遊戯王OCGでお砂糖まみれのローファンタジーラブコメを   作:SOD

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まだプロローグなのでさっさと投稿


未来は現在で現在は過去へ。そして過去は……。

吐息は白く、道は白く、降る雪は白く、街は白く染まる。

全く繁盛していない喫茶店には、ジャズ調の音楽と常連の静かな会話だけが聞こえている。

 

「受験どうだったんだ?境夜」

 

紅い髪を掻き上げ、鋭い真紅の眼をした男が首に下げた爪のレリーフを玩び、巨躯強面の男に話しかける。

 

境夜「はい。問題なく合格しています。遊爪さん」

 

巨躯な男は貌に似合わず礼儀正しい口調で応える。

 

レン「オイオイ。俺はもう改名してんだよ。今はレンーーレン・ファムグリッドだ。」

境夜「はい認識しております……ただ、お言葉ですが、自分には貴方の遊爪と言う名には並々ならぬ思い入れがありまして…頭目とお呼び出来ない今の俺には。」

レン「あァそうかい…別に分かって言ってんなら良いがな。」

境夜「わがままにお付き合い頂き、恐縮です。遊爪さん。」

 

ケイト「境夜くんは本当に忠犬っスよね~よしよし。」

 

レン「奴隷が何ほざいてんだ」

 

わざわざ近くに寄って巨躯な男の頭部を撫でるのは、カラダの線がハッキリわかる服装の少女だ。

絶望的に性を感じられないほど平坦な一部のハンディキャップを持ちながら、何故か男の欲を掻き立てる。

 

境夜「恐縮です。ケイトの姐さん。」

ケイト「因みに…レン君はちゃんと学校合格したんスか?たしか坂上っスよね?あのアホ程に偏差値が高いとこ」

 

レン「ああ。勿論合格だ。小中学校の教科書を全教科諳んじるぐれえ勉強したからな。

死角はねえ。」

 

ケイト・境夜「ゑ?」

 

レン「本当に疲れた。毎朝勉強したんだ。ノイローゼになるほど。

物を見るたびに名前が漢字で浮かび上がるほど書き取りしたし、数字を見るたびにそれ以下の数字の素数の数が分かるほど計算したし、学校で習う薬物は全部教科書無しで調合出来るようになった!!!世界史に出てくる全ての人物の肖像と名前と生年没年も覚えた。フフフ」

 

境夜「………あ、あの遊爪さん。それは………効率無視というか、省略可能な部分がと申しますか、その…ですね。ええと……」

 

巨大な身体を4分の1位に小さく丸めながら、境夜は何とかフォローを入れようと涙目で頭をフル回転させる。

第一印象でヤクザも怯える強面の境夜だが、この性格を知った仲間からは信頼も厚い。

最も、彼の真顔は恐怖のソレなのて、目撃した者は、目の錯覚ということにして記憶から摘出することも少なくない。

そんな優しさを持って接した境夜だが--

 

ケイト「レン君はバカなんスか?」

 

ケイトが境夜の努力を塵に返した。

 

境夜「い、言われた……!?

その二言を言わない方向で伝えようとしたのに、ハッキリ言い切りましたねケイトの姐さん」

 

ケイト「いやいや。好きな相手だから短所を伝えないとかラノベでよく読むっすよボクも。料理下手なヒロインに証拠隠滅してまで黙ってるとか。

 

でもそれは好きな人が後々苦労するから言うのが正解。

隠して良いこととか無いから。それでキレるならもう人格がオカシイんスよ。

だからボクもハッキリと--あ痛アアアアアアーー!??」

 

ケイトの頭を万力で潰すように拳でグリグリするレン。

 

レン「確かにケイトよ。克服する価値のある、または見込みのある短所を指摘するのは悪いことじゃねえ。(グリグリ)

だが人間は誰しも短所は存在している。ソレを貶めるような言いかたして良いとは言ってねえ(グリグリ)

そんなわけで俺はお前に罰を与える(グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ)」

 

ケイト「ーーアギャアアアアアアーー!??い、痛い…よぉ…………。

レン君……もう、ヤァ………ぐすっ、ひくっ」

 

レン「境夜。翔護が術式の実験始めてから何カ月か経った。アレから風音と連絡が取れねえ。(グリグリグリグリ)

元から単独行動するタイプだから心配はしてねえ。切り札(クリアマインド)でも使わなきゃ倒れやしねえし、切り札使えねえからって負けるようなヤワなデッキの作り方もしてねえしな。(グリグリ)」

 

ケイト「レン君…ぐすっ、許して……ひっく。ねぇ、痛いよ……」

 

レンはケイトがガチ泣きになりそうなところで頭を解放すると、今度は膝に頭を置いてトリミングのように撫で始めた。

 

レン「だが有事の戦力の期待値が大幅に減少したのは確かだからな。極北高校。だったか?デュエル・アカデミアですら無いとこが封印先に選ばれるとはな……とにかく、頼りにしてるぜ境夜。破壊と再生の神なんて呼ばれたお前に、戦いに関しての心配はねえが、油断はするなよ。」

 

 

境夜「……はい。お任せ下さい、遊爪さん。

早急に極北学園に封印されているものを入手します」

 

 

 

 

時は過ぎて、今はもう五月。桜の花弁は既に散り、学校へ向かう楽しみは減ってしまった。

 

境夜「極北……その名の通り最北の地にある学園。田舎も田舎だ。」

 

コンビニは24時間やらないし、夜は街灯が無い場所は闇そのものと言っていいほど真っ暗だ。

 

「その通りだ。確かにココは田舎だね。」

 

境夜「だが……俺にとっては十分な供給が見込める。ーー戦場のように屍から物資を剥ぎ取らなければならないほど餓えも乾きもないだけで、俺には楽園だ。」 

 

「そうかそうか。それは良い心構えだ。

それで、何が言いたいのかな?」

 

だから…………。

 

 

境夜「おまわりさん。俺はカツアゲなんかしてない。」

 

 

警官「いやぁ、そうは言ってもさあ。あんな血相変えておまわりさんに助け求めてくる大人なんてそうはいないよ?それこそ。キミみたいな大男に恐喝でもされないかぎりはさ。

 

まして、キミ。その手にあるサイフ誰の物なの?」

 

 

自分ーー神条境夜(かみじょうきょうや)は、人を怯えさせてしまう容姿らしい。

目の前でサイフを落としたサラリーマンに声を掛けただけなんだが……。

 

サラリーマン「ひっ!?ガクガク((((゜д゜;))))」

 

もはや輪郭がブレ過ぎて一人分の身体が四人くらいに分裂して見える。

 

境夜「俺は………」

 

警官「ああ!そうだ良いことを思いついた。本官とデュエルをしよう。もしキミが勝つようなら、君の罪を見逃してあげよう!」(この大男を這いつくばらせて、昨日のギャンブルの負けの憂さ晴らしをするとしよう。そしてこいつが勝てば公務執行妨害で逮捕っと♪)

 

警官は境夜がサラリーマンの落としたサイフを拾った所を目撃していた。

拾って自身の懐に入れようと考えたところで境夜が拾い、サラリーマンに声をかけた。

だがサラリーマンが境夜に怯えた様子を見かけた瞬間。今のゲスな思考に至ったのだった。

 

警官(大袈裟にサラリーマンに様子を確認してやれば、悪人を作るのは簡単ン~♪)

 

警官「さあ、本官とデュエルだ。」

 

境夜「…………。」

 

過去。其れは現在の自分の基盤となる物。過去は過去の自分にとっては現在であり、未来とは過去の現在であり、現在は現在。今の自分にとっての今であり、過去の未来である。

故に、神条境夜にとって今は現在であり、未来である。

だが、それでも。

例え、未来に行くことが出来たとしても。停滞し、現在に留まったとしても。

 

警官「あ…………あ??」

 

境夜「ヒトは……『過去』へだけは戻れない。それゆえに、大人たちは語る。若人よ、現在に生きよ。

未来に絶望し、現在に辟易してもなお、現在と言う『過去』は取り戻せない唯一の宝と知れ。」

 

 

警官「た…………しゅけ…れ」

 

青空を仰ぎ見ながら、警官は大地にその身を預けて眠ることになる。

決して取り戻せない後悔(かこ)に、想いを馳せながら。

 

 

境夜「其悉罪犯走続者。我‐‐罪人也。

下せ、ダイレクトアタック。」

 

 

 

 

警官「あ…あ…ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーー!!!??」

警官LP0

 

 

 

 

だから、現在の行動は慎重に選ぶべきだ。

 

 




…………これ、どっちが悪人か分かんねえな
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