IS×NW~世界を渡りし者~《更新停止》   作:戒炎

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一夏とセッシー戦は流します。はよ先に進まんと何時までたってもオワラネェ。
オルコッ党の方々申し訳ない。


相対する蒼と紫

 

 月曜日、とうとうオルコットとの対決の日がやってきたわけだ。

 知識の詰め込み、体術の仕込み、イメージトレーニング、やれることは全てやってきたつもりだ。少なくとも、無様に負ける事態にはならないだろう。

 なによりプライドと上級生に吐いた言葉を捨て去ってまで簪に講義を受けたのは予想以上に効いた。

 俺の心配は無い。心配なのはもう一人のほうだ。

「なあ、箒。」

「なんだ、一夏。」

 我が親友、織斑一夏のことだ。

「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」

「・・・・・・。」

「目をそらすな。」

 こいつら、六日間剣道の稽古はみっちりやったらしい。

 だが、肝心のIS関連についてはまったく触れていなかったそうな。

 そりゃやりたくてもISが無いんだから操縦訓練は出来んかったろうが、まさか教科書のページすら開いていなかったとなると、こりゃ救いもねぇ。

 確かに俺も身体を動かしてたけどさぁ、知識面も大事だよ?

「お前らな、そんなんで大丈夫かよ。」

「旺牙こそ、なんでそんなに落ち着いてるんだよ。」

「やることはやりきった。後は結果だけだ。なにより俺は喧嘩しに来てるんだぜ。背負う者も無けりゃプレッシャーも無い。一夏こそ落ち着いてるじゃないか、見た目は。」

「俺のは空元気だよ・・・。」

「情けないぞ一夏!それでも男か。」

「誰のせいだよ!?」

 一夏と箒の間に堅さが見られない。この六日間で角が取れたのだろう。

 幼馴染みとしてそれは嬉しいが、今喜んで良いのやら・・・。

「ま、ここまで来ちまったもんはしょうがないだろう。覚悟を決めろよ一夏。」

 バンッ、と背中をはたいてやる。軽くやったつもりだが一夏は大分痛そうにしていた。精進が足りん、精進が。

「痛いじゃないか!?・・・まあ、今ので色々と吹っ切れたよ。サンキュー。」

「いいってことよ。」

 だが問題はまだある。もうすぐ試合開始だと言うのに、俺達の専用機はまだ到着していないのだ。

 このまま不戦敗という状況だけはなんとしてでも避けたい。

 頼む。間に合ってくれ・・・。

「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」

 この第三アリーナ・Aピットに飛び込んできたのはお馴染み副担任山田真耶先生。

 いつもの慌てぶりに輪をかけての慌てぶり。慌ての二乗じゃ。・・・何言ってんだろう俺。

「山田先生、落ち着いてください。はい、深呼吸。」

「は、はいっ。す~~は~~、す~~は~~」

「はいそこで止めて。」

「うっ」

「バカヤロウ。」

 一夏の頭を、今度は力を入れてはたく。悶絶しているが知ったこっちゃない。

「山田先生も、こいつの馬鹿にわざわざ付き合わないでくださいよ。」

「ぷはあっ。え?いいんですか?」

 相変わらずの天然っぷりである。本当に年上なのかこの人。もしくは素直すぎるのか。

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者。」

 パァンッ!と一閃。伝家の宝刀「出席簿」の切れは今日も素晴しい。

「千冬姉・・・。」

 パァンッ!

「織斑先生と呼べ。学習しろ。さもなくば死ね。」

 スゲェ。教育者が一介の生徒に対して言って良い暴言じゃねぇ。そんなんだから彼氏の一人も出来んのだ。

「ふん。馬鹿な弟達にかける手間暇がなくなれば、見合いでも結婚でもすぐ出来るさ。」

 さも当然のように心を読むなよ。てか俺も弟にカウントされてるんかい。

「そ、そ、それでですねっ!来ました!織斑くんの専用IS!」

 

 そこには『白』があった。

 飾り気の無い、無の色。眩しいほどの純白を纏ったISが、その装甲を開放して操縦者を待っているようだった。

「これが・・・。」

「はいっ!織斑くんの専用IS『白式』です!」

 興奮気味に山田先生が叫ぶ。この人の性格上、ここまでテンションが上がるのは珍しい。

 織斑先生に促され、一夏が白式に背中を預ける。展開していた装甲が閉じ、一夏を護るようにISが装着される。

 その姿は、これから戦場に赴くに相応しい姿だった。

 まだフォーマットとフィッティングも済ませられていない状態。

 それでも、戦士の様相を醸し出している。

「ISのハイパーセンサーは問題なく動いているな。一夏、気分は悪くないか?」

「大丈夫、千冬姉。いける。」

「そうか。」

 それだけの会話で、織斑先生の心配も一夏の覚悟も読み取れる。

 やれやれ、下手に歳食うもんじゃないね、二人の気配にまで気付いちまうとは。

「箒、旺牙。」

「な、なんだ?」

「・・・。」

「行ってくる。」

「あ・・・・・・ああ。勝ってこい!」

「お前の意地、見せてやれ。」

 俺達の言葉に首肯で返し、一夏はアリーナへと飛び出した。

 

「勝てるだろうか・・・、一夏は。」

「さあな。」

「さあな!?お前がそんなに薄情だとは思わなかったぞ旺牙!」

「ムキになるなよ箒、戦うのは一夏だ。さっきの顔を見ただろう。ああなったアイツは無様を晒すような事にはならんさ。」

「・・・ああ、そうだな。」

「それでも不安なら、祈ってやれ。応援してやれ。お前に出来るのは、それだけだ。」

「・・・相変わらず厳しいな。」

「お前に言われたくはないよ。」

 勝てよ、織斑一夏・・・。

 

 

 結果だけ言おう。一夏は負けた。敗れた。敗北した。あんだけかっこつけてたのにノコノコ帰ってきやがった。

「お前さぁ!?もうちょっと慰めとかさあ!?」

 負け犬がなんか言ってるが無視。

 まぁ良い戦いであったことには違いない。

 オルコット相手に苦戦はしたものの途中から動きに慣れてきた。

 オルコット必殺の隠し玉も、一次移行(ファースト・シフト)で凌ぎきった。

 いざ、反撃に移ろうとした矢先、エネルギーが切れて敗北。

 家族を守る、千冬さんの名を守ると言ったのはいいが、結果がこれではな。

 ま、一夏には悪いが、オルコットのISブルーティアーズ、及びその特殊兵装『BT兵器』も、彼女の癖も見せてもらった。あとは。

「来たぞ志垣。お前の専用機がな。」

 そう。二人の戦闘中、俺のIS『凶獣』が届いた。

 その色は禍々しいほどの紫。

 白式を騎士と呼ぶなら、こいつはまさに獣。武骨なその姿は敵を喰らう野獣。

 ブルーティアーズも清廉されたISだったが、どこに差がついた。

 顔も全身も覆うフルスキンタイプの凶獣には角も生えている。完全に悪役面だ。

 だが、この角ばったイメージのある姿、俺は好きだ。

 時間も無いので粛々と装甲を装着していく。

 その中で、打鉄とは違う、確かな一体感を感じた。

 俺の全てを覆うのは、冷たい鉄の塊ではない。自ら、この志垣旺牙の半身であることが分かる。

 ああそうだな、俺達は二人で一匹の獣だ。ISには意識のようなものがあるという事が、今はっきりと感じ取れる。

 油断も慢心も無い。ただ、高揚感が募っていく。

「一夏。」

「ああ。」

「俺は、勝ってくるぞ。」

「ああ、勝てよ!」

 まったく、箒の時と同じじゃないか。

 俺は、いや『俺達』はアリーナへと飛び立った。

 

 俺を待ち受けていたのは、少々ボーっとしたオルコットだった。待たせすぎたか?

「おーい。大丈夫か?」

「!?も、問題ありませんわ!」

 俺の言葉に明らかに動揺する彼女。何だか嫌な予感がする。

「それにしましても、操縦者に品が無いとISも下品ですのね。優雅さの欠片もありませんわ。」

「それでいいんだよ。俺は『獣』だからな。」

「なら、この戦いは円舞曲ではなく狩りになりそうですわね。わたくしの獲物としては少々不細工ですが。」

 確かに凶獣は他のISより一回り大きいが、そこまで言うかね。

 俺は手足を振ったあと、だらりと全身の力を抜く。いつでも獲物に跳びかかれるようにだ。

 オルコットさんよう。アンタは狩りと言ったがな、狩りってのは武器を持った人間と獣がやっと対等なんだぜ?それを教えてやるよ。

 ハイパーセンサーに立花、嶋田、本音、それに簪の姿が映った。

 オイオイ。これじゃあ負けられない理由が増えちまったじゃないか。

 もし俺を応援してくれてるなら、それに応えるのが漢気ってもんだろ。

 試合開始のカウントダウンが始まる。改めて力を入れなおし、構えをとる。

 速攻だ。『BT』は、超近接戦なら使いにくいはずだ。

 防御重視のこの機体なら、ミサイルも防ぐ自信がある。というより、武装の中に『バリアントウォール』を見つけた。どうやら本当に俺の超能力、『異能者』の力を再現出来ているらしい。

 ならあとは、突っ込むだけだ。

 カウント3・・・

 行くぞ

 2・・・

 行くぞ

 1・・・

 行くぞ!

 0!!

「うおおおおおぉぉぉぅぉうおぉぉっ!?」

「え?きゃあ!?」

 全スラスターを噴かして突撃したら、あっという間にオルコットを追い抜いてしまった。いくらなんでも急加速すぎである。

 武装を調べてみると、背部に四基、肩に二基、踵に二基、計八基のバーニアスラスターが取り付けられていることが解った。やりすぎである。

 鈍重な機体を補うためにあるのだろうが、逆に超加速を身につけてしまっている。

 この状態で瞬時加速なんぞしたらどうなるか・・・。俺そこまで高速戦闘得意じゃないのに。

 改めて相対するとオルコットも面食らったような表情をしていたが、そこは代表候補生、すぐに建て直し、『BT』を飛ばしてきた。

「多少スピードが速くても、このオールレンジ攻撃に耐えられまして!」

 レーザーの雨が降りかかる。それに対し、『バリアントウォール』を展開。

 エネルギー消費10。損傷無し。

 それが答えだった。

「な!?反則的な硬さですわね!」

「これが売りなんでね!」

 ガードを固めながらオルコットの攻撃を観察する。

 一夏との戦いを観ていて思ったが、やはりオルコットの攻撃は『正確』すぎる。死角を的確に狙い、教科書のような射撃で弱点を撃ってくる。

 逆に考えれば、正確すぎて狙う場所が解りやすいのだ。上下左右、『視認』しにくい所を攻撃してくる。ハイパーセンサーのお陰で見えはするが、感覚的に難しい場所。

 そこに意識を持っていくやり方はウィザード時代に『覚えさせられている』。

「丸まっているだけでは、このわたくしには勝てませんわよ!」

 解ってんだよ、んなこたあ!

 背後からの気配に身体を動かし、振り向き様に蹴りを見舞う。

 ガシャンという音とともに『BT』が一基破壊される。

「くっ!」

 オルコットのブルーティアーズのスカート部分からさらに『BT』が射出される。一夏戦で使った『弾道型』だった。これで残りの『BT』は五基になる。

「さっそく本気になってくれて嬉しい限りだよ。」

「お黙りなさい!」

 軽い挑発を送り、左手を突き出し半身の構えで再び相対する。

 迫り来るミサイル。この武装を試してみよう。

「ふんっ!」

 突き出した左手からエネルギーの塊を飛ばす。遠距離用武装『伏竜』。本来は龍使いの特技だが、これも『バリアントウォール』同様再現されている。

 その二撃でミサイルを撃墜する。直撃に耐える自信はあったが、念のためだ。余計なダメージは受けたくない。

 そのままジャブの要領で『伏竜』を連射する。当たれば儲けモンのつもりで撃つ。こちとらまだ一次移行もまだなんだ。少し時間稼ぎをさせてもらう。

 

 




いつものやつ~

『バリアントウォール』・・異能者の特技。超能力で壁を作り、攻撃を防ぎ、ダメージを軽減する。

『伏竜』・・龍使いの特技。衝撃波や竜のエネルギー放出して遠距離攻撃を行う。
波動拳やかめはめ波のようなものと思ってくれれば可。

変なところで区切ってスイマセン。予想以上に長くなりそうなんで、いったん区切ります。
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