誰か文才と語彙力をプレゼントしてくれないものか・・・。
あ、あとラウラが弱体化してる気がしますが気のせいです。
気のせいですったら気のせいです!
「ちょっと旺牙!アンタ何考えてるわけ!?」
「そうですわそうですわ!」
教室に入ると鈴とセシリアから詰め寄られた。。
なんだよ朝っぱらから騒がしい。ていうか鈴。お前のクラスは隣だろう。
「何がだよ。」
「何が!?何がって、心当たり無いわけ!?」
「なぜボーデヴィッヒさんにペアを申し込んだんですの!?」
ああ、そのことか。二人が怒声を上げるのもわかる。
二人はボーデヴィッヒにボロボロにされたんだ。その犯人と組もうという俺の思考が信じられんのだろう。友人として、仇を取るものだと思っていたんだろう。
だが残念!これが現実!俺はボーデヴィッヒにペアを申し込んだ。
「断られたんだからいいじゃねえか。」
当然断られたんだがね。何て言われたか知りたいか?
『貴様頭は正気か?』
殺気すらなく、むしろ憐憫すら感じる一言を浴びせられたぜ。ちょっと心が痛かった。
「なに!?そこまでして優勝したい!?そんなにアイツがいいの!?」
「優勝はどうでもいいんだけどな。」
「ならなぜですの!?」
うーん、なんて言ったらいいのかな。
あいつに教えてやりたいことがあったんだがな。そのためには、出来ればペアで出たかったんだ。
ただ勝つだけならあいつ一人でもいいとこまで行けるだろうが、必ず壁に当たる。それを乗り越える術を身を持って知ってほしいだけなんだがね。
というか君ら、そろそろ時間危ないよ。
ほら、いまだに叫び続けてるから足音に気付かない。
ブンッ!メシッ!
「ハピッ!?」
ブンッ!ゴスッ!
「プイッ!?」
あーあー、痛そう。『神器・出席簿』を脳天に食らう二人。うん、音が危険だったが大丈夫か?
「オルコット、凰、とっくに本鈴はなっているぞ。早々に席に着け。特に凰。さっさと教室に戻れ。」
鬼教官、もとい織斑先生が背後に立っていた。凄い威圧だ・・・。
「な、何であたしたちだけ!」
「旺牙さんは!?」
「志垣はもう着席しているぞ。」
「「えぇ!?」」
お前らがピースカ騒いでいるときにもう座ってるよ。
「「う、裏切り者!」」
ええい煩い。早く着席しないとまた神器が降り注ぐぞ。
再び出席簿が振り上げられた時、二人は全力で自席に、鈴は自クラスに帰っていった。
あの様子だとまた来そうだな・・・。あれを常に相手にするのか。厄介だ。
六月の最終週、学年別トーナメントで慌ただしくなるまで俺の噂話や鈴、セシリア二人からの追及でかなり神経を削られた。疲れたよ、パトラッシュ(?)。
簪は何も言わず、本音と組んだようだ。ただ一言、『頑張って』と言ってくれた。持つべきものはルームメイトだ。
しかし学園は俺の予想を遥かに超えて忙しかった。間もなく第一回戦だというのに、その直前まで全生徒が雑務や会場の整理、来賓の誘導を行っていた。
それからやっと解放された生徒たちは急いで各アリーナの更衣室へと向かう。男子組は例によってこのだだっ広い更衣室を三人で独占だ。女子たちは今頃芋の洗い場のようになっていることだろう。ご苦労様。
「しかし、すごいなこりゃ・・・。」
一夏が更衣室のモニターから観客席の様子を見て零した。そこには各国政府関係者、研究所員、企業エージェント、その他諸々の顔ぶれが一堂に会していた。
「三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認にそれぞれ人が来ているからね。一年には今のところ関係ないみたいだけど、それでもトーナメント上位入賞者にはさっそくチェックが入ると思うよ。」
「ふーん、ご苦労なことだ。」
「おいおい。あの連中の目当ての中には俺たち男性搭乗者も含まれているんだぞ。」
あまり興味を示していない一夏に釘をさしておく。シャルルには一夏の考えが分かったのか、クスリと笑うと。
「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦だけが気になるみたいだね。」
「まあ、な。」
おそらく鈴とセシリアのことを考えていたのだろう。彼女たちはやはりトーナメント参加の許可が下りず、今回は辞退せざるを得ない状況になっていた。
二人ともそれぞれのお国の代表候補生、しかも貴重な専用機持ちだ。それが結果を残すどころか出場すらできない。何らかの形で査定が入る可能性もある。
俺は二人をそんな状態にした張本人と組みたいと思っていたのだから、本当に裏切り者なのかもしれないな。
「自分の力を試せもしないっていうのは、正直辛いだろ。」
一夏の左手に力がこもる。こいつも、表に出さないでもあの騒動に怒っているのかもしれない。その左手を、そっとほぐしていた。
「感情的にならないでね。彼女は、おそらく一年の中では現時点での最強各だと思う。」
「ああ、わかってる。」
この二人、ペアを組んでからやけに距離が縮まっている気がする。まさか、な。
ちょっと鎌かけてみるか。
「お前ら随分仲良くなったよな。何かあったか?」
一夏は頭から『?』を出している。こいつはいつも通りだ。さて問題のシャルルは。」
「な、何かって、何が!?」
顔真っ赤にしてる・・・。まさか・・・。
「シャルル、お前一夏のこと」
「ぜ、全然!ぜんぜぜんぜ全然っ!?」
落ちたか?落ちたな。
「シャルル。」
「な、なにかな?」
「こいつは手強いぞ。」
「だから何がかな!?」
ここまでくるともう笑えねえよ。何人落とす気だよ。ギネスでも狙ってるのか?
「さて、こっちの準備はできたぞ。」
「僕も大丈夫だよ。」
「・・・・・・。」
「どうした旺牙?」
「いや、なに、今さらになって緊張してきた。」
「旺牙も一年最強各の片割れなんだよ。もっとちゃんと構えてないと。」
「そうなんだが、未だにペアが決まってないんだぞ?」
ボーデヴィッヒに断られ続け、結局俺にはパートナーが見つからなかった。
残り数日になってから、運に任せようと誰とも組まなかったんだが。
「「それは旺牙が悪い。」」
「・・・はい。」
「そろそろ対戦表が決まるはずだよね。」
どういう理由なんだか知らないが、突然のペア対戦への変更がなされてから従来まで使っていたシステムが正しく機能しなかったらしい。本当なら前日には出来るはずの対戦表も、今朝から生徒たちが手作りの抽選クジで作っていた。
「一年の部、Aブロック一回戦一組目なんて運がいいよな。」
「え?どうして?」
「待ち時間に色々考えなくても済むだろ。こういうのは勢いが肝心だ。出たとこ勝負、思い切りのよさで行きたいだろ。」
「ふふっ、そうかもね。僕だったら一番最初に手の内を晒すことになるから、ちょっと考えがマイナスに入っていたかも。」
こいつら、性格も考え方もまるで違う。まるで違うからこそ、それを補い合っている。技術も、精神も。良いチームだ。この二人なら、優勝してしまうかもしれない。
ま、その前に必ず俺と俺のペアが立ちふさがるけどな。
「あ、対戦相手が決まったみたい。」
モニターがトーナメント表へと切り替わった。さて、気持ちを切り替えよう。俺は誰と組むんだ?
「「え?」」
「お♪」
出てきた文字を見て、一夏とシャルルは同時にぽかんとした声を上げ、俺は久しぶりに神に感謝した。
一年生一回戦第一試合
織斑一夏&シャルル・デュノア対ラウラ・ボーデヴィッヒ&志垣旺牙
「・・・・・・。」
試合直前、同じピットでISを纏い、今か今かと待ち受けている俺と、明らかに不機嫌なボーデヴィッヒ。温度差が酷い。そんなに俺と組むのが嫌か。まあ、こいつからすれば尊敬する教官の経歴に泥を塗った男と同じ空気も吸いたくないほどだろう。
だが、何か一言ないものか。気に入らないの一言ぐらい。
「気に入らない。」
「本当に言うんじゃねえよ。」
「何の話だ。」
「すまん。こっちの話だ。」
物凄い訝しんだ目で見られてる。空気が重い。
「さて、何か一つ作戦でも考えておくか?」
「作戦などいらん。私が一人で一方的に勝つ。貴様の手などいらん。私の勝利する姿でも見ていろ。いや、やはり見るな、鬱陶しい。」
これまた予想通りの返答だこと。逆に面白くなってくらあ。人間どこまで呆れられるかに挑戦してる感じ。
「あっそ。じゃあ隅っこで見てらあ。だがピンチになったら流石に手を出すぞ。」
俺だって一回戦敗退は嫌だからな。
「そんなことには絶対にならん。」
えらい自信ですこと。どこまで他人を見下すのかね。
ただ、一夏とシャルルのペアは、タッグの力で見れば一年トップクラスだろう。あの二人相手に一人で戦うのは、普通なら自殺行為だろうな。
ボーデヴィッヒには勝算があるそうだが、それがシュヴァルツェア・レーゲンのAICに頼ったものなら、どう転ぶか。
AICのことを調べてみて、弱点は見つけた。あいつらがそれに気付いているなら良い戦いが出来るだろう。もしそうなったら・・・。クククッ、楽しみだ。血が滾ってきやがる。
「お、そろそろ時間だ。行くぞ。」
「私に命令するな。」
おーおー、最後までつれないねぇ。
「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ。」
「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ。
早速火花を散らす一夏とボーデヴィッヒ。やる気は充実しているな。
「旺牙はどうした?壁に寄りかかって寛いで。」
「ふん。邪魔をするなと言っておいた。」
「へえ。俺が言うのも変だけど、旺牙と一緒に戦えば俺たちくらい楽勝だろうに。」
「足手まといはいらん。」
俺のことは気にするな、といった風に手を上げる。
そうこうしているうちに、試合開始の合図が始まる。
開始まであと五秒。四、三、二、一・・・開始。
「「叩きのめす。」」
試合開始第一声が同じとは、実はお前ら気が合うんじゃないか?
開始と同時に一夏が瞬時加速を行う。速攻で流れを手繰り寄せようとの考えだろう。
「おおおおっ!」
「ふん・・・。」
ボーデヴィッヒが右手を突き出す。早速か。
AIC。慣性停止結界。もともとISに搭載されているPICを発展させたもの。そのPICに作用し、対象を任意に停止させることができる。
一見無敵の結界に思えるが、何事にも弱点はある。
一つは搭乗者に多量の集中力が必要なこと。敵の姿や攻撃を強く意識していないと意味のない代物になってしまう。
二つ目は、っと。一夏が早速AICに捕らわれたか。
ボーデヴィッヒがどれくらいの集中力を有しているかわからない以上、一夏はAICを破る術がない。そのため、意表を突く速攻を仕掛けたのだろうが、そいつは悪手だったな。
「開幕直後の先制攻撃か。わかりやすいな。」
「・・・そりゃどうも。以心伝心で何よりだ。」
「ならば私がどうするかもわかるだろう。」
レーゲンが肩の大型レール砲の発射に入る。このままで至近距離では直撃し、大ダメージを受けるだろう。だが、今は一対一の決闘ではない。
「させないよ。」
シャルルが一夏の頭上を飛び越えて現れる。同時に六一口径アサルトカノン《ガルム》による爆破弾の射撃を浴びせた。いいサポートだ。
「ちっ・・・!」
肩のカノンを射撃によってずらされ、砲弾は空を切る。さらにたたみかけてくるシャルルの攻撃に、ボーデヴィッヒは急後退をして間合いを取った。
「逃がさない!」
シャルルは即座に銃身を正面に突き出した突撃体勢へと移り、左手にアサルトライフルを呼び出す。光の糸が虚空で寄り集まり、一秒とかからず銃を形成した。
これがIS搭乗者の高等技術『高速切替(ラピッド・スイッチ)』。事前呼び出しを必要としない、戦闘と平行して行えるリアルタイムの武装呼び出し。それはシャルルの器用さと瞬時の判断力が重なりさらに光る。既に第三世代型の兵器に負けない能力となっている。
「くっ!鬱陶しい!」
「俺も忘れるなよっと!」
一瞬の隙を見逃さず、AICから抜け出した一夏が斬りかかる。
それをワイヤーブレードで迎え撃つ。白式の脚を絡めとり、投げ飛ばす。流れは良かったが、空中で留まる白式。
その合間を縫って放たれるシャルルの攻撃。接近戦用のブレードで斬りかかる。それを避け、プラズマ手刀で迎撃するレーゲンから再び距離を置いて射撃するラファール。
引いては押し、押しては引く。『砂漠の逃げ水』と呼ばれるこの戦法。斬り合っていたかと思えばいきなり銃に持ち替えての近接射撃、間合いを離せば剣に変更しての接近格闘。押しても引いても一定の距離と攻撃リズムを保ち、攻防ともに安定した高レベル戦闘方法。いわく『求めるほどに遠く、諦めるには近く、その青色に呼ばれた足は疲労を忘れ、綾やかなる褐色の死へと進む』。ボーデヴィッヒの集中力を奪うには打ってつけの戦法だ。
そもそも、ボーデヴィッヒはこの戦闘、一対一を想定していない。一対多で臨んでいる。
それがAICの弱点である。特にシャルルのような人間が相手だと、集中力を切らした瞬間。
「せい!」
一夏の雪片弐型が襲い掛かる。
もう一つ弱点を上げるとすれば、ボーデヴィッヒが相手を下に見すぎていることだ。タイマンならわからんが、あの息の合った二人を止めるには一人では難しいだろう。
さあて・・・。
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何故!何故奴らのペースで戦いが進む!動きづらい!
私は織斑教官に鍛え上げられた!こんな未熟者とアンティークに負けるはずがない!
なのに、攻撃が当たらない!追いつめられている!
停止結界も効果が薄れる。この状況は理解できない!
「でりゃあああっ!」
「そこ!」
ッ!マズい!
バシィン!眼前で何かが弾ける音がした。
「「うわ!?」」
奴らが何かに遮られ、飛び退いた。私の眼前には、紫に光る獣の姿・・・。
「見ていられないぞボーデヴィッヒ。油断が過ぎるぞ。」
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「さあて・・・。覚悟はいいか二人とも。」
「げ・・・。」
「旺牙。」
一夏よう。げっ、は無いだろう。シャルルも嫌な顔するなよ。
いい加減滾ったモノが収まりつかねえんだ。
「ここからは二人で行くぜ。文句はねえよな?」
即興だが俺たちコンビの力、見せてやるよ!
早く旺牙を参戦させたかったんや・・・。
後悔はしていない。懺悔の用意はできている。