばして壁へと叩き付ける。

 

慎士「ぐぁっ!?」

 

フリード「おやおや見掛け倒しっすかぁ?…はあ、こいつでもねぇのか。」

 

慎士「くそがっ…!『王の財宝』!」

【こいつでもない…?誰かを探しているのか?】

 

そう叫ぶとフリードの周囲に黄金の波紋が広がる。

 

フリード「射出までが遅すぎるんだよぶぁあか!」

【こいつ…!神器を二つだと!?しかしそれだけじゃねぇ、この人間すら巻き込む攻撃だったぞこの畜生が…!】

 

そう言いながらその場で回転し、射出された武器を光の剣で一つ残らずはじき返す。

 

互いに見つめ、次の行動を伺っていると唐突に叫び声が広がる。

 

アルス「う、うわああああああ!?」

 

悲鳴がした方に二人が向くとそこにはアルスが立っていた。

 

慎士【男の声!?アルスだとぉ!?】

 

フリード「おんやぁ?助手のアルスくんじゃないかぁ、結界は張り終えたん?」

 

アルス「フ、フリード神父…どうしてこんなことを…!?」

 

フリード「んあ?ああ、アルスくんはビギナーでしたなぁ。そいつは悪魔に手助けを求めたんすから罰を与えたんすよ、ただ殺すだけじゃあなくて悪魔に頼ればどうなるかを身をもって知ってもらうためにな!」

 

慎士「…アルス。」

【なんでこいつなんだ?ふざけるな…ふざけるな、ふざけるな!アーシアはどこだよ!】

 

アルス「シンジ、さん…!?」

 

フリード「ん~?もしかして知り合い?案内してくれた男って彼の事っすかぁ?」

【…なんだこいつ?アルスと再開したのにすっげぇ残念そうな顔をしやがる…まるでここで出会う奴が違ったみたいな…まあ良いっすわ。】

 

慎士「…くそっ!」

【アーシアがいねぇならこんなとこに用なんてねぇんだよ!】

 

そう言いながら窓の方へ走り出し、窓を割って逃げ出していく。

 

――side end――

 

 

 

――フリードside――

 

残されたフリードとアルスは逃げた慎士を追わずにいた。

 

フリード「逃げやがりましたか、まあ良いっすわ。すまんなアルスくん、驚かせちまって。」

 

アルス「えっ?あ、は、はい…。」

 

フリード「ちょいと場所を変えますか、アーシアちゃんは今どこに?」

 

唐突に態度が変わったフリードに困惑しながらアルスは返す。

 

アルス「い、今は2階の部屋に。」

 

フリード「そっすか、じゃあ2階の部屋でちょっとお話しましょうかねぇ。」

 

アルス「は、はい…あ、でもこの人は…。」

 

フリード「ん~?アルスくんは優しいっすな、だけど治さなくて良いんですわ。自業自得ってもんだからな。この程度なら死ぬことはないから後でレイナーレ達に記憶操作だけしてもらって悪魔に頼ればどんな恐怖があるかだけ残す感じでな。」

 

アルス「…分かりました。」

 

返事を聞いたフリードはリビングを後にし、アーシアがいる部屋へと向かっていく。

 

アーシアがいる部屋、そこでフリードはベッドに座り二人を見据える。

 

フリード「…アルスくん、アーシアちゃん。ちょいと話があるんすわ。」

 

アルス&アーシア「フリード神父…?」

 

フリード「このまま二人が俺っちらと一緒にいれば確実に死ぬぜ。」

 

その言葉に二人は驚愕する。

 

アルス「ど、どういうことですか!?」

 

アーシア「どうして、ですか…?」

 

フリード「レイナーレ達の目的はお前さん達の神器、それだけなんでなぁ、抜き取ってはいおさらばって感じなんすよ。」

 

その言葉に二人は言葉を失う。

 

フリード「…どちらか片方が確実に助かる手段がある、もう片方は運任せになっちまうが…。」

 

アルス「それは、一体…?」

 

フリード「実は俺の真のリーダーがこの町に赴任するんだが、そっちに片方を預ける、もう片方はレイナーレ達をこの町に縛り付ける為に捕まって欲しいんですわ…逃げられたと分かると分散されちまうっすから…。」

 

アーシア「…それは。」

 

フリード「…アーシアちゃんの予想通りだ、捕まった方は兄貴が来るのが遅すぎれば神器を取られて死んじまう…。」

 

そう告げると同時にその場に静寂が訪れる。

 

…数分経った時、アルスが口を開く。

 

アルス「…なら、僕の妹を、アーシアを助けてあげてください。」

 

アーシア「アルス兄さん!?」

 

アルス「フリードさんがこんな嘘をつくはずがない…本当の事ならアーシア、君が助かるべきだ。」

 

アーシア「で、でも…。」

 

フリード「…本当に良いんだな?」

 

アルス「…はい!」

 

フリード「…分かった、決行は明日、先にアーシアちゃんが逃げ出して俺が指定した場所へ逃げる、アルスくんは遅れて逃げ出してレイナーレ達に捕まる…分かったな?」

 

その言葉に二人は頷く。

 

フリード「…んじゃあ帰るとしますかねぇ。レイナーレ達には伝えたから後処理はやってくれるっすわ。」

 

二人「はい!」

 

その言葉を聞き、3人はその家を後にする…。




これでこの話は終わりですわ。

…全く自分ながら嫌な選択肢を提示したものっすわ。

しかし…あの男、なんなんだ…?

あそこに現れるのが別の奴だとまるで分ってるような…?

あいつの目的はアーシアちゃんなのか…?

流石に神器が3つ持ってるわけがないはずっすわ、ま、気を付けておくとしましょうかねぇ。

次回、『邂逅』

早く来てくれよ兄貴…アルスくんも助けてやってくだせぇ…。
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