サクラ大戦~散らなき鉄の花~   作:斎藤一馬

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「う~ん」

「どうかしました隊長?」

「いや・・・深川から戻ってから暁の様子が・・・」

「?特にかわったようすわ・・・?」

「う~ん思い過ごしならいいけど・・・」



第21話 優しい機械と壊す機械(暁)①

ドゴン!!

 

 

帝劇から何かが壊れた大きな音とともに、『西遊記』

 

の夜の部の公演終了のアナウンスが流れる。

 

「・・・・・・・っち」

 

「・・・・・・・・」

 

今日もカンナとすみれが必要以上に大暴れをして舞台装置を壊し

 

現在、暁と紅蘭が修理をしている。

 

実はこの二人、普段は、よく会話する仲であり、

 

暁は前部隊で自分の機体を自分である程度整備できるほどの機械知識があり、

 

帝劇では大道具といったポジションなので大体の機械工作はでき、

 

紅蘭は、言わずもがな、光武の修理、整備から趣味で色々発明をしている。

 

そんな繋がりがありよくオタコン、紅蘭、暁の三人で機械談義をするなかであった。

 

「・・・・・・はぁ・・・」

 

「・・・紅蘭、疲れているなら後はやるよ?」

 

「暁はん・・・・だいじょうぶや・・・・それやったら暁はんは、

 

上がって平気やで?」

 

「・・・俺大道具・・・仕事はきちっとしないと・・・」

 

そういい、壊れた舞台装置を作業台に移動させる、その時誰かが舞台袖にやってきた。

 

「みんな、お疲れ様!お客さんたちもすごく喜んでいたよ!」

 

脳天気にやってきたのは、花組の隊長の大神だった。

 

「・・・・・・・・・」

 

「あっ大神はん、みんなやったらもう楽屋で反省会やってるで?」

 

「あれ?入れ違いになったかな・・・・あれ、紅蘭は反省会に出ないのかい?」

 

「・・・・うち、舞台の修理があるさかい・・・・ほら、今日もすみれはん達が

 

無茶したから・・・・」

 

「ははは・・・あの活劇シーン、お客さんに大人気だからね

 

すみれくん達も力が入っちゃうんだろうね」

 

「せやな・・・・喜んで貰えるなら・・・しゃーないよな」

 

「まぁ・・・そうゆうことかな、じゃ俺も楽屋で待っているから

 

紅蘭も早くおいでよ」

 

「・・・・しゃーないわけないやろ・・・この子らを

 

なんだと思っとるんのや・・・・」

 

「・・・・・・紅蘭、どうした?舞台装置の修理終わったから

 

反省会に行ってきなよ・・・紅蘭は女優でもあるんだから」

 

「・・・・・暁はんは・・・・、機械を、この子らの事どう思ってる?」

 

「・・・機械のこと?それは・・・おれの雷電のことも?」

 

「それだけやないけど・・・・」

 

「機械をいじるのは好きだけど・・・別に」

 

「そか・・・「でも、雷電は、大事だよ・・・雷電はおれの一部だから」

 

それ・・・どういう意味や?」

 

「内緒、兎に角、雷電はおれの大切な相棒だよ」

 

「・・・・・・・」

 

「何考えてるかしらないけど早く行きなよ」

 

「すまんな・・・・暁はん」

 

様子があからさまにおかしい紅蘭は作業を中断して、楽屋へと向かい

 

この場には、暁一人だけだった。

 

「そう・・・アレ《雷電》は俺の一部《殺意》だから・・・・」

 

暁そう呟き、金槌を振り下ろす・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台装置の調整とセットの修理が終わったのは何だかんだと

 

深夜までかかり、ようやく終えた。

 

「つ・・・疲れた・・・・腹減った・・・・」

 

作業に没頭していたので夕飯を食べそこねたので格納庫に置いてある。

 

非常食を食べようと思い行くと何やら挙動不審なオタコンがいた。

 

「オタコンそんなとこでどうしたの?」

 

「あ、暁・・・いやね・・・・なんか紅蘭の様子がおかしくてね」

 

「あーそう言えばなんかさっき変なこと聞かれたな」

 

「変なこと?」

 

「うん・・・機械のことどう思うかって」

 

「ふむ・・・因みに暁は、なんて答えたんだい?」

 

「普通の機械は特に・・・でも雷電は、別、自分の一部だって」

 

「一部って・・・・そうだね暁や、ほかのメンバーからしても阿頼耶識搭載機

 

は体の一部っていえるからね・・・でも」

 

「阿頼耶識なんて、できれば使うことないんモノだし・・・・ただ俺には必要だ。」

 

「・・・・まだ・・・いや・・・なんでもない」

 

「オタコンは機械についてどう思ってるの?」

 

「僕かい?・・・そうだな掛け替えのない友人で、僕の夢だね

 

僕の家系は代々技術者家系だった、父は欧州大戦で技術者として参加したでも・・・・」

 

「虐殺者ヒューイ・・・マッドエンジニア・・・・この界隈じゃ有名だ」

 

「僕も結局父と同じ虐殺者さ・・・・コジマ技術を見つけて、確かに平和利用は可能だ、

 

研究の成果で毒性を無毒化して更に運用しやすくした・・・けど」

 

「結局は、平和利用の前に軍事利用・・・か」

 

「こんな技術見つけるべきじゃなかったんだ・・・きっと」

 

「オタコンが見つけなくても誰か別の奴が見つけてたよ・・・それに

 

力に善悪は無い有るのは・・・・」

 

「人の善悪、使う人によって変わる・・・だね、リリィがフェイスに誘っう時に

言ってたよ」

 

「ごめん・・・オタコンやっぱおれ悪人だわ・・・」

 

「暁?」

 

「オタコンが見つけた力を仇討ちに使ってる・・・」

 

「・・・・・僕は、仇討ちに関しては何も言わないよ、それに暁は、悪人じゃないよ

 

それだけは断言出来る・・・だって僕のことや、花組の事何だかんだと気にかけてるじゃないか」

 

「・・・・・でも最近大神みてるとムカムカする」

 

「あーーうん多分愚直すぎるからなんじゃ?」

 

「・・・・・・オタコン、シュミレーター起動お願いあとカロリー〇イト」

 

「はいはい・・・・ポテト味でいい?」

 

「ん・・・・」

 

暁は上着を脱ぎインナーのみになり雷電に近づくとやっとこちらに気がついた、

 

紅蘭が声をかけてきた。

 

「暁はん・・・どないしたん?こないな時間に」

 

「飯食いっぱぐれたから、ここに置いてた非常食食べに来たのと、ついでに訓練しに」

 

そういいテキパキと機体を起動させてシュミレートモードを立ち上げる。

 

「この子・・・・こないなことも出来るんやね」

 

「簡易的だけどね・・・本格的なのは本部いかないとダメだけど・・・・もういい?ハッチ締めるから」

 

「あ・・・邪魔してもうて堪忍な・・・ほなウチも光武の調整にもどるな」

 

「ん・・・・」

 

少したった頃一段落したので、シュミレーションを終了し、機体を停止させようとしたとき

 

大神の姿が映り、暁はそのままカメラと集音マイク越しに様子を伺うことにした。

 

 

『機械っていってもウチらの気持ちはちゃんと伝わってるはずやからな』

 

『うん・・・・そうだね、それじゃあもう行くよ』

 

『ほな、またな見回りがんばってな』

 

どうやら・・・見回りだったようだ・・・しかし

 

「見回りついでに機体のワックス掛けか・・・雷電にしたことなかったな

 

まぁ・・・特殊塗料を散布しちゃってるから塗れないんだよな・・・」

 

雷電の装甲面には対霊子拡散塗料が塗られており霊子光学兵器からのダメージを

 

軽減する効果があり、若干ではあるが防弾効果もあったりする。

 

まあそんなどうでもいいことは、置いといておこう。

 

「紅蘭さき上がるよ・・・あまり根詰めすぎないでね。」

 

「暁はん・・・お疲れ様でも・・・最近出撃が重なったからな、ちゃんと整備してあげんと

 

光武が可哀想や、この子らは、ウチがいなかったらきちんと働けへんのやから」

 

「そう・・・でも無理して紅蘭が倒れたら無理させた光武が悲しむかもよ」

 

「え?」

 

「先に謝っとくごめん、大神との会話聞いてた」

 

「そ・・・そか・・盗み聞きは関心できへんよ」

 

「だからゴメンって・・・で話戻すけどさっき紅蘭、ウチらの気持ちはちゃんと伝わってるはず。

 

って言ってけど伝わってるなら光武も紅蘭のこと心配するんじゃないかなって」

 

「光武が・・・ウチを?」

 

「何となくだし・・・違うかもだけどそう思っだけじゃあおやすみ」

 

紅蘭にそう告げかいた汗を流そうとシャワーに以降としたとき『運悪く』

 

大神とばったりあってしまった。

 

「大神・・・こんな時間にどうしたの?」

 

「いや・・・紅蘭が心配でね」

 

「大神はん・・・心配してくれてありがとね・・・でもうちは大丈夫や・・・」

 

うん大丈夫に全然みえない・・・・紅蘭って割となんでも話すタイプかと思ったけど、

 

『肝心な部分』はなにもいわないんだよな・・・。

 

「紅蘭は・・・本当に紅蘭は光武のことが好きなんだねしっかり頼むよ」

 

「うん・・・・ウチ、光武のことが好きなんや。

 

この子らはうちがやさしゅうしてあげるとちゃんとこたえてくれる」

 

「でも・・・無理は良くないぞ。今日はもう休んで続きは明日にしたらどうだい?」

 

「・・・・大神はんは、ウチの事は心配しても

 

この子らの事は、心配してくれへんのやな・・・・」

 

「紅蘭、どうゆう意味だ・・・・俺は紅蘭の事を」

 

「大神・・・・もういいだろ・・・紅蘭は休むっていってるんだ」

 

「暁・・・・」

 

「・・・・・・大神はもっといろんなことに目を向けないと」

 

「どうゆう意味だ?」

 

「・・・・・説明するのメンド・・・・おやすみ」

 

「暁!?」

 

大神の横を通り過ぎようとした暁の肩に大神が手をおこうとした瞬間

 

「っ!」

 

「ナニ?」

 

暁の冷たい視線に体が動かなかった、それと同時に

 

『緊急警報!緊急警報!!上野に魔装機兵が出現!!被害拡大しています!?

 

帝国華撃団・花組は至急、作戦司令室に集合してください!』

 

 

「っち・・・・先行くから」

 

そういい格納庫を後にする。

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁ・・・・ムカツク」

 

パイロットスーツに着替えながらだれにも聞こえないほど声で呟く

 

冷たい瞳のままで




暁くんイライラモード継続中

この話は、ある種、紅蘭のキャラ崩壊回として扱われてるけど

わたし的には、好きだったりします。



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