サクラ大戦~散らなき鉄の花~   作:斎藤一馬

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さぁ・・・カーテンコールを祝おう




第最終話 ~後日談そして②~

あれから月日は流れ4月、さくらも満開を迎え街には以前以上の活気が戻ってきていた。

 

帝劇は再興後、帝都復興特別公演を実施、連日大盛況、満員御礼で

 

毎日、劇場には長蛇の列が、売店や事務その人の多さ忙しさで椿たちがてんてこ舞いらしい、

 

あれ以降めだった事件もなく華撃団は開店休業状態だ

 

 

天下泰平、事もなし・・・・

 

 

しかしフェイスの皆は何やら忙しそうだ一月前に出向していたフェイスの皆さんは本部に帰還

 

そのご国内外を飛び回っているようだ、其のことが唯一の米田支配人の悩みの種らしい。

 

そうそう・・・先の大侵攻での戦友、八神暁が二日前に無事退院?したとのことで、

 

花組総出でお祝いをした、みんな少ない時間でよくやってくれたと思う。

 

だけどアイリスとすみれ君はどことなく複雑そうな表情が印象的だった。

 

 恐らく彼の左腕と左足の後遺症の事だ・・・・・結局後遺症は完治せず、

 

左腕の麻痺を幾分改善されたが、左足の感覚の消失はどうにもならなかったようだ、

 

彼の苦笑顔が頭から離れない自分がここに居る・・・・

 

彼が言う『大丈夫』『平気』がどうもやせ我慢に聞こえてしまうのが原因かもしれない

 

俺は春の空をぼーと眺めながらそんなことを考えていた・・・・

 

 

 

 

~帝劇夜~

 

 

本日の公演が終了し、サロンには花組メンバーが集まり各々お茶をしたり雑談をしている時に、

 

米田支配人がやってきた。

 

「・・・・ま、そうゆう訳だからお前さんらにもちょっと休暇でもと思ってな」

 

「・・・まぁ、気を使っていただかなくてもよろしいですのに」

 

「素直に喜べないのかよ?顔とせりふが一致してねーじゃねーか」

 

「ふふふ・・・いいじゃないの、特別講演もひと段落付いたのだから皆も疲れたでしょう?」

 

「ま・・・俺からのプレゼントだと思って受け取ってくれよ」

 

「ハイ!ありがたくいただきます」

 

「ホナ、うちは作りたかった発明品を完成させてしまおっかな!」

 

「アイリス!アカツキ一緒にパパとママに会いに行く~~~!!」

 

「な!アイリス!!暁さんとは私が一緒に休暇を楽しみますのよ!!」

 

「ハハハハハ、よしよし・・・それじゃあもう一つ俺からプレゼントがあるんだ

 

大神、ちょっと前に出ろ」

 

「はい?・・・なんですか?」

 

「帝国海軍 大神一郎!貴殿に南米演習の教官任務を言い渡す!」

 

「いいっ!お、おれが教官ですか!?」

 

「ああ!おれが推薦しておいた、おまえはそれだけの事をやってのけたんだ

 

花組を一つにまとめ上げ、帝都の平和を守った、なかなかできるもんじゃねーよ」

 

「いや・・・・その・・・・」

 

滅多に褒めない支配人の言葉にすこし照れながら返事をする、そこでさくら達が大神を

 

祝福する言葉をかけてくれる。

 

「大神さん・・・・おめでとうございます!!大神さんの働きが認めてもらえたんですね

 

わたし凄くうれしいです!!」

 

「さくらくん・・・・・」

 

「ほれ、大神お前からも何か言う事あるだろう?」

 

「あ・・・ハイ、おれがここまで頑張れたのはみんなのお陰だ、皆本当にありがとう」

 

「もう・・・少尉ったら面と向かって言われると恥ずかしいではありませんか・・・・」

 

「ま、いいじゃねーかこう真っすぐなトコが隊長の良いとこなんだからさ」

 

「せやせや、こうゆうお人だからウチらは皆大神はんが好きなんやもんな」

 

「おにーちゃん達が一生懸命だったからアイリスたちも頑張れたんだもんね」

 

「えぇ・・・そうね私たちは隊長の思いに応えたかっただけですものね」

 

「大神さんのお力ですよ、私たちがここまで強くなれたのは・・・・

 

だから海軍に戻っても頑張ってくださいね、私たちずっと応援していますから」

 

「それじゃあ俺の話はここまでだ、休みは明日からだゆっくり楽しんできな」

 

「はい!!、解りました」

 

「それでは皆きょうはもう解散よ、今日はもう遅いわもう部屋に戻りましょう」

 

「はーいお休みなさーい」

 

アイリスはここでふと考えた・・・復興後忙しく古巣に戻った暁とは会えていない、

 

タマの休憩に近くに出来た白愛の喫茶店に顔を出すも居らず、白愛も見ておらずどうやら

 

別の任務で動き回っているとのことだ・・・・腕の後遺症も気にせずにただ我武者羅に

 

アイリスはこのまま会えないんじゃないかと不安になる、そこでふとすみれの横顔をみた時、

 

先ほどまでの明るさはなりを潜めきっと私と同じことを考えているんだろうと表情で解った、

 

明日フェイスの学校に行ってみようそうすればキット会えるはずだと・・・そう信じて

 

 

 

 

~次の日~

 

 

暁は国外に出る前に一日程の休暇を帝都ぶらぶら散策していた・・・今日の夜には日本を発つ

 

仏蘭西、そして亜米利加と出発する、昨日までの任務で仙台付近にいたので久しぶりに

 

実家のあった所に足を向けた・・・そこはもう何もなく本家に続く通り道はフェンスで仕切ら

 

立ち入り禁止に、許可書をみせ本家跡地に向かい見たものは昔と変わらない・・・廃墟だった

 

自分の部屋も妹の部屋も母と父の部屋も真っ黒に焦げナニモのこってはいなかった、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

暁は無言のままその場を去り、真宮寺家を訪問する。

 

 一馬さんの奥様、若菜さんは変わらず奇麗で俺をみた瞬間涙を流し抱きしめてくれた

 

お婆様もお元気でその眼光は衰えてはいなかった、ゴン爺も元気でここだけは昔と変わらなかった、

 

お二人にいままでの経緯と帝都での事を報告し土産物を渡し真宮寺家を後にする、その時、若菜さんが

 

「いつでも帰っていらしゃい・・・ここは貴方の家でもあるのですから」っと・・・

 

俺は一言・・・「ありがとうございます」と告げその場を離れ、帝都に戻って来たのであった、

 

 

 

「さて・・・なにすっか・・・」

 

近くには白愛の喫茶店『ホワイトテイル』最近花組メンバーもよく利用していると口コミで大繁盛、

 

若い婦女子に人気でしかもそこのマスターが美人と来たもんで男性の客も多い、

 

最もその大半の男性客は、浅草十二階下時代の馴染み客だったりする。

 

 とりあえず暁は、店で珈琲とクッキーを摘みつつ午後の予定を決めることにする、

 

「ちわ~~とりあえずブラックとベリークッキー」

 

「あらいらっしゃい暁、久しぶりね」

 

「おう・・・昨日まで仙台にいたから明日からは国外」

 

「ゑ・・・・国外?いつ戻るの!?」

 

「予定としては来年の春かな・・・約一年ほど巴里と紐育かな」

 

「ちょっとあのダメ神殺してくる!!!」

 

「落ち着け白愛・・・・」

 

ドサ!!

 

そこで何か落とす音がして振り向くと今にも泣きそうなアイリスと信じられないといったすみれの

 

表情があった・・・・アイリスから霊力が漏れてきてるヤバイ!!!

 

 

「!!!d!m+A//br7-i4d!!!!!!」

 

ウエイトレス姿のガングロ少女(ショゴス)が涙目になりながらアイリスを落ち着かせようとする

 

 

 

 

無駄な努力だったようだ。

 

 

店が大爆発したのはこの10秒後だった。

 

 

 

 

 

~~帝劇内サロン~~

 

「一年も海外ですって!!!どうゆう事ですの暁さん!!」

 

「どうもこうも・・・仕事だよ、ウチは組織上こういった仕事は多いんだよ今回の大侵攻も

 

収束したけど不明なことが多いからその解決とか色々ね」

 

「海外ってどこに行くの?」

 

「明日から此方で用意した専用機で仏蘭西は巴里そこで半月ほど仕事して今度は亜米利加は紐育

 

紐育では帝撃のスタッフと合同って感じかな」

 

「なら私たちも!「ダメつうか無理」な!!!」

 

「すみれパスポートあんの?それに色々教えちゃダメなことだってあるし」

 

「ねぇ・・・アカツキ、アイリスも明日、仏蘭西に還るんだけどそれまで一緒に居ちゃダメ?」

 

「アイリスも仏蘭西に?・・・あぁ実家がシャンパーユ地方だっけ・・・う~ん」

 

「アイリスばかり狡いですわ!!」

 

「ふふ~~ん知らな~い」

 

「やっぱダメだね・・・・ごめんアイリス」

 

「えええええ!!!なんで!!」

 

「向こうに付いたら即仕事だしアイリスに構ってあげれないし特別機も人には見せれないからね」

 

流石にこの世界に『アレ』を見せるのは早い・・・なにせ速度は翔鯨丸以上で大きさは、

 

ミカサ以下な『航空機』なのだから・・・

 

「何やら機密が関わっていますのね・・・・・解りました、アイリスこれ以上は無粋ですわよ」

 

「すみれ・・・でも~~~~~」

 

「たった一年ですわ・・・暁さん約束してくださいまし、必ず帰ってくるってここに、

 

この帝都に・・・・私たちの元に・・・必ず」

 

「うん・・・・約束するよ必ず帰ってくる」

 

「アイリス・・・・約束破ったら地の果てまで追いかけるからね!!!」

 

「そうですわね・・・わたくしも絶対に逃しませんから!!」

 

そうすみれが宣言したのと同時にすみれの柔らかい唇が俺の口を塞ぐ、薄っすらと

 

唾液の橋がかかり次にアイリスからの熱い口付けを貰う・・・

 

「お、・・・お前らこんなところで`//////」

 

「行ってらっしゃいのチューは基本だよ♪アカツキ!」

 

「えぇ!!そうですとも夫が仕事に出る時の作法ですわ!」

 

「ハハハ・・・・」

 

この二人には一生勝てないと、この時に凄く痛感した・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

~~帝劇ロビー正面出入口~~

 

暁がアイリスとすみれに別れの挨拶を済ませ、外に出ようとした瞬間あり得ない声と姿を見た

 

 

「・・・・ほらアナタ見てください・・・この子がこんなに楽しそうに」

 

あの笑顔、あの声・・・間違える筈はない・・・でもなんで・・・・

 

あの人は・・・俺が殺した・・・・

 

「ほう・・・コイツは滅多に笑わないのに・・・余程機嫌がいいようだな」

 

この銀髪の軍服の男・・・も間違える筈がない・・・・俺の・・・家族の仇の!!

 

「あや・・・サタ!」

 

これ以上声が出ない・・・・もしかしたら他人の空似・・・・

 

いやでも・・・頭が混乱する・・・。

 

「もしかしたら気難しいお前に似たのかもしれないぞ」

 

その男は優しく女性にそう声を掛け、女性は少し顔を顰めつつも幸せそうに

 

「まぁ・・・アナタほどではありませんよフフフフフ」

 

そこで聞きなれた声・・・大神のこえが聞こえた、

 

「待ってくださいあやめさん!!俺です大神です!!」

 

おれは振り向くと後ろに大神もまたあの夫婦がサタンとあやめにみえたのだ、

 

「・・・・・・・」

 

「?どうした?」

 

「いえ・・・・誰かに呼ばれた気がしただけです」

 

女性は・・・大神の声を気のせいとして目の前の夫に優しく微笑む、

 

おれはこれ以上なにも言えなかった・・・・あやめさんは確かに俺が・・・

 

でも目の前の女性は間違いなく・・・あやめさんだ・・・と

 

おれは・・・・心の何処かで救われたように感じた、きっとこれは自己満足でしかないが

 

それでも・・・・

 

夫婦と母にだかれた小さな赤子は幸せそうに会話をしその場から少しづつ

 

離れていき次第に人ごみに溶けて消えてしまう・・・・

 

大神と俺はそれを呆然と見ている事しか出来ずに・・・でもきっと

 

「何もしないのがベストだったんだよ・・・・・今のは」

 

俺はただ、あやめ似の母親とサタン似の父親、それに小さな命見守ることに・・・・

 

 

 

 

どうかお幸せに・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~フェイス所有秘密航空基地~~

 

 

『暁、如何だい乗り心地は?』

 

「最悪だ・・・」

 

『震電用長距離航空パッケージ【ブルーインパルス】コイツで

 

仏蘭西の此方の航空基地に移動だ』

 

「平均飛行時間、13時間37分、トイレ休憩なし、機内食無し・・・

 

ふざけてんのかおい!!」

 

『まぁ・・・基本は武蔵の自動制御航行だから睡眠も食事も可能だよただ・・』

 

「トイレ無しと来たもんだ!!」

 

『尿に関してはカテーテルを通しての排泄でろ過して機体の非常用飲料水にって』

 

「お前マジふざけんなよ!!」

 

『射出一分前~~~♪』

 

「あ!コラ了子テメエエエ楽しんでるだろう!!」

 

ゴウゴウと音を立てハッチが開きカタパルトが展開される、

 

震電の前後に巨大な飛行ユニットが取り付けられはたから見ると、大型の

 

ジェット戦闘機に見える。

 

「ったっく・・・・・・」

 

コクピットの空きスペースに機体に持ち込んだ二枚の写真を張り付ける、

 

一枚は在りし日に帝劇の皆と一緒に取った集合写真、そして

 

若干、煤と焦げ汚れた俺が『八神暁』だった頃の家族の集合写真、親父が帝都に行く

 

前日にとった写真を・・・・・

 

『カウント5.4.3.2.1!』

 

『アカツキ・オーガス!『震電』行きます!!!!』

 

漆黒の空に飛び立つ一つの鉄の花が満点の星空に堕ちる・・・・・

 

 

 

 

 

 

サクラ大戦~鉄火絢爛編~

 




約五年かけて第一部が終わりました

幕間に短編1と長編2を入れて

サクラ大戦2~~君、死にたもうことなかれ~

を開催しようと思います




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