書きたい事は沢山あるのですが、それを文字に起こす能力が私には無いのです。
それでも邁進していこうと思いますので、拙い文ではございますが最後までお付き合いください。
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旺牙とセシリアが侵魔と戦闘を繰り広げている上空、それを見つめる一つの影があった。
黒いその影は背中が大きくブロック状にせり上がる異形であり、肩も大きく開いていた。『それ』は『IS』であった。
異形と評したのは、謎のIS、ゴーレムや凶獣と同じ顔から全身を覆う全身装甲タイプだったからだ。
ISは紅く染まった戦場を見て思う。
(強化型Anti-KAGUYAの成果は上々。ゴーレムに関しては、あいつ、俺の話を聞かんからこうなる・・・。)
ISの主は呆れて嘆息する。
右手にライフルを展開しトルトゥーラを狙い・・・止めた。
「ここを乗り切れればお前はさらに強くなる。それが出来なければ、死ぬだけだ。」
くぐもった声でそう吐き捨てると、再び傍観に徹する黒いIS。
(しかし織斑一夏以外にも素質がある者がこうも多いとは。やはり俺たちのような存在は惹かれ合う運命か。)
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「セイヤッ!」
魔法を放とうとする侵魔の頭を蹴り砕く。レッサーデーモンごとき敵じゃないが、何分数が多すぎる。一般生徒に被害がいかないように守りながらの戦い、さらには早く一夏と鈴の所へ行かなければ!
「そこ!」
俺に飛び掛ろうとしていた侵魔の額にスターライトmk-Ⅲの光が突き刺さる。
一撃では倒れなかったようだが、すかさず拳で腹に風穴を開ける。
「サンキュー、セシリア!」
ここにくると彼女の存在は有難い。侵魔に恐れず攻撃を仕掛け、なおかつ攻撃が通る仲間は得がたい。
「お前は援護に徹してくれ!怖くなったらいつでも下がって良いぞ!」
「お生憎様!不思議と恐怖は感じませんの!それより、別にわたくしが全て倒してしまっても構わなくってよ?」
おいおい、そんな事言ってると本当に死ぬぞ。
だが何故恐怖を感じない?普通の人間なら下級とはいえ悪魔を見たら取り乱すはずだが・・・。まあ、今は難しいことを考えている暇はないか。
まずは速攻でこいつらを消し飛ばす!
「ホッホッホ。たった二人でよく粘る。ならば『ヴォーティカルカノン』!」
奴め、一体何処に・・・しまった!?
「なに!?」
「くそがっ!間に合えっ!」
全スラスター、ブースターをフルスロットルし、『中継室』の前に向う。野郎、ISもどきと同じようなことを!あそこにはまだ箒がいるんだぞ!
空間を捻じ曲げた魔力の砲弾が中継室に迫る。
ドガアンッ!と、空間が大爆発を上げる。
「なんとか、間に合ったか・・・。」
完全防御体勢で魔力砲を受け止めた凶獣。だが、固有名持ちの侵魔のヴォーティカルカノンを受けて、エネルギーがごっそりと減ってしまった。そう何発も耐えられんぞ。
「お、旺牙・・・。わ、私は・・・。」
「話なんかしてる場合じゃねぇ!早く逃げろ、少なくともそこから出ろ!護る対象が多い分負担が増えるんだよ!」
「・・・分かった!」
箒は中継室に元からいた人間を担いで出て行った。あいつ力持ちだな・・・。なんて変なこと考えてる場合じゃない。
トルトゥーラめが!あいついよいよ自分から攻撃仕掛けてきやがった。
しかも戦闘能力が無い人間を狙うとは、性格の捻じ曲がった野郎だ。
「セシリア、早速で悪いが作戦変更!俺は完全に護りに入る。なんとかデーモンを倒してくれ!」
「了解ですわ!あのような卑劣な輩の好きにはさせません!」
話が早くって助かるよ本当に。
「まだまだいきますよ!ヴォーティカルカノン!」
今度は観客席か。正々堂々なんて言葉を知らないらしいな。
またも全力で客席の一部に飛び込む。
バリアントウォールがあるとはいえ、やっぱり連発は辛いな・・・。
「あ、志垣くん・・・?」
「おう立花、無事か?」
目の前に立花がいたので、強がってニヒルに微笑んでみる。といっても、向こうからじゃ俺の顔は見えないだろうが。
「だ、大丈夫なの志垣くん!?」
「おう嶋田。悪いが二人に頼まれて欲しい事があるんだ。」
今アリーナにいる生徒を、出来るだけ一箇所に集めて欲しい。
その方が護りやすいからだ。
だがこれには少々危険が伴う。移動中に侵魔が攻撃してきたら、どうなるか。
そこは俺とセシリアの腕を信じてもらうしかないが。
「・・・分かった。やろう萌。」
「胆が据わってるね沙紀!なら、ちゃんと護ってよね志垣くん!」
「あいよ。」
女の子に危険な事させるんだ。命張って護り通してやんよ!
「ヴォーティカルカノン!」
「まだまだ!」
あれから三十分は経っただろうか。レッサーデーモンの攻撃を受けつつ、セシリアがBTとスターライトで奴らを各個撃破。どうやら知能は高くなかったようだ。
トルトゥーラの攻撃も一般生徒を狙ってきたが、その都度護ることはできた。
だが、俺のほうも限界が近い。ヒールで治しながら防御しているが、エネルギーがもう500を切った。フルスキンの顔面が半分露出している。これ以上の防御は危険か。
月匣内でこちらから外に出れない、外からこちらに援護が出せない。
いや、援護が来ても、奴相手にどこまで通用するか。
「まったく忌々しい奴らだ。わたしの攻撃を受けきり、わたしの配下を全て始末してしまうとは。計算外にも程がありますよ。」
始末?ああ、セシリア、やってくれたのか。あの数をよく・・・。
「旺牙さん!?大丈夫ですの!?」
は!?いかん、呆けている場合じゃない。
「どうするトルトゥーラとやら。もう部下もいないんだろう?ここで終いにしとかないか?」
「ほっほっほ。ご冗談を。我らが大望を阻む者がいるのにおめおめと逃がすはずがないでしょう。・・・そうですね。あなたとわたし、一騎打ちをして、もしあなたが勝利すれば、ここは見逃すと言う趣向は。絶望的ではあっても、チャンスは万に一つありますよ。」
よし、掛かった。知将とか軍師とかほざいてるが、中身は唯の慢心野郎だ。
「なら一夏と鈴をこっちに渡せ。」
「良いでしょう。どうせ全員消えるのです。それが遅いか早いかなど些細なこと。」
これまた一つ。調子に乗りやすいなこいつ。
俺とセシリアで二人の傍まで近づき、それぞれを担いで観客席まで戻った。
一夏は顔面蒼白でぐったりしており、鈴は身体を小刻みに震わせていた。
俺の魔力でなんとかなるレベルかは分からないが、月匣が展開されている今、やってみる価値はある。
「『キュア』」
キュアを唱えると、二人の顔色は正常に戻り、呼吸も安定してきた。よし。これで戦いに専念できる。
「旺牙さん・・・、今、何をしましたの?」
「ん?ちょっとしたおまじないさ。じゃ、行ってくるぜ。」
「あ、ちょっと!」
セシリアの言葉を無視し、トルトゥーラと対峙する。
「大分傷を負ってますね。では特別に大サービスいたしましょう。ヴォーティカルカノンは使わないでいて差し上げます。」
「随分気前が良いな。余裕か憐みか?」
「ホッホ。両方ですよ。では、『ヴォーティカルショット』。」
結局虚属性魔法かよ!だがこれならガードできる。
腕をクロスアームで固めながら、魔法を喰らいながら前進を続ける。
ダメージは最小限だ。いつか届くまで。諦めない。
「本当にしぶとい奴だ。ならば、ヴォーティカルショット。」
大丈夫!防げる。これを防いで、一気に距離をつめる。
そうすれば俺の距離・・・!?
な、何だ、今の・・・。
「ホッホッホ。ようこそ、わたしの悪夢の世界へ。」
しまった。奴には、これがあった。
「どれどれ。まずはあなたのトラウマを覗かせてもらうとしましょうか。」
!?止めろ!それに触れるな!
「ほうほうほう。ウィザードのテロ組織の壊滅。随分過激なお仕事でしたね。」
止め、ろ。
「おやおや。あなたが殺した人間の中にはイノセントも含まれていたのですか!」
ヤ、メ、ロ・・・。
「なんと!幼い無垢な子供までその手にかけるとは。我ら侵魔も顔負けの悪行ですね。」
・・・・・・。
「調子に」
「ん?なんですか?」
「調子に乗ってんじゃねえぞコラァッッ!!!!」
『単一仕様能力 獣王悪食 発動』
その声を最後に、俺の意識は飛んだ。
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「インカネーター発動・・・。」
それからの戦いは一方的だった。
全速力でトルトゥーラの懐まで接近した旺牙は両の掌底を放つ。
「がふっ!な、なにっ!?わたしの悪夢が効かないだと!?」
その言葉を無視し、『龍門』による連撃をその巨体に叩き込んだ。
一、十、百、まだ止まらない。
「錬気怒涛拳!」
「ぬああぁぁぁっっ!!」
吹き飛ぶトルトゥーラ。その後を一足飛びで追う旺牙。
「一閃錬気蹴!」
「ぶはっ!?」
回し蹴りをもろに受け、仮面が砕け散る。中身は壮年の男の顔だった。
だが、今は関係ない。もとい止まらない。
旺牙がキレてしまったのだから。
「凶獣のエネルギーはもう少なかったはず・・・。なぜ全力で、あんな動きが出来ますの・・・?」
セシリアの疑問も無理も無い。燃費の悪い凶獣では、今の攻撃だけでシールドエネルギーが尽きていてもおかしくない。なら何故動く事ができるのか。
単一仕様能力『獣王悪食』。それは獣が餌を食らうが如く、あらゆるエネルギー、それこそISのシールドエネルギーや侵魔、ウィザードの魔力を喰う。
つまり、敵にダメージを与えれば与えるほど、自らのエネルギーを回復させるのである。
「破を念じて、刃と成せ・・・。」
そして放たれる、現在の旺牙の奥義。
「ぐ、あ、あぁ・・・、やめ、」
トルトゥーラの哀願の言葉も、もう届かない。
「念導龍錬刃ッ!!」
「ぐあああああああああああっ!!」
そして、一つの戦いが終わった。
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くそ、やっと意識が戻ってきた・・・。
早く倒さないと、皆に被害が、ってアレ?
アイツが倒れてて、俺が立ってる?
てことは、俺は倒したのか?駄目だ、記憶が飛んでる。
「ぐ、ごほっ」
状況はよくわからないが、とにかくトドメのチャンスだ。
動いてくれよ、俺の体・・・。
「そこまでだ。」
アリーナに重厚な声が響く。
すると空から青紫の鎧を着た長髪の偉丈夫が降りてきた。
この男もまた二mを越えているだろう。その巨体に相応な鋭い眼光が俺を射抜く。
こいつ、強い・・・。もしかしたらトルトゥーラよりも・・・。
「兄者、ここは退くぞ。」
「こ、このわたしをここまで虚仮にしたウィザードを、放っておけと!?そんな無様なことが出来るわけ」
「母者からの招集だ。」
「くっ!あなたたち、命拾いをしましたね。ここは退却するとしましょう。」
「命拾いははたしてどちらかな?」
「お黙りなさい!!」
なんだやつら。急にやってきて揉め始めた、って。
「ま、待て!」
「貴様も、今はその傷を癒すが良い。俺は覇王軍が一の猛将『テレモート』。いずれ、再び相見える時が来よう。」
それだけ言うと、テレモートと名乗った男はトルトゥーラを担ぎ消えてしまった。
奴もまた侵魔、か。
覇王軍、一体何者なんだ・・・。
「まずは負傷者の救護に当たれ!謎の男達の探索はその後だ!」
どうやら『ルーラー』がいなくなったことで月匣も解除されたらしい。
後は、先輩や先生達に任せよう。正直、限界、だ。
---???SIDE---
今回は薄氷渡りだったな。
だが次もこうなるとは限らんぞ。
だが、今は休め。
戦いは、運命は、始まったばかりなのだから。
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---覇王軍SIDE---
暗い、暗い空間が広がっていた。
否、そこには五つの影。
一人の少女を筆頭に椅子に腰を下ろしている。
「トルトゥーラ、今回はこっぴどくやられたそうじゃないの。」
「お黙りなさい!たとえ姉上であってもそれ以上の暴言は許しませんよ!」
「あら、本当の事でしょう?」
くすくすと嗤う、赤いロングヘアーの美女。
その声色には嘲りを多分に含んでいる。
「何ですって!?」
「お二人とも、お止めください!」
「あなたは引っ込んでいなさい、末妹の分際で!」
「あらあら、酷いお兄様ねマリア。」
桃色の髪を短く纏めた少女の言葉にも、二人は止まらない。
一触即発の空気を変えたのはテレモートの放った一言だった。
「姉者、兄者!母者の御前である。控えられよ。」
その言葉にトルトゥーラは舌打ちし、美女は肩を竦める。
「申し訳ありません小兄様。私の力が及ばずに・・・。」
「良い。マリアよ。お前が争いを好まぬは誰もが知っている。」
そう発したのは、一際豪奢な椅子に座る黒髪の少女。
否、その風格は王者の如し。幼い見た目に反し、圧倒的な魔力を放つ。
彼女こそが裏界の大魔王にして覇王軍の王、『覇王ジーザ』である。
「トルトゥーラも身体を労わってくれ。お前が倒れたら誰がこの軍を、ワタシを支えてくれる?」
「はっ、有難きお言葉。このトルトゥーラ、次こそは役目を全うしてみせましょうぞ。」
「うむ。頼もしい言葉である。パツィアも下がれ。それではこの覇王軍を率いる器にはなれんぞ。」
「・・・はい。」
ジーザは立ち上がり、高らかに宣言する。
「機は熟した!いざ、我らの出陣の時ぞ!」
その言葉に、全員が立ち上がる。
彼らこそ覇王軍最高戦力、四天王である。
「『力強きテレモート』!」
「はっ!」
「『賢きトルトゥーラ』!」
「ハッ!」
「『愛しきマリア』。」
「ハイ。」
「そして『輝かしきパツィア』!」
「はっ!」
「さぁ、戦を始めよう!この世界を、我らの物に!」
「「「「覇王軍に栄光あれ!」」」」
この戦いは、ようやく始まったばかりなのである。
『ルーラー』・・月匣を作り出した人物(侵魔)。月匣はルーラーを倒すかコアと呼ばれる核を破壊する事で解除される。
『キュア』・・状態異常を一つ回復する一般魔法。
『ヴォーティカルカノン』・・空間の歪みを砲弾のように撃ち出す攻撃魔法。
『ヴォーティカルショット』・・空間の歪みを礫のように射出する攻撃魔法。
衝撃砲との違いは、物理か魔法かの違いですかね。
ちなみにトルトゥーラの賢さはキン肉マンの知性の神くらいです。