とある異邦人の記録   作:メジェド様

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にわ

先日無事成人したフォモ吉だ。

「ホ」ではなく「フォ」だ、良いね?

 

何事もなく「存在進化」して既に10日ほど経過した。

イキナリなのだが俺は此処を離れて武者修行をしながら「クーデルン大森林」を目指そうかと思うのだ。

その理由は大きく2つある。

 

まず第一に「鍛錬に成らない」である。

コレを説明するにあたってまず今回俺が「存在進化」した【山羊巨人・混沌異種(フォモール・ミックスブラッド・バリアント)】と加護について説明しなければならない。

外見だが、まず通常のフォモールは山羊頭に筋骨隆々な肉体、下半身は毛が生えて足は蹄、尾は鱗の生えた蛇の尾のようになっており、最低でも3m以上の巨体である。

稀に魔術を行使したり、刺青として身体に掘って使用する者もいるが族長は入れ墨タイプである。

比較して俺【山羊巨人・混沌異種(フォモール・ミックスブラッド・バリアント)】は基本通常のフォモールと一緒なのだが2.5mと一回り背が低く、下半身や頭部の毛が藍色で全身に青白く光る入れ墨が浮かんでいるのだ。

うす暗い洞窟では照明替わりにされたりするのが少々嫌だ。

そして能力面では通常フォモールよりも全体的に身体能力も高く、毛や皮膚が硬く、自然治癒能力も高い。更に人間(俺)ベースの【異界の神造体】を取り込み混沌種として目覚めたため【職業:異界の闘士】【職業:投擲者】【料理人】の職業補正を受けることが出来るようになった。

後の能力的には【時空】系統の魔術を行使可能になったことと【戦闘民族の超回復】というアビリティが特殊だろう。

前者は時間や空間に働きかけて攻撃や防御に転用する魔術で、後者は元々いつに間にか取得していたアビリティで怪我の回復時肉体を強化する【超回復】が加護得た際に変化して得たモノである。効果は同じであるがその上がり幅が凄まじいことになった。

まあ「戦闘民族の」だしね・・・俺もその内全身の毛が金色のスーパー・フォモール人とかになるのかもしれない、

よって鍛錬が出来ない。

身体能力が高すぎて技術が身に着かないのだ。

最初は族長の方が強かったが二度ほど大怪我させられたら【戦闘民族の超回復】によってスペックを圧倒してしまった。

他にも肉体強化系と回復系のアビリティを得やすいようでポンポン覚えていたら族長ですら相手に成らなくなってしまった。

故に某ストリートファイターの如く「俺より強い奴に会いに行く」状態である。

 

第二に文化の違い。

人間(俺)ベースの【異界の神造体】を取り込み混沌種として目覚めたためか、以前は気に成らなかったフォモールの野性味溢れる獣臭や洞窟暮らしが気になりだしたのだ。

また小柄ではあるが強者である俺に対して以前よりも雌フォモールのアプローチが激しく、先日は集団で夜這いを掛けられた。

後、ちょっとモンスター側の感性に引っ張られて猫獣人の冒険者を「くっころ」なことをしようとした際に中途半端に女体を見たせいか、微妙に雌フォモールが可愛く感じてしまったのだ。

これはいかん。致命的だ。

 

ということで俺は今日此処を旅立ちます!

 

「グア!(行ってきます。強くなってまた戻ってきます!)」

 

「「ガアアアア!!」」

 

「キサンツヨクなるんジャ!ワシももっと強クナルケンノオヲヲヲ!!」

 

族長や他の同族が何故か万歳で送り出してくる。

オイ、お前らに万歳なんて文化ないだろう。

脳筋のくせに。

・・・まあ素直に嬉しいのでお辞儀を返して出発する。

あ、こいつら原作で光の勇者様と戦ったり、主人公に美味しく頂かれていたような気がするのでそれまでには戻らないとなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追え!!逃がすな!!」

 

[フォモ吉は【気配遮断】のアビリティを獲得した!]

[フォモ吉は【逃走者】の職業を獲得した!]

 

うん自分の外見普通にフォモールの亜種ってこと忘れてた。

近くの街に近づいたら迅速に警備隊によって囲まれた。

納得はいかないけどショウガナイよね。

 

俺は現在何人かを撫でるかのように吹き飛ばし壁に叩きつけ、そのまま【立体起動】でパルクール宜しく町中を立体的に逃走している。

おかげで何か色々とアビリティと職業を得たのだが、もしやこの身体ラーニングは出来ないけど努力すればアビリティなどを取得しやすい身体なのだろうか?

要確認事項でだな。

 

「でりゃああ!!」

 

続けて全力で槍を突き込んでくる衛兵の槍を受け流し、槍ごと持ち上げ他の衛兵に投げつける。

うん!能力差があり過ぎて安心して工夫したり相手の技術を観察できるのでここにきてまさかの戦闘技術の勉強出来るとは!

へえ、インパクトの瞬間に握りに力を籠めるのかあ勉強になるなあ。

よし!しばらく此処にとどまって観察し続けることとしよう。(愉悦)。

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前はべオン・ルース。

この山岳都市トタンで生まれ、育ち、そして恐らく死ぬであろうしがない男だ。

この山岳都市トタンは周囲の山々に多くある鉱山で働く鉱夫達の出発と帰還の街でもある。

此処は各地の鉱山の丁度中心に位置する場所に開かれた都市であるため、各鉱山からの産出物は一度ここに集められて分別され出荷される。

また逆に各鉱山で必要なモノ、食料、モノ、ヒト等が一度ここに送られてから各鉱山へと分けられて送られていくのだ。

その為このトタンでは多くの荒くれ者たちが集う非常に活気のある町なのだ。

 

そんな街で衛兵なんてやっていると他の街よりも腕っぷしの強い連中を相手にするのはよくある事で、まあ其処は日ごろの鍛錬と経験から問題なく対処できるのだが、最近この町に厄介者が住み着いたのだ。

 

それはフォモールの亜種で通称「煽り山羊」と衛兵には呼ばれている。

一月ほど前にふらりと都市を囲う外壁周辺に現れて俺達に追い払われたのが始まりだった。

翌日から毎日、しかも都市内の出没するようになったのだ!

街の建物を足場に跳び回り、荒くれ者を倒し、犯罪者を倒し(金品は巻き上げる)、屋台で飯を食い、自身を襲撃してくる冒険者を倒し、女性(幼女も含む)を愛でて、駆け付けた俺達衛兵をおちょくる、そんな外道である。

そのように山羊の頭ながら人にもはっきりと分かる愉快そうな表情を浮かべて日々暴れているのだがアレは基本的に周囲に迷惑を掛けている者にしか手を出さない、怪我はさせても殺しはしない、ので最近では都市市民に人気が出始めている。

 

だが!俺達衛兵は奴の邪悪な本性を知っているのだ!

愉快そうな顔をしているくせに俺達が武技を出そうとすると途端にガラス玉のような無感情な目で此方を眺めてくるのだ。

あの時の無機質さは体験したものしか分からない。

唯の魔物とも違うあの「不気味さ」それを知る俺達衛兵はアイツが恐ろしい。

 

そして、また、何よりも、俺達衛兵から逃げ出す際の

M9(^Д^)プギャー

というアクションが俺達の神経を逆なでしていくのだ!

あの野郎絶対に許さん!!

 

 

 

 

 

 

 

今日も荒くれモノをあしらい、衛兵たちにM9(^Д^)プギャーしながら見とり稽古している。

衛兵たちや冒険者の戦闘技術や戦法など本当に勉強になる。

もちろん自主鍛錬も欠かさず行っているのだがLVこそ上がっていないがアビリティやステータスの現れない戦闘技術など日々進歩していっている。

惜しむらくは最近衛兵からは学ぶべきものが無くなったこと、俺の存在が都市内で広まり、ボディータッチしてくれる若い女性が増えた代わりに襲ってくる冒険者もほとんど居なくなったことであろうか。

此処で従来の魔物らしく暴れればまた襲ってくれるだろうが其処までしてみたい技術があるとは思えないし、せっかく見た目魔物の俺にも商品を売ってくれる稀有な場所なのだ。

そんなことを行って追い出されるのもデメリットしかないだろう。

そろそろ旅に出るべきだろう。

俺は犯罪者から巻き上げた金で買った果実酒(衛兵の給料1か月分)を一気飲みして看板娘の胸を揉みしだき、店を出る。

背後から看板娘と他の男性客からの怒鳴り声が聞こえるが聞こえないふりをする。

さあ最後に派手に動いて出発する都市しよう。

 

思い切り派手に動いてから出発しようと思ったのだがどうも街の様子がおかしい。

具体的には衛兵達の姿が見えない。

俺は不振に思い、都市一番の高さを誇る建物、領主の屋敷を駆けあがる。

途中、領主の娘が着替えをしており、目が合った気がするが今はそれどころではない。

屋敷の屋根まで上り切り外壁の方を見ると西の方角に人が集まっているようだ。

俺はそのまますぐさま屋根から飛び降りその落下エネルギーを逃がさぬように速度に上乗せして都市を駆ける。

数分も経たないうちに西の外壁城へ到着。

外壁の上に着地した俺に一瞬衛兵たちがギョッとするが、俺と気づいてすぐに警戒を解いた。

俺は言うのもなんだが衛兵としてその態度はOKなのか・・・?

少し思考が脱線したが、気を取り直し俺も衛兵たちが見ている方向に視線をやる。

するとそこにはこの極寒の気候でも凍結することのない湖、湖底で温泉がわいているらしい、と湖面から突き出ている大岩が有るだけで特に異常は見られない。

いや?あの湖には確かに岩場があったがあんなに大きかったっけ?

 

「グワアアアアアアア!!」

 

大岩が起き上がりこちらに向かってくる。

形状は岩で出来た二足歩行の亀で岩の隙間から青い輝きが筋のように漏れており、その鋭く青いサファイアのような眼も敵意で満ちてこちら、山岳都市トタンを睨んでいる。

 

なんでや。

衛兵たちは何かあのガメラ擬きに対してやったのか?

 

『おい!何で“アイシクル・ドラゴニック・タートル”が居るんだよ!?しかも温厚なハズのあのモンスターが物凄く怒ってるじゃねえか!?トタンが、トタンが潰されちまうよぉ!!』

 

『・・・実は・・・』

 

衛兵たちの話を盗み聞くにあの“アイシクル・ドラゴニック・タートル”というモンスターはやはり元々湖面に突き出した大岩らしい。

正確には基本周囲のマナを吸いながらほぼ一生眠り続けているというおとなしい生態のモンスターで温厚ながらとにかく硬い表皮と貯めこんだマナを冷気に変換して周囲を氷漬けにするシンプルながら強力な存在なのだそうだ。

ソレが実はずっと湖で眠っていてトタンの人間が気づいていなかっただけのようだが、不幸なのは寝ている間に地殻変動か何かで湖に温泉が流れ込み、低温に適応した“アイシクル・ドラゴニック・タートル”にとっては不快な熱さだったことだろうか?

想像するなら寝起きで風呂のお湯をぶっかけられて強制的に微睡を醒めさせられ、慌てて周りを見渡すと見慣れない存在、山岳都市トタンがある。

つまり現在はそれを見て襲われたと誤解した“アイシクル・ドラゴニック・タートル”が全力で此方を潰しに来ているという状況だ。

 

控えめに言ってこの都市呪われてるんじゃないか?

 

まあ中々の強敵であるが、今の俺でもスペックだけで圧倒できる程度の存在だ。

おそらく今現在で本編のオガ郎以上アポ郎未満位のスペックだろうからな。

元々派手にここから出発する予定だったので、奴を倒せばこれ以上ないほど派手になるだろう。

本気を出すのは族長以来だろうか?

あの時よりも【戦闘民族の超回復】の効果でスペックは上がっているし、殺さないよう気にしなくていい上に不意打ち出来るのだ。

全力で派手に決めよう!!

 

「グ、ググガアアアあああ!!」

 

『!?』

 

[フォモ吉は【魔山羊の咆哮】を獲得した!]

 

全力の一声を上げると咆哮系統のアビリティを覚えたようだ。

衛兵は金縛りにあったかのように動きが止まる。

俺は其れを尻目に外壁の端へと移動してクラウチングスタートのような構えを取って脚部に力を籠める。

ビキキキッ!!

両脚の筋肉が膨張し、血管が浮き上がる。

俺は身体強化系のアビリティや魔術を全て行使して一点、“アイシクル・ドラゴニック・タートル”を睨み付ける。

 

「グ、グワアアアアアアア!!」

 

“アイシクル・ドラゴニック・タートル”も何かしら感じたのか咆哮の発信元を探し此方を見る。

どうやら相手も俺を認識したようだが、こちらは既に準備万端だ。

俺は瞬間音を置き去りに跳んだ。

 

【時空】系統第3階位の魔術【境操りし力界】を使用して自身の肉体の周りに力場を形成し、外界からの干渉を遮断する。

また同時に腕と脚に力場を集め攻撃力を増加させる。

目の前にはワニのような亀の顔。

渾身の力を込めて【職業:異界の闘士】の武技を放つ。

 

[フォモ吉は【崩界撃・拳撃】を繰り出した!]

 

ドヴァン!!

 

何の抵抗もなく“アイシクル・ドラゴニック・タートル”の頭部が破裂する。

想定以上の脆さに勢いが収まりきらない。

俺は無意識に、文字通り空を踏み込んで天へ跳ぶ。

 

一瞬で直角に方向転換して“アイシクル・ドラゴニック・タートル”の頭上へ。

もう一度空を踏んで地へ跳ぶ!

 

[フォモ吉は【崩界撃・蹴撃】を繰り出した!]

 

勢いを蹄の一点に集めた蹴撃を“アイシクル・ドラゴニック・タートル”の最も硬い部位、すなわち甲羅へと落とす。

 

ボンッ!!

 

一瞬の抵抗を感じたが一気に大地まで貫き、“アイシクル・ドラゴニック・タートル”の胴体とその足場の大地が爆散する。

 

[フォモ吉は【天駆】を獲得した!]

 

俺は爆心地のようになったクレーターの中心立つ。

周囲は未だ土煙で見えないが、おそらく肉片やら血液でグロテスクなことに成ってるだろう。

俺は一度山岳都市トタンを見ると、一声咆哮し、そのまま空を、地を駆けて旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。都市を守ったのか・・・。しかも中々の素質がありそうじゃし見た目はともかくまさか【混血種】しかも何かしらの【神】の加護も持っておる。どれ少し手合わせ願えんか?」

 

山を一つ越えた辺りで着物風の服を着た若い男に声を掛けられる。

まさかトタンの事を見ていた上に、俺に気づかれず、俺の速度に追いついてきたのか!?

コレは“アイシクル・ドラゴニック・タートル”よりもヤバいかもしれない。

まあ今の俺は強力なアビリティを得て、LVも一気に上がり絶好調だ!

このくらいの強敵でなければ相手にもならないかもしれないな!

フハハハッ!こんな気持ち初めてだ!もう何も怖くない!!

 

「グワアアッ!!」

 

声の主を睨み付け、咆哮し、拳を構える。

 

「その気概素晴らしいな。俺の名は“ル・ガンフ”という。全力でやり合おう!!」

 

「・・・ファッ!?」

 

一瞬フリーズしてしまったが、原作での最強各の一人じゃないですかねえ。

 

「逝くぞ!!」

 

この後滅茶苦茶ボコボコにされた。

 




ル・ガンフ好きなんですよ
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