IS×NW~世界を渡りし者~《更新停止》   作:戒炎

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もう寒いとしか言いようがないですよ。でも春には花粉症ががが。
救いはナインデスカ!?


武と暴力、凶獣への道その2

~~ある日の夜~~

 

 今日は簪が珍しく飯時に部屋にいたので、学食ではなく俺の手作り料理を振舞う事にした。と言ってもそんなに難しい物ではなく、コロッケだ。故に、腕が問われる。

 少し戸惑ってはいたものの、彼女は了承してくれた。

 食は偉大なコミュニケーション。他人と仲良くなるにはまず胃袋をキャッチするのが良し。という訳で。

「ふんふふんふんふんふっふ~ん♪」

 ガタイに似合わず、思わず鼻唄が漏れる。案外、コロッケやハンバーグのタネ、生クリームなんかを作っている過程が大好きなのだ。もちろん、誰かに食べてもらうのも大好きだ。

 小さい頃は篠ノ之家でお手伝いしたり、余裕がある時は一夏と料理対決をしたものだ。

「揚げれ~ば、コロッケだ~よ♪」

 さて、これで完成だ。

「忍~者○ットリ~♪」

「なにーーーーーー!?」

 どうした簪?突然大声出して。

「旺牙!?キテ○ツはハッ○リくんじゃないよ!?」

「なにが?」

~~そんな関係の無い夜~~

 

 

 

 さて困った。少しでもISに慣れておきたかったが、予備機は無し。予約は一杯。

 上級生に啖呵切っといてなんだが、やはり稼働時間の差は埋めようが無い。

 今の俺に出来る事は実際に身体を動かしてのISのイメージトレーニング、知識を詰め込む、この二つだろうか。まだ何かあったら誰か教えてくれ、意外と切羽詰ってるんだから。

「なあ旺牙。」

「ん?ああ一夏か。どうした?」

 なんだか随分久しぶりな気もするが、まだ入学して一週間と経ってないんだよな。

 なのに何故かまともに会話したのが遠い昔に感じる。俺も歳か(精神年齢三十歳)。

「なんか遠い目してるな。何かあったのか?」

「いや、なんでもない。それよりなんの用だ。」

「ああ。箒がISについて教えてくれるって言うんだ。だから旺牙もどうかと思って。特訓も一緒に兼ねてさ。」

 ほう、箒がね。・・・あれ、箒ってISに詳しかったか?むしろ束さんの件で忌避してるような・・・。

 本当に本人の意志か?状況に流されでもしたんじゃないか。その光景がありありと浮かんでくるぞ。

 それと箒さんや。一夏の後ろから『断れオーラ』を出さないでくれ。いくら一夏と二人で練習したいからって、正直怖い。

 俺だって幼馴染みなんだから平等に、扱えないよね。なんたって君は一夏にラヴなガールなんだから。でも、恋する少女はそんな殺気を放たない方が良いぞ。

「悪いけど遠慮させてもらうよ。」

「え!?何でだよ!?」

 後ろの娘が怖いから、とは言わない。別にそれが理由ではないからだ。

「俺の武はまだ武じゃない。ただの暴力だからって理由じゃだめかな?」

「??何だよそれ。」

「俺は自衛か、相手を叩きのめす方法しか知らない。力で敵を踏み砕く暴力だ。誰も護れやしない、非道の技と力だ。でも、俺はそれじゃ満足できない。誰かを護れる、『武』を身につけたいんだ。お前もそうだろう?力があるなら誰かを護りたいだろ?今の俺と特訓したら、そんな暴力がうつっちまうよ。」

「そんなもんかな・・・?」

 まあ、まだ力の何たるかを知らない一夏には解らない話だろうがな。

 む?箒が何やら思いつめたような顔をしている。

「どうした箒?」

「あ、いや。なんでもない・・・。」

 煮え切らない答えが返ってくる。学園に入学したからの態度が情緒不安定で、少し心配だが下手に踏み込めば初日の二の舞になりかねん。今は放っておこう。

「知識のほうもお互いに別々で勉強しようぜ。決戦当日に互いにその成果を出し合うってことで。」

「ん~、何だかはぐらかされてる気がするけど、わかったよ。お前、昔から勝負事には真剣だったもんな。」

 なんとか納得してくれたようだ。

 こいつは気付いていないだろうが、俺は徒手空拳が得意だ。対して一夏や箒は剣道を扱う。特訓方法は最初から違うのだよ。

「じゃあ、俺は先に行くな。」

「え?授業終わったばかりだぞ。」

「やることがあるんだよ。んじゃな。」

 ちょっとカンニングにな。情報戦も戦いの一つなのだよ。

 

 

 

----箒SIDE----

 暴力、か。あいつの言葉はいつも耳が痛くなるな。

 家族がバラバラになって、一夏や旺牙と別れてからの私は、私の剣は暴力に塗れていたと思う。苛立ちを相手にぶつけながら。自分の強さを誇示するように。

 そうしなければ、私の心は砕けていたかもしれない。だが、武術家としてはどうだろう。人にモノを教える資格があるだろうか。

 ・・・それでも、今は一夏に再会できたことを喜ばせて欲しい。

 すまない、旺牙。お前の言葉は、胸の奥に仕舞わせてもらう。

--------

 

 

 早速学生寮に戻ってきた俺は、誰の気配も無いことを確認し携帯を取り出し、とある人物の番号を呼び出す。

『ラブリーラビット束さん』・・・なんか登録名変わってる?まあいいや。

 prr『もっしーー☆貴方のウサギちゃん、篠ノ之束さんだよーーーー!!』

 あっという間に出たよ。見てたんじゃないだろうな。

「もしもし束さん、旺牙です。今いいですか?」

『おーくんのためならいつでもウェルカムだよ!ご飯も食べに行くし、どこかの国を消しちゃうし、なんだったら身体だって・・・ポ♪』

 相変わらずトンデモねーこと言う人だな。あと年頃の女性が身体を安売りしない。

「いえね、『凶獣』ってどういうISなのか気になって、いっそのこと聞いちゃおうかと。」

『ふむふむ。おーくんは意外と強かだよね。うーん・・・、どうしようかなぁ。内緒にして驚かそうと思ってたんだけどな。』

「特製イチゴのショートケーキで。」

『んっとね!』

 チョロい。

『簡単に言うと、防御主体の格闘型ISだね。シールドエネルギーが高い代わりに、攻撃に回ると急に燃費が悪くなるピーキータイプだね。』

 ほうほう。そうなると、試験の時みたいな戦いが合ってるかな?

『あと、おーくんの言ってた『異能者』の超能力が再現できてます。』

 は!?

「あんな無茶なもんを再現できたってんですかい!?」

『うん。ちょっと協力者がいてね。気に入らない奴なんだけど、思念をISに通して今までの機能と違う、『凶獣』だけの機能として独立させたんだよ。ホント、気に食わない奴なんだけどね、技術と知識は束さんも認めるよ・・・。』

 束さんに嫌われる人間がいるとわ!?大抵の人間を認識しないこの人に認識されるなんて相当の人物だ。

 それに束さんに認められる知識人か。・・・『あの人』を思い出すな。

「つまる所、俺が転生前同様に戦えるようになってるってことですか?」

『多分ね。後はどれだけオカジマ技研がやれるかだよ。あ、残りは秘密だよ。いっくんとも戦うんなら、少しでも同じ条件じゃなきゃね♪』

「はいはい、ありがとうございました。それじゃ。」

『あ、ちょっ』

 必要な情報だけを聞き出し、電話を切った。

 女性との会話の切り方としては良くないだろうが、あまり長引かせると余計な話にも繋がりかねない。今掛けなおしてこないのが不思議なくらいだ。もしかしたらその気に食わない奴、とやらに止められていたりしてな。

 とにかく、ちょっとしたカンニングが済んだことだし、次の手を打っておくか。

 

 

「お帰りなさいませ、簪様。」

「・・・何、突然。」

 部屋に帰ってきた簪に対し、日本伝統のDO☆GE☆ZAで出迎える。

 普通の人間なら俺の気が触れたと思っても間違いないだろう。だが、プライドを捨てても得たいものがある。

「簪。お前が忙しそうにしているのはなんとなく分かっているつもりだ。だけど、この俺に協力してはもらえないだろうか!」

「え?一体、何を?」

「俺に、ISの事を教えてください!」

「え?え?」

 状況を飲み込めていない簪。それもそうだろう。いきなりこんな事を言われて、すぐに察しろと言う方が難しい。

「と、とりあえず顔を上げて。ていうか土下座を止めて・・・。」

 お許しが出たので立ち上がり、お茶を二人分淹れてテーブルに着く。

 まだ彼女は戸惑っているようだ。椅子に座っていても固まっている。視線も落ち着かない。

 このまま簪が己を取り戻すまで待つのでは時間が勿体無いので、俺から話を切り出す。

 

「ようするに、セシリア・オルコットと織斑一夏に勝つために、ISの知識が欲しい、と。」

「その通りでございます。」

「だから敬語は止めてってば・・・。」

 今の俺にはISが無い。かと言って、何もしないわけにもいかない。

 一夏にああいった以上、俺個人が勉強すらしないというのは、勝負を舐めきっているも同じだ。

 ここは頭を下げてでも、俺より知識に長けた人間に教えを請いたい。

「でも旺牙って、ISの事知らないわけじゃないんでしょう。授業にもついていけてるって噂も聞いたし。」

 授業にはなんとか喰らい付いていけている。だがそれでは一夏に勝てても、オルコットには勝てない。

 そもそも基礎の時点で俺は彼女に劣っているのだ。操縦技術での差を、知識で埋めるしかない。たとえどんな化物機体が支給されようとも、だ。

「代表候補生にこんな事を頼むのはお門違いなのは解ってるつもりだ。」

「・・・知ってたんだ。」

 更識簪。日本代表候補生。彼女が同室であり、多少は会話する間柄になれたのは幸運だった。

 俺の頭の中には、少なくとも代表候補生の出身と名前が記録されている。

「上級生に啖呵を切った、て噂もあるよ。」

「一年の問題に上級生を巻き込むわけにもいくまいよ。」

「・・・私はいいの?」

「同学年で同室だからな。」

「・・・矛盾だらけ。恥も外聞も無いの?」

 少し冷たい目でこちらを見据える簪。この数日で初めて見る目だ。だが、そんなモノに竦む今の俺ではない。

「それでも、勝ちたい場面があるんだよ。」

 俺も負けじと睨み返す。

 数秒が、数分にも数十分にも感じる沈黙。

 それを破ったのは、簪の困ったような笑みだった。

「ヒーローとは程遠いね。」

「俺はそんな柄じゃないよ。」

 つられて俺も苦笑する。俺にヒーローなんて向いてないよ。

 ただ勝ちたいという、我が侭を押し付けているだけだ。

「そこまで力になれるとは思わないけど、私で良かったら手伝う。本音もお世話になってるみたいだし。」

「ん?あの娘のこと知ってるのか?」

「うん。長い付き合いだから。」

 世間って狭い。

 そうして俺は簪からISの基礎知識を改めて教えてもらえることになった。

 彼女にも自身の用事があるのでそう多い時間は取れないが、それでも百人力だ。

 そちらの手伝いを申し出てみたが、一人でなんとかしたいらしい。そう気負わず、頼って欲しかったが、まだそこまで踏み込める間柄になっていないのだから仕方ないか。

 

 それからの数日間、朝は鍛錬、昼は授業、夜は簪のレッスンとなった。

 辛いとは思わなかった。全ては勝利のため。なにより、簪には悪いがこの程度、『あの人』に比べれば苦にもならなかった。むしろワクワクするほどだ。知識が自分の血肉になっていくのが、緩やかだが分かる。

 ホント、『あの人』の鍛錬は血反吐を吐いてからが本番だからなぁ・・・。

「あら。軟な男のくせに、最近頑張っているようですわね。」

 オルコットの挑発的な言動も、勝利への可燃剤にしかならねぇ。

「俺をそこらのひ弱と一緒にするな。俺には侍っていう益荒男の血が流れているんだからな。」

 俺は徒手空拳だけどね。こんな冗談も言えちゃうほどだ。

「ふふ。ま、無様な戦いにならないよう足掻きなさいな。勝者は唯一人、このセシリア・オルコットのみなのですからね!」

 髪をふぁさっとなびかせ、自席に戻って行く彼女を見送る。しかしやけに様になってるよなあの動作。感心しちゃうよ。

 だけど見とけよ。俺だってただで負けてやれないんでね。その背中に向って獰猛な笑みを送っておいた。

 あれ?クラスの皆、なんでちょっと引いてるの?俺怖くないよ?

 

 

 そして、決戦の日が訪れた。

 

 




冒頭のネタ知ってる人、今どれぐらいいるんだろう?

何度も出てくる『あの人』はオリキャラです。いつか出てきます。
いつになるかな~。
そして次回からやっと決戦!ここまで無駄に長かったぜ!
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