間が空いてすいません。
言い訳はしない!書けなかっただけ!!
放課後、女子校で、男二人で向かい合いながらうんうん呻る。
正しく言うと、呻っているのは一夏の方だけだが。
てか今の表現意味分からんね。女子校で男二人って。
今は簡単な復習をしているところだ。一夏が結局一日中頭に【?】を浮かべていたから、しょうがなく手伝っている。
ちなみに、俺に席を貸してくれた女子は顔を赤くして全力で首を縦に振っていた。
俺が強面なのは知ってるけど、そこまで引かれるとショックだわ・・・。
「う~ん・・・。」
「だから、この単語の意味はだな・・・。」
というか俺と一夏ではISの前情報からして差がある。
俺は専門誌なんかを読んだことがあるが、こいつはそんなことないだろう。
「なんで旺牙は解るんだよ。別に整備士になりたかったわけじゃないんだろ。」
「ただ好きだっただけだよ。お前だって頭は悪くないんだから、すぐに追いつけるって。」
「なんだか引っ掛かる言い方だな。」
ちょっとやさぐれてるか?まあ疲れてるだけだろう。
結局休み時間や昼飯時まで常に珍獣扱いだったんだからな。
昔初めて日本に来たパンダなんてこんな気持ちだったんじゃないかな。
「言っておくけど、毎回は手伝えんぞ。俺も自分の予習復習がしたいからな。」
「人に教えるのも勉強って言ってな。」
「お前はそのレベルにすら達していない。」
「ひでぇ!?」
そんな馬鹿話も時間の無駄なんだ。続けるぞ。
「ああ、織斑くんに志垣くん。まだ教室にいたんですね。よかったです。」
「「はい?」」
何者かに呼ばれ顔を上げると、そこには山田先生が立っていた。
ていうかハモるな一夏。
しかしこの先生、本当に小さく見える。実際は年齢平均ほどなんだろうけど、童顔なのが原因だろうか。
だが、一見すると華奢な身体なのに、妙に引き締まっている。最低限鍛えてます的な。
やはりISという『兵器』について教える以上、生半可な体力では駄目なのだろうか。
それでも山田先生からは弱々しさも感じられるが、それは先の童顔と、性格のせいだろうな。
「えっとですね、寮の部屋が決まりました。」
そう言って部屋番号の書かれた紙とキーを渡される。
IS学園は全寮制の学園。生徒は全て寮生活が義務付けられている。将来有望な操縦者や技術者を保護するという意味合いが強いようだ。
実際、学生の頃から各国からの勧誘が強いらしい。中には強引にも、というとんでもない連中がいてもおかしくない。というかいるのだろう。そんな連中から生徒を護るのが学生寮制度というわけだ。
また、IS操縦者は国防にも関わってくる(細かい説明は面倒なので省く)。そんな娘達の中で有望株を引き抜こうとどこも必死なのだ。
「俺の部屋、っていうか旺牙の部屋も決まってないんじゃないですか?前に聞いた話だと、一週間は自宅から通学してもらうって話でしたけど。」
「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいです。・・・二人とも、そのあたりのことって政府から聞いてます?」
最後は俺達にだけ聞こえるように耳打ちしてきた。
政府というのはもちろん日本政府のことだ。なにせ前例のない『男性IS操縦者』。国としても保護と監視を兼ねたいのだろう。
実際俺の入学試験後もどこから漏れたのかマスコミやら各国大使やらがこぞってやってきた。俺一人しかいないアパートだったから押しかけるのも容易だったのだろう。
中には、直訳すると「モルモットになれ」とかほざいてくる連中もいた。当然叩き出した。物理で。
「そう言うわけで、政府特命もあって、とにかく寮に入れるのを最優先したみたいです。一ヶ月もすれば個室か男性部屋の方が用意できますから、しばらくは女子と相部屋で我慢してください。」
ん、了解ですわ。
しかしいつまで耳打ちしてるんだろう、山田先生。こっちの耳がこそばゆくなってきたぞ。
ほら、周囲の女子達が興味津々の顔してる。今時の女子は内緒話が大好きなんだぜ?
「え?俺と旺牙、別室なんですか?」
「すいません・・・。何分無理矢理ねじ込んでしまったもので・・・。」
「そんな・・・。」
仕方ないだろう。俺達は元々イレギュラーなんだから、学園側に合わせなくちゃならない。まあ常識で考えて年頃の女の子と同じ部屋なんて駄目だろうがな。
「織斑くん、志垣くんと同室が良いんだって!」
「つまり二人はそういう関係・・・。」
「一夏×旺牙か、旺牙×一夏か、それが問題だ。」
そこの子たち、ちょっとお兄さんとOHANASHIしようか?
「まあ、部屋はわかりましたけど、荷物は一回家に帰らないと準備できないですし、今日はもう帰っていいですか?」
「あ、いえ、荷物なら」
「私が手配しておいてやった。有難く思え。」
おう、この凛としつつ、威圧感を与える声は織斑先生ではないか。
「生活必需品だけだがな。着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろう。」
ひでぇ。年頃男子にはそれなりの娯楽品が必要なんですぜ先生。しばらくテレビだけで過ごせと言うのか。それも女子と相部屋だからチャンネル争いもあるだろう。哀れ。
一夏の奴、目に見えて肩を落としていやがる。
「それに比べて志垣はもう荷物を纏めてあったらしいな。業者が感心していたぞ。」
何で知って、あ、そうか。合鍵渡してあったっけ。
まあそりゃ全寮制の学校に通わされるって言われたら前もって準備はしておく。大切なことだ。
「調理器具とかはどうなりました?」
「相部屋の人間に聞いたら許可が下りた。もう運び込まれているだろう。」
よし!それがあれば問題ない!
料理が出来れば大体の時間は過ごせる。俺の趣味だからな。
「なんだか俺と旺牙の扱いに差がある気がする・・・。」
「言ったろ?前準備の差だ。」
「そこでもでるのかよ!?」
なんとでも言え。この世は弱肉強食、諸行無常(意味違う)。
「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。ちなみに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけど・・・えっと、その、織斑くんと志垣くんは今のところ使えません。」
そりゃそうだ。何があって学園が男女混浴を許可するものか。
だと言うのにこの男。
「え、何でですか?」
とか聞きやがる。一夏が風呂、特に大浴場が好きなのは知っていたが、これはあんまりだろう。
「あのな一夏。お前同年代の女子と一緒に風呂に入りたいか?どんな目に遭うかわからんぞ。最悪死ぬぞ?」
「あー・・・。」
やっと理解したか。なんでこいつはいつも変なところで鈍いんだろう。
「おっ、織斑くんっ、女子とお風呂に入りたいんですか!?だっ、ダメですよ!」
「い、いや、入りたくないです!」
「ええっ?女の子に興味がないんですか!?そ、それはそれで問題のような・・・。」
何爆弾級の会話してくれてんですかねこの人たち!?
やめて!?変な噂が立つからヤメテ!?
「やっぱりあの二人・・・。」
「ウホッ・・・。」
「織斑くんのヘタレ攻めか、志垣くんの荒々しい攻めか。次の本のネタはどっちだ!」
「ここは・・・志垣くんの誘い受け!!」
「「「YAHOOOOOOOO!!」」」
お前らそこに直れ!その腐った頭修正してやる!!
あ、もう散りやがった!
「ま、まあ旺牙は私の部屋でもよかったんだがな・・・。」
織斑先生?何ボソッと言ってるんですか?問題発言はこれ以上勘弁してくだせぇ。
「えっと、それじゃあ私たちは会議があるので、これで。二人とも、ちゃんと寮に帰るんですよ。道草くっちゃダメですよ。」
いやね、爆弾落としたまま行かないでくださいよ。
それに寮まで五十メートル程度ですよ。幼児じゃあるまいし、道草をどうくえと。
・・・駄目だ。もう我慢できん。
ぬわあああああん!疲れたもおおおおおん!!叫びたい!喉が涸れるほどに!
でもそれでも疲れが増すだけか・・・。もうヤダ。
「・・・とりあえず、帰るか。」
「・・・ああ。」
今は休もう。
なんやかんやで寮までやってきて、一夏と別れた。
えっと、俺の部屋はっと、ここか。
コンコンコンコン、ノックしてもしも~し。なんてな。
・・・反応が、無い。
誰もいないのか?もう一度ノックしてみる。
「・・・どうぞ。」
いるじゃねえか。もっと早くに返事して欲しかった。春なのに心が寒くなったよ。
「失礼しま~す。相部屋の志垣旺牙で~す。」
もっとキチンと自己紹介したかったが、疲れからかだらけた声しか出なかった。
いかん。これでは良くない印象を与えてしまう。ただでさえ相手は女の子。俺の見た目で引かせて、さらに性格まで変な奴と思われたくない。
ほら、目も合わせてくれないよ、あの娘。
「あっと、失礼。今日から厄介になる志垣旺牙だ。改めてよろしく。」
「・・・更識簪。」
・・・・・・。うん、それだけ?たしかに俺も簡潔だったけどさ。
「・・・。」
「・・・。」
・・・・・・。き、気まずい!
何?何この沈黙?え?俺もう嫌われた?手遅れ?
どうしよう。なにか言った方がいいのか?でもなに言おう。
暑くもないのに汗が流れはじめる。
困惑していると、彼女の方からこちらに顔を向けた。
薄い水色のセミロング。癖毛なのか、髪の毛が内側に向いている。
眼鏡をかけた垂れ目が俺を見ている。間違いなく美少女の類だろう。
その表情には嫌悪は感じられなかった。
むしろ俺と目が会った瞬間ビクリとされたよ。やっぱり怖がられたよ。お兄さん悲しいよ。
「あ~、大丈夫。こんなんだけど怖くないぞ。だからそんなに警戒しないでくれ。」
「・・・話は聞いてる。荷物はそこにあるから。」
それだけ言うと更識はまた向こうを向いてしまった。
むう。折角同室なんだし、もっと話が出来れば良いが。
幸い煩いタイプの女子ではなさそう、というか、女尊男卑の思想には染まってなさそうだ。だからこそ、仲良くやっていきたいが。
まあ、コミュニケーションは追々取っていこう。焦ると良くない。多分、絶対。
そんな事を考えながら、ダンボール詰めになっている俺の荷物を解いていく。
とりあえず必要なのは、着替えと充電器と、ってこれじゃあ一夏と変わらん。
調理器具は、なんと俺愛用の品々に負けないほどの設備が既に部屋に揃っているではないか!俺の愛用品が古い?アンティーク?冗談じゃ・・・、いや安物ですけど。これはまた後で出そう。
・・・さっきからチラチラと視線を感じる。相手は一人しかいないから学園よりは楽だが、それでもやはり落ち着かない。
ここは、漫画でも読んで気を紛らわせますか。
適当に取り出したのは『マージナルヒーローズ』。悪の組織に正義のヒーローが立ち向かう、わかりやすいほどに王道のヒーローアクション漫画だ。たしかアニメ化もされていたはず。
ベッドに座り、ダラダラと読み続ける。もう何度か読んでいるので内容はほぼ暗記しているのだが、やはりヒーロー物は良い。心が躍る。
特に性根の嫌な敵が現れた時、スカッと倒してくれるとこちらまですっきりする。
「あ、それ・・・。」
ん?更識がこちらを、というか俺の読んでいる漫画を見ている。
「見たいのか?」
「う、ううん、たしかアニメで見たなって思って。あっ!」
そう言うと、更識は俯いてしまった。いわゆる『言ってしまった』感が出ている。纏っている空気も暗い。
ははー、これはあれか。しょうがない娘だのう。こちらから歩み寄ってみるか。
「いいんじゃないか、女の子がアニメ見ても。例えばそれがヒーロー物でも。」
「そう・・・、かな。」
少々の溜めの後、更識が口を開く。
「おうよ。趣味は個人の自由だ。俺だってヒーローは好きだ。特に勧善懲悪モノはな。」
「本当に!?」
「うおっ!?」
いきなり食いついてきたな、おい。
「あ、ご、ごめんなさい。」
「気にするな。それより更識。」
「簪でいい。その、苗字で呼ばれるの、苦手だから。」
「そうか。なら俺も旺牙でいい。そっちの方が慣れてる。」
良かった。ただ暗い子じゃなくて、ちょっと内気なだけだった。
これならなんとかやっていけそうだ。
それから俺達は互いの着替え、シャワーの使用、調理器具の使用などを話し合い、一日を終えた。
また、どこかで阿呆が馬鹿やって部屋のドアを壊したのは別の話。
最後がかなり強引でした。
さて、解説コーナーはひとつ。しかもNW関係無い。
『マージナルヒーローズ』・・NWと同じFEAR社のTRPG。
IS世界では漫画、アニメ作品である。
ただ私が好きなだけ。私はFEARの回し者。