・消防団の訓練
・台風15号の後片付け
・停電
・モチベーションが下がり、地域が復興した後ゲームに逃げる
をやっていたため筆が進みませんでした。
え?四つ目は許されない?
・・・ごめんちゃい♪
「・・・・・・」
「・・・・・・」
場所は保健室。俺がよくお世話になっている場所な。
時間は第三アリーナの一件から一時間が経過していた。ベッドの上では打撲の治療を受けて包帯の巻かれた鈴とセシリアがいかにも不機嫌な顔をしていた。
「別に助けてくれなくてよかったのに。」
「あのまま続けていれば勝っていましたわ。」
嘘をつくな見栄張るな。どう考えても一方的にボロボロにされてたじゃないか。
話を聞いて気の毒に思う前に少々呆れてしまったよ。この二人、まあ鈴が頭に血が上りやすいが、セシリアまで釣られるとはな。
「お前らなあ・・・。はぁ、でもまあ、怪我がたいしたことなくて安心したぜ。」
「こんなの怪我のうちに入らな、いたたたっ!」
「そもそもこうやって横になっていること自体無意味、つううっ!」
怪我してる時ぐらい大人しくできないのだろうか?
「バカってなによバカって!バカ!」
「一夏さんこそ大バカですわ!」
一夏が余計なことでも考えていたのだろう、罵倒されている。こいつは顔に出やすいからな。まあ、解せないだろう。
しかし怪我人が怒り心頭とは、あまりよくないなあ。
でも俺は見ていることしかできん。
「好きな人に格好悪いところを見られたから、恥ずかしいんだよ。」
「ん?」
シャルルと簪が飲み物を買って戻ってきた。
ああ、そういう事。俺も案外鈍かったな。この二人がキレるなんて一夏関連が殆どだろう。
肝心の一夏の耳には届いていなかったようで(都合のいい耳だ)、一人キョトンとしていたが、鈴とセシリアにはしっかり届いていたらしい。目に見えるほど顔を真っ赤にして怒りはじめた。
「なななな何を言ってるのか、全っ然っわかんないわね!こここここれだから欧州人って困るのよねっ!」
「べべっ、別にわたくしはっ!そ、そういう邪推をされるといささか気分を害しますわねっ!」
簪と目が合うと、お互い苦笑してしまった。
「二人とも、素直じゃない。」
「はい、ウーロン茶と紅茶。とりあえず飲んで落ち着いて、ね?」
「ふ、ふんっ!」
「不本意ですがいただきましょうっ!」
鈴とセシリアは渡された飲み物をひったくるように受け取って、ペットボトルの口を開けるなりごくごくと飲み干す。豪快だがその飲み方は体に悪いぜ?
「ま、先生も落ち着いたら帰っていいって言ってるし、しばらく休んだら」
ドドドドドドドドドッ・・・!
「な、なんだ?何の音だ?」
「まさか地震か?」
地鳴りに聞こえるそれは、どうやら廊下から響いてきている。うむ、沢山の気配がこちらに近づいてきているよう、だ!?
ドカーン!と保健室のドアが吹き飛ぶ。いや、マジです。本当に吹き飛んだんです。マンガやドラマみたいに。こんなことって現実にありえるのか?
俺?やろうと思えばできるけど、やろうと思ったことは無いぞ。
「織斑君!」
「デュノア君!」
「志垣君!」
入ってきた、なんて生やさしいものではない。文字通り雪崩れ込んできたのは数十名の女子生徒だった。ベッドが五つもある広い保健室なのに、室内は人の海。しかも俺たち三人を見つけるなり一斉に取り囲み、バーゲンセールの取り合いがごとく手を伸ばしてきたのである。・・・怖え、この状況。こんなパニック映画だかホラー映画だか見たことあるぞ。人垣から伸びてくる無数の手、手、手。いやホント怖えから。
「な、な、なんだなんだ!?」
「ど、どうしたの、みんな・・・ちょ、ちょっと落ち着いて。」
「どういう状況だよこれ!?」
「「「「これ!」」」」
状況が飲み込めない俺たちに、バン!と女子生徒一同が出してきたのは学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。
「な、なになに・・・?」
「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦闘を行うため、ふたり組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは』」
「ああ、そこまででいいから!とにかくっ!」
そしてまた一斉に伸びてくる手。だから怖いって!
「私と組もう、織斑君!」
「私と組んで、デュノア君!」
「お願いします、志垣君!」
なぜいきなり学年別トーナメントの仕様変更があったかはわからないが、ともかく今ひしめきあっているのは全員一年生の女子だ。学園内で三人しかいない男子と組もうと、先手必勝とばかりに勇み迫ってきているのだろう。
「え、えっと・・・。」
シャルルが困っている。誰かと組めば、どこからか正体がバレてしまうかもしれない。
一瞬、一瞬だがシャルルが一夏を見た。おそらく助けを求めての無意識の行動だろう。普段は鈍感なくせに、一夏はこういう時には勘が働く。
「悪いな。俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」
しーん・・・。一夏の一言に保健室は沈黙に包まれた。
「まあ、そういうことなら・・・。」
「他の女子と組まれるよりはいいし・・・。」
「男同士っていうのも絵になるし・・・ごほんごほん。」
おい、最後の何だ?
「志垣君は!?誰かと組む予定は!?」
「無いなら私と組もう!」
「あ、ズルい!私と私と!」
あ~、俺に矛先むいちゃったよ。でも残念。
「悪いな。俺もう組みたい奴決めてるんだ。」
・・・・・・。
「「「ええええええっ!?」」」
叫びが保健室に木霊する。
「だ、誰っ!?」
「う~ん。秘密だ。」
その後も質問攻めにあったが、なんとかその場を誤魔化して皆さんにはお帰り頂いた。凄い疲れた。なんだか幽鬼のような歩みで出ていく子がいたけど大丈夫かな?
「旺牙、もう相手決めたのか?」
「おう。タッグになるって聞いた時からそいつの名前が出てきたよ。」
気が早いし、そいつが聞き入れてくれるとは思わないけど。
「え、ええと、旺牙・・・。」
「あ、あの、一夏」
「一夏っ!」
「一夏さんっ!」
わあびっくりした。シャルルと簪が何か言いかけた時、怪我人二人が声を上げ、ベッドから飛び出してきた。
「あ、あたしと組みなさいよ!幼馴染みでしょうが!」
「いえ、クラスメイトとしてここはわたくしと!」
こいつら本当に怪我人か。平時より力強く動いてるぞ。これが『恋する乙女』のなせるパワー、か。
だがどうする。俺の言葉は届かんだろうし、一夏はシャルルと組まないといけない理由もある。先程の女子生徒たちを説得するより骨が折れそうだ。
「ダメですよ。」
うわ!?今のはマジでびっくりした!山田先生どこから現れた!?って、ドアが壊れてるから音がしなかったのか。でも気配もしなかったのはなぜ?
「おふたりのISの状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを超えています。当分は修復に専念しないと、後々重大な欠陥を生じさせますよ。ISを休ませる意味でも、トーナメント参加は許可できません。」
ああ、そういうことか。なら仕方ない、か。
「うっ、ぐっ・・・!わ、わかりました・・・。」
「不本意ですが・・・非常に、非常にっ!不本意ですが!トーナメント参加は辞退します・・・。」
やはりそこは代表候補生。先生の話を理解したようだ。
一夏は、まあ分かってない顔してるな。
「わかってくれて先生嬉しいです。ISに無理をさせるとそのツキはいつか自分が支払うことになりますからね。肝心なところでチャンスを失うのは、とても残念なことです。あなたたちにはそうなってほしくはありません。」
「はい・・・。」
「わかっていますわ・・・。」
ふたりとも納得はしていないようだが、理解はしたのだろう。山田先生に諭されて引き下がった。
「一夏、IS基礎理論の蓄積経験についての注意事項第三だよ。」
シャルル、こいつわかってないぞ。
「・・・『ISは戦闘経験を含むすべての経験を蓄積することで、より進化した状態へと自らを移行させる。その蓄積経験には損傷時の稼働も含まれ、ISのダメージがレベルCを超えた状態で起動させると、その不完全な状態での特殊エネルギーバイパスを構築してしまうため、それらは逆に平常時での稼働に悪影響を及ぼすことがある』」
「おお、それだ!さすがはシャルル!てか旺牙は知ってたのか?」
「ああ。俺は一回やらかしてるからな。」
テレモートとの戦いで右脚を壊したのは俺の扱いが乱暴で、ダメージが蓄積されていたからだ。あの時は確かレベルBだったか。
「しかし、何だってラウラとバトルすることになったんだ?」
「え、いや、それは・・・。」
「ま、まあ、なんと言いますか・・・女のプライドを侮辱されたから、ですわね。」
「? ふうん?」
ふたりとも黙ってしまった。まあ理由はおそらく・・・。
「ああ。もしかして一夏のことを」
「あああっ!デュノアは一言多いわねえ!」
「そ、そうですわ!まったくです!おほほほほ!」
図星、か。まあこのふたりの共通項といったら一夏だろうな。一夏を悪く言われて逆上したんだろう。だがお前ら、デュノアの口を塞ぐのはそろそろ止めてやれ。苦しそうだ。
「こらこら、やめろって。シャルルが困ってるだろうが。それにさっきからケガ人のくせに体を動かしすぎだぞ。ホレ。」
一夏が鈴とセシリアの肩をツンとつつく。またバカやって・・・。
「「ぴぐっ!」」
おお、スゴイ反応。まだ痛かったんだなあ。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「あ・・・すまん。そんなに痛いとは思わなかった。悪い。」
遅いよおバカ。しかしふたりの沈黙と恨みがましい目がまたすごい。向けられていない俺でも怯んでしまうほどだった。
「い、い、いちかぁ・・・あんたねぇ・・・。」
「あ、あと、で・・・おぼえてらっしゃい・・・。」
ふたりがケガ人で助かったな。じゃなけりゃボコボコのグシャグシャにされていたな。
「ね、ねえ、旺牙。組みたい相手って・・・。」
「ん?どうした簪。」
夕食まで時間があるので、部屋で暇をつぶそうと寮に戻っていると、途中で簪が足を止めた。
何か言ってたようだが・・・。
「あ、旺牙くーん。」
「ちょっと萌、声が大きい。」
あ、いつものふたりが来た。なんだか一夏たちといるよりこの四人でいるほうが多い気がしてきた。
「聞いたよ旺牙く~ん、学年別トーナメントのパートナー、もう決めてるんだってね。」
「どんだけ情報早いんだよ・・・。まあ否定しないけどな。」
女子の情報網に驚きを超え若干呆れていると、制服の裾を誰かが握っていた。まあ位置的に簪なんだが。
・・・なんだか小動物のような瞳で見られてる。
「どしたの簪さんや。」
「旺牙、その、トーナメントは私と・・・。」
あー、それか。
「悪い!簪とも組めないんだ!」
頭を下げ、手を合わせて謝罪すると、ガーンッ!という効果音が聞こえてきそうな勢いで引かれた。おい、そんなにショックかよ!?
「やっぱり、私じゃなかった・・・。」
「そっか。本当に決まってるんだ・・・。」
目に見えて落ち込んで・・・、って、なんで沙紀まで落ち込んでんだよ!
「ふむふむ。本当にふたりの内どちらでもなかったか。」
「お前は随分落ち着いてるな。」
「ん?まあふたりとは立場が違うし。」
立場ってなんだ?
「となると、一体誰と組みたいの?」
「ああ、それはな・・・。」
「「「ええええええっ!?」」」
声がデカい。そこまで驚かなくてもいいじゃないか。
「だって、一番有り得ないでしょ!?」
「「うんうん。」」
「俺だってただ『タッグを組んでくれ』って言って成立するとは思ってねえよ。タダの希望、最悪ランダムの組み合わせに任せるつもりだよ。」
俺からの誘いなんざ絶対受けないだろうし。
まあなんだ。神は言っている。事を成せと・・・。何言ってんだ俺。思考回路がショートしているのか・・・。
「あいつと組みたいのは、なんていうか。教えてやりたいことがあるからな。」
「教えてやりたいこと?」
「うん。本当は直接戦ってその身に刻みこむつもりだったんだが、タッグならより都合がいい。個の強さより大事なものがあるってことを教えてやるよ。」
「個より大事なこと?」
戦いで大事なこと。ほとんどが受け売りだがな。
さあ首を洗って待ってろや。
「「「でも、ボーデヴィッヒさんは無いと思う・・・。」」」
中途半端な所でおわったなあ・・・。でも、いつもの長さ的にはこれくらいだしなぁ。
あと、あらすじに書き直した通り、公式キャラクターも登場の機会があるかもしれません。まあ、回想が9割でしょうけど。