作者)暑くなると刃〇ネタが浮かんでくるんだよ。
旺牙)寒くても浮かんでくるだろ。
作者)・・・えへ。
旺牙)魔空龍円刃!!
「例の三年生が帰国?」
「ああ。志垣に返り討ちにされたあの四人だ。」
職員室で書類仕事をしていた一樹に、千冬が話しかける。
その件は一樹も記憶のかなたに置かれていたが、なんとか顔を思い出す。
少なくともそれぞれの所属国はあの事件を『無かった事』にしようとしていたはず。
「彼女たちの自主退学だ。志垣との戦いが完全にトラウマになったらしい。」
「それでお国に戻るね・・・。皆あいつを過大評価しすぎじゃないか?」
「模擬戦とはいえ一年生に完膚なきまでに叩きのめされたんだ。周りの目もあったのだろう。それに・・・。」
「それに?」
千冬が一息つき、告げる。
「『本当に殺されると思った』だそうだ。お前、あいつに何を教えた。」
「別に。やるなら徹底的にやれ、くらいかな。」
ハア、と溜息を吐き、顔を覆う千冬。それが原因だと気付かないのだろうか。
だが、あれはもはや事件レベルの模擬戦だった。絶対防御が切れかけた相手にも攻撃を仕掛けた。まだ学園に馴染んでいなかったラウラの如く、いや、それ以上に危険な戦いだったという。
何だかんだでお人好しの旺牙がそこまでするだろうか。
千冬はいまだに疑問視していた。
「しかし、このタイミングでか。戦力が下がるのは痛いな。」
「戦力?何のことだ。」
「こっちの話だ。」
決戦の日は近いはず。一樹の勘がそう告げていた。そこでひとりでも戦力がいなくなるのは少なからず懸念事項。
「少し前倒しするか・・・。」
☆ ☆ ☆
「志垣くん。お茶をどうぞ。」
「ありがとうございます、虚先輩。」
今日も元気だコーヒーが美味い。・・・うん、現実逃避はこれまでにしよう。
現在俺達生徒会メンバーは大量の書類に埋もれている。部活動の活動申請書やら、新たに部活の発足とか、一部教師の仕事じゃないか?と思える書類もあるが、『生徒の自主性』を重んじて生徒会にほとんど流れてくる。ちくせう。
さらにはまだまだ俺や一夏の部活レンタルも終わっていない。仕事が何一つ終わらない。狂いそう。
相変わらず本音は役に立たない。額に『肉』とか『中』とか書いてやろうか。
そんな荒んだ心をコーヒーで和らげよう。先輩にお茶を入れてもらうという、なんだか下級生として情けない気がするが。
ポロッ。
ん?カップの取ってが。
バシャッ!と右手に『淹れたて熱々』のコーヒーが。
「あっっっちぃぃぃぃ!?」
「ちょ、旺牙くん!?」
俺の右手は見事に火傷した。
――――――それからどした――――――
「はい、旺牙くん。あ~ん。」
「あの、楯無さん。カレーくらい左手で食えますから。俺一応両利きですから。」
「いいの。私がこうしたいんだから。ほら、口空けて。」
この程度の火傷、『ヒール』で治せたのだが、布仏姉妹、特に本音はまだ『世界の裏側』を知らない。目の前で火傷した右手が、次の瞬間何ともなくなってました、なんて不自然すぎる。ギャグマンガじゃあるまいし。
よって、包帯撒いて自然治癒に任せることになったのだが、なぜだか楯無さんが世話を焼いてくる。今もこうして食事の世話をしてくれているのだが、実際俺は右手を使えなくても十分生活できる。それなのに、その、あ~んは恥ずかしい。
しかも、みんなの前で。もちろん、簪の前である。視線が、痛い。付き合っているわけではないが、視線が痛い。射殺さんばかりの視線を三つ感じる。三つ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
(ちょっと!あれどうにかしなさいよ!)
(虎の群れに突撃するのはお馬鹿さんのすることですわ!)
(相棒はなにをしているんだ?)
(うん、ここで見てようねラウラ。)
(これは、流石に恐怖だな・・・。)
あいつら自分のことじゃないからって!一夏がこうなってたら絶対殺気立ってるのはお前らだぞ!
その一夏は不思議そうに見てんじゃねえよ!
「なあ、もしかしてあのふたり付き合って・・・」
ガバッとラヴァーズから口を塞がれる一夏。凄まじい速度だったな。そしてそれを言い切っていたらお前の命が無かったな。
だが遅かったようだ。妖気を纏った殺気が一夏たちに向けられ、沙紀が投げたフォークが一夏のテーブルに突き刺さる。・・・え?沙紀さん?今とんでもない事しましたね?
「「「ひぃっ!?」」」
一夏たちから悲鳴が上がる。許されるなら俺も叫びたい。
「ほらほら、まだ残ってるわよ。」
「いや、ですから楯無さん?」
「んふふ♪はい、あ~ん。」
この人状況分かっててやってるよな!?殺気が!?殺気がこっちまでやって来る!いや本人たちが実際に歩いてくる!なんかターミ〇ーターみたいな雰囲気だよ!?
「「「お姉ちゃん(会長)、ちょっといい(ですか)?」」」
言葉は違えど声が重なる三人。萌のこんな気迫、初めて見たかも。
し、しかしなんて圧力だ。体が動かない・・・。
「うーん、もうちょっと楽しんでいたかったけれど、しょうがないわね。旺牙くん。後は自分でお願いね。」
「ア、ハイ。」
圧力に押され、何もできない俺はそれだけ返す。
女子四人はそのまま何処かに行ってしまった。
「一体、何だったんだ?」
一夏はいまだに何が起こったのか理解できていなかったらしい。
だが、その。みんなの反応。あれは嫉妬、でいいのだろうか。俺は一夏ほど鈍くないつもりだ。あんな姿を見せられたら、そう思ってしまっていいのだろうか。彼女たちの『想い』に。
勘違いなら俺が馬鹿なだけで済むのだが、その、彼女たちが俺に対して、『好意』を抱いてくれていると。
簪たちは俺と楯無さんの姿を見て怒って、楯無さんもからかっているわけではないなら、そういうことで合っているのだろうか。
「あのねぇ、旺牙。」
俺の思考回路がショート寸前になっていると、鈴が近づいてくる。
「鈴か・・・。俺は一体」
「今更だけどアンタ、昔からそこそこ人気あったのよ。もちろん、そういう意味で。」
「・・・・・・。」
あ、大事な何かが切れた気がする。
「相棒はモテるのか?」
「ラウラ、それは今はトドメになるよ?」
☆ ☆ ☆
「それで・・・さっきのはどういうこと?お姉ちゃん。」
屋上へとやって来た四人。先程までの殺気は鳴りを潜めたが、簪と沙紀は普段の気弱な目を吊り上げている。萌も気は抜けてきたとはいえ、少し心配な表情になっている。
「どういうことって、旺牙くんに『あーん』してあげたこと?それなら生徒会での事故だもの。会長の私が責任を取らないと。」
「関係ないよね。旺牙自分で食べられるって言ってたよね?」
詰問に対し、楯無は指を頬に中てて考える。
「まあ、貴女たちの言いたいこともわかるわよ。でも、それで私の行動を止める権利はある?」
その一言に、簪、沙紀、萌の三人は完全に固まってしまった。
楯無はみんなの想いをわかっていて見せつけるようにあのような行動をしていた。
「旺牙くんは『まだ』誰のものでもないのよ。なら先に動いた方が勝ちじゃない。」
扇子を広げ、『先手必勝』の四字で口元を隠して見せる。だが笑顔ではない。
「そ、それじゃあ、お姉ちゃんは・・・。」
「本気よ?彼のこと。お姉ちゃん、今ここで貴女たちに宣戦布告するわね。」
パン!と扇子を閉じ、そのまま三人に向ける。
「私は、志垣旺牙くんが好きよ。生涯寄り添い合いたいほどにね。貴女たちはどう?」
強い意志を瞳と言葉に込め、言い放つ。それと同時に、簪、沙紀、萌に問いかける。自分は言った、みんなはどうなのかと。
「わ、私は・・・、旺牙が好き。いつも守ってくれた、手を引いてくれた、私のヒーロー。でも、いつも傷ついている。・・・だから私は、そんなヒーローの隣にいたい。傷を癒して、少しでも傷が減るように、寄り添いたい。」
「私は、私も、助けてもらってばかりで、情けない自分だけど、いつも旺牙くんに支えてもらって。整備が出来れば彼の助けになれるかもしれないって思うようになって。隣にいられる理由になりたい。好きな人を助ける存在になりたい。」
「あー・・・。私はふたりほど立派じゃないんだけど、初恋なんですね。他のことは二番だろうが三番だろうがいいけどさ。旺牙くんの一番にはなりたいんだ。ふたりほど能力も無いけど、そこは譲りたくない。喧嘩にはなりたくないけど、そこは。」
全員が自分の気持ちを吐き出す。ひとりの少年に恋をしていると、改めて意識した。
顔が熱くなる。だが、悪い気はしない。彼女たちと敵対しようとは思えないのだ。思うのは、織斑一夏を取り巻く少女たちの姿。時には衝突するが、普段は仲の良い彼女たち。あんな関係になれたらと思う。まあ、自分たちが衝突したり、旺牙に危害を加えたりする姿は思い浮かばないが。
「・・・そう。うん、ちょっとすっきりしたんじゃない?どう思います?織斑先生。」
楯無がその名を呼ぶと、出入り口から千冬が現れた。
三人は気配が無かったことも相まって背筋が凍る思いになった。仮にも保護者同然の人間の前で告白したようなものだ。簪は二度目だが、沙紀と萌は初めてである。心臓が鷲掴みにされたようだった。
「はあ。小娘どもの恋だのなんだの。更識妹には言ったはずだろ。簡単には渡さんと。」
「あら辛辣。」
「その代わり、本気なら、全力で落として見せろ。アレは一夏よりはマシだが、自己評価が低いからな。」
そう言うと、そのまま踵を返して去っていった。早く自室に戻れと残して。
屋上に、静寂が訪れる。風が吹き抜け、少々寒くなってきたことに気付いた。
「さ、そろそろ帰りましょう。言っておくけど、一番有利なのは簪ちゃんなんだからね。」
「ホントだよ。私らの好きな人と同室なんだから。」
「うん。羨ましい。」
「う、うん。だから私、一気にアプローチするよ?」
一人の男を奪い合う修羅場はなく、彼女たちは和気藹々と屋上を後にした。むしろしょうがない人に恋してしまった同志のようだった。
誰も卑屈にもならず、上から目線にもならず。親友の様に。否、彼女たちはまごうことなき友になった。同じ目標を持つ仲間なのだ。
だが、それでも簪以外の三人は気付いていた。意中の彼の心が、誰に向いているかを。
☆ ☆ ☆
「お、お帰り簪。」
「あ、た、ただいま旺牙。」
やっべ、マジで緊張してる。心臓が爆発しそうだ。まさかとは思っていたが、簪に脈ありの可能性があると人から伝えられるとなんだか、その、死にそう。
なんてか平静を保っている、保っているつもりだが、どこかおかしいところはないか?声は上ずってないか?まさか鼓動が聞こえてないよな?ああ、なんかもう、死にそう。
「えっと、旺牙。あのヒーロー物、どこまで見たっけ?」
「ああ、たしか第四期の中盤だったな。お茶でも淹れてって、あ。」
今の俺、右手使えなかったんだ。
「いいよ、私が淹れるから。ちょっと待っててね。」
「あ、うん。」
・・・なにをしているんだ俺は。今更緊張しているのか。
こんなんで告白なんか出来るのか?
「お待たせ。じゃあ、続き見よう。」
「そうだな。」
まあ、今は余計なことは考えず、彼女に相応しい男になることに邁進しようか。
★ ★ ★
「ガイム。」
「どうなさいましたか、マリア様。」
「なんだか少し、胸のあたりが温かいのです。」
(やはり、このお方は優しすぎる。だが、それも覇王様やテレモート様の見た強さ。)
旺牙)今回短くない?
作者)作者が限界なの。それともラブコメするか?
旺牙)いや、いい///
作者)うわ、きも。
旺牙)念導龍錬刃!