旺牙)気を引き締めて望め。最悪この小説を削除しろ。
作者)まぁじぃでぇ!?
俺の眼前に仁王立ちする少女。
いや、少女の皮を被った、正真正銘の悪魔。
覇王、ジーザ・・・。
「ほう、この姿を見ても我に対する警戒心を解かぬ。どころかそこまでの闘気と殺気を放つとは。」
「こちとら腐ってもウィザードだ。お前がどれだけの化け物かはわかるさ。」
そうか!と楽しそうに、無邪気な笑顔を浮かべる覇王。
教室ではこの圧倒的覇気を隠していたのか。とんでもねえな。
「楽しかったぞ。封印されていた間も見ていたが、本当に人間とは面白い娯楽を思いつくな!」
はっはっは、とこれまた快活に笑いだす。何が楽しいんだよ・・・。
しかし侵魔は封印中も外界を観れるものなのか?
「我らに施された封印は少々弱かったみたいでな。狭界からヒトの営みを見ていた。」
誰だよそんな脆い封印した奴!あとこいつにまで心読まれたよ!そんなに俺は顔に出やすいのか!?
「さて、会話も楽しいが、そろそろ我慢が出来なくなってきてな。」
「っ!?凶獣!」
気がさらに膨れ上がる。尋常ではない覇気、闘気、そして殺気。
俺は相棒の名を呼び、コンマゼロ秒でISを展開させる。
「我にはISが無くてな。愛剣も娘に預けてある。この『間に合わせ』ですまないが勘弁してくれ。」
「・・・むしろありがたいハンデだよ。」
互いに構える。
覇王の笑顔が、無邪気なものから『狩猟者』のような凄絶なものに変わる。
「さあ!始めようか!」
その一言とともに大剣を軽々と片手で振り上げ、突撃してくる。
2mほどもある剣を叩きつけるように俺に対し振り下ろす。
ギリギリでバックステップをして躱す。行き場を失った大剣が地面に届くと、それを中心にクレーターがうまれた。
マジかよ。
ととっ。いまさらビビっても仕方ない。相手が規格外なのは想定済みだ。
覇王が次の行動に移る前に右前蹴りで反撃する。
俺だっていつもバカやってない。修業は欠かしていない。
残り一人は知らんが、今までの四天王との戦いより強くなっている自信はある。速さ、威力共に今まで以上のものになっている。
だというのに!
「ふむ。いい蹴りだ。」
俺の蹴りが片手で受け止められる。龍を乗せていないとはいえ、カウンターだぞ!?こんなに簡単にとらえられるかよ!
「はっはっ!だがまだ甘いぞ!」
右脚を掴まれたまま、地面に叩きつけられる。
「ぶはっ!?」
「まだまだあ!」
それから縦横無尽に連続で叩きつけを喰らう。一撃一撃を受けるたびにダメージで意識が飛びそうになる。
ただ敵を振り回す。それだけでテレモート以上の威力を痛感する。
冗談じゃねえ。こんなものいつまでも喰らってられるか!
体をひねって脚を解放する。
その時気付いてしまった。こいつ、全力で脚を掴んでいなかった。ただ軽く、タオルでも持つかのように軽く握って、本人にとって簡単に俺の体を振り回していただけだった。
これが、覇王軍の長の力・・・!
「今のを抜けるか。うん!流石だ!」
「随分、楽しそうだなぁ、おい。」
「当たり前だ。我は世界に『覇』を称えるもの!強者との闘争ほど楽しいものは無い!」
「そういう所、テレモートにそっくりだな・・・。」
「うむ!我の自慢の息子であった。」
「『息子』、ねえ。」
見た目からすると逆じゃね?と思う。まあ、侵魔と人間を一緒に考えるのがおかしいんだけどな。
「本気になられると俺が不利だな。こっちから攻めさせてもらうぜ!」
「来い!」
体中に龍を練り、連撃を繋げる。
「破あああ!正拳!裏拳!中段蹴りぃ!!」
「あははは!いいぞ!いいぞいいぞ!」
その後も連続で、スラスターによるスピードアップも追加している。
だが、全て受けられる。躱す、いなす、払うことをせず、全てを真正面から防御されている。
くそ!ならこいつはどうだ!
「破を念じて、刃と成せ・・・。」
「ほう、来るか!」
こいつは、痛いぞ!
「念導龍錬刃ッ!!」
拳に龍を集中させ、文字通り刃と成す、俺の奥義の一つ。
こいつなら、少なくともダメージが入るはず!
「ふふ、いい拳だ。」
バカな・・・。これでも効かないのか!?
「まだまだあるのだろう?いい玩具。」
「人の奥義を、玩具扱いかよ。」
なら大きな玩具、見せてやるよッ!
手を払い、再び両手で龍を練る。
零距離、往くぞっ!
「魔空龍円刃《終式》!」
巨大な龍の咆哮が覇王を襲う。だが。
「ふん!」
防御するまでもなく、片腕で羽虫でも振り払うかのように《終式》をかき消された。
いやいやいや。ちょっとデタラメ過ぎませんかね?
テレモートも受けきったとは言え、ノーダメージってのはないだろう。威力そのものは確かに念導龍錬刃に劣るが、今のを反応して弾き消すのか。
これが、覇王、覇王ジーザ・・・。気のせいか、さっきよりムッとした表情をしている。
「これではない。息子たちを破ったものがあるだろう。」
ああそうだよ。俺には『アレ』しか残ってねえよ。装甲の下で、苦虫を噛み潰したような顔になる。
一瞬隙が出来たので、改めて距離を取る。
「ふむ。まだ何か足りないような・・・。」
何を考えている?まだ『遊ぶ』気か?
「時に、あの、なんだったか。モンド・グロッソ、だったか?」
「・・・それがどうしたよ。」
「あの時、本当は織斑一夏を捕らえるはずだったが、お前を捕らえてしまったあの事件、とでも言った方がいいか。」
おい、まさか・・・。
「あれは我々の仕業だ。許せ。」
・・・へぇ、そうかい。お前らだったのか。へぇ・・・。
「殺すッ!!」
俺の中で何かが弾けた。
俺に傷が残ったことはどうでもいい。
一夏を狙ったこと。
千冬さんの偉業を台無しにしたこと。
あの時以来、自分に向けていた後悔が、一気に目の前の侵魔への殺意に変わる。
「そう!それだ!その怒りと憎悪だ!さあ見せてみろ!お前の『真の力』を!」
何かほざいているがよく聞こえない。今は奴を、潰す!
全身の龍を右脚に集める。俺の中の何かが、限界以上の力を引き出す。
(カカカッ!そうだ!委ねろ、その身を憎悪に!!それが本当のお前の姿だ!!)
頭の中で声が響く。どこかで聞いた声だが、今それに応える余裕は無い。
「破を念じて、龍と成せ・・・。」
ご希望通り見せてやるよ。俺が持ってる最大の玩具を。
ジャンプし、全スラスターをフルスロットルで噴かす。
ただの飛び蹴りを、俺の最終奥義に昇華させた!
「『龍王爆功撃』!!」
全ての力を込めて、眼前の『敵』を蹴り穿つ!
もしかしたら、ここまでの殺意を抱いたのは初めてかもしれない。
戦いの結果、存在を賭けて戦ったことはあった。
だが今は、こいつを『殺したい』。
「死ィネヤアアァァァッ!」
「ふふ・・・。」
ズガアアアン!!
月匣内に轟音が響く。大気が震える。
俺の『負の龍の力』を込めた一撃。
それを・・・。
「くっ、ぐぅっ!」
「ふふふ・・・。」
あれほどまでに頭に血が昇っていたのに、急速に降りていく。
熱くなった体も冷めていく。
認めたくない。だが、認めざるを得ない。
覇王は、片手で簡単に俺の一撃を受け止めていた。
「嘘、だろ・・・。」
「ふふ、ははははははは!」
覇王が高笑いを上げる。もう滅茶苦茶だ。
奴は左腕で俺の脚を掴み、思い切り投げ捨てる。
その際、ボキッ、という嫌な音と痛みが右脚に走った。
折れた。まさか、IS越しに折ったのか!?ただ放り投げただけで!?
地面に叩きつけらた瞬間に脚を見る。
右脚が装甲ごと無茶な方向に曲がっていた。
「あははははは!痺れている!受けた腕がまだ痺れているぞ!この感覚、本当に久方ぶりだ!」
狂ったように笑いだす。年端のいかない少女の姿をしているせいか、今頃敵の脅威を感じ取ったのか、冷や汗が溢れ出し、わずかに恐怖を抱く。
「やはり!やはり我の眼に偽りはあらなんだ!すさましいぞ、志垣旺牙!」
大剣を振り上げ、一気に振り下ろす。
ドガンと剣が叩きつけられる。
刃が当たったと思ったが、どこも斬られていない。ただ、当たった部分の骨と内臓が悲鳴を上げた。
「~~~~~~っ!」
「この剣は刃を潰してあってな。最早ただの鈍器だよ。」
「どう、りで、斬れてないわけだ・・・。ガフッ!」
折れた骨が内臓に刺さったか?激しく痛み、血を吐き出す。
「未だ口が利けるか。流石だな。」
この状況にそぐわない、慈愛に満ちた表情で俺を見てくる。
その表情のまま、今度は剣、基鉄塊を薙ぎ払う。
反射的に腕でガードするが、その両腕の骨を粉砕して体を壁に叩きつけられる。
ISの絶対防御など無視かよ。テレモートも剛力だったが、これが魔王クラスの力。
久しぶりの感覚に、もう恐れを通り越して畏敬の念すら抱くよ。
「まだ目に力がある。やはり。」
喜びを全身で表すように、両腕を広げて笑みを浮かべる。
そして俺に近づき、こう言った。
「志垣旺牙。お前、我の息子にならんか?」
「・・・は?」
多分、俺今凄い間抜けな顔してる。
「お前、俺はお前の息子たちを葬った仇だぞ?」
「うむ。そこは確かに。だが、お前のような素晴らしい戦士を放っておくのも勿体ない。共に闘争の世を謳歌せぬか?」
こいつ、正気か?
「もちろん正気であり本気だ。お前の為なら四天王の座も用意しよう。」
「馬鹿、野郎。俺は人間だぞ・・・?」
「・・・?そうか?お前から、私たち侵魔と同じものを感じるぞ?」
は?何を言って・・・。
(カカカカカカカカカッ!!)
脳内に、俺に似た『アイツ』の高笑いが響く。
今のは一体・・・。
「今はまだ原石と言ったところだが、お前ならばすぐに頭角を現す。さあ!ともに往こう!」
覇王が、ジーザが俺に対して手を伸ばす。俺の手を取るように。だが、腕が動かないことに気付くと、顔を撫でるように優しく伸ばす。
心のどこかで、それもいいかもしれないという、あり得ない思いが生まれ始めた。
ジーザの手が、俺の頬に触れようかというその時。
「マドカ!」
「了解!」
上空から男女の声が聞こえてきた。
男の声ははっきりと聞き覚えがあった。安東先生だ。
だが、もう一人の声は聞き覚えが無かった。
安東先生の「グレート・ワン」の斉射。それと、女が、BT兵器のようなものを射出する。
先生の斉射は相変わらず容赦がない。だが上手く開かない目で、驚くものを見た。
BT兵器の射撃が、途中で曲がった。
偏光射撃。セシリアから聞いたことがあったが、レーザーを途中で曲げる高等技術だったはずだ。彼女はまだその域に達していなかったはず。
たしか、マドカと呼ばれた女(少女?)は、そんな高等技術を苦も無く行っているようだった。
「はははは!そうか!お前もいたか!久しいな!今は何と名乗っている?」
「貴様に名乗る理由はない。」
ふたりの攻撃を捌きながら、覇王は知人にあったように先生に問いかける。
それを一蹴する。なんだ?何があった?
「どれ、懐かしい顔も見れた。息子の力も見れた。今日はコレで満足だ。」
(パツィア、今は退くぞ。)
(母様?私はまだまだ戦えますが?)
(今は織斑一夏も志垣旺牙も発展途上だ。楽しみは最後までとっておこう。)
(・・・母様の望む通りに。)
まあ、志垣旺牙はこちらに引き込みたいがな。
そう呟いて、砂塵を上げながら姿が掻き消えていく。
「逃がすか!」
「いや、退くならそれでいい。深追いは無用だマドカ。」
「・・・わかった。」
「はははは!また会おう、ウィザード!」
逃げた、いや、逃げてくれたと言うべきか。
あ、やべ。意識が飛びそう・・・。
「おい、起きろ。今寝たら死ぬぞ。」
先生がISを解除し、俺に治癒魔法を施す。
痛みが引き、折れたり粉砕した骨が治っていく。流石治癒の名手といったところか。
意識が戻ってきたところで、さっきから気になっていたんだが。
「先生、こちらの、千冬さんそっくりな女子はどちら様で?」
うお!すごい勢いで睨まれた!視線で殺せる勢いだよ!
「千冬に似てるのは考えるな。忘れろ。」
「んな無茶な。」
「じゃあ何も考えられなくしてやろうか?」
「はい。気にしません。」
まったく。相変わらず問答無用な人だ。
「こいつは安東マドカ。俺の妹だ。ほら、挨拶しろ。」
「安東マドカだ。兄さんの一番弟子らしいが、案外脆いんだな。」
へぇー、妹さんかー。そっかそっか・・・って。
「い、妹っ!?」
「煩いぞ阿呆。」
ぽかりと頭を叩かれる。痛い。
いや、全然似てないよ!?それこそ織斑家の血縁って言われた方が納得できる!
次にこんなこと言ったら今度こそ殺されそうだ。
「まあ血は繋がっていない。だが間違いなく、問題なく俺の妹だ。よろしくしてやってくれ。」
「は、はあ・・・。」
「兄さん。私は別に他人と関わろうなどと・・・。」
「いや、お前はもっと多くのことを学ぶべきだ。そのためには同年代の友人の一人でもつくれ。学校は勉強だけを学ぶ場所じゃない。」
「・・・はい。」
ん?なんか聞き捨てならない台詞が聞こえたような。
「というわけで、旺牙。もうしばらくしたらマドカをIS学園に編入させる。俺は教師の立場上あまり構ってやれないから、よろしく頼むぞ。」
・・・( ^ω^)・・・
「はあああああ!?」
「だから煩い。」
「ヘブシ!?」
今度は思い切りビンタされた。痛い。
なんだ?なんかもう色々あり過ぎて頭が混乱している。
あー。このまま眠ってしまえばどれだけ楽だろう。
「ん?チョーカーが・・・。」
首に付けていた(付けさせられていた)チョーカーが勝手に外れた。今の戦いで壊れたのか?
「どうやら誰かが織斑の王冠を手に入れたようだな。どちらかが誰かの手に落ちればもう片方は自壊するように作ってある。」
「これ、先生が作ったんすか?」
「ああ。」
通りで趣味が悪い構造をしているわけだ・・・。
ああ、この後後夜祭もあって、片付けとかもあるんだろうな。
このまま寝てしまいたい。俺は壁にもたれるように力を抜いた。
「サボりは許さないぞ。」
「ですよね~。」
この小説で一番崩壊しているのはマドカ関連だと思います。