遊戯王OCGでお砂糖まみれのローファンタジーラブコメを 作:SOD
1話目で評価付くとかテンション上がる。ひゃあ!がまんできねえ!
五年前。神々が人類に裁きを下した大神災が起きた。三幻神の怒りにより都市は滅ぼされ、天変地異が起き、局所的には世界の終わりのような絶望感が漂っていたが、今は昔。
人々はかつての生活を取り戻し、戦場で命を削った決闘者達もまた、穏やかな時を過ごしている。
そんな大神災にて、誰にもその働きを賞賛されることが無かった少年がいた。
少年が流した血は人知れず土に還り、受け止めた疵は心を蝕み、零した涙は既に枯れ果て、戦いが終わった後に、少年は今から2年前にこの世を去った。
付き合っていたわけでも無く、当たり前に一緒にいた幼なじみ、虎華 愛美を遺して。
森の木々を犯し、その場に居合わせた百を超える命を奪い無価値に変える業火の中で、侵略者と戦った少年は、敵の活動を停止させることに成功した。
自身の未来と引き替えに、腕に抱いた幸福を対価に。
森と森の木々、ニンゲンを焼き散らした炎と、かつて『命だった』灰に囲まれながら。
愛美「嫌だ……嫌だ……。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌…………止めて!」
「……俺は、悪魔でも、誰かを護る、守護者になる。力が邪悪でも、この思いは………誰かを護る力にしたいと願ってるから。」
「無価値…その気持ちは思い上がりだ。
生きることが悪であることに、目を背ける貴様の現実逃避に価値は無し。その呪われた右目こそ、罪科の証よ。」
炎の光に映された二つの影。
両者に付き従うモンスターと、モンスターの召喚を維持するデュエルディスク。
全て燃えているハズの場所で、例外的に影響を受けていないそれらを使役して自身の正義の為に、自らに相反する悪を倒すべく、戦っている。
少年 LP37
手札2枚
場
フェザーマンATK1000
バーストレディATK1200
侵略者LP2000
手札0
伏せモンスター1
少年「これで終わりだ。俺は手札の悪魔族専用融合カード『ダークフュージョン』を発動。
場のフェザーマンと、バーストレディよ。その魂を、悪魔に捧げろ。
--煉獄と業火の海の中、悪意と慈愛を混じり合わせ、守護の祈りを果たしたまえ。
守護者に召喚された
少年「ガフッ……!?ゴボッ」
僕が翼を広げる度に、四肢を、指一本すら動かせば、少年の肉体には激痛が走り、自身に巣喰う呪いが蝕む。
既に致死量に近い血を体外に排出し、五体は真っ青になっている。
侵略者「……自身の身の丈に合わぬ力を使うか。反動で
死せよ、悪魔よ。かつての神は破れた。魔王は瞳を閉じた。
この次元は、我々が……全次元を調律する支配者。『cosmos』が束ねる。」
「…………殺せ………ヤツを」
言葉を返す力も残っていない青年は、ただ一言インフェルノ・ウィングに攻撃指示をする。
悪魔の煉獄の攻撃は、モンスターを焼き払い召喚者を貫き、敵対者を焼き殺す。
侵略者「……無駄なことだ…っっ!!我らは聖遺物の意思。次元全てを束ねる使命が有る限かギり、フたタ、ビ。コノ地に、調律ヲ行う。
その忌まわしい重瞳。いずれ魂ごと消し炭にしてくれる!!
ーーーグ…ギアアアアアアアアァァァァッ!!!!」
翔護「…………お前達みたいなやつがいる限り、俺は何度でも現れて、護るだけだ。」
侵略者の最期を確認すると、青年は構えていたディスクを力なくぶら下げ、立ち尽くす。もう、ディスクのおもみにも、たえられない。
戦いを見守る形になっていた愛美は、青年に歩み寄る。
愛美「…………どうなるんだ。お前」
青年「…………」
沈黙のまま目も向けない青年を見つめながら、悟るように理解した愛美は、悲しさを隠さない表情で、青年の手を取る。
愛美「手……こんなにすすだらけになっちゃったな……」
青年「…………。」
愛美「もう帰ろう。いっしょにお風呂入ろうか。綺麗に洗ってあげるから。」
青年「…………。」
体力が底を尽き、足もおぼつかない青年が倒れないように、抱くように支えて歩く愛美。
愛美「あっ…。」
森を出るまでまだ距離がある中で、青年は唐突に愛美を押し倒すように、地面に体を預ける。愛美が怪我をしないように抱きしめて、痛くないように自身をクッションにして。
二人揃って地に伏した。
青年「…………。」
右腕には愛美の頭を乗せて、右手で愛美の髪を梳く。お互いの頬と頬で、甘えるように触れて、愛美の髪に鼻を埋める。その香りに安らぎを覚える。その温もりに、自身の生を覚える。
愛美「……翔護」
そんな青年を抱きしめて、愛美はカラダを預け、安らかな顔で目を閉じる。
愛美「いいよ……。いっぱい、いっぱい。わたしに、甘えて。
たくさん、たくさん。わたしを感じて。カラダも、ニオイも、声も、心も。愛も。
あなたが、大好き。鳴海 翔護を愛してる。」
愛して護る二人の関係性は、恋人同士のソレでは無い。それでも、自然に二人は愛している。
黒い煙が立ち込めて、周囲もろくに見えない。炎に焼かれ死にきれなかった命のうめき声と、熱で弾ける木々の音。無数の人間の焼死体が形を留めない凄惨で、微塵の祝福も無い死の森で、鳴海 翔護は、虎華 愛美に愛されて、看取られていった。
ハズ、だったのだ。
森の火が沈静化したのを機にセキュリティーや救急。軍隊が森に入り、事態の把握や、生存者の救出などを行った。
その際に、愛美に抱きしめられて息を引き取っていた翔護の遺体は病院に運ばれ、遺族と面会した。
だが、葬儀の日取りが決まった次の日、愛美がいつものように翔護に会いに来ると、翔護の遺体は無くなっていた。
遺族「遺体が無くなったなんて……そんなことがありますか!!?」
院長「申し訳ありません。ただ今全力で翔護さんのご遺体を捜索しておりますので…」
遺族と病院が話し合っていたとき、愛美は思い出す。最期の戦いを。
侵略者『……無駄なことだ…っっ。我らは聖遺物の意思。次元全てを束ねる使命が有る限かギり、フたタ、ビ。コノ地に、調律ヲ行う。
その重瞳、いずれ魂ごと消し炭にしてくれる!!』
翔護『…………お前達みたいなやつがいる限り、俺は何度でも現れて、護るだけだ。』
愛美「……翔護、もしかして生き返った?」
自身の腹部を撫でながら、そんな、あり得ない妄想を可能性の一部にしてしまう虎華愛美は、狂っていたのかもしれない。鳴海翔護は死んだのだから。
だが、それ以来彼女は、その森に通い続けている。鳴海翔護の姿を探して。
国が厳重に立ち入りを禁止しているハズの森に、毎晩欠かさず。侵入している…………。
立ち入った範囲までの場所の木に石で目印を書きながら。
愛美「翔護……翔護……どこに居るの?
翔護。私に、声を聞かせて。翔護……。
ねえ、翔護。愛してるよ…アハハハハ。」
シオン「…………マジかよ。」
愛美「ん?どうしたんだシオン?」
放課後。焼けた森に潜入した私たちは、2年前よりほんの少しマシに整備された獣道を歩いていた。
シオンは何故かその辺の手頃な石を拾っては木の上方辺りに向かって投擲して遊んでいたのだが、丁度石を拾おうとしたところで唐突に固まって驚愕の表情に変わった。
只でさえ白い肌が青白くなっている。ここまで来ると人の色じゃ無いだろう。
いや、元々人間離れした美しさを持った奴だが。羽根とか付ければ天使のコスプレ完成だな。
シオン「………虎華。キミと知り合って5年になるが、まだ知らない一面がみえたよ」
愛美「…??」
一歩進むごとに軋む黒い何かを踏み越えて、森の奥へ進む。
白銀の髪を静かに掻き上げて耳を露わにするシオン。
シオン「………鳴海……」
亜弓「あ、シオタンってピアス付けてたんだ~」
シオン「ん?ああ……これか。目聡いな。」
亜弓「きれいだね~どこで買ったの?ウチっちも欲しいな。教えておしえて~」
シオンのピアスを、キラキラとした目で見るアユ。
愛美「たしかそれ、私と会ったときにはつけてたよな?小学生6年生からか。」
亜弓「小学生からピアス?シオタンってヤンキー?」
遊夢「私とココちゃんがお兄ちゃんと会ったときもつけてたよね?」
心愛「兄さんがボクたちの家族になってから6年間、磨いたりすることはあったけど、外したり、別のピアスに変えたりもしないですね。」
みんな「「「そのピアスなんなの?」」」
シオン(……女が四人集まると面倒だな。)
シオン「……昔拾った。」
亜弓「ええ…」
愛美「マジかよ。」
心愛「あの…兄さん。もし良かったらボクが新しいピアス買ってきますよ?」
遊夢「…………。」
シオン(何か大切な物を失った気がしないでも
無い。別に良いけど。)
女性陣に白い目で見られながら、シオンはまた石の投擲を再開したのだった。
一行が談笑しながら不法侵入をしている頃、
森の中のとある位置にある白いテントが設置され、様々な機械類を操作する白衣の男達がいた。
「おい!どうなっているんだ。
次から次へと
「原因不明です。カメラだけが壊されたとしか。」
「それなら、一緒に仕掛けていた警報とCSソルジャーが起動しているはずだろう!
まるでカメラとセンサーのリンクが切れたみたいだ。赤外線も潜らずにだ!!」
原因不明の異変に苛立ち部下に八つ当たりする神経質そうな主任の男は自身の髪をブチブチと抜き始める。
そんな主任の様子を白い目で見ながら赤渕のメガネを掛けた女性研究員がなだめる。
「やっぱあの子じゃないッスかね。毎日毎日この薄気味悪い死骸の森をうろついてるアカデミーの制服着た女子高生」
「そんなわけがあるか!アカデミーの女生徒如きに出来る芸当かっ!?そもそも我々がこの森に派遣された当時から監視カメラなど見向きもせずにさまよっていたじゃないか!!
そんな奴が何で今更監視カメラを壊す!?しかも我々にその挙動を悟られずにだ!!
アアアアアアーー!!!チクショウチクショウチクショウチクショウチクショウ!!!!」
怒り狂って吠えながら研究室のテントから出て行った主任を、手をヒラヒラさせて見送ったメガネの女性研究員は、クスリと笑ってパソコンに映る侵入者一行を眺めて呟く。
「……こんなザルな警備、ボクなら鈴付きのネコの着ぐるみ着てても同じ事出来るッスけどね」
手元にあった黒い本を手に取って、その横にあった赤いスイッチを力一杯叩き込んだ。
ジリリリリリリーーー!!!!
けたたましい警報が研究員の行動範囲内に設置されていたスピーカーから鳴り響き、予め録音されていたアナウンスが流れるが、突然のことに混乱した研究員の悲鳴にかき消されて聞き取れることが出来ない。
「1年……永かったなぁ。
融合、儀式、アドバンス、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム、リンク。
七つの召喚方のデータを全部調べるのに随分時間かかったッス。
新しいデッキも出来たことだし。
ーー止まっていた物語を動かしますか。」
女は蠱惑的な笑みを浮かべ、白衣に付いていた名札を投げ捨てると、
機械的な腕輪をはめてテントを出る。
外に広がる光景は、地球の物とは思えない昆虫に血肉を食い散らかされる元同僚が絶叫を上げる地獄絵図と……。
「さあ、ボクの愛しいひとのために、復讐心を滾らせるッスよ……無様な負け犬君。」
侵略者「フフフッフッ……ナル、ミ・ショウゴ……。殺ス……!!」
虫達を従える、黒いフードを着たデュエリストの嗤う姿だった。
起承転結の起結だけを書くタイプの濡れ場。
これなら少年誌だって許される。
え?To LOVEる?
黙っとけ☆