旺牙)作者の駄文に毎回お付き合いいただきありがとうございます。
作者)え?特別企画?全然話が進んでないのに出来るわけないじゃないですか!
旺牙)急に切れるな。
なんだか久しぶりに学園敷地内から出たような気がする。最近忙しかったからかな?それともイレギュラーなことが続いたからかな?
まあそれを差し引いても、外の空気を吸えるのは良いことだ。
・・・ああ、本当に良いことだ。
「どうしたの、旺牙?」
「いや、何でもない。」
今の俺は一人じゃない。簪も一緒だ。
そう、今日は簪とお出かけ、デートなのだ。
繰り返そう。『俺』が『デート』なのだ。
最初に誘った時はそんなこと全く意識していなかった。だが沙紀に服装をチェックされた時から意識しまくりだった。だって俺、産まれてこのかたデートなんぞしたことが無い。それは前世も含めてだ。合計三十年、彼女ナシ、デート経験ナシ、あれ?ちょっと泣きたくなってきた。
でも今日は違う。俺の隣には女の子が!
本日の簪の服装。ヘッドギアは外してある。眼鏡型簡易ディスプレイは装着済み。おそらく付けていた方が落ち着くのではないかと。
そしてなにより違うのは、学園の制服ではないこと。
なんの穢れもも感じさせない、純白のワンピース。余計な飾りのない、だからこそ着る人間を選ぶであろう、シンプルな服。
うん。
(可愛いいいいいいええええあああああっ!!)
気を抜くと思わず叫んでしまいそうになる。
輝いてる!なんか輝いてるよ簪さん!
もう無垢の象徴って感じだよ!
ああなんかもうおかしくなりそうだよ俺!
人生初のデートがこんな可愛い子だとわ。天使か?なあ天使なのか!?
「旺牙、なんだか、オーラみたいなのが出てるけど・・・。」
「ん?おっと失礼。」
危ない危ない。気を付けなければ。
「いや、その。その服、似合ってるなって、思ってさ。」
「あ、ありがとう\\\」
厳つい俺に言われても嬉しくないと思ったが、簪は顔を赤くして照れていた。
ああ、俺今日本当にこの子とデートするんだ。ちょっとは気合い入れなくては。
「お、旺牙。」
「どうした?」
「・・・手、繋いでもいい?」
「・・・ああ、いいよ。」
手を繋ぎ、赤くなる俺たち。
・・・青春してんな。
―――Side???―――
「アオハルかよ~!」
「萌、落ち着いて。バレちゃうから。」
絶賛デート中の二人を尾行する二つの影。
立花沙紀と嶋田萌である。
沙紀はデートが成功するか確認のため、萌は面白そうだから、それぞれの理由で様子を見に来た。が、萌は既に二人の『なんだかわからないもどかしさ』に中てられ叫ぶのを我慢している状態だ。
(む~~~。)
沙紀は沙紀で、二人の動向が気になってしょうがないといったところである。
(全く、こっちはこっちで素直になればいいのに。)
萌は知っていた。親友である沙紀が、志垣旺牙を憎からず想っていることを。
ただ、彼女は簪を立てて自分は身を引いている。
好意を抱いたならライバルより先んじればいいのにと、萌も萌で歯痒い思いをしていた。
「あら、二人が移動するわよ。追わなくていいの?」
「「うわあっ!」」
「声が大きい。」
いつの間にか二人の背後に、生徒会長『更識楯無』がいた。
広げる扇には分かりやすく『尾行中♪』と書かれている。
「えっと、生徒会長も二人の後を?」
「当然。まあ信じてるけど、旺牙君が簪ちゃんに何かしたら、こう、コキャっと。」
一度閉じられた扇が再び開かれると、そこには『滅殺』と書かれていて・・・、いや、これ以上は踏み込むまい。
「ほら二人とも。行くわよ。」
「「は、はい・・・。」」
――――――――――――
何だか妙な気配を感じるな・・・。いや、気にしないようにしよう。
俺たちが来たのは駅前のショッピングモール『レゾナンス』。交通網の中心でもあるここは電車に地下鉄、バス・タクシーと完全網羅。市のどこからでもアクセス可能、そして市のどこへでもアクセス可能の凄い場所。
さらに、駅舎を含む周囲の地下街すべてと繋がっているレゾナンスは食は欧・中・和を問わず完備、衣服も量販店から海外の一流ブランドまで網羅している。その他にも各種レジャーは抜かりなく、子供からご年配まで幅広く対応可能。曰く『ここで無ければ市内のどこにも無い』と言われるほど。いやマジで凄いっすわ。
ちなみに駅と完全にくっついているここを『駅前』というのは少々不思議な感覚何だが、昔からここは『駅前』なので仕方がない。中学の頃は弾・鈴・一夏の四人で放課後に繰り出したものだ。懐かしいな。
「いきなり買いすぎたか。」
「でも小物やお菓子作り用品だからたいした重さじゃないね。」
既に百円ショップを始め幾つかの店に立ち寄った。やはり女子と来て良かった。細かい差分やインテリアにもなりそうなもの、見た目と機能がマッチしているものまで、色々アドバイスを貰った。
「簪は楽しいか?何も買ってないみたいだが。」
「うん。私は、旺牙と来れただけで楽しいから・・・。」
ハイ可愛い~。あれ?簪ってこんなに可愛かったっけ?
初対面でも確かに可愛いなとは思ったけど、今日は別格よ?天使か。
・・・いかんいかん。今まで培ってきた俺のキャラが崩壊する。
「あ、すまん。ちょっと手洗いに。」
「じゃあ買い物袋持ってるよ。」
「え。でも悪いし・・・。」
「食品関連の物もあるんだから、トイレに持ち込まない方がいいよ。」
む、それなら甘えさせてもらおうか。
さてさて、さっさとトイレトイレっと・・・。
お手洗いから帰ってきたら、簪がガラの悪い男たちに絡まれていた。ナンパなんだろうが、少し強引っぽい。
このご時世、女性が強いという女尊男卑で絡むようなナンパをするとは。
簪が大人しそうなのを見て声をかけたのだろう。
「なあいいだろう。俺たちと遊ぼうよ~。」
「あ、あの、男の人を待っているんで・・・。」
「女の子に物持たせる男なんて置いてさ~。」
「いいから行こうぜ。」
・・・ふう、考えるのはこれまでにしておこう。
「悪い悪い、待たせちまったな。」
「旺牙。」
何ともない風を装って集団の中に入っていく。
そして簪の手を取ってその場を離れようとする。
「おい、ちょっと待てよ。」
男の一人が俺の肩に手をかける。
「ん?」
「(う、でけぇ。)その子は俺たちと遊ぶんだよ。勝手に連れてかれると困るんだよね。」
「悪いっすね。俺たち二人で買い物に来てるんで。それじゃ。」
「だから待てって言ってんだよ!」
五月蠅えな。さっさと帰れよ。
「俺たち急いでるんで。とっとと行かせてもらえませんか?」
「ああもう分かる?俺たちと遊ぶの。そっちのほうが楽しいに決まってるだるぉ?」
「そうそう。『いいこと』しようぜ。」
下品に笑う男たち。
ふ~、やれやれ。どうしようもない『クズ』ですなぁ。
少し殺気を込めて睨みつける。
「う、ぐ・・・。ち、畜生!アニキ!アニキ!!」
「あんだよおめえら、まだ口説いてなかったのかよ。」
あー、出たよ、チンピラ特有『兄貴登場』。時代劇の『先生!』『どぅれ』みたいな感じ。
雑魚丸出しなの気付いてないのかな。
身長は俺と同じくらいか、デカい。ただそれだけだな。威嚇しているつもりだろうが、まったく圧を感じない。
ん?なんかどこかで見た顔だな。
「け!いるんだよな。わざわざ眼帯付けて強がる輩がよ。」
「残念。ホントに怪我してるんすよ。」
「へへへ。アニキは元ボクサーだ。詫び入れて女置いてくなら今のうちだぜ!」
で、出たー!元ボクサー!こいつらどこまでザ☆チンピラなんだよ。
おや?元ボクサー?ああ、思い出した。
「ああ、あんたアレだろ、元ミドル級の。」
「!?お、おうよ!それがどうし――」
「戦績一戦0勝一敗、それで逃げるように引退。立ち読みした雑誌には結構散々に書かれてたなぁ。」
「ぐっ!この野郎・・・!」
見た目だけで威嚇する、実力のないやつ代表みたいな?
「こ、の、野郎~!おらぁ!!」
突然のストレート。が、スピードも迫力も千冬さんに比べれば、あの出席簿に比べれば恐怖は感じない。
というか月衣があるからダメージは無いんだけどね。
「んな!?」
「鼻血も出ないなあ。」
「こ、この!」ジャキッ!
メリケンサックか。これまたいつの時代だよ。
「お、旺牙。大丈夫なの?」
「平気平気、このぐらい屁でもないって。」
心配する簪に応える。大丈夫。全然痛くないから。
「オラ!オラ!オラ!」
ボディを何度も叩かれるが、ダメージは一切ない。逆に相手を疲れさせるだけだ。
「ひぃ、ひぃ、ひぃ・・・。ば、化け物か。」
「そろそろいいか。動くなよ。」
ボクシングのオーソドックススタイルをとって。
ボボボボボボボボボボ!!
男たちの服のボタン、及び心臓部を引きちぎる。
それを見た奴らの顔が途端に青ざめる。
「どうする?まだやるかい?」
「・・・し。」
「「「「失礼しましたーーー!」」」」
やれやれ、やっと消えてくれたか。
こっちは『あの殺気』を感じて冷や冷やしてたってのに。
「旺牙、怪我はない?」
「おう、伊達に鍛えてねえよ。」
そういう簪は、俺の手を握りしめた。
彼女の手は微かに震えていた。元より気の弱い性格だ。最近は強くなってきたとはいえ、あんなチンピラに絡まれて怖かったのだろう。
俺は、その頭に優しく手を置いた。
「ごめんな、一人にして。もう大丈夫だからな。」
「・・・うん。」
「行こうか。」
「うん。」
この場から離れよう。思えば悪目立ちしすぎた気がする。
それと後ろの三人も撒きたい。
水着を買う前に昼食を取ることにした。
とりあえず比較的空いてそうなレストランがあったので丁度よかった。
「カルボナーラにしようかな。」
「ソースが跳ねるぞ?汚れるぞ~?」
「そこまで子供じゃないよ。」
あ~、癒しが帰ってきたんじゃ~。・・・なに考えてるんだ俺。
でもようやくデートらしい雰囲気に戻ってきた。これで簪も楽しんでもらえると嬉しい。さっきのチンピラのことも忘れてくれたらなお良し。
「旺牙はなにを頼むの?」
「オムライスとクリームソーダ。」
「え?」
「いや、昔から好きでさ。こういう店では確定なんだ。」
「学園では結構食べてたよね?」
「あそこじゃ毎日が戦闘だから肉やらなにやらでスタミナ着けるために食ってたんだ。実際は子供舌だよ。」
ちょいと恥ずかしいな。顔が赤くなってるのが自分でも分かる。
中学時代にも四人で飯食いに来た時からかわれたこともあったな。『見た目に合わない』とか言われて。
「・・・ごめん、ちょっと席外すね。」
「ん。待ってる。」
―――簪Side―――
(え?なに?なに!?可愛いよ!?あの体格でオムライス。しかもあんなに照れてた!はい可愛い!ああ、顔が熱くなってきた・・・)
トイレの鏡の前で、頬を染め手で覆う簪。気のせいか、頭から煙、身体全体から♡が舞っている。
(これが本当のギャップ萌え!?やだ!ホント可愛い!なにあれどういう生き物!?どこの喧嘩師!?)
大分失礼な思考である。まあ、旺牙の厳つい姿からあのメニューは簪にとってかなり衝撃的だったのだろう。まあ、これまた同じく厳つい方が可愛い食事をとって何が悪い、という感じだ。
簪は顔を洗い、気合いを入れ直して戦場に向かう。食事という戦場へ・・・。
「お、お帰り。」
食事が運ばれてくる。さあ、簪よ。オープン・コンバットだ。旺牙はどう食べる・・・。
カチャ、スッ、ハムッ!
モッキュ、モッキュ、モッキュ。
(なにその可愛い擬音ッッ!)
「ん?どうした?」
「な、なんでもない////」
顔の緩みが取れそうにない簪。なんだかんだでお互い意識しているのだった・・・。
――――――
さて、腹ごしらえもしたし、最後の買い物といくか。
何かって?水着だよ。
「じゃあ男性用はこっちだから、後でな。」
「うん。集合場所は・・・。」
「・・・迎えに行くよ。俺の方が早そうだから。」
「うん、わかった。」
簪が女性用水着コーナーに向かったのを見届けて(後ろにいた三人も見届けて)男性用コーナーに向かう。
さて、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。店員さんに聞くのが早い。
「すいません。」
「はい、どうなさいましたか?」
おお、さすがプロ。俺みたいなのが目の前に現れても動じない。凄いぞレゾナンス。
「競泳用水着を探してるんですけど、こう、全身を覆うタイプの・・・。」
「かしこまりました。申し訳ありませんが、サイズを測らせてよろしいでしょうか?」
「あ、はい。あの、タンクトップ着といていいすか?裸は、ちょっと・・・。」
「はい、構いませんよ。」
ホントスゲェよレゾナンススタッフ。客の気持ちを汲んでくれる。
試着室でTシャツを脱ぎ、ランニングだけになる。
何のこともなく、採寸が終わる。
「それでは少々お待ちを・・・お客様、こちらでいかがでしょう。」
早っ!まさかその頭には全ての服や水着のデータが入っているというのか!?
「じゃ、じゃあ、失礼します。」
「はい、どうぞ。」
さて、早速試着してみるか。
・・・やっぱり傷が目立つな。
こんな身体、年頃の女の子、特に簪には見せたくないなぁ。
いつまで隠していられるか、それが問題だ。
おっとっと、早よ着替えなきゃ。
全身ネイビーブルーの、派手過ぎず地味すぎず、それでいて群衆に埋もれない色。
男ならこれくらいでなきゃ。
よし、これにしよう。となるともう一度着替えて。
「すいません。これ、下さい。」
「ありがとうございます。それではレジへ。」
さて、俺の方は終わったから、簪を迎えに行くか。
「もう!なんでお姉ちゃんたちがいるの!?」
「こ、これは違うのよ簪ちゃん!?」
「え、えっと・・・。」
「やー、見つかっちゃった。」
簪が沙紀、萌、楯無先輩をどやしている。
その近くでは一夏とシャルロットが山田先生に注意され、千冬さんにからかわれ、ラウラがどこかに連絡してて、その様子を鈴とセシリアが見ている。
「・・・なんだこのカオス空間は。」
賑やかな休日の一コマが、こんなんでいいのか?
作者はデートなんぞしたことがありません。
なので完全におかしい文章になっております。
すいません。
寂しいとです。