皆様も気をつけてくださいね
NWの解説は後書きと、後の話に入れますのでどうかご容赦を。
仰向けに倒れたままISが解除される。
あーー、勝てなかったかぁ・・・。
勝ち目なんて最初から無かったとはいえ、それでも悔しい。
最後の一撃に気をつけていればなぁ。
「いつまで寝ている。早く起きろ。」
俺同様ISが解除された千冬さんが見下ろしてくる。
そんな風に見下しても興奮しませんぜ。おれMじゃないんで。
しかしISスーツとは随分セクシーですな。
その美しい双子山がはっきりと・・・
ズンッ!
「危ねぇっ!?」
「今妙な事を考えなかったか?」
いやだな、ソンナコトナイジャナイデスカ。
だから思いっきり踏み潰そうとしないでくれよ、頭が柘榴になっちゃう。
「まぁいい。とにかく試験は終了だ。今日はもう帰っていいぞ。」
「結果とかは訊かなくていいんすか?」
「それは他の教師達と話し合って決める。特に今回は長くなりそうだからな。」
そういうことならとっとと帰らせてもらいましょうかね。
こちとら政府指定のホテルにしばらく移住とかになってて、その荷造りをしなくちゃならない。
片付けが苦手な俺には余計時間が掛かるのであった。
「それじゃあ、今日はありがとうございました。」
「次に会うのは学園だな。気をつけて帰れ。」
こうして、俺の初めてのIS戦闘は終了した。
・・・・・・千冬Side
まったく。何でいつものノリなんだアイツは。
緊張感の欠片も無かった。
初めて『実戦形式』でISを動かしたにも関わらず、戸惑いも何も無かった。
喧嘩ならアイツの専門分野だが、空を飛ぶ感覚をいきなりものにし、武器を構える相手に物怖じせず。
挙句の果てには『瞬時加速』まで・・・。
旺牙が産まれてからの付き合いだが、アイツは時折とんでもない事をやらかし、考える。今日のように。
同年代の子供とは一線を画す何かがある。そう思わざるを得ない。
「織斑先生・・・。」
後輩の山田真耶が声をかけてくる。おそらく先程の試験のことだろう。
「彼、本当に初心者なんでしょうか。性別を抜きにしても、初めての実戦とは思えません。織斑先生と引き分けるなんて代表候補生、いえ、もしかしたら国家代表クラスですよ。」
「言うな。旺、志垣はISに興味は持っていたが、扱うのは今日が初めてで間違いない。」
ならばあの戦闘力はなんだ。平静さを保つのにも苦労したぞ。
私は、アイツの知らない部分を垣間見れて嬉しい反面、複雑な心境だった。
・・・・・・
さて、我が家に到着したわけだが、なにやら気配がする。
俺が住んでいるアパートの両隣の部屋は空いている。
管理人さんも別の場所に住んでいる。
と言うか、俺しか住んでいないボロアパートなのである(風呂とトイレは一部屋ずつにある)。
だから人間の気配がするわけが無い。
・・・曲者?
まぁ、正体は分かってますがね。
「ただいま「おーく~~~ん「てい「おぶっ!?」
突撃してきた侵入者の顔を掴む。
久しぶりに会うのだ。これぐらい許されるだろう。
俺に掴まれブラ~ンとしている『それ』。
頭に謎のウサミミを着け、胸元の開いたエプロンドレスという御伽の国から出てきたような珍妙な格好をした『女性』。
ちなみに、その胸は豊満であった。
「久しぶりですね『束さん』。元気でした?」
「うん。とりあえず降ろして。落ち着かない。」
しょうがない、不法侵入の件は見逃そう。
俺は束さんの頭を離す。
この人の突飛な行動は今に始まった事ではない。
この人は『篠ノ之束』さん。
ISを開発し、この世界を変えた張本人。
おそらく人類史上最高の頭脳の持ち主。
すべてが認める『天才』にして、全てをぶち壊す『天災』。
彼女がまともに相手をするのは彼女が身内と認めた人間だけ。
幼馴染みである千冬さん。その弟である一夏。弟分の俺。
そして実妹である『篠ノ之箒』と、『娘のような』存在の子。かろうじて両親を認識しているぐらいか。
「ぷはぁ。う~ん、折角の再会なんだからさぁ、もっとぎゅっと抱きしめてくれるとかさぁ。してくれても罰は当たらないんじゃないかな?」
「あんまり抱きしめると俺の理性がプッツンして襲い掛かっちまいますよ。」
「ふえ\\\!も、もうそれはそれでありだよう、おーくんのイ・ケ・ズ\\\!!束さんならいつでもバッチコーイなんだからね!」
そうそう。それとテンションも常人より高い。さっき挙げた人間に対する会話はもはや成り立たないくらいハイテンションだ。だからこそ、彼女の言う凡人との落差が酷い。
「どうやって部屋に入ったのかは聞きませんよ。それより何か用っすか。」
「うん。なんだかおーくんの手料理が食べたくなっちゃって♪」
「クロエがいるでしょう。食には困ってないはずなのに。」
「クーちゃんの料理もいいけど、おーくんの味は忘れられないからね。」
ちくしょう、作る側にとって嬉しい事言ってきやがる。
「すみません旺牙様。突然訪問してしまって。」
「ああいいんだクロエ。下手人は確保済みだから。」
「下手人は酷くない!?」
彼女は『クロエ・クロニクル』。黒の眼球に金の瞳。透き通るような銀髪と、普通ではない何かを感じさせる少女だ。俺も彼女の事はよく知らない。ただ束さんが保護したとだけしか聞いていない。
束さんは「自分の娘」と扱っている。
ま、礼儀は俺なんかよりよっぽどしっかりしてるし、良い娘だから詮索はしない。
そもそも『ファー・ジ・アース』の『人造人間』に雰囲気が似ている。
彼女の作る食事は、その、とても個性的だ。
消し炭やゲル状の何かを、束さんは普通に食べている。
一度クロエに食事の作り方を教えたが、全く改善されなかったなぁ・・・。
「ねーねーおーくん。束さんはお腹が減っちゃったよ?」
「あ、スンマセン。今作りますね。」
さてっと。今から簡単に作れるものとなると。卵があるな。米も炊けている。
オムライスにでもするか。
「ご馳走様~!ん、おーくんのご飯はいつ食べても美味しいね!」
「ご馳走様でした、旺牙様。」
「はい、お粗末さまでした。」
誰かに手料理を食べてもらうのは嬉しい。
織斑家に入り浸るのも一夏と自身の料理を食べ比べる意味もあった。
クロエに手伝ってもらって後片付けをし、お茶を入れなおして一息入れる。
「で。今日は一体何の用ですか?本当に俺の飯を食いに来ただけじゃないでしょう。」
俺の言葉に束さんのウサミミがピコンと立った。
どうなってるんだろうあれ?深く考えない方がいいかな。
「うん。おーくんがISを動かしちゃったって聞いてね。本当はすぐにでも駆けつけたかったんだけど、束さんにも色々あって遅れちゃったの。でも凄いね!初戦闘でちーちゃんと引き分けるなんて!『ウィザード』って皆そんなに強いの?」
「あれは千冬さんが本気じゃなかったからだよ。マジか専用機引っ張ってきたら瞬殺だった。」
束さんの口から『ウィザード』という単語が出る。
この世界で俺が『転生者』だと知っているのは彼女とクロエだけだ。
束さん曰く俺は「何かが違った」らしい。
その何かは俺自身にも理解できないが、なにせ束さんだ。規格外の人間の頭の中を知る良しもない。
クロエに関しては束さん経由で知られた。まぁこの娘なら良いかと思い、放置していた。実際害もないどころか、前世と言うものについてよく尋ねられる。
「そもそも『ウィザード』なんてピンきりっすよ。俺は偶々良い教官に巡り会って、修羅場をくぐってきて、偶々その技術と技を持ってこれただけっすから。」
大体俺が本来の『転生者』の定義から外れている。
転生者の技術も知らなければ、遺産も所持していない。
俺は一体何者なのか。それは未だに自身でも分かっていない。
ウィザードが転生したからには何か意味があるはずなのだが。
「おーくん・・・。」
考え事をしていると、束さんのほうから声をかけてきた。
なにやら元気が無いようだが。
「おーくんは、また戦いたいと思う?」
「・・・束さん?」
「おーくんから聞いた『前世』、凄い戦いの連続だったって。さっきも修羅場をくぐってきたって。命懸けの日々だったんでしょ。それが一度死んで、この世界でゆっくり出来ると思ったら、今度はISに巻き込まれて・・・。」
声と共に顔の元気も無くなり、だんだん俯いていく。
つまり、何が言いたいのだ?
「ずっと戦い続けてきたおーくんが今度は兵器の戦いに「てい(びしっ)「アイタっ!?なにするのさ!?」
うだうだ同じ事言ってる束さんにデコピンをお見舞いする。
まったくこの人は、大事な事を自分で忘れてるよ。
「束さんがISを創ったのは、みんなで宇宙に行きたかったからだろ?自分で『兵器』なんて呼ぶなよ。」
「おーくん・・・。」
「俺はむしろチャンスだと思うね。これで宇宙に近づけたんだからな。だからよ、束さんはいつも通りでいてくれよ。そんな顔されてると、こっちが調子狂っちまう。だから、な?」
「~~~~お~~~くぅ~~~ん!!」
「オブフゥッ!?」
束さんが突然飛びついてきた。
いやね、痛くは無いんだ。ただビックリしたと言うか。
二つのお山の感触に驚いたと言うか。
「ちょっ、束さん!?どうしたんだよ!?」
「ん~~~~~♪(そんなこと言ってくれるのおーくんだけだよ\\\私を理解して、受け入れてくれる。だから私は\\\)」
飛びついたまま頬ずりされる。
あ、いい匂い・・・、じゃなくて!
どうすればいいのよこの状況!
クロエは・・・、あかん。微笑ましそうにこちらを見ていらっしゃる。
はぁ・・・。どうすればよかとよ。
「落ち着いたかい?」
「うん!エネルギーMAX充電完了だぜい!!」
絶対落ち着いてないでしょうそれ。
「ところで束様、旺牙様のお宅に伺った本来の目的が。」
「あ、そうだった。」
まだ何かあったのか。これ以上はお腹一杯なんだが。
「おーくんに専用機をプレゼントしようと思います!ドンドンパフパフ~!」
「は!?」
今とんでもない事言わなかったかこの人!
俺がIS動かしてまだ二日だぞ!?
「あ、まだ完成してないよ。束さんの方でも色々あってねぇ。最後まで手を掛けてあげられ無さそうなんだ。だから最後の仕上げはオカジマ技研に委託することになってるから。」
「ぶっほっ!?」
俺は今日何度驚いているのだろう。
オカジマ技研の名前が出てくるとは・・・。
俺の世界にもオカジマ技研グループは存在した。別段ウィザード用の武具を開発していたわけでは無かったが、会長が個人的にウィザードに投資、支援を行っていた。あそこに助けられた者も多かっただろう。
ちょっと携帯で調べてみると、オカジマ技研グループは主にISの武装の研究を行っている機関らしい。
世界が違うとそこまで違ってくるのか。
だが『ファー・ジ・アース』と同じ名義の会社が存在している。何か因果でもあるのだろうか。
「おーくんの言ってた『異能者』のデータも凡人に解り易く入れておくつもりだから安心してね♪」
何故だろう。不安になる単語が聞こえてきました。
「『異能者』はウィザードの特殊能力っすよ?再現出来るんすか?」
「そこはうまく誤魔化してb」
bじゃねーよbじゃ。
これじゃあ変に悪目立ちするじゃねーかあ。
「束さんが何もしなくても、どこかがデータ取得目的とかで専用機を作ると思うよ。なら束さんが手を入れた機体の方が安心だとおもうな~?」
相変わらずこちらの考えを読んでくる。
はぁ。全く敵わないな。『先生』や千冬さんと同じく頭が上がらない。
「いえいえ。なら有難く頂戴しますよ。」
「む~。嬉しくないの?」
「嬉しいですよ?俺の為にそこまでしてくれるなんて。本当に有難いっす。」
腹を括って、ニカッと笑みを返す。
「うっ!(もう、なんでそんな顔するかな\\\思わずドキッとしちゃった♪)
顔を赤くしていらっしゃるが、大丈夫かね束さん。
「そ、それでね!機体の名前はおーくんに決めてもらおうかと思って!」
「名前かぁ。良いのがあるかなぁ・・・。」
異能者からサイキッカー、龍使いからカンフーマスター・・・。なんかピンと来ないな。
もっと俺に合った名前、通り名。二つ名・・・二つ名?
「あ、決まったっす。」
「早っ!もういいの?」
「えぇ。俺の『前世』での二つ名なんですけどね。」
「『凶獣
すいません。ちょっと間が空いてしまいました。
これからもさらに更新が遅くなるかも知れませんが、ご容赦ください。
解説コーナー
『人造人間』・・機械というよりホムンクルス。戦いに応じて肉体の形状さえ変化させる能力を持つ。専用の兵器を埋め込んでいる者もいる。
『異能者』・・いわゆる超能力者。精神力をそのまま破壊や防御の力に変える。魔術以外の力であり、突如目覚める者が多い。正確にはウィザードとは違うと言う説も有る。
『転生者』・・時を越えて来る者。世界の壁を越えてくる者の総称。死した者が『現代人』の肉体を借りて甦った者達。ほとんどの者が専用の武具である『遺産』を所持している。
『二つ名』・・ウィザードの多くには二つ名、通り名がある。ルール上サイコロで決めるか自分で決めるか選べるのだが、サイコロに任せるととんでもないものになりかねない。
例(死の茄子色カブトムシ