輝く太陽に照らされて俺は朝のトレーニングを終える。
何度見たかも分からないAdalの塔は、いつものように陰鬱かつ神秘的な姿を見せていた。
かつての大災害を受けても倒れなかったその塔は、まだ人が居た頃の都市の様子を残す数少ない建物の一つだ。
地中に埋まっている鉱石を加工し魔術的効果を付与できたAdalの民は、一時期は大帝国と呼ばれるまでに発展した。
しかしある時大地が裂け、家々は崩れ噴出した猛毒の煙によって人々は死に絶えたという。
GuidesたちはそのAdalの民の数少ない生き残りだそうだ。
この俺から餓えと空腹を無くし、死を絶対の物としない力をくれたこのマスクも、彼らの力で作りだされたらしい。
毎朝トレーニングを終えるたびにいつも考えるのは、俺は何故鍛練を続けているのかということだ。
Absolverは世界の均衡を保つ為に産み出された、Menter達はそう言っていた。
しかし世界を揺るがすような異変などは大災害以来一度も起きていない。
張りつめるような緊張感も無いままに俺は毎日の修行を続けている。
まだProspectですら無かった頃の俺は、こんな難しい事を考えるようなヤツじゃなかった。
Adalの首都から遠く離れた村で漁師として働きながら、
半年に一回の祭りで行われる決闘の為にいつも路地裏でケンカをし続ける毎日を送っていた俺は、こんな毎日がずっと続いていくのだと思っていた。
実際それで満足だったし、それ以上の生活を求めるような欲はあまり無かった。
ある時長老からAdalの崩壊とGuidesによる戦士募集の知らせを聞いた時も、決闘で一番の成績だったというだけで選ばれて、俺自身すぐに帰って来れるだろうと思って特に深く考えず承諾した。
しかし着いてからは修行修行の日々、いつ帰れるのかと思いながらも試練を突破して、Absolverになってからも未だ帰れず、まだ俺は鍛練を続けている。
昔を思い出し少し寂しい気持ちになっている間に、日はもう頭上高く昇っていた。
突っ立っててもただ無意味に時間が過ぎていくだけ。
とりあえずBridgeに戻ろうとした、その時。
目の前を何か金色の粒子が舞っている事に気付いた。
既視感を感じつつも足元を見ると、足首から先が無くなっていた。
消失はどんどん進んでいく。
腰辺りまで来たときにやっと既視感の正体を思い出す。
Absolverとして認められた時、Adalの塔で同じ事を体験したのだった。
何故俺がまたMenter達に呼ばれるのか、疑問も晴れないままに俺は転移した。