僅か3000字を書くために二ヶ月以上かかりました。
リアルが忙しかったのもありますが、その隙をみて年忘れGFコンに参加した馬鹿野郎です。
今回短めなのは切りが良かったからです。次回からは元に戻せると思います。
毎日少しずつヒールを掛けていたのが功を奏したか、保険医に訝しげながらも早期退院できた。なんだか俺最近保健室のお世話になりっぱなしのような気がするが、気のせいだろう。
しかし今回はまずかった。気絶する瞬間死を覚悟した。今生きているのは、一夏が助けてくれたかららしい。
一夏本人も、とにかく俺を助けるのに必死で自分が何をしたのか覚えてないらしい。
ネームド級の侵魔を退ける力がアイツにあるのか?
・・・分からん。まあ考えても無駄なものは無駄か。
だがまあ、今の俺の力じゃ奴には届かない。
もう少し、もう少しのはずなんだ。
だがどうすればいい。どうすればそれが届く?
答えが出ないまま寮の自室へと向かう。
「旺牙!もう動いても大丈夫なの?」
部屋に入るなり、簪が駆け寄ってくる。思えば彼女にも心配をかけたもんだ。毎日一夏たちと一緒に毎日見舞いに来てくれたしな。
「ああ。この通り完全復活、パーフェクト旺牙様だ。」
マッスルポーズで返答する俺。何か馬鹿っぽい?
背中を向けた途端、ぽすっ、と軽い何かがぶつかってきた。
「もう無理しないで。お願いだから。」
震えるような声に俺は何も返せなかった。
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知らなかった。待っている立場、見ているだけの立場がこんなにも辛いなんて。
テレビの中のヒーローは、どんなに傷ついても帰ってくる。そんな安心感があった。
ヒーローを待っている人たちも、その帰還を疑わなかった。
でも違う。本当はこんなに心が痛いんだ。
傷だらけで帰ってくる大切な人を迎えるのが、こんなに辛いなんて。
志垣旺牙は私にとってヒーローだ。
でも、彼が傷つくのは見たくない。
私は、どうすればいいんだろう。
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朝食のため、食堂に向かうと一夏たちがいた。相変わらず和気藹々としながらも牽制しあってる女子たちを見ると大変だと思う。他人事だから言えることか。
「あ、おーい旺牙、簪!」
一夏が俺たちを見つけると手を振ってきた。恥ずかしいのでとっとと合流してしまおう。
「子供かお前は。」
「はは、悪い悪い。」
口ではそう言っているが、まったく悪びれてないな。
「アンタ、もう体は大丈夫なわけ?」
「そうですわ。かなりの大怪我でしたのに。」
「いくらタフなお前でも、あの時は肝を冷やしたぞ。」
「皆ありがとうな。お陰で完治したよ。」
ISのほうはしばらく休養させないといけないがな。
特に右脚は完全に修理ができるまで大分かかるらしい。
性急に、早急に直さないと、またいつ奴が来るかもしれん。
前回は生かされたが、次回もそうなるとは限らない。
「ま、今度アイツが襲ってきても、皆でかかればどうとでもなるわよ!」
「その件なんだが鈴、それに皆。アイツの相手は引き続き俺だけでする。皆は手を出さないでくれ。」
「「「「なっ!?」」」」
全員が声を上げる。
「ちょ、お前何言ってんだよ!?」
「私たちでは力不足だと言いたいのか!?」
一夏と箒が食って掛かってくる。
違う。違うんだよ。
「アイツは俺の手で倒さなくちゃいけない・・・。俺じゃなきゃ倒せない。自惚れでもなんでもなく、事実なんだ。」
「わたくしたちを軽く見過ぎですわ!事実、わたくしはあの悪魔に有効打を与えています!」
「あんな名前もない悪魔どもとは訳が違うんだよ。あの男は。」
「大丈夫でしょ!?あたしら全員よ!?」
「数の問題じゃない。俺は。」
「そういう運命なの?」
沈黙を保っていた簪の声が響く。
「アイツと一対一で戦うことが、旺牙の運命なの?」
声に、微妙に寂しさと悲しさが混じる。
「運命、か・・・。そう言われればそうなるな。曲げられない運命。避けられない宿命みたいなものが出来ちまった。」
「そんなの、ありかよ・・・。」
場は静かになったが、だれも納得していないのは伝わってくる。
「信じてくれなくていい。でも俺にとって、『俺達』にとって、その言葉は、途轍もなく重い。」
先に行くぞ、と言い残し俺はさっさと食堂を後にした。
あーあ、こんな場所で口論になるなんて、俺もまだまだだな。
今日の授業も終わり学生たちは部活や寮に向かう。
俺は部屋に行かず校舎の目立たない場所へと。
座禅を組み龍を練る。
あの時、あと少しで届いたんだ。
その少し、たった数㎝を埋められなかった。
・・・情けねぇ。本当に情けねぇ。
敗北は一度じゃないはずなのに、ここまで痛いのは初めてだ。
涙が浮かぶ。どうしてあの差が埋められなかった。どうして、今生きている!
いや、邪念は捨てろ。精神を研ぎ澄ませ。
イメージしろ。新しい自分を。強い自分を。
負けた自分を思い出せ。それを超えて見せろ。
・・・思い出せ。俺が憧れた、正義の味方の姿を。
(付いてこい。地獄を見せてやる。)
(その後は、念願のヒーローだ。)
先生・・・、俺は、これ以上強くなれるかな?
もう二度と会えないと分かっていても、聞きたいよ。
部屋に戻ると、簪が一人で特撮物を見ていた。
ただいまも言わない、お帰りもない。寂しい帰宅。
疲れたことだし、もうシャワーを浴びて寝るか・・・。
その時、俺の目に映ってきたのは。
(これだ!この動きだ!)
そのまま俺は駆け出した。
「え?旺牙?」
ポカンと口を開けたままの簪を置いて。
回転しながら宙を舞う。
ある程度の高さに到達したら姿勢を正し、そこからさらに捻りを加える。
「うおっと!?」
バランスが取れない。途中でグラウンドに叩きつけられる。
ISがあれば宙を飛べるのだが。
いや、凶獣が完全に直るまではこの肉体だけでなんとかしなくては。
それから、俺の修業の日々が始まった。
数日が経ち龍が今まで以上に練られるようになった。
あとはフォーム。異能使いである以上、形に拘るのは無意味ではない。
想いを力にする。それが異能使い。そう教わった。
回転して上昇。足を仮想敵に向ける。
そこからさらに捻りを加え。
そして、龍を解放!
ズドーーーン!!
夜のグラウンドに木霊する爆音。
教師たちが慌てて様子を見に来る。
グラウンドの中心には大きなクレーターが出来ていた。
その中心に馬鹿一人。
僅かに笑みをたたえ、気絶する馬鹿一人。
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上空から、この数日を見守ってきた影がある。
何をするでもなく、唯々志垣旺牙の一挙手一投足を見ていた。
そして最後の日、影は少し安堵した。
(どうなることかと思ったが、これなら一安心、か。)
本来なら自分が修行をつけたかった。
だがそれではこの先を生き残れない。あくまで自分で気付かなくてはならなかった。
(旺牙。あの敗北はお前を確実に強くした。俺はただ見守らせてもらう。)
そのまま影は夜空へと消えていった。
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もはや俺は保健室の常連である。
保険医の先生からは苦笑を頂きました。
傷も無く意識もしっかりしているとのことで、そのまま退院となった。無理は絶対しないこと、と苦言を頂いて。
部屋に入ると、簪が少し冷たい目でこちらを見ていた。
「あ、あの、簪さん?」
「・・・正座。」
はい。
しこたま叱られた。隠れて無茶をしていたのがバレたからだろう。
心配してくれたのは嬉しいが、そろそろ解放してくれませんかねぇ。
「まったく!・・・本当に心配したんだよ。」
「悪い。」
「・・・・・・。」
「ごめんなさい。私が悪かったです。」
「・・・。もう無茶しない?」
「・・・はい。」
・・・沈黙が痛い。
「はぁ、もういいよ。でも本当に無茶しないでね?心配する方の身にもなってね。」
それは、完全に約束できないな。侵魔が出たら間違いなく無茶をする。
「ご飯はどうする?」
「軽くでいいや。部屋で作っちまおう。」
俺達は、遅めの朝食を食べ、それぞれの教室へ向かった。
「旺牙ってさあ、よく俺に皮肉言うけど、今回は俺が言うよ。馬鹿じゃないのか。」
「お前に言われるとグサッとくるなあ・・・。」
普段のパワーバランスが分かるわぁ。
再度言いますが今回アイツ短めな次回短くて申し訳ございません。
色々あったせいか頭が上手く働かないんじゃあー。