東方紅更録   作:吸血鬼@ロマンうどんぬ

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実は今年受験あるので投稿ペースむっちゃ下がります。サーセン…。


第参話 「新たな試練はなおも姉妹を傷つける」

「今日から紅魔館の当主代理になる、ロレメア・タイロルド…いや、スカーレットだよろしく頼む。」

 

———パチパチパチ。伯父様が自己紹介をすると周りにいた吸血鬼たちから拍手が起こる。皆、()()()の配下に当たる吸血鬼たちだ。今は、伯父様の当主代理就任と凄惨な殺し合いでの勝利を勝ち取った祝勝会を兼ねたパーティーの最中だ。

 

そして伯父様の挨拶が終ったので今度はこちらが挨拶をする番だ。まずお姉様からだ。

 

「紅魔館当主レミリア・スカーレットよ。以後お見知りおきを。」とお姉様はスカートの裾を掴んで少し持ち上げ優雅に挨拶をする。

 

 

次は私の番。やっぱり緊張しますね…。お姉様のを見よう見まねでだけど真似しよう。

 

そんな私の心中を察したかのようにお姉様は私にしか聞こえないような声で、

 

 

「私の真似をする必要はないわ。いつも通りの挨拶で大丈夫だから。」

 

と言ってくれた。これだけでも緊張が解けるような気がするが、今解けたらだめだと自分に言い聞かせ、挨拶を行う。

 

「スカーレット家の次女フィーゼル・スカーレットです。よろしくお願いします。」

と手を下腹部で重ねてお辞儀をして戻る。

 

良かった…出来た。次はフランの番ですか…。頑張ってください。フラン!

 

 

と心の中でフランを応援したが、どうやらそれは杞憂だったみたいだ。なぜならフランは緊張するような素振りさえ見せず、

 

「三女のフランドール・スカーレットだよ。よろしくー!」と言うだけ言ってあっさり戻ってきたからだ。

 

 

フラン恐るべしと思ったのはここだけの秘密だ。

 

 

———そのあと配下の吸血鬼の中でも上位に位置する幹部の人たちの自己紹介が行われたが、それは私が考え事をしている間に終わってしまっていたのだった。

 

 

□ □ □ □ □ □

 

———自己紹介を兼ねたオープニングセレモニーが終わる少し前。

 

う~ん…。マズいですね…。伯父様の配下の吸血鬼たちが多すぎます。当主代理なんて言ってましたけどその気になったら私達なんて一瞬でやられてしまうでしょうし…。何か手を打たないと。こんな時に自分に何か能力があればといつも思いますけど、やっぱ私にはないんでしょうか…。このことも含めて、このパーティーが終わったらお姉様に一度相談してみましょうか。後、他にも…

 

「……ィー。…フィー。フィーってば。」

 

「えっ?…あ、はい?なんですか?お姉様??」

 

「なんですか?じゃないわよ。オープニングセレモニーも終わったし、今はこのパーティーを楽しみましょう?」

 

「あ…はい。分かりましたお姉様。」

 

 

本当だ。いつの間にか自己紹介終わっちゃってる。熟考しすぎましたか。気が散りすぎかもしれないですし、今はパーティーに集中した方がよさそうですね。

 

 

□ □ □ □ □ □

 

あ~ようやく自由時間だ~。すごく暇だったな~。まあ、今も暇っちゃ暇だけど…。

あ、お姉様だ。構ってくれないかな~。ちょうど、今レミリアお姉様いないし、少しくらいいたずらしてもいいよね。

 

そ~っと近づいて……。今だ!「わっ!」

そう言いつつお姉様に背後から抱き着いてみる。

 

「ひゃあ!?」

すると案の定フィーゼルは突然のフランの襲撃に驚きかわいい悲鳴を上げる。それを見てフランはにやけるのだった

 

お姉様かわいいなぁ~。もう、にやにやしちゃう。あ、レミリアお姉様がこっち来てるにやにやしてるの見られたら絶対何かしたってばれちゃうし早くやめないと。そう自分に言い聞かせ、一人にやにやを抑えようとフランは頑張るのだった。

 

 

□ □ □ □ □ □

 

まったく、フランにも困ったものです。急に驚かせて来るなんて…。もう周りから見られちゃってるし、恥ずかしい…。絶対後で仕返ししてやります!

 

そんなことをフィーゼルが決心しているとレミリアもこちらに来て姉妹三人ようやく終結だ。

 

先ほどから伯父様とずっと話してましたけどもう、いいんでしょうか…。

 

「あの、お姉様?伯父様と何か話されてたみたいですけど、もういいんですか?」

 

「ええ、もう大丈夫よ。必要なことはひと通り話したわ。」

 

「そうですかそれならいいんですが…。それと後でお姉様に相談したいことがあるんですけど、時間ってあいてますか?」

 

「いいわよ。後で、私の部屋に来なさい。」

 

「分かりました。」

 

その他、他愛もないことを話しているとフランが背中に何かを隠してこちらにやってきた。

 

「ねえ、レミリアお姉様とお姉様。私、これ飲んでみたいんだけどお姉様たちも飲まない?」

 

「う~んと、これは…。ワインですか…。私は遠慮しておきます。まだ、飲んだこともないですし、何か起きたら大変ですし。」

 

「そうね、私も同感だわ。フラン今日はやめておきなさい。フィーの言う通り、何か起きた後では遅いでしょう?」

 

「え~。いいじゃ~ん。」

 

「フラン、私からもお願いします。今回はやめておきませんか?」

 

「む~。お姉様までそう言うなら。」

 

残念そうだけど、何とかやめてくれたみたい。よかった。それはそうと、なんかお姉様が納得いかなさそうな顔してますね…。

 

「…。フラン、私とフィーの対応の仕方違くない?」

 

「え!?いや…そ、そんなことないよ?」

 

「怪しいわね…。まあいいわ、これ以上話しをしていても何か起きるわけでもないし、パーティーを楽しみましょう。」

 

「そうですね。」  「そうだね。」

 

と姉妹の話し合いはレミリアの提案を以ってお開きとなり、三者三様の楽しみ方をしてパーティーは終わったのだった。

 

 

———同日早朝前。

 

「お姉様お待たせしました。」

 

とフィーゼルがレミリアの部屋を訪ねると

 

「本当に遅いわよ…。これ以上来るのが遅かったら寝ていたわよ?」

 

とレミリアは少し呆れたかのような言い方で微笑んで見せた。———それは、そう言ってはいるが本気ではないという事を表すレミリアなりの気遣いだ。

 

「すみません。」

 

「それで話って何かしら?」

 

そして、レミリアはフィーゼルに話をするよう促す。

 

「実は、パーティーが始まった頃から思ってたんですけど、少し伯父様の配下が多すぎる気がして。何か起こってからでは遅いので、それについてお話ししようと思ってたんです。」

 

「なるほど。それについては私も少し思うところがあったのだけれど、今はまだ何もしない方が賢明なのよ。」

 

「え?どうしてです?」

 

「言い方を変えれば、何もできないのよ。それはさっきあなたが言っていたじゃない。"配下が多すぎる"って。」

 

「あ…。」

 

そういう事ですか…。お姉様に言われないと気が付けないなんて私もまだまだですね。

 

つまりレミリアが言いたいのは、何事も行動するにはまず敵の幹部や頭を潰さなければならないが、配下が多すぎるがために、そこまで辿り着けないという事なのだ。

 

「分かって貰えたみたいね。」

 

「はい。それにそういう事なら仕方ないですね。しばらく様子を見ましょう。何か動くにしても、そんなすぐには動かないとおもうので。それでも、もし私に何かあったら私を信じて待っていてくださいよ?」

 

「分かったわ。じゃ、今日の所はここで終わりましょう。フィーあなたも早く寝なさいよ?もうすぐ日が昇るわ。」

 

「分かりました。それではお姉様、おやすみなさい。」

 

「ええ、おやすみなさい。」

 

相談も終わり寝ようとする二人の見立ては大きく外れていた。それは、二人の勘が鈍い訳ではなく、ただ単にロレメアに関する情報不足が原因だった。その情報とは、ロレメアが完璧主義者であったことだ。

 

□ □ □ □ □ □

 

薄暗く明りの灯る、とある部屋でロレメアは配下に尋ねた。

 

「吸血鬼は染める側か染められる側か、お前はどちらと考える?」

 

「決まっております。当然、染める側でありましょう。」

 

「その通りだ。吸血鬼は相手を紅く染める血の支配者。はたまた、人間の住処を闇夜に染める闇の王だ。それ故に吸血鬼の一族は皆、髪や瞳が染まらぬ紅や紫、黒などの色をしていなければならない。だが、スカーレット家の次女と三女あの二人はなんだ?銀髪に金髪どちらも、けしからん。お前もそうは思わないか?」

 

「…はっ!その通りでございます。」

 

よく見ると吸血鬼の配下は下を向きながら震えている。それは、あの姉妹が恐ろしい訳でも、自分の主の怒気のこもった声を聞いたからでもない。震えている理由は、主の顔が怒りのあまり、まさしく鬼のような———配下である自分が今までで一度も見たことがない———顔をしていたからだった。生物の根源から恐怖を呼び覚まされるような悪魔の顔をした主は続ける。

 

「それに、次女のフィーゼル・スカーレットが先のパーティーで振る舞われた料理に使われていた血に一瞬臆したのを私は見逃さなかった…。そんなことはあってはならない…。なぜなら、吸血鬼は………血の支配者だからだ。」

 

完璧主義者のロレメアには吸血鬼が、血に怯えるというその事実が許せない。そしてロレメアはたとえ相手が死のうともそれを直そうと努力する。自分の顔に泥を塗らないように、一族が舐められることが無いようにするために…。

 

□ □ □ □ □ □

 

———翌日

 

「フィーゼル。君は後で私の部屋に来てくれ、話があるんだ。」

 

「は、はい分かりました。」

 

急に話しかけられたものだから思わず勢いで了承してしまったけど、何の用だろう?私何かしましたっけ?

 

「何の用なのかしら?」

 

「私にも思い当たる節はありませんね。」

 

「じゃあ今行ってきたらどうかしら?別にこれからする事も無いし。」

 

「そうですね。では行ってきます。」

 

 

 

レミリアと別れてからしばらくすると、ある一つの部屋が見えてきた。元々は彼女たち姉妹の父が使っていた部屋だ。

 

コンコン  ガチャ

 

「失礼します。」

 

「ああ、よく来たね。じゃ、そこに掛けてくれ。」

 

「はい。」

 

一体何の話をするんでしょう?

 

 

そんなことを考えつつフィーゼルが椅子に近づいたそのとき。

 

「!? ぐぅ…。」

 

フィーゼルを突如強大な衝撃が襲った。それをもろに受けフィーゼルは横に大きく吹き飛ばされる。

 

「ほぅ。今のを受けてまだ意識を失っていないなんて、子供ながら大したものだ。」

 

対して、フィーゼルを嵌めた当の本人。ロレメアは愉快そうに笑っている。

 

「残念ながら、眠って貰うよ。」

 

ドスッ 

 

フィーゼルの意識はここで途絶えた…。

 

□ □ □ □ □ □

 

「ここにレミリアを呼べ。」

 

「はっ!」

 

 

ロレメアの一言で配下たちは動き出す。しばらくするとレミリアの声が聞こえだした。

 

「ちょっと。引っ張らないで、服が破けてしまうでしょう?まったくもう何なの…。」

 

少しばかり呆れてもいるようだ。

 

「失礼します。何の用かしら、ロレメア当主代理?」

 

「はっはっはっ。皮肉かい?だがそんな事はどうでもいい。」

 

レミリアは、何が言いたいのかわからない、と言いたそうな顔をしているが次の瞬間その顔は引きつったものへと変化する。次の瞬間放たれたロレメアのある()()によって…。

 

「実は先ほどフィーゼル君を呼んだときにね、どういうわけか急に暴れだしてね、今は傷も癒えたがそれはもう凄い大怪我を負ってしまってね。以上の経緯から、フィーゼル・スカーレット君をしばらく我々の管理下で地下に幽閉することに決めたのでよろしく頼むという話をするため、君をここに呼んだんだが…。何か不満そうな顔をしているね?」

 

「そんな…まさか…。そんなことは絶対にありえないわ!フィーは急に暴れだすような子じゃないもの!」

 

「まあまあ、落ち着きたまえ、しばらくと言ってもそんな長期間ではないよ。フィーゼル君が落ち着くまでだ。」

 

「けれどフィーは本当にそんな事をするような子じゃないわ!」

 

そうレミリアは叫ぶと、ロレメアめがけて飛び出そうとするが、ふと頭によぎるフィーゼルの言葉に思い留まった。

 

"もし私に何かあったら私を信じて待っていてくださいよ?"

 

ここで行動を起こせば、フィーゼルを信じてあげられなかった所か、この館内でのスカーレット家の立場すら無くなってしまうと考えたのだ。

 

「おや?かかってこないんですか?」

 

ロレメアは愉悦そうな表情でレミリアを挑発するが…。

 

「ええ。今日の所は何もしないでおくわ。私はあの子を信じているから。」

 

 

そう言い残してレミリアは去っていた。後日同じことを聞いて大暴れしたフランドールも幽閉されてしまったが、レミリアはそれでも動かなかった。ただひたすらに自分の妹たちを信じて…。

 

□ □ □ □ □ □

 

———翌日

 

ここは?一体どこなんでしょう?たしか伯父様の部屋で不意を突かれて…。

 

ジャラ ジャラ

 

え?これは足枷?なんで…。

 

コツ…コツ…コツ……コツ

 

「おや?目が覚めたかい?」

 

「お、伯父様?どうしてこのようなことを———」

 

「黙れッ!」

 

 !!!

 

「えと、あの。」

 

「黙れと言ってるのが聞こえないのか!?」

 

「…。」

 

「私はね、フィーゼル・スカーレット。君らのような吸血鬼なのに吸血鬼にふさわしくないような行動ををする者が大嫌いでね。髪もそうだが貴様が血に怯えるのだけはどうしても矯正したくてね。この吸血鬼の恥さらしが!」

 

ロレメアが怒鳴り散らす中、フィーゼルは先程のロレメアのある発言がどうにも引っかかっていた。

 

君ら?私以外にも?

 

しかしその疑問はすぐに解消される。

 

「ああ、そういえばもう1人…。君の妹のフランドールスカーレットも幽閉している。彼女が配下を1人殺す度、彼女への待遇もそれ相応に酷くなっていくから気を付けたまえ。もちろん君も。はっはっはっはっ……。」

 

そうしてロレメアは愉快そうに笑いながら去っていた。

 

 

 

ここから、彼女たち2人への地獄のような日々がスタートする。虐待的な暴力は当たり前で、時には1週間飯抜きや、あの時の事への事情聴取と称した拷問尋問など、他にも

長時間の、直射日光。流水へ放り込まれる銀製の刀やナイフで刺されるなど吸血鬼の弱点も突いた行為が日常的に行われた。が幸いにして性的な虐待は行われなかった。向こうも分かっていたのだろう。そんな事をしようとするものなら逆に自分が殺られるという事が。

 

そして、幽閉から70年ほど経った頃、1度だけ幽閉されてからフランドールが大暴れしたことが、あった。それは、フィーゼルの翼が折られ剥ぎ取られたから。もちろん、その行為にも、()()()()()理由はあった。"吸血鬼の再生能力の限界を試すため"という理由だ。このためだけに、翼を折られたその理不尽さに怒り狂ったのだった。

 

 

そして…。

彼女らへの虐待や幽閉はおよそ80年間にも及ぶ凄まじいものとなった。その間もレミリアは待ち続けた。最悪の結末を迎えてしまうことを恐れながらも。そんな中、幽閉を終わらせるきっかけとなる事件が起きる。

 

その日ロレメアはある1人の配下にどうしてもと頼み込まれ渋々と了承したとある案件の監視のために配下と地下の牢獄へと向かうその頼み事とは"どちらでもいいからヤらせて欲しい"というもの。しかしフィーゼルを狙えば確実にフランに爆破されるので、フランを選んだのだが、これが間違いだった。それに気が付かぬまま2人は牢獄内へと忍び寄る。ロレメアは気が付いていなかった。幽閉から5年ほどで2人がお互いを守るため毎日寝る時どちらか片方は、確実に息を潜めつつ起きていたことに…。そしてフィーゼルは10年ほど前に能力が発現していたことに。フランを選んだのには能力を封じることも目的ではあるが、万が一にもフィーゼルが暴れたとしても自分が抑えれば大丈夫だろう。"何せ能力が無いのだから"というその(おご)りが自分を殺す。

 

そしてロレメアは殺された。フランドールを守らんとするフィーゼルの手によって一瞬で四肢を細切れにされたのだった。

 

□ □ □ □ □ □

 

「はあ、はあ。動かないで…下さい。少しでも動けばあなたも殺します。」

 

フィーゼルは目の前で———あまりにも突然起こった事に理解できず———硬直(フリーズ)している相手にそう告げる。相手もフィーゼルの一言で自分の立場に気が付き、少しでも形勢を巻き返そうと、こちらを睨み付けてくるが…。次の瞬間フランドールに殺された。

 

「お姉様大丈夫?顔が真っ青だよ?」

 

「だ、大丈夫ですよフラン。血を見なければいいだけですよ…。」

 

うぅ…。あたり一帯血だらけとかすごく最悪です…。早く抜け出したいです。

 

「じゃあフランひとまずお姉様の所に行きましょう。」

 

「うん。そうだね。本当に久しぶりだなあ。私も早く会いたいなぁ~。」

 

フラン、ものすごく余裕そうですね…。すごく羨ましいです…。

 

「ですよね。早く会いに行きましょう?」

 

「でもお姉様、私忘れ物したから、取りに行ってくるから先に行ってて?」

 

「分かりました。フランも早く来てくださいね?」

 

そう言って2人は別れフィーゼルはレミリアのもとへ向かう。

 

「お姉様失礼してもいいですか?」

 

反応がありませんね…。まあ、もう日が昇ってますし、仕方ありませんね。フランが来るまでここで待ちますか…。

 

そんなことを思いつつ、フィーゼルは扉に背を預けそこに座り込む。が、睡魔に負けたのか幾らも経たずに眠ってしまっていた。

 

 

———翌日

 

「あれ?ドアが開かない…。よい…しょっと。」

 

ゴッ!

 

「痛っ!んぅ?」

 

あれ?フランが寝てる…?いつの間に来たんでしょう?

 

「フィー?そこにいるの!?え!?どういうこと!?」

 

「あ、お姉様すみません。今どきますね。フラン…フラン起きてください。」

 

「んん~。あ、おねーさまおはよー。」

 

「おはようございます。ちょっとそっちにずれてもらってもいいですか?」

 

「いいよ~。」

 

ガチャ!

 

ドアが開くとそこにいたのは目にたくさんの涙をためたレミリアだった。

 

「もう…戻ってくるのが遅いわよ、私がこの80年間どんな気持ちで過ごしてたと思ってるの…。」

 

「すみません、お姉様…。でも私はこの通りしっかりと戻ってきました!」

 

「ええ、そうね。あなたの言葉を信じてよかったわ…。」

 

「まだ覚えてくれていたんですね…。ありがとうございます。」

 

「ところで、どうやってあそこから抜け出してきたの?」

 

「ああ、それはですね…。う~ん、なんて説明したらいいか…。まあ少し省きますが、早朝ロレメアが牢獄に来て、何やかんやあって殺したのでって感じですかね…。」

 

少し省きすぎましたかね…?

 

そんなことをフィーゼルが思っていると。その通りですと言わんばかりの顔をしたレミリアが、

 

「省きすぎて全く分からないじゃない…。」

 

と、思わず苦笑いでツッコミを入れる。80年たっても昔と何も変わらない姉妹の姿がもうそこにはあったのだった。

 

「ところで、」とレミリアが今、最も懸念すべき事態に話を変える。

 

「ロレメアがいなくなったのはいいけど他の吸血鬼はどうするの?」と。

 

しかし、その質問にすぐさま反応したのは意外にもフランドールであった。

 

「ああ、それなら大丈夫だよレミリアお姉様。」

 

「どうしてかしら?まだ騒ぎにはなっていなくても、一部の吸血鬼たちはもう気が付いているかもしれないじゃない。」

 

「だって、昨日の内に、私が全員殺しちゃったもん。」

 

「は?」

 

「だからぁ、私がお姉様と別れた後全員殺しちゃったの。」

 

「…。」

 

「…。」

 

これには、2人とも絶句せざるを得なかった。何せ、この館には少なくとも70名ほどの吸血鬼がいたのにもかかわらず、自分らが眠っている間にそれを全滅させるなど、ありえないことだからだ。

 

だが自分たちがその行動に救われたのもまた事実であるとレミリアは考える。

 

後日、館の掃除が終わった後に姉妹3人で話し合ったが、やはり自分たちが救われたことに違いはないので、フランは許された。"もう2度と緊急時以外その能力を使わない"という条件付きでだが…。その後すぐに、姉妹たちの話題はフィーゼルの能力の話へと、移り変わっていく———

 

「結局、お姉様の能力ってどんなことができるの?」

 

「それは私も少し気になってたわ。」

 

「うーんと、私もいろいろ試してみたんですけど、何というか、どんなものでも分けれる感じ?ですかね…。」

 

「ちょっと、抽象的すぎるんじゃないかしら?」

 

「ですよね…。」

 

う~ん。どうしたら分かって貰えるんでしょう?

 

「じゃあさ、お姉様。私たちの前でやって見せてよ。」

 

「なるほど!分かりました。」

 

そういってフィーゼルはしばらくどこかへ行くと、30センチほどの長さの板を以って戻ってきた。

 

「範囲は私が触れている物限定だったり触れていなくてもできたりと対象によって変わるみたいなんですけど、物体であれば触れた瞬間にこうなりますね。」

 

そう説明しつつフィーゼルは板に触れてみるその瞬間。

 

「!」

 

「お姉様、すごーい。」

 

板は真っ二つに割れたのだった。

 

「普通にすごく強い能力ね…。分かってると思うけど、暴発しないように気をつけなさいよ?」

 

「もちろんです!」

 

「じゃ、今日からまた、昔みたいにのんびりとした日々が始まるわね。」

 

「そうですね。」

 

「ようやく元に戻ったね。」

 

そういう彼女たちの顔にはまぶしいほどの笑顔が広がっていた。

 

「解散!」

 

そのレミリアの一言で、彼女たちはまたいつも通りの日常へと戻っていく。レミリアは優雅に外を眺め、フィーゼルは久しぶりの魔法の研究へと戻り、フランドールは屋敷内をうろうろする。

 

 

 

———そして、この日から約350年後。

 

ある1人の妖怪が姉妹のもとを訪れる。旅をしていて、強者と戦うことを生きがいとしているらしい。

 

 

ふむ…。強者と戦ってきただけあってなかなかの妖力を発してますね。

 

「お姉様。彼女と戦う代わりに、負けたらここの門番として働くことを条件にしたらいいんじゃないですか?最近、私たちを狩ろうとしてくるハンターが結構多いですし…。」

 

「そうね。」

 

なんて経緯から、彼女と戦った。最初はどのようにしているのか、目を閉じた状態で、レミリアの攻撃を防いでいたが疲弊してきたのか30分ほどで防げなくなり、結局レミリアの勝利となった。その分、レミリアもだいぶ疲弊していたが…。

 

後日聞いた話によると"気"を使う程度の能力を持っているため、目を閉じていてもレミリアの"気"が見えたらしく、それのおかげで防げていたのだそうだ。

 

というわけで、『紅美鈴』が仲間に加わった。

 

 

———そこから、さらに約20年後。

 

魔法使いを自称する魔女が、紅魔館を訪れる。が、敵対をせず、彼女はむしろ友好的な態度で、魔法を教えて欲しいと、言ってきた。最初は皆、半信半疑だったが、次第にレミリアと凄く仲良くなっていったので、フィーゼルやフランドールも彼女の事を信頼し、仲良くなっていった。

 

というわけで、『パチュリー・ノーレッジ』が仲間に加わった。

 

 

———そして、その日からさらにさらに約40年後。

 

吸血鬼ハンターからの刺客として、極めて銀色に近い白髪の少女がやってくる。

当初、姉妹は皆、大した脅威ではないと考えていたが美鈴が信じられない速度で突破されたことを、考慮しフィーゼルとレミリアで対処に当たることにした。彼女の持つ、"時間を操る程度の能力"に苦戦はしたものの、フィーゼルの持つ分ける能力で彼女を周囲の空間ごと分離して捕獲。説得して紅魔館のメイドとして雇うことになったのだった。

彼女には名前が無かったため、レミリアが十六夜咲夜と名付けた。

 

というわけで、『十六夜咲夜』が仲間に加わった。

 

 

 




後半、めっちゃ適当ですみません。(いや、前半もかな?w)取り合えず、幻想入りまで持ってきたかったし、1人1人が仲間になる経緯まで書くのは、ぶっちゃけ面倒なので簡潔にまとめました。

先ほども言いましたか幻想入りまで早く持ってきたかったんで400年程飛ばしました。反省はしてます。後悔はしてませんが…。
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