チート能力持ちのありきたりな冒険   作:ぎが

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はいぎがです。リアルが忙しいです。
師走とはよく言ったものですね。
クリぼっち集まれーってなわけでごゆっくりどうぞ。


21話 スウという男

「おーい、〇〇!待てよー!」

 

「んー?おー、△△か。」

 

夕焼けに染まる道を、二人の少年が歩いている。

 

「誰だろう、この二人は...?」

 

スウは、その二人を遠くから眺めていた。

 

「いや、知ってるな。というかあれは...」

 

僕だ。間違えるはずもない。

 

そこに歩いていたのは中学生くらいのスウとかつての友。

 

「夢...か。」

 

夢にしては妙にはっきりとした意識の中で、懐かしい顔に思いを馳せる。

 

「〇〇、お前、今日のテストどうだった?」

 

〇〇、とはスウの昔の名前であった。

 

「うーん、イマイチかな。お前は?」

 

「俺も微妙かもな。まあ部活もあったし仕方ないってことで」

 

よくある下校中の微笑ましい光景である。

 

「この夢はもう何度も見た。僕は多分、死ぬまでこの夢を見続けるんだろうな。」

 

スウは夢の中ではあるが口に出して自分に言い聞かせるように言った。

 

「これから起きる全ては、僕の責任なんだ。」

 

「なあ、〇〇。俺、明日あの子に告白してみようと思ってるんだ。」

 

「ほ、本当か!?勝算あんのかよ?」

 

「正直ダメだと思う。けど、どうしても伝えたいんだ。」

 

そうだ。この時、友達はクラスの幼馴染の女の子のことが好きで、毎日相談してきていた。

 

「そうか...頑張れよ!きっと大丈夫だ!」

 

そう言った。それを見ていたスウの口も、無意識にそう動いていた。

 

だが。

 

本心ではそんなこと、少しも思っていなかった。

 

「僕だって、本当は応援してやりたかった。でも、そんなこと、できなかった。」

 

「だって、僕も好きだった。あの子のことが。」

 

〇〇も、その子が好きだった。一目惚れだった。だが、後から友達になった△△が幼馴染であり、更にその子の事が好き、という話をされてからは、もうどうすることもできなかったのだ。

 

「おう!頑張るぜ!」

 

そう言うと、△△は路地から大通りへと少し駆け出す。

 

「そっちは、ダメだ。ダメなんだ...。」

 

スウが小さな声で言う。決して届きはしないが、この夢を見るたびに言ってしまう。

 

「!!△△...っ!」

 

〇〇の頭に、なにかピリッとした衝撃が走り、壁の向こうから大きな何かを感じる。

 

「今思えば、これも僕の能力だったんだろうな...。昔から何かを感じる事があった。」

 

スウは知っている。この話の結末を。

 

「なあ、〇〇!俺があの子と付き合えたら、3人でパーティしようぜ!」

 

ああ。そんな顔で見ないでくれ。

 

「お、おう!約束だ!」

 

その夢は、叶わない。

 

「なぜなら、僕は気づいていたのだから。その時既に、彼のすぐ横にブレーキの壊れた大型トラックが、猛スピードで迫っていることに。」

 

いえば間に合ったかはわからない。だが、僕は言わなかった。

 

ここで、△△が居なくなれば...あの子は僕のものに...

 

僕は知っていたのだ。あの子が△△に好意を寄せていて、告白してくれるのを待っていることを。

 

昔から、人の気持ちが視覚的に読み取れる。誰にも言ったことはないが。

 

ゴッ。

 

この音はおそらくもうどんな事があっても、僕の頭から消えることはないだろう。

 

笑顔だった△△はその場からパッと消え、トラックと共に視界から消えた。

 

「僕が、殺した。」

 

△△はその後病院へ連れて行かれ、到着してから10分程で息を引き取ったという。

 

その時、彼は潰れた肺から息を振り絞り、血を吐きながら、しゃがれた声でうわごとのようにこうつぶやいていたと言う。

 

「〇〇...。あの子を...頼んだ...。お前は悪くない...。」

 

その後、△△の葬式が挙げられた。あの子は、葬式に出た後すぐに首を吊って自殺した。

 

僕は、僕のせいで大事なものを二つも失ってしまったのだ。

 

そして、僕も自殺を図った。

 

だが、何度やっても死ななかった。否、死ねなかった。

 

首を吊っても締まらない、飛び降りても無傷、薬を飲んでも無意味。

 

本当に不思議だったが、今は、自分の魔力が邪魔をしていたのだとわかる。

 

だから死ぬことは諦めたのだ。

 

僕は、あの二人の分まで生きなければ。

 

その数年後、よく似た感じにスウは死ぬわけだが。

 

死ぬときに思った。

 

「ああ、これで、やっと△△は許してくれるかもしれない。」

 

ありがとう。と。

 

そして眼が覚めると、ゼウスがいる。

 

「え?なんでお前ここにいんの?」

 

間抜けな声と共に、僕の夢の物語は終わりを告げ、そして同時に、始まりを告げるのだった。




はい、過去編ですかね。
実はこれ、かなーり話を大きくした実話が元になってたりなってなかったり。
自分も魔法使いたいです。
寒いので風邪などひかぬよう。
ではまた。
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