IS×NW~世界を渡りし者~《更新停止》   作:戒炎

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旺牙)そう言えばEOS(イオス)の場面はやらなかったな。

作者)だってお前が筋肉に任せて無双するシーンしか考えられなかったんだもの。

旺牙)つまりヒロインズが活躍しないと・・・いつものことじゃね?

作者)あんまり度が過ぎると怒られそうだから・・・。

旺牙)小心者め。


すべては戦いのために

 オカジマ技研にデータ提供及びオールメンテナンスを頼みにやってきてどれ位経っただろう。いや、数日滞在したわけではないのだが。

 今は凶獣の基礎データを見せられている、のだが。

 

「どうやったらこんな化け物スペックになるんだ?」

 

 碌な実戦はしていないとはいえ、ダメージを受けたのは『覇王ジーザ』との一戦のみであり、模擬戦では他の専用機を遥かに上回る戦闘力、結果を残している。と言うか負け無し。マドカとの模擬戦はどっこいどっこいだが、『獣王悪食』のおかげで大抵の正面からの攻撃は無効化、吸収出来る。これが反則だ、ってみんなに言われる。

 しかし、攻撃すら『喰らう』ISか。・・・喰らう。これが凶獣の、いや、『俺』の本質なんだろうか。

 

「お~や!難しい顔をしてどうしたのかな?」

 

「うわっ!?」

 

 目の前に津久井さんの顔が現れる。いきなりなので心臓に悪い。

 素が美形だが常時破顔しているので反応に困る。

 

「相棒の、いや自分自身のことを考えていたのかな?」

 

「自分自身・・・。」

 

「うむ。それなりの数のISのデータを見てきたが、君と凶獣の相性というか一致率は最高クラスだ!君たちはまさに一心同体!もしかしたらあの『白騎士』や『暮桜』に匹敵するかもしれないなぁ!」

 

 暮桜、かあ。織斑先生、いや千冬さんの専用機。今はどこにあるのかわからない。

 あれほどの機体だ。解体されたということはないだろう。

 そんなISに匹敵とはいささか言い過ぎじゃないだろうか。

 

「そう言えば津久井所長「さんでいいよ。」・・・さんは男性でここの責任者なんですよね?よく周りが納得しましたね。」

 

「この会社、もとい岡島総裁は能力主義者だからね。装着は出来なくとも構造を社内で最も理解していたのが僕だっただけさ。運良く他の女性所員も能力主義者が占めているからやりやすいしね。」

 

 何故か津久井さんはタップダンスを踊りながら話してくれる。職場に恵まれたことを心から感謝している、そんなことを言いたげに。

 

「所長!踊ってないで作業に戻ってください!あ、志垣君も協力してもらっていい?」

 

「あ、はい。」

 

「う~ん。いつも通り厳しいな~。」

 

「真面目にやってくれれば怒りません!」

 

 何だかんだで女性に強く出られないのはよその男性と変わらないらしい。

 

「いつかISが、本来の役割に使われる日が来るといいねえ。」

 

 本当の役割、宇宙開発か。

 何時か俺も、それに携われたらいい、と考えるのは烏滸がましい事なのだろうか。

 

 

 

   ☆    ☆    ☆

 

 一方、一夏と旺牙が学園を離れている時。

 

「では、状況を説明する。」

 

 IS学園地下特別区画、オペレーションルーム。

 本来なら生徒の誰一人として例外なく知ることのない場所に、選ばれた生徒たちが集められていた。

 箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪、マドカ、楯無が立って並んでいる。その前には、千冬と真耶と一樹がいた。

 このオペレーションルームは完全独立した電源で動いているらしく、ディスプレイはちゃんと情報を表示している。ただし、空間投影型ではない旧式のディスプレイだったが。

 

「しかし、こんなエリアがあったなんてね・・・。」

 

「ええ。いささか驚きましたわ・・・。」

 

 それとなく室内を観察しながら鈴とセシリアがつぶやくと、すかさず千冬に注意を受けてしまう。

 

「静かにしろ!凰!オルコット!状況説明の途中だぞ!」

 

「は、はいぃっ!」

 

「も、申し訳ありません!」

 

 千冬の怒号で、鈴とセシリアのひそひそ話は中断される。

 それから改めて、真耶が表示情報を拡大して全員に伝えはじめた。

 

「現在、IS学園ではすべてのシステムがダウンしています。これはなんらかの電子的攻撃・・・つまり、ハッキングを受けているものだと断定します。」

 

 真耶の声も、いつもより堅さがある。どうやら、この特別区画に生徒をいれることは、かなりの緊急事態のようだった。

 

「今のところ、生徒に被害は出ていません。防壁によって閉じこめられることはあっても、命に別状があるようなことはありません。すべての防壁を下ろしたわけではなく、どうやらそれぞれ一部分のみの動作のようです。」

 

 だからトイレにもいけますよ、と言ったが、誰も笑わなかった。

 

「あ、あの、現状について質問はありますか?」

 

「はい。」

 

 ラウラが挙手する。相変わらず、現役軍人は有事の際に行動が機敏なのだった。

 

「IS学園は独立したシステムで動いていると聞いていましたが、それがハッキングされることなどあり得るのでしょうか?」

 

「そ、それは・・・。」

 

 困ったように真耶が視線を横に動かす。それを受けて、一樹が口を開いた。

 

「ハッキング、と言ったが、正確には『奴ら』の仕業だ。」

 

「『奴ら』・・・。」

 

 誰ともなくその単語を口にする。全員が思い浮かべたのは、『侵魔』。

 

「ああ、心配するな。必要になったため、山田先生にも簡単な事情は話してある。俺たちにかかわる以上、いつか無理にでも知ることになるからな。」

 

 当の真耶は不安そうな表情を隠そうと、より堅い顔になる。

 

「敵の目的は?」

 

「それがわかれば苦労はしない。」

 

 他に挙手するものがいなかったので、真耶は作戦内容の説明へと移行した。

 

「それでは、これから篠ノ之さん、オルコットさん、凰さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさんはアクセスルームへ移動、そこでISコア・ネットワーク経由で電脳ダイブをしていただきます。更識簪さんは皆さんのバックアップをお願いします。」

 

 すらすらと真耶が告げる。しかし、それに対する専用機持ちたちの反応は静かなものだった。

 

「・・・・・・。」

 

「あれ?どうしたんですか、皆さん。」

 

 きょとんとしている真耶の前に、楯無とマドカ以外の全員がぽかんとしていた。

 

「「「で、電脳ダイブ!?」」」

 

「はい。理論上可能なのはわかっていますよね?ISの操縦者保護神経バイパスから電脳世界へと仮想可視化しての侵入ができる・・・あれは、理論上ではないです。実際のところ、アラスカ条約で規制されていますが、現時点では特例に該当するケース4であるため、許可されます。」

 

「そ、そういうことを聞いてるんじゃなくて!」

 

 鈴がぶんぶんと握り拳を縦に振る。

 

「そうですわ!電脳ダイブというのは、もしかして、あの・・・。」

 

 セシリアが困惑気味に喋ると、それにシャルロットが続けた。

 

「個人の意識をISの同調機能とナノマシンの信号伝達によって、電脳世界へと侵入させる――」

 

「それ自体に危険性はない。しかし、まずメリットがないはずだ。どんなコンピューターであれ、ISの電脳ダイブを行うよりもソフトかハードか、あるいはその両方をいじった方が早い。」

 

 ラウラのもっともな言い分に、簪が付け加える。

 

「しかも・・・電脳ダイブ中は、操縦者が無防備・・・。何かあったら、困るかと・・・。」

 

 最後に箒が全員の意見を代弁した。

 

「それに、一箇所に専用機持ちを集めるというのは、やはり危険ではないでしょうか。

 

 それらの意見を全て聞いてから、千冬はすっぱりと言い切った。

 

「ダメだ。この作戦は電脳ダイブでのシステム侵入者排除を絶対とする。」

 

 その言葉に、一樹が続ける。

 

「侵魔の中には電脳世界に月匣を展開する輩もいる。これはいち早く月匣に馴染むための実戦だ。ここを乗り越えられなければ、旺牙や織斑と共に戦うことなど出来ん。イヤならば、辞退しろ。戦力にならなければ、置いていくだけだ。」

 

 ふたりの迫力に、全員が気圧される。

 

「い、いや、べつにイヤとは・・・。」

 

「ただ、ちょっと驚いただけで・・・。」

 

「で、できるよね。ラウラ?」

 

「あ、ああ。そうだな。」

 

「ベストを尽くします・・・。」

 

「や、やるからには、成功させてみせましょう。」

 

 それぞれの同意を得たところで、千冬はパンッと手を叩いた。

 

「よし!それでは電脳ダイブをはじめるため、各人はアクセスルームへ移動!作戦を開始する!」

 

「有事の際は俺とマドカが何とかする。とりあえず行ってこい。」

 

 その言葉を受けて、箒たちはオペレーションルームを出る。

 後に残ったのは、千冬と真耶、一樹とマドカ。それに楯無だった。

 

「さて、お前には別の任務を与える。」

 

「なんなりと。」

 

 いつものおちゃらけはゼロで、楯無は静かにうなずく。

 

「おそらく、このシステムダウンに乗じて、別の勢力か、『奴ら』の別動隊がやって来るだろう。」

 

「敵、それも侵魔の可能性が高い――、ですね。」

 

 

「今のあいつらは戦えない。悪いが、頼らせてもらう。」

 

「任されましょう。」

 

「お前には厳しい防衛戦になるな。」

 

「ご心配なく。これでも私、生徒会長ですから。」

 

 そう言って不敵に微笑んで見せるが、一樹は表情を曇らせる。

 

「俺たちが出られれば早いんだが、ここを空にしておきたくもない。それに『覚醒済み』とはいえ、お前には実戦経験がない。」

 

「ええ。けれど私は更識楯無。こういう状況下での戦い方も、わかっています。それの、あなたに多少なりとは教わりました。」

 

 生徒の長として、一歩たりとも引きはしない。

 その強い決意が双眸の奥に見えて、千冬と一樹はふうっと溜息を吐いた。

 それから真っ直ぐに楯無を見つめて、一言告げる。

 

「では、任せた。」

 

 楯無はぺこりとお辞儀をして、オペレーションルームを出て行く。

 

「私も彼女たちのところに行く。兄さんの頼みだ。絶対に守ってみせるさ。」

 

「ああ。少なくとも『彼』が戻ってくるまでは頼む。」

 

 その言葉と共に、マドカも姿を消した。

 ふたりが部屋を出てから、千冬と真耶、一樹は重い口を開いた。

 

「私たちは何をしているんだ・・・。守るべき生徒に戦わせて、私たちは・・・。」

 

「織斑先生・・・。」

 

「俺たちには手が出せない『運命』にある。・・・そんなもの、ぶち壊してやりたいがな。」

 

 仕方がない、とは言わない。言ってはいけない。

 だが、『かつて』多くの子供たちを戦場に送ってきた一樹の心情はいかがなものか。無表情を貫く彼の握り拳からは、赤い液体が流れていた。

 

「俺たちはここの死守だ。無いとは思うが、ここまで奴らがやって来る可能性もある。」

 

「・・・なにか、ここでも何かしらの意志がはたらいているような気がするな。」

 

「本当に、これで良いんでしょうか・・・。」

 

 生徒を送り出した教師たち。その背には悲哀が混じっていた。

 

「さて、念のため『アイツ』にも助力を頼もう。妹が関わっているんだ、手伝うだろう。」

 

「お前は・・・インテリヤ〇ザのようだな。」

 

 

――――――

 

 

「さて、と。」

 

 楯無は破壊した防壁からひょいっと抜け出ると、軽やかに着地した。

 

「全校生徒は大体の避難が終わったようだし、それならまあ、大丈夫ね。」

 

 ぱっと扇子を開く楯無。そこには「迎賓」と書かれていた。

 お迎えするのは、笑顔ではなく鉄拳だが。

 そして、窓から見える天空には紅い月が昇っている。

 目の前には男か女かもわからない、黒い「けむくじゃら」が六体。

 どこぞの国の特殊兵装、とは思えず、その毛までが生物的で、生理的嫌悪感を覚えさせる。

 

「そう言えば、私ってこれが対侵魔の初陣なのよね。」

 

 楯無は『ミステリアス・レイディ』を展開させる。

 

「さて、どんなものか、試させてもらうわよ。」

 

 けむくじゃら、もとい侵魔に『憑かれしもの』のなれの果てから大型の針のようなものが発射される。

 しかし、それらはすべて楯無の目の前で止まった。

 

「!?」

 

「ふふん。なんちゃってAICよ。」

 

 実際には、正面にあらかじめISのアクア・ナノマシンを空中散布していたのだった。IS専用の射撃武器ならいざ知らず、この程度の攻撃はこうしてたやすく遮ることができる。

 動揺する化け物に微笑む楯無。

 そして―

 

「ぽちっとな。」

 

 楯無がかちんと親指を閉じる。

 刹那、大爆発が廊下を飲み込んだ。

 

「ミステリアス・レイディの技がひとつ、『クリア・パッション』のお味はいかが?」

 

 こういった屋内戦闘は、本来ミステリアス・レイディの独壇場だ。なにせ、ナノマシンの分布密度から流動まで、すべてコントロールできるのだから。

 しかも相手はヒトならざるモノとはいえ、下級の侵魔。装備と元々の戦闘力に差があり過ぎる。

 

「弱いものイジメみたいよねぇ。」

 

 はぁ・・・っとため息をつく楯無。・・・しかし。

 

「うふふ。そういうのって大好き。」

 

 にこ~っと、魔性の女が微笑む。

 大体、相手はほとんどの生徒が非武装の女子校に乗り込んできたのだ。そもそも人外。大義名分は楯無にある。

 

「さあ、行くわよ。必殺、楯無ファイブ!」

 

 言うなり、その姿が五人にわかれる。

 ずららッと並んだ、ISを纏ったランス装備の更識楯無×5。

 

「まあ、ミステリアス・レイディの機能なんだけどね。」

 

 すなわち、五体の内いくつかはナノマシン・レンズによって作り出した幻であり、その他アクア・ナノマシンによって製造した水の人形だ。

 問題は、その内訳が分からないことだった。

 しかも、水人形に至っては―

 

「どっかーん。」

 

 爆発機能付きの実体なのだ。しかも、水で出来ているので遠距離攻撃は効かない。

 

「ぐばあぁっ!?」

 

「グぐぐ、これは・・・!」

 

 恐怖の権化である『憑かれしもの』がどんどん消滅していく。彼らは本来人間だったらしいが、長く侵魔に憑依され続け、既に人には戻れないことも聞いている。(憑依されて短い者は助けられるらしいが)

 姿を現した六体とは別のグループも合流してきたが、一切楯無に歯が立たない。

 

「一度離れるぞ!」

 

 これで十六歳。しかも、まだ本気では無い。

 それでこの有様なのだ。

 

「うふふふ♪」

 

 炎の中、微笑む楯無。百パーセント、悪役だった。




旺牙・一夏)出番まだー?

作者)もうちょっと待ってて。

千冬・真耶)私たちの出番は?

作者)すいません、カットで。

四人)ブーブー!

作者)ええい!うるさい!
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