作者は熱中症になりかけました。
いまだにルビが上手く使えねえ・・・。
一夏がラヴァーズと学園祭巡りに行ってきて、また忙しさに追われている。やはりイケメンがいると違うな・・・。
さて、俺も頑張りますか!
「じゃじゃん、楯無おねーさんの登場です。」
「・・・・・・」
可哀想な人 が あらわれた!
コマンド →哀れむ 哀れむ 哀れむ
「旺牙くん・・・、そんな顔されるとさすがに傷つくんだけど。」
「いや、なんでそんなに元気なのかなと。」
「絶対嘘よ。」
だって本当に無駄に元気なんだもの。
「ん、んん!とにかく、生徒会の仕事よ。」
「はぁ。」
「そして一夏くん。君たちの教室手伝ってあげたんだから、生徒会の出し物にも協力しなさい。」
「え!?俺!?というか疑問形じゃない!?」
「うん。決定だもの。」
「俺の意志は・・・。」
「勝手に決定してもいいじゃない。生徒会長だもの。」
偉大な詩人っぽく言われてもなぁ・・・。
「諦めろ一夏。こうなったこの人は絶対に曲がらん。」
「・・・で、何をてつだうんですか・・・」
「「あら(おお)、無抵抗。」」
「もう無駄だってわかってますから。あと旺牙も言うな・・・。」
「どうやら少しはわかってきたようだな。」
「あら二人とも、おねーさんのことわかったつもり?まだまだダメよ、一年生たち。」
やべ。美人がやってるのにイラっと来た。なぜだ。
「そういえば、俺も出し物聞いていませんよ?なにやるんです?」
「ふっふっふっ、それはね、演劇よ。」
「「演劇・・・?」」
意外だ。楯無さんのことだから、もっと派手なことをしでかし、もとい催すのかと思っていたが。
「観客参加型演劇。」
「「は!?」」
どういうことだ!?まるで意味がわからんぞ!?
「とにかく、おねーさんと一緒に来なさい。はい、決定。」
反対することは・・・、出来ないよなあ。絶対二の手三の手を用意しているはずだしな。
別に逆らうことが怖いんじゃない。ただ、疲れるんだ。
「あのー、先輩?一夏たちを連れて行かれると、ちょっと困るんですけど・・・。」
勇気を出してよく言ったシャルロット。だがすまん。この人にとっては無意味だ。
「シャルロットちゃん、あなたも来なさい。」
「ふえ!?」
「おねーさんがきれーなドレス着せてあげるわよ~?」
「ど、ドレス・・・。」
シャルロットの喉がごくりと鳴った気がした。
「じゃ、じゃあ、あの・・・ちょっとだけ。」
シャルロット、陥落。まあ生い立ちからか、本能的にきれーなドレスに憧れがあったのだろう。それは否定してはいけないし、馬鹿にしてもいけない。
「ん~。素直で可愛い!じゃあ、箒ちゃん、セシリアちゃん、鈴ちゃん、ラウラちゃん、そしてもちろん簪ちゃんもゴーね。」
「「「「「はっ!?」」」」」
いつから聞き耳を立てて様子をうかがっていた五人が、同時に驚きの声を上げる。
「全員、ドレスを着せてあげるから。」
「そ、それなら・・・。」
「まあ、付き合っても・・・。」
「い、いいかな・・・。」
「ふ、ふん。仕方がないな・・・。」
「(こくこく)・・・。」
全員陥落、と。みんな女の子だねえ。
「あ、沙紀ちゃんと萌ちゃんも来なさいな。特別よん♪」
「へ?」
「私たちも?」
おおっと?人が増えたぞ?
「そもそも俺なにも聞いてないんですけど、演目って何ですか?」
今日初めて聞いたよ。
「ふふん。」
ぱっと扇子を開く楯無さん。そこには『迫撃』の二文字。
「シンデレラよ」
◆ ◆ ◆
「一夏くん、ちゃんと着たー?」
「・・・・・・。」
へんじがない。ただのしかばねの・・・
「開けるわよ。」
「開けてから言わないでくださいよ!」
「なんだ、ちゃんと着てるじゃない。おねーさんがっかり。」
「・・・なんでですか。」
「お前、いい加減慣れろよ。」
「無理だって・・・。」
第四アリーナの更衣室で、一夏は衣装に着替えていた。
その衣装というのは・・・、俗に言う『王子様』。
「なかなか、ぷっ、似合ってるぞ?」
「その笑いはなんだよ。」
だって、一夏が王子様。くくっ(笑)。
ちなみに俺は燕尾服のまま。違うところは、黒いチョーカーを着けられたぐらいか。
「はい、王冠。」
「はぁ・・・。」
「なによ、嬉しそうじゃないわね。シンデレラ役の方がよかった?」
「イヤですよ!」
本気で言っているのか冗談なのか、そこがわからないのがこの人の恐ろしいところだ。
「さて、そろそろはじまるわよ。」
ちらっと覗いてみたが、第四アリーナいっぱいに作られたセットはかなり豪勢だった。観客は満席。その歓声は更衣室まで聞こえてくる。
「楯無さん。俺たち脚本も台本も知りませんぜ?」
「一体どう動けばいいんですか?」
「大丈夫、基本的にこちらからアナウンスするから、その通りお話を進めてくれればいいわ。もちろん台詞はアドリブでお願いね。」
不安しかない。だが、もう逃げることはできない。
俺と一夏は、舞台袖に移動する。
「さあ、幕開けよ!」
ブザーが鳴り響き、照明が落ちる。
するするとセット全体にかけられた幕が上がっていき、アリーナのライトが点灯した。
「むかしむかしあるところに、シンデレラという少女がいました。」
出だしが普通。なぜだ、余計に不安が増してくる。だが、随分多くの女子に声をかけたが、シンデレラ役は誰になるんだ?
そんなことを考えながら、俺たちはセットの舞踏会エリアへと向かう。
「否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会を抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士たち。彼女らを呼ぶにふさわしい称号・・・それが『灰被り姫(シンデレラ)』!」
・・・はい?
「今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜がはじまる。王子の冠とその執事のチョーカーに隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女たちが舞い踊る!」
「「なんだそりゃー!?」」
「もらったぁぁぁ!」
いきなりの叫び声とともに現れたのは、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスを身に纏った鈴だった。
その一撃により、俺と一夏は分断される。
鈴はそのまま一夏に対し飛刀を投げつけて、って死ぬわアレ!
そちらに気を取られていると、何者かに襟を掴まれる。
「チェストーー!!」
「うおおおおっ!?」
視界が、天地が逆転する。
無理矢理両腕を伸ばし、地面に手をついて叩きつけられることを避ける。そしてそのまま力づくで襟を解放する。
誰だ!?今俺を投げたのは!?
「あ~、惜しいっ!」
「萌!?お前かよ!ていうか今の投げ方は脳天から落ちるぞ!?死ぬぞ!?」
「旺牙くんなら気絶くらいですむかと思って。」
「無茶言うな!?」
そこには鈴と同じドレスを纏った萌が立っていた。そういえば楯無さんに呼ばれてたな!?
「私、整備科だけど、これでも柔道経験者だよ。黒帯の。」
「有段者が命の危険がある投げ方をするんじゃありません!?」
くそ、油断した。まさかこんな形で俺が狙われるとは。
一夏は・・・鈴の攻撃を捌きながら何者かに狙撃されている。あのメンツからすると、セシリアか。
「周りにばかり気を取られていていいのかな?」
「は?」
ズダダダダダッ!!
「うわおーーーーっ!?」
何かが足下目掛けて、これは・・・。
「動かないで、旺牙くん。動くと、当たらないから。」
「アサルトライフル!?てか沙紀!眼の光が消えてる!コエ―よ!?」
「チョーカーを渡して。」
――――――
このシンデレラ、織斑くんの王冠か旺牙くんのチョーカーが賞品になってる。
どちらかのアイテムを手に入れたシンデレラに、『彼との同居権』が貰える。
とんでもない話のようで、更識先輩が『会長権限』で可能にするらしい。
織斑くんは今一人部屋だし、競争率も高い。
でも私、立花沙紀は旺牙くんとの同室のみ狙う。
簪や萌には悪いけど、ここは譲れない。
「ねぇおうがくん。チョーカーちょうだい?」
――――――
ヤバい。沙紀が暴走している。何!?怖い!このチョーカーにどんな意味が!?
くそ!前門の虎(萌)後門の狼(沙紀)か。
沙紀のライフル射撃を、テーブルを盾にするようにして防ぐ。テーブル堅いし重いな。さてはこういう使い方を想定していたな!
だがこんなチョーカー一つをどうして守らねばならんのだ・・・。ちょっとバカバカしくなってきた。でも簡単に誰かに渡したらいけないと本能が告げている。
「もらったぁぁぁ!」
しまった!一瞬萌から気を逸らしてしまった!
「させない!」
「うわっと!」
俺と萌の間を刃が遮る。簪の振るう薙刀だ。
「大丈夫、旺牙?」
「お、おう。」
簪が武器を持ち、俺を護る。なんだか逆のことがあったような・・・。
「旺牙は私が護る!」
(同室なのは譲らないんだから!)
な、なんだか気迫が凄い。
だけど一夏の王冠とこのチョーカーに何の意味が・・・。
「王子様にとって国とは全て。そして幼馴染みの執事も同様。その重要機密が隠された王冠とチョーカーを失うと、自責の念によって電流が流れます。さらに二人は一蓮托生。どちらかがアイテムを失うと、両者に電流が流れます。」
「はい?」
ふと一夏の方を見ると、王冠に手をかけ、そして。
「「ぎゃああああああっ!?」」
男二人の悲鳴が響く。バリバリバリ!という物騒な音とともに。
痛いをとかそういうのを通り越して、熱い。
「・・・ゲホ。」
ぶすぶすと服の所々が焼き切れて煙を上げる。
「し、死ぬ・・・。」
「ああ!なんということでしょう。王子様たちの国を思う心はそうまでも重いのか。しかし、私たちには見守るしかできません。なんということでしょう。」
「ふざけんなぁ!」
だがこれでこのチョーカーを守らなくてはならなくなった。もうあんな電流はごめんだ!
「旺牙!萌は私が抑えるから、沙紀からは自分で逃げて!」
「お、おう。でもお前はチョーカーが欲しくないのか?」
「大丈夫!(最後まで守り切れば同室のままだって、お姉ちゃんが言ってた!)」
そう後押しされて、俺はアリーナを走り回る。これだけ動いていればそう簡単には。
ズダダダダダッ!!
「うおっと!?」
またも足下が撃たれる。これは、外れたんじゃない。わざと足を狙い、俺の動きを封じる気だ。
だ、だがあの優しい沙紀がこんな狩りのようなことを・・・。
「・・・・・・。」
めっちゃこえー!!ハイライトない!無表情で撃ってくる!
そのまま舞台端まで追いつめられた。さ、早速ピンチだ。
「こっちだ。」
「うおっ!?」
何者かに腕を引かれ、俺はアリーナから退場した。
◇ ◇ ◇
そのころ、一夏も何者かの手によってアリーナから避難、セットの下をくぐり抜けて更衣室へとやってきた。
「えっと・・・。」
そういえば、暗くて誰が彼をここまで連れてきたのかわからなかった。
改めてその人物を見ると、先程名刺を渡してきた木崎響子だった。相変わらず柔らかい笑顔を浮かべているが、今は何か違和感がある。そう、まるで張り付いたような笑顔なのだ。
「あ、あれ?どうして木崎さんが・・・。」
「はい。この機会に織斑さんの『命』をいただければと。」
「・・・へ?」
「『デモニック・シャイン』。」
木崎は笑顔のまま黄色に輝くISを展開、剣を薙ぎ払った。
その殺気をギリギリで察知し、後ろに倒れこむように一夏は刃を避けた。
「な・・・!」
「へえ。平和ボケしていると思ったけど、これくらいは避けられるのね。」
木崎の顔を見ると、柔和な笑みは消え、酷薄で残虐な笑みへと変わっていた。
「あ、あなた一体・・・。」
「ふふ、そうね。死ぬ前に相手の名前は聞いておきたいものね。」
「私は覇王軍四天王の将、『輝かしきパツィア』。その名を刻んで、死んでいきなさい。」
◇ ◇ ◇
「うむ!このあたりで良いだろう!」
俺の腕を引いていたのは、先程客で来ていた桃色の髪のお嬢さんだった。
かなり全力で走らされたので、少々疲れた。
「助かった、でいいのかな?だがお嬢さん。ここは・・・。」
連れてこられたのは、第四アリーナから離れた第一アリーナ。
ここでは何の催しも行われていないのか、閑散としている。
いや、それにしても人の気配が無さすぎる。俺の第六感が危険信号をあげていた。
「君・・・、いや、お前、一体何者だ。」
「ふふっ。はっはっはっはっ!」
突如周囲が歪み、空間が紅く染まる。
これは、月匣!?
ということは、こいつは!
「お前!侵魔か!」
凄絶な笑みを浮かべる少女。だが、放たれるプレッシャーは今まで戦ってきた敵の比ではない。今にも圧し潰されそうな、強大なプレッシャー。
安東先生の『本気』をも凌駕しているんじゃないか!?
「まさか、魔王クラス!」
「くくっ。如何にも!」
少女が何もない空間から大剣を取りだす。
「我は覇王!覇王ジーザ!現世の大魔縁!この世の全てに闘争をもたらす者なり!!」
・・・いきなりキングが攻めてくるのは予想してなかったな。