IS×NW~世界を渡りし者~《更新停止》   作:戒炎

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作者)特になし!!

旺牙)遂に開き直ったか・・・


ようこそ生徒会へ

 あの全校集会から数時間後、すなわち放課後の特別HR。現在クラスごとの出し物を決めるため、わいわいきゃいきゃい盛り上がっていた。

 ここで黒板を見てみよう。

 

・織斑一夏のホストクラブ

・織斑一夏とツイスター

・織斑一夏とポッキー遊び

・織斑一夏と王様ゲーム

 

 ハハハ、ワロスwww

 大変だなあ、一夏君www

 

「却下。」

 

 えええええー!!と大音量サラウンドでブーイングが響く。

 

「あ、アホか!誰が嬉しいんだ、こんなもん!」

「私は嬉しいわね。断言する!」

「そうだそうだ!女子を喜ばせる義務を全うせよ!」

「織斑一夏は共有財産である!」

「他のクラスから色々言われてるんだってば。うちの部の先輩もうるさいし。」

「助けると思って!」

「メシア気取りで!」

 

 みんな好き放題言ってるな。俺はそれを悠々と見ていられるよ。

 なぜなら―――

 

「なんで旺牙の名前は挙がらないんだよ!」

「だって俺生徒会だもん。当日は仕事で見回りだよ。」

「ぬうぅ。せっかくのワイルド系が・・・。」

「先輩になんて言えば・・・。」

 

 え?俺のも考えられてたの?

 あ、危なかった・・・。

 しかし高校生活初めての学園祭が見回りか・・・。

 俺だって男の子だよ?女子と、それも惚れてる女子と一緒に回りたかったよ?

 でも仕事なんだよ!俺だって楽しみてえよ!

 ちなみにいつもならこんな場を一喝してくれる織斑先生は退席している。

 

『時間がかかりそうだから、私は職員室に戻る。あとで結果報告に来い。』

 

 お優しい先生様である。

 あの人俺の姉貴分なんだぜ?イイ性格してるだろ?

 

「山田先生、ダメですよね?こういうおかしな企画は。」

「えっ!?わ、私に振るんですか!?」

 

 おい、副担任。

 

「え、えーと・・・うーん、わ、私はポッキーのなんかいいと思いますよ・・・?」

 

 だから、おい、副担任。

 

「とにかく、もっと普通な意見をだな!」

「メイド喫茶はどうだ。」

 

 そう言葉を発したのは、ラウラだった。

 俺だけでなく、クラス全員がぽかんとしている。

 だってあのラウラだぜ?なぜにメイド喫茶?てかどこで覚えた?

 副官か?また例の副官の影響か?

 

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう?それなら、休憩場としての需要も少なからずあるはずだ。」

 

 いつもと同じ淡々とした口調だったが、あまりに本人のキャラにそぐわない言葉だったため、俺も含めたクラスのみんなも理解に時間を要した。

 え?あ・・・理に適ってる・・・な。

 

「え、えーと・・・みんなはどう思う?」

 

 多数決を取ろうとしても、みんなからの反応がない。いまだにきょとんとしている。よほどラウラの意見が意外だったのだろう。

 

「いいんじゃないかな?一夏には執事か厨房を担当をしてもらえばオーケーだよね。旺牙が参加できないのは残念だけど。」

 

 シャルロットからの援護射撃、クリティカルヒット!こうかはばつぐんだ!

 

「織斑君、執事!いい!」

「それでそれで!」

「メイド服はどうする!?私、演劇部衣装係だから縫えるけど!」

 

 すごい盛り上がりだな。だがこれでクラスが一丸となった気がする。

 さすがに一夏もこれを止める気は無いようだ。

 

「メイド服ならツテがある。執事服も含めて貸してもらえるか聞いてみよう。」

 

 どこにツテがあるって?ラウラ、今日のお前は俺たちの予想の斜め上を行くな。

 また全員が目を丸くする中、ハッと気がついて咳払いをするラウラ。

 

「―――ごほん。シャルロットが、な。」

 

 なにをいまさら照れているかね?

 いきなりボールが飛んできたシャルロットが困った顔をしている。

 

「え、えっと、ラウラ?それって、先月の・・・?」

「うむ。」

「き、訊いてみるだけ訊いてみるけど、無理でも怒らないでね。」

 

 不安げそう告げるシャルロットに、クラスの女子は声を合わせて『怒りませんとも』と断言する。

 先月っていうと、夏休みか。何があったんだ、あいつら。

 かくして、一年一組の出し物はメイド喫茶改め『ご奉仕喫茶』に決まった。

 あー、なんか俺も参加したくなってきたよ。いまさら遅いけど。

 

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

「・・・いつまでぼんやりしてるの。」

「眠・・・夜・・・遅・・・。」

「本音ェ・・・、学習しろよ。」

「仕方ありません。志垣君、手伝ってもらっていい?」

「マジすか・・・。」

「よろしく・・・しおー・・・。」

「いやお前もやれよ。」

 

 我ながら、わずか数日で生徒会に溶け込んだと思う。

 理由の一つに本音の書類を手伝っているうちに虚先輩とも話す仲になったのだが。

 お?ドアの向こうに気配が二つ。楯無先輩、本当に一夏を連れてきたのか。

 ん?なぜわかるかって?気配もあるが、足音かな。

 

「ただいま。」

「おかえりなさい、会長。」

「お帰り下さい、会長。」

「旺牙くんが酷い!?」

 

 うむ、これ以上漫才はやめておこう。虚先輩に怒られる。

 

「わー・・・。おりむーだ~・・・。」

 

 もう眠りを通り越して死にかけだな・・・。

 

「まあ、そこにかけなさいな。お茶はすぐに出すわ。」

「は、はぁ・・・。」

 

 楯無先輩に促され、椅子に座る一夏。落ち着かない様子で、借りてきた猫状態だ。

 一夏が猫か・・・。女子は喜びそうだが、男の俺には・・・うわぁ。

 

「お客様の前よ。しっかりなさい。」

「無理・・・。眠・・・帰宅・・・いい・・・?」

「ダメよ。」

 

 無情の一言に崩れ去る本音。夜何してんだよ、って女子に詮索するのはマナー違反か。

 

「えーと、のほほんさん?眠いの?」

「うん・・・。深夜・・・壁紙・・・収拾・・・連日・・・。」

「う、うん?」

「あら、あだ名だなんて、仲がいいのね。」

 

 そういえば、一夏が本音のことを名字でも名前でも呼んだことが無いな。

 

「あー、いや、その・・・本名知らないんで・・・。」

「ええ~!?」

 

 おお。本音が覚醒した。そら目も一気に覚めるわな。

 

「ひどい、ずっと私をあだ名で呼ぶからてっきり好きなんだと思ってた~・・・。」

「いや、その・・・ごめん。」

 

 何だこの茶番・・・。

 

「本音、嘘をつくのはやめなさい。」

「てひひ、バレた。わかったよー、お姉ちゃん~。」

「お姉ちゃん?」

「ええ。私は布仏虚。妹は本音。」

「むかーしから、更識家のお手伝いさんなんだよー。うちは、代々。」

「えっ?ていうか、姉妹で生徒会に?」

「そうよ。生徒会長は最強でないといけないけど、他のメンバーは定員数になるまで好きに入れていいの。だから、私は幼なじみのふたりをね。」

「超身内人事っすね。」

「旺牙くん言い方キツイわね~。」

 

 そら無理矢理入れられた身ですから。しかも庶務。

 あ~。やっぱり無理にでも辞退すればよかったか?俺に書類仕事は・・・オカジマ技研へのレポートで慣れてたな。うん。

 

「はい、志垣君もお茶にしましょう。」

「あ、ありがとうございます。」

 

 考え事しているあいだに、虚先輩がお茶を入れてくれた。

 最近ボーっとすることが多いな。しっかりせねば。

 その後、本音が冷蔵庫から出してきたケーキを食べる。うむ、美味い。

 

「それにしても旺牙。本当に生徒会に入ったんだな。」

「そう言ったじゃないか。聞いてなかったのか?」

「いや、お前が生徒会なんて、らしくなくてさ。」

 

 自分でもそう思うけど、それが現実なのよね。

 改めて、俺含め生徒会メンバー四人が一夏に向き合う。

 

「一応、最初から説明するわね。一夏くんが部活動に入らないことで色々と苦情が寄せられていてね。生徒会はキミをどこかに入部させないとまずいことになっちゃったのよ。」

「それで学園祭の投票決戦ですか・・・。」

 

 一夏からすればいい迷惑だろう。自分のあずかり知らぬところでそんな話が決まっているのだ。怒ってもいいんだぞ?俺や楯無先輩に勝てるなら。

 

「でね、交換条件としてこれから学園祭の間まで私が特別に鍛えてあげましょう。ISも、生身もね。」

「遠慮します。」

「そう言わずに。あ、お茶飲んでみて。おいしいから。」

「・・・いただきます。」

 

 軽い応酬の後、紅茶を啜る一夏。

 

「おいしいですね、これ。」

「虚ちゃんの紅茶は世界一よ。次は、ケーキもどうぞ。」

 

 続いて生クリームたっぷりのショートケーキに手を伸ばす。

 うむ、これも美味。今度挑戦してみようかな?

 

「そして私の指導もどうぞ。」

「いや、だからそれはいいですって。大体、どうして指導してくれるんですか?」

「ん?それは簡単。キミが弱いからだよ。」

 

 楯無先輩の、さも当然といった言葉に、ぽかんとなる一夏。

 そんな一夏の姿に、笑いを堪えるのに必死だった。

 その後、少しムッとした顔になる。分かりやすい奴め。

 

「それなりには弱くないつもりですが。」

「ううん、弱いよ。無茶苦茶弱い。だから、ちょっとでもマシになるように私が鍛えてあげようというお話。」

 

 かなり挑発してるな。こりゃ一夏は内心お怒りだろう。

 だけど残念。何の策もなく怒らせるだけじゃないのだよ、その人は。

 一夏は立ち上がり、先輩を指さした。

 

「じゃあ、勝負しましょう。俺が負けたら従います。」

「うん、いいよ。」

 

 一夏、南無。

 

 

 

 行っちまったよふたりとも。さあさあ、おやつを片付けてさっさと仕事をしましょうか。

 

「一緒に行かないのね。」

 

 虚先輩って、くだけた言葉と敬語をうまい具合に使い分けるよな。だから出来る女って感じがする。

 

「過程も結果もわかってる勝負なんて面白くないですからね。多分、楯無先輩の指導の後に、安東先生の地獄が待っている、って流れじゃないですか?」

「・・・そこまでわかってるのね。安東先生からの要請ということも。」

「まあ、一夏とも付き合いは長いですが、安東先生とも付き合い長いですからね。なんとなく、勘で。」

 

 ん?なにやら虚先輩が考え込んでいる。

 

「少し、ほんの少しだけ気になるのだけれど、あなたとお嬢様が戦ったら、どうなるかしら?」

「うーん、ISなら機体性能差で互角でしょうか。生身なら―――」

 

 

 ―――殺し合いなら俺の勝ちですかね

 

 

「・・・あなたという人間がわからなくなってきました。」

「世の中知らないほうがいい事もありますよ。」

 

 

 夜、一夏から先輩の指導を受ける事に決まったと連絡が入った。

 ついでに、いつものみんなから理不尽に怒りを向けられたことも。

 まあ、今の俺には関係ないか。

 だけど裏で糸を引いているのは安東先生なんだよな。

 一夏と侵魔になにか関係が、て考えるだけ無駄か。

 

「ねえ旺牙。お姉ちゃんが迷惑かけてない?」

「お前ら姉妹のすれ違いの時期よりは楽だよ。」

「あう・・・///」

「ハハハ。さて、今日はなにを観るのかね?」

「う、うん。今日はね―――」

 

 だがなんだろうな、なんだか、嫌な予感がするよ。

 

 

 

 

    ◆    ◆    ◆

 

 

 果てしない闇の中、三人の女性が卓を囲む。

 広かった卓も、既にこれだけしか座らない。

 三人の中で最も幼く見え、それでいて圧倒的プレッシャーを放つのは、侵魔の軍団『覇王軍』の長、ジーザ。

 

「マリア。先日の『初陣』、どうであった?」

 

 強力な魔王でありながら、マリアと呼ばれた少女に優しく問いかける。

 

「・・・申し訳ございません。ろくに戦えもせず、最後はお母様のお手を煩わせてしまい・・・。」

「よいのだ。・・・志垣旺牙は強かったか?」

「はい、私では、到底追いつけぬほど。」

「敵の強さが分かったのは良い事だわ。あとは私と母様に任せておきなさい。」

 

 長身の女性、パツィアは優し気に、だがどこかに嘲笑の混じった笑みを浮かべる。

 

「そうだな・・・。ガイム!居るか!」

「ハッ!ここに。」

 

 闇の中から、ガイムと呼ばれた、重厚な鎧に身を固めた巨躯の老人が現れる。

 このガイム、志垣旺牙に敗れたテレモートの副官に当たる。剛の者にして、忠義者であった。

 

「ガイム。お前が軍団長代理で率いているテレモートの軍を、マリアに任せる。よくサポートしてやってくれ。」

「え?」

「なっ!」

「かしこまりました、覇王様。」

 

 きょとんとするマリア、驚愕するパツィア、恭しく礼を取るガイム。

 三者三様の反応である。

 

「お母様、私には戦う力など・・・。」

「だからこそ、お前を護る力が必要だ。・・・受けてくれるな、愛しきマリア。」

「・・・はい。」

 

 その光景を、パツィアは受け入れがたい表情で見ていた。

 覇王軍は珍しく、『現覇王』が次代の覇王を決めるシステムになっている。封印される前、ジーザが前覇王からその座を受け渡されたように。

 自分の軍にテレモートの遺した軍を加えれば、名実ともに自分が四天王最強の地位に立つ。もともと自分の軍を持たないマリアや、デーモンなどの下級から中級の侵魔しか操らなかったトルトゥーラとは違う。自分こそ『次の覇王』に相応しいはずだった。

 だが屈強で従順なテレモートの軍をマリアが継げば話が変わってくる。

 面白くない。何もかもが面白くない!

 

『闇』は、どこまでも深い・・・。




ペースを速めた結果がこれか・・・。
嗤わば笑えい!!
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