チート能力持ちのありきたりな冒険   作:ぎが

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はい、ぎがです。
20話まできました。結構進んだかなと思います。
愛着が湧いてきましたが、未だにルナとランの名前振りを間違えます。
ではどうぞ。


20話 夜は短し騒げよ酒場

「こんにちは!クエストお疲れさまでした!」

 

そう明るく言うのは受付嬢のチカさんだ。

 

「クエスト完了の報告にきたんですが。」

 

朝から色々あったため、もう昼過ぎの様だ。

 

僕らが受けたのはゴレイの討伐であったが、キリンのことも話しておかなければ。

 

「はい。では、こちらへ。」

 

チカはそういうとスウたちを奥の部屋へと連れて行く。

 

「着きました。こちら、審問官のテイルさんです。」

 

「テイルだ。よろしく頼む。」

 

物悲しいレンガの部屋には、屈強な男が一人、ポツンと古い椅子に座っていた。

 

「スウだ。よろしく。」

 

ほかのみんなもぺこりと頭をさげる。

 

「ここは初めてだったな。説明する。ここは、クエスト完遂の知らせの真偽を問う部屋だ。昔クエスト完遂と嘘をついて金を騙し盗ろうとしたやつが増えたことから、5シルバーを超える報酬の報告は、俺を通すことになっている。」

 

「なるほど。そりゃ道理だな。」

 

この世界のお金の感覚を掴んできたスウは、5シルバーと聞くと、まあ騙し取るにはちょうどいいくらいの額だな、と思った。

 

「俺が審問官をしているのにも理由があってな。とりあえずその椅子に座ってくれ。なに、すぐ終わる。」

 

「わかった。みんなはまっててくれ。」

 

スウはそういうと古ぼけた椅子に座った。

 

ほかの四人は、部屋の外で待つことになった。というか、その部屋には椅子が一つしかなかったため、出るしかなかったのだが。

 

「さて、今回の依頼は...おお、高難度クエストか。初なんだろう?素晴らしい戦果じゃないか。」

 

「まあ、結構ギリギリだったけど。」

 

この人は見た目はゴツいが、兄貴分というか、なんか頼り甲斐のある雰囲気を持ってるな。

 

「じゃあ、楽にしててくれ。これから俺がいくつか質問する。いいな?」

 

「わかった。」

 

いい人、とはいったがこの狭い空間に男と二人とか、むさくて嫌だ。

 

「黒くて白い箱の中。羊飼いは杖を持ち、箱を揺らして真を問う。黒か白かは心のままに。」

 

詠唱?なぜこんな時に。

 

「霧切。」

 

「これが俺の仕事。お前の嘘は俺には通じないぜ。じゃあ、質問だ。」

 

嘘払いの魔法。なるほど考えられている。

 

「最初に、倒したゴレイの数は?おおよそでいい。答えてくれ。」

 

「おそらく58体。結構いたから間違えているかもしれない。」

 

「いや、58であってるな。では、次だ。」

 

テイルはサラサラとその図体に似合わないほど綺麗に持ったペンで、紙に文字を並べている。

 

「指定されたゴレイ以外に、倒した魔物、生物は?」

 

「原生種は巻き込んでいなければ倒していないと思う。ただ...」

 

「ただ?」

 

「神獣...キリンというやつと出会って、倒した。」

 

「なっ!?キリンだと!?」

 

ガタッ、とテイルが立ち上がる。

 

「特定危険種ゴレイ...あの化け物と会って生き延びたどころか倒しただと?新米冒険者のパーティが?信じられん...」

 

そういいながら、落ち着いたらしいテイルは座り、頭を抱える。

 

「だが、嘘は言っていないな。信じよう。そのゴレイの特徴を教えてくれるか?」

 

「ああ。」

 

こうして、スウとテイルの話は15分ほど続いた。

 

「よう、みんな。終わったぞ。」

 

「スウさん!どうでした?」

 

「まあ普通だったな。尋問というか質問だった。」

 

「暇だったー。スウ、どっか遊び行こうよ!」

 

ランはいつでもお気楽だ。

 

「スウ、貴重は話が聞けた。ありがとう。この後すぐにクエストの報酬を算出して受付嬢づてに渡そう。かなりの額になりそうだ。期待してまっててくれ。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

そう言うと、テイルは戻って行った。

 

「かなりの額だって!すごいわスウ!あたし新しい服欲しい!」

 

パールもご機嫌だ。

 

「報酬は山分けだな。きちんと五等分して渡すから好きに使ってくれ。」

 

「わ、私はいらないです!スウ様が使ってください!」

 

「そうか。じゃあ、シルバの分は僕が貰って、代わりに僕の分をシルバにやるよ。」

 

「はい!...?あれ?それどういうことでしょうか...?結局変わらないような...?」

 

シルバをからかいつつ、五人は受付へ戻って行った。

 

「スウさん、スウさーん、いらっしゃいますかぁー!」

 

「はーい。」

 

酒場について少ししてから、よく通る声が受付から聴こえてくる。

 

「報酬が出ましたよ。今回のクエスト、お疲れさまでした。こちら報酬と、報酬の明細になります。サインを。」

 

「スウ...っと。はい、書きました。」

 

「ありがとうございます。」

 

そう言うとチカさんは軽そうな袋を持って、それを皿のようなものの上に置いた。

 

「っ!?」

 

その時、前かがみになったチカさんの首元から、チラリ、と谷間が見える。

 

「く、黒...!」

 

「はい?黒?」

 

「いいえ、なんでも!!」

 

危なかった。危うくバレる所だった。この人はとにかく無防備だ。

 

「ねえスウ、いくらになったの?」

 

ランが目を輝かせてスウに聞く。

 

「ええーっと、なになに...5プラチナ!?なんだこりゃ!?」

 

「ぷ、ぷらちな?」

 

シルバが、目をパチクリさせて首を傾げている。おそらく、プラチナという単位をよく知らないのだろう。

 

「5プラチナ!?ってことは一人1プラチナ!100ゴールド!!すごい!!」

 

ランは期待以上の戦果に大喜びの様だ。

 

「や、やりましたねスウさん!これで遊んでくらせます!!」

 

ルナもなんかおかしいテンションだ。

 

「ああ、やったなみんな!今日はパーっといくぞ!」

 

「「「「おーー!!」」」」

 

こうして、報酬を受け取った五人は、既に陽が傾き始めた酒場で、次の朝まで騒ぎ倒すのだった。

 

 

 

 




はい、読んでいただいてありがとうございます。
今回のあとがきですが、この世界の世界観について。(20話でする話でもない)
この世界には5つの大陸が存在します。それぞれ多種多様な民族が住んでいて、スウたちのいる大陸はなかでも大きめです。
といっても、県境のような区切りが決められているだけで大陸は陸続きになっており、出入りは簡単、別にほかの大陸にいっても咎められることはありません。
この世界の生物の特徴は、食えるというところにあります。
どんな生物だろうが、食べることができ、毒を持った生物が存在しません。ただし、毒は毒として存在し、それをつかって身を守る生物は多様に存在します。
次に魔力の全体量について。世界の魔力は一定で、魔力の動きはあっても魔力量は変わりません。生物が死ぬとその生物からは溜められていた魔力が空気中に放出され、大気になったりゴレイの餌になります。
またどうぞ。
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