召喚されて勇者やってたけど平和になったので料理屋をやってます。   作:kaenn

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だいぶ時間が空いてしまいましたが続きが出来ましたので投稿しました。

楽しみにして居る方や呼んでやろうかという方はどうぞご覧ください、


きつねうどん

第6食 きつねうどん

 

家を出て着いたときは若草色に染まっていた山が夜の蚊帳が落ちて全体的に暗くなっていた。

そんな夜道を懐中電灯を持ったばあちゃんに案内されて、幼い頃一度だけ入った事のある本社の中に入った。

 

「閻尾様、連れて来ましたよ!入りますよ!」

 

社の中に入ったばあちゃんは一番奥の御神体が祀ってある部屋で手をパンパンと叩くと御神体に向かって声をかけた。

 

何をしているんだろう?と、考えていると不意に目の前の空間が歪んできた。

 

「?!何じゃ!この魔力は!?お前さま、警戒せよ……何か居るぞ。」

 

現れた襖の向こうに絶対強者の気配を感じた玉藻が表情を強張らせながら、武器である鉄扇と戦闘形態でしか出さない九つの尾を出しながら警戒を促してきた。

玉藻の本気を感じ取った克馬は空間魔法で神剣レギンレイブを呼びだし構える。

 

それを見た祈は「あらあら。」と言い、少しも驚いた素振りを見せずに強大な魔力の渦巻く襖を開けてしまった。

 

ーガラーッー

 

「ん?……んぐっ……、………よいしょ………遅かったのう祈、おおっ!玉藻!久しいのぅ…儂じゃ、お前の母じゃぞ!…横に居るのがおぬしの番いかの?」

 

そこには玉藻をそのまま大きくした様な狐の美人がうどんを啜って座って居た。

美女はこちらに気づくとうどんの器を背後に置くと祈に挨拶をして、玉藻に抱きついた。

そのまま首を克馬の方に向けると玉藻の夫か?と聞いてきた。

俺は肯定する為に首を縦に振ると「ヨシヨシ!源十郎や十蔵に似ていい男じゃのう!」と満面の笑みで目の前の閻尾さんは俺を眺めている。

 

「じいちゃんと父さんを知ってるのですか?」

 

その発言が気になって、玉藻を自身の豊満な胸で包み込んだままの閻尾さんに聞くと横からばあちゃんが、

 

「克馬、そのアバズレの駄ぎつねが何を言っても無視しなさい。なにせその駄ぎつねは私の夫だけでなく息子…そして孫にまで手を出そうとする色ボケの老害ですからね。」

 

「祈!駄ぎつねと老害は否定させてもらおうか!アバズレと言うのは少し違う、良いオスが居れば子種を求めるのは正しいメスのサガじゃ!諦めい。」

 

笑顔のまま言いきると、閻尾さんは玉藻を抱えたまま少し怒り気味に反論する。

 

「認めましたね?源十郎さんを誘惑していたって……それに十蔵にも最近ちょっかい出しに行ったでしょう?桔梗さんから苦情が来ていましたよ。」

 

母の名前が出て来た所で、そう言えば両親に会っていないことに今更ながら気付いてばあちゃんに質問すると、ばあちゃんも「説明を忘れてたわ。」と言ってポンと手を叩き話し始めた。

 

「そう言えば、十蔵と桔梗さんは退魔の仕事と剣術指導の為にアメリカに行っていますよ。なんでも…彼方ではハリケーンの中に龍が居るそうで、その龍を退治するために、この前は閻尾様が呼ばれたんでしたよね?」

 

ばあちゃんが先程までの暴言がなかったかの様に閻尾さんに問い掛けると閻尾さんはうむうむとうなづきながら、

 

「さよう、十蔵から救援要請を受けたのでな?ちょいと転移して意気がっておった雑魚龍種をしめに行ってきたのじゃ!」

 

得意げな顔でまさにドヤ顔をこちらに向けてくる閻尾さん

 

退魔の仕事?確かに気で身体能力強化とか何か見た事もない獣を討伐していたような気がするけどまさかアレは魔物だったのか?………そう言えばリストアールで似た様な魔物をよく見た気がするけど……あれ?…閻尾さんの胸に抱かれている玉藻がピクリとも動いていない。

心配になり「玉藻?大丈夫?」と、声を掛けるが返事が無い。

 

慌てて閻尾さんから玉藻を取り返すと玉藻は酸欠で目を回していた。

 

それから少しして玉藻が快復して閻尾さんに話しかける。

 

「しかし、母様は妾が幼少の頃、旧神に滅ぼされたと父様とタルカス様が言っておりましたがご無事で何よりです。」

 

玉藻が心からの笑みを浮かべて閻尾さんにそう告げると、閻尾さんは何故か凄く嫌そうな顔になり

 

「チャラ男と下僕が何だって?儂が滅ぼされた?ハッ、よう言うわい、儂の鍛錬が嫌になって結託して儂を地球まで飛ばして次元を閉じる様な奴らの事かの?」

 

その発言に玉藻は目を丸くして、父様とタルカス様が虚言を?そんな……まさか………と呟きながら思考モードに入ってしまうと、閻尾さんは俺を見て期待感で目をキラッと輝かせ

 

「それで克馬よ!わしの孫は何処じゃ?千里眼では声は聞こえんから会って話すの楽しみにしとったんじゃがのう!儂に似てさぞ愛らしいんじゃろうなぁ……。」

 

まくし立て「早うせい、あんまり焦らすと狐火浴びせるぞ?」と本気か冗談か分からないが剣呑な笑みを浮かべながら催促してくる。

 

俺が言いづらそうにして居ると横からばあちゃんが、

 

「あら?リアちゃんなら来ませんよ?疲れたみたいだったし今頃は棗と一緒にお布団で寝てるのではないでしょうか……まぁ、私はリアちゃんを堪能できましたし、充分に、満足するまで……ね。」

 

と、勝ち誇ったかの様な(ん?ばあちゃんこんなに愉快な感じの人だったっけ?)顔で閻尾さんに告げると閻尾さんが九つの尻尾を逆立てさせて

 

「祈!貴様抜け駆け無しで、孫を可愛がるのは同時にやろうと言っておったではないか!裏切りおったなこの性悪女!!」

 

ばあちゃんを罵るがばあちゃんは何処吹く風?とばかりに

 

「えぇ……私は”孫”を可愛がるのは…と、言ったはずですよ?私にとっての孫は克馬とその嫁の玉藻さん、後は棗ですし、リアちゃんは私にとっては曽孫になるのですから何ら間違っていませんよ?何をそんなに怒っているのです?カルシウム足りないんじゃないですか、きつねうどんばかり食べていないで………だいたいいい歳して………。」

 

「そう言った屁理屈ばかり!だいたい貴様は昔から……十蔵を閨に誘っただけでわしに真剣で斬りつけてきおって!源十郎は諦めたのだからよいであろうに!!」

 

いつの間にか双方とも刀を取り出し鍔迫り合いをして刀身からは火花が散っている。

 

「………………ん、…んん、はっ!?此処は何処じゃ?」

 

そうこうしているうちに閻尾さんに気絶させられていた玉藻が起きて動きだす。

 

玉藻は小さい鼻をひくひくと動かすと、閻尾さんの後ろの方にまだ手つかずの”きつねうどん”を発見して手に取ると、添えられていた箸を使って持ち上げる。

 

「………………。」

 

ばあちゃんと閻尾さんが繰り広げる喧騒を後目に何も言わずうどんを啜ると目尻から涙が溢れる。

 

玉藻が泣くのはリアが生まれた時以来で、驚いた俺が心配していると、玉藻が口を開く。

 

「………懐かしい…コレは……確かに母様の味じゃ…。」

 

と、言いながらずるずるとうどんを啜っていた。

 

「そうじゃった、ほれ?婿殿も食べるがよい!」

 

ばあちゃんと剣を交えていたはずの閻尾さんはいつの間にか俺の隣に立ってきつねうどんを渡してきた。

ばあちゃんの方を見ると呆れたように刀を鞘に収めてスタスタと歩いてくるのが見える。

 

俺は受け取ると玉藻の横で食べ始める。

 

「……ん?このうどんもしかして…手打ちですか?」

 

細いのに思いのほかコシの強い麺に驚いて確認すると、閻尾さんは満面の笑みでうなづいた。

 

「さすがリストアールで料理屋をやっているだけあるのう?わしの手打ちうどんじゃぞ!」

 

「ええ、そうですね…”唯一の”得意料理ですものね?」

 

自慢気な閻尾さんの後ろから近づいてきたばあちゃんは、一部を強調すると閻尾さんが反論する。

 

「コレ!祈、強調せんでもいいじゃろう?…………確かにこれ以外できんが……。」

 

狐耳が折れて沈んでいるのが見て取れる、最後は小声だったが聞き取れてしまった。

出来ないんだ…と思っていると、玉藻がうどんを食べ終わり閻尾さんを見つめる。

 

「母様!そう言えばさっき、父様とタルカス様が妾を謀ったと仰いましたが誠ですか?」

 

その質問を聞くと閻尾さんは先程の様な剣呑な雰囲気を漂わせながら、

 

「うむ、そうじゃのう………ん?玉藻や、お前確か転移門を使えたかのう?」

 

「はい、妾の行ったことのある場所でしたら可能ですが?」

 

閻尾さんが質問し玉藻の答えを聞くと、

 

「それでは当事者達の前で話をするとしようか!!玉藻や、今駄犬と下僕は一緒におるか?」

 

「えーと……おそらく今の時間ですと会議が終わり謁見の間で2人だけでお話をされているかと思いますが…」

 

「よし!祈、ちと出掛けてくるぞ!婿殿も来るがよい!」

 

玉藻の返事を全て聞く前にばあちゃんに声を掛け、俺の手を引いて転移門の魔法の範囲に俺を巻き込む。

玉藻も真実を知るためならばと魔法を発動させる。

 

 

 

 

転移門を潜ると懐かしいフェンリル様の城の謁見の間に出た。

 

柱の影に出たらしくまだ2人は気付いていない様だったがフェンリル様の鼻がピクリと動き、

 

「ん?玉藻と婿殿の匂い………?なんだ?この寒気のする匂いは……何故か懐かしい気もするが…………。」

 

「どうしたフェン?顔が青ざめておるぞ?」

 

「タルカス兄は気付かんか?この気配…何処かで………。」

 

「む?確かに膝が笑っておる、なんじゃこの気配は…………まさか!!」

 

フェンリル様と宰相で元ドラゴンロードのタルカス様は俺と玉藻と閻尾さんが居る柱の影を怯えた表情で見る。

 

おいおい、幾ら何でも魔国の王で神狼とエンシェントドラゴンロードが怯えるってどういう事だよ。

と、考えて居ると閻尾さんが柱の影から出て2人に見える様になる。

 

「久し振りじゃのう?駄犬に…下僕ぅ?」

 

犬歯を剥き出しにして三日月を思わせるほどの口の形を作った閻尾さんを見た神狼と龍帝は驚きと驚愕の表情をしたかと思うと即座に土下座をかました。

 




ストックはほぼ無いので亀更新ですが、続けては行きますのでよろしくお願いします。
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