もっとキツイ描写を見たことある人がいますよね。
それでも不快に思われたら遠慮なくブラウザバックをどうぞ。
あ、今さらですが、旺牙の眼帯は顔半分を覆うタイプの物です。
ようはNWのナイトメアの眼帯みたいなやつ。
昼休み。食後に何となくブラブラしていると、気配を感じた。誰か尾けてきている。
いつまでも引っ付かれていても迷惑だし、もし周囲の誰かに見られたら面倒だ。まあ尾行者もそんなドジを踏むような奴じゃないし、人気のない所まで誘導するか。
「さて、この辺でいいだろう。出て来いよ。」
校舎裏の寂れた場所へとやってきた。ん?こういう事以前にも無かったか?
「・・・いつから気付いていた。」
「隠してるつもりかい?だったら殺気の消し方を一から勉強してきなよ。」
校舎の陰からボーデヴィッヒが現れる。
なんで俺はこいつと話すと喧嘩腰になるんだろう?まあ今はいいか。
「んで?俺に何の用だ?また俺を認めないとか言う気か。」
「それは常に思っている。」
怖えなおい。
「私が気になるのは、何故貴様が連れ去られたか、そして織斑教官に助けられたかを知りたい。」
あー、そこかぁ。あんまり話したくないんだけどなぁ。痛い思い出だしな、体も、心も。
「うーん、そうなると・・・。まずお前、俺の眼帯の下がどうなってるか知ってるか?」
「ふん。どうせカッコつけだろう。そういうのを厨二と言うと副官から聞いたことがある。」
・・・大丈夫大丈夫。今はお話の時間。怒ったらダメ、怒ったらダメ。お前もじゃねえかとか考えたらいけない事。
俺は静かに眼帯を外して見せる。
「っ!?」」
ボーデヴィッヒが小さく息を飲むのを確認し、再び眼帯を着ける。
「軍人なんだろ。これぐらい見たことあんだろ。」
「いや、確かにそうだが・・・。」
二人して無言になる。こういう空気は好きじゃない。
かと言って俺から何か言うのも変だ。どうしよう。
「貴様に、何があった。」
「聞かされてないのか。まあ、ドイツにとって俺のことなんか関係なかったんだろうな。」
壁を背にし、途中で買ったコーヒーのプルタブを開ける。
そしてもう一本、月衣に隠しておいたもう一本をボーデヴィッヒに放り投げる。
一瞬虚を突かれた様子だったが難なくキャッチした。
「何のつもりだ。」
「当たりでもう一本出たんだよ。あと長くなりそうだから飲み物でも持っとけ。」
さてどこから話そうか。
あれは第二回モンド・グロッソの決勝直前だったか。
「なんなんだよ!あいつら!」
「俺が知るか!兎に角逃げるぞ!」
一夏と俺は怪しい連中に追われていた。
怪しい連中というと間抜けに聞こえるが、実際に怪しかったのは事実だ。
全員黒づくめに黒のサングラス。漫画から飛び出してきたような『怪しい奴』だった。
どちらにしても、二人で逃げていては人数の差からいつか追いつかれる。それにこいつらの動き、狙いは一夏か!
「一夏、先に行け。アイツらお前を狙ってる。俺が撹乱する。」
「馬鹿言うな!それじゃあお前が!」
「心配すんな。むしろお前邪魔。一人の方が逃げやすい。」
「こんな状況で冗談言ってる場合じゃないだろ!」
「本気だよ。お前が狙われてんだ。相手の動きが分かってるならどうとでもできる。」
この頃の俺はちょっと調子に乗ってたんだろうな。あんなこと言ってさ。
月衣が無くても大丈夫だと思い込んでいた、え?月衣?まあまあ今はどうでもいいだろう。
そして俺は連中の前に立ちふさがった。
「だからとっとと先に行け!俺も機を見て逃げる!二人とも捕まったら意味ねえぞ!」
「・・・くそ!いいな旺牙!お前も逃げきれよ!」
俺はサムズアップを返し、路地裏に走り去る足音を聞いた。
まあ自分に酔ってた、調子に乗ってたことは否定しない。
ナイフくらいならさばける自信もあった。
「くそ!化け物かこのガキ!」
「早くしろ!織斑一夏が逃げる!」
何て言えばいいか、そいつらを撃退できる自信はあったよ。
その手のプロだったんだろうけど、随分遅く見えたからな。多分ハイになってたのもあるんだろう。
刃を避けては蹴り返せば相手は吹っ飛んだし、腕を掴めば投げ飛ばせた。
だから油断していたんだろう。
何かが弾ける音がして、何かが右眼を掠っていった。
その後に激痛が走ったんだな。
「ガアアアアァァァァッ!!」
痛みとともに右眼が見えなくなった。その代わり、微かに左眼で見えたんだ。
銃を構えた黒服の姿が。まさか街中で拳銃使うとは思わなかったな。
怯んだ隙にナイフで切られ、突かれ、取り押さえられた。
一夏が逃げきれたかどうか、それがその時の俺の最後の思考だった。
次に目を覚ました時、俺は薄暗い部屋の天井から鎖で繋がれていた。
目を覚ました、というより覚まされたというのが正確かな。
水をぶっかけられ目を覚ましたんだが、今思うと寝てたままでよかったな。
何かが腹に入ってきた感覚で朦朧としていた意識は完全に覚醒した。
「グ、グオアアア!」
ナイフが俺の腹部に突き刺さっていた。まあ刺されたんだな。
痛くて叫んじまったよ。なんせ刺した後ナイフをぐりぐりと回転させてんだ。
犯人は例の怪しい連中。何故俺がこんなことになっているのかは、何となくわかった。俺、捕まったんだな。
ただ、こんな拷問じみた行為をする理由。それが分からなかったんだが、奴らが教えてくれたよ。
「織斑一夏はどうした。」
「駄目だ。見失った。」
一夏が逃げられたことに安堵したが、そんな暇を奴らは与えてくれなかった。
背中から肉の焼ける臭いととんでもない熱さを感じた。熱した鉄棒を押し付けられたんだ。
「この餓鬼!邪魔してくれやがって!」
「おいどうするよ!『組織』は織斑一夏の身をご所望だぞ!」
「知るか!そもそも『組織』はあの女の所為で変わったんだ。もう以前の『組織』じゃない。」
『組織』ってのがなんなのかは知らん。それどころじゃなかったからな。
気を強く持っていないと意識どころか命が危なかった。
「なんの成果もなく帰ったらどうなるか分からん。だったら・・・。」
ズンッ!!
「グアア!?」
「少しくらい楽しんで帰ったっていいだろう。」
ザクッ!ザクッ!
サディスティックな笑みを浮かべ、奴らの一人が俺の身体を切りつけた。
あー痛かったよ。けど歯ぁ食いしばって耐えてやったさ。
痛がったり怖がったりすりゃ奴らを喜ばせるだけだからな。
ナイフも熱した鉄棒も耐えられた。
だけどあれはきつかったな。傷口に細い棒差し込まれてさ。ボタンみたいなのを押された。
「!ギッ!ガアアアアアアッ!!!」
いわゆるスタンスティック、電気だよ。それを体内で流しやがった。
痛いや熱いなんてもんじゃない。『以前』にも経験したことのない、痛みなんて言えるもんじゃなかった。対拷問用の訓練でもしとけばよかったね。ん?『以前』って?まあ、ここでは関係ないことだ。
プスプスと身体中から煙が出た。正直死んだと思ったね。
それでも俺の命の灯は消えなかった。死んでたまるかっていう本能が働いたんだな。
「この餓鬼、まだ生きてやがる・・・、化け物か?」
餓鬼一人を虐めてるやつらの方がまともじゃなかったけどな。
「あ、あうあ・・・。」
「ん?なんか言ってやがるぞ。」
「今更命乞いか?」
一人の男が顔を俺に近づけた。
「ペッ!」
「ぐっ!?」
そいつの顔に思い切り唾を吹きかけてやったよ。
唾を拭いた後、そいつから表情が消えた。
「まだまだ元気じゃないか・・・。ああそういえば。」
そいつは俺の顎を掴んで顔を上げさせ、ナイフを構えた。
「もう破裂した右眼だ。いらないだろう、な!」
グジュリともグチャリともいえない音がした。
「アア、グアアアアア!!」
見えなくなっていた右眼、そこにナイフを突き立てられたんだ。
グリグリと捩じられる。叫びながら、三国志の夏侯惇ってこんなに痛かったのかな、なんて思っちまった。
そしてズルリと、もはや原型を保っていない目玉の残骸が落ちた。
流石に限界だった。もう命の手を放していいかとも思った。
一夏が逃げきれていたのも、理由だった。
その時だった。
ドガァンという音とともに、光が差し込んできた。
何とか顔を上げた。ただ、逆光でよく見えなかったが、ISだったと思う。
慌てている奴らに対し、そのISは何かを照射した。
奴らの一人が声を上げる間もなく蒸発した。
その後、奴らはISに対して発砲したが、たかが拳銃がISに通じるはずがない。
謎のISは一人一人を消し去っていった。
最後の一人なんて発狂していたっけな。そいつも影も残らず消されてしまった。
静寂が、やけに不気味だったよ。
ISは数秒俺を見ていたが、何処かへ飛び去ってしまった。
その後だったよ。千冬さんの暮桜がやってきたのは。
そして俺は意識を手放した。
次に目を覚ましたのは病院だった。
ベッドの傍には一夏と千冬さんの姿。
備え付けられたテレビから、千冬さんが決勝戦を棄権したことが報道されていた。病室にも入り口にガードマンが配備されていたらしい。
俺の目覚めの第一声が、なんで助けに来た、だったような気がする。はっきりは覚えてないんだ。
だが次の瞬間は覚えてる。
千冬さんに思いっきり引っ叩かれた後、こう言われたよ。
「家族を助けて、何が悪い。」
ちょっと目が潤んでたな。一夏も釣られて泣いていた。
色々とされたけど、あのビンタが一番痛かったなあ。
「とまあ、こんなことがあったんだよ。謎のISのことは誰にも話してないから内緒で頼む。」
長々と語っちまったな。らしくない。
「ああ、貴様の弱さが教官の輝かしい経歴に傷をつけたことがよく分かった。」
「容赦ねえな。」
思わず苦笑しちまうよ。まあ、事実だし。反論できねえし。
「だから俺も一夏と同じだ。友人や家族を守れるだけの強さが欲しい。そのために修行中ってわけよ。」
もうあんなことは起きない。ウィザードとして覚醒したからこそ、侵魔が現れた今だからこそ、強くならないといけない。
「時間の無駄だった。弱者の自分語りほど下らんものは無い。」
コーヒーを俺に投げつけ、ボーデヴィッヒは立ち去った。
時間の無駄。弱者、ねえ。
言ってくれるじゃないの。気にしてるのにな。
さて、俺もそろそろ戻るか。
放課後である。
「ねえ旺牙。今日もみんなで練習するんだよね。」
「ああ。確か第三アリーナだったな。一夏たちは先に行ってると思う。」
簪と一緒にアリーナを目指す。
しかし、何かがおかしい。
嫌な予感というか、心がざわつくというか。
「急ごう。何かが起きてる。」
「う、うん。」
アリーナに急いだ俺達が見たものは、トンデモナイものだった。
セシリアと鈴がボロボロの状態。一夏がそんな二人を抱えている。
シャルルとボーデヴィッヒが相対している。ボーデヴィッヒのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』が瞬時加速の姿勢に入り、今まさに飛び出そうとした時、その間に影が割り入った。
ガギンッ!と金属同士が激しくぶつかり合う音が響き、ボーデヴィッヒの動きが止まった。
「・・・やれやれ、これだからガキの相手は疲れる。」
「千冬姉!?」
千冬さん・・・、織斑先生がIS用近接用ブレードを『生身』で振るい、レーゲンの攻撃を止めている。
いや、あんた普通の人間なんだからそういう事できちゃダメだろ!
「模擬戦をやるのは構わん。が、アリーナのバリアーまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか。」
「教官がそう仰るなら。」
素直に頷いて、ボーデヴィッヒはISの装備状態を解除する。
「織斑、デュノア、お前たちもそれでいいな?」
「あ、ああ・・・。」
「教師には『はい』と答えろ。馬鹿者。」
「は、はい!」
「僕もそれで構いません。」
二人が返事をすると、織斑先生はアリーナ内すべての生徒に向けて言った。
「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」
パンッ!と織斑先生が強く手を叩く。
「ね、ねえ。何が起こったの?」
「さ、さあ。俺にも分からん。」
俺たち二人は完全に置いてきぼりだった。
はい。拉致されたのは一夏君から旺牙に変わりました。一夏君、出番を奪ってすまなかった。本当に、申し訳ない。
所で皆さん。柊蓮司などは名前だけで出さないつもりでしたが、回想でアンゼロットを出しているので、所々で公式キャラクターを出そうかなと思い始めています。
私の駄文には勿体ないキャラクター達ですが、出してもいいですかね?
出番はほぼ無いに等しいですが、回想に登場したり、台詞を一つ二つ発するだけですが。