デュラララ!! -神木仁の物語-   作:Red_Night

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第4話

 

 最近物騒になった、そう思いながら歩く仁はここ数日街で見かけるとある連中を思い浮かべていた。

 黄布賊、少し前にブルースクウェアと言うカラーギャングと抗争をして消滅した。

 その黄布賊の頭が紀田正臣、将軍と呼ばれていた少年だ。

 

 そもそも、仁が紀田と知り合ったのは中学時代。

 黄布賊がまだそこまで勢力を広げていない頃の事だ。

 当時からある事情で金を稼いでいた俺は、裏路地で黄布賊の連中に絡まれた。

 で、そいつらを捻りつぶしたら頭である紀田正臣が出てきたって訳だ。

 

 同い年なのに中々一本筋の通った少年で、仁とタイマンで喧嘩をしたこともある。

 結果? 色々と覚えのある仁にギャングの頭とは言え素人が勝てるはずもなく、ぼっこぼこにして病院送りにした。

 

 それからだ、街で仁を見かけると紀田が絡んできた。

 隣には三ケ島沙樹と言う少女が常に傍にいた、彼女だと自慢気に話す紀田だったが、当の彼女は仁の大嫌いな情報屋の話しを良くしていた。

 

「沙樹の言う情報屋は折原臨也と言う、決して信用するな、あいつは人をハメて喜ぶ変態的サディストだ、平気で人の心を弄ぶ、お前が沙樹を好きなのは分かったが、彼女はお前の言うことよりも折原の言うことを優先するだろうよ」

 

 そう忠告した。

 紀田も実際に折原と顔を合わせており、困った所を助けてもらっているからか疑い半分だった。

 それでも紀田が仁の言っていることが正しいと知ったのはブルースクウェアに沙樹が誘拐された後だった。

 両足を複雑骨折した沙樹が、自分からアイツらのたまり場に行ったことを話し、それが折原臨也から言われたことだと、紀田は暫く塞ぎこんでいたが、気持ちの整理がついたのだろう、沙樹に想いを伝えて晴れて正式な恋人同士になっていた。

 

 沙樹もまた、肉体的苦痛と、紀田を悲しませたことによって自分の想いに気付いたことから、折原と関わろうとはしなかった。

 

 それから紀田は黄布賊を抜け、普通の学生として過ごしている。

 だから今現在黄布賊の頭が誰かは知らない、知らないが、このところやたら見かけるのだ。

 

「おらぁ!」

「このっ!」

「なめてんじゃねえぞっ!」

 

 そう、今も目と鼻の距離の先にいる黄色いスカーフを巻いた奴らが「ダラーズ」と名乗る奴らを袋にしていた。

 あまり見ていて気持ちの良いものではないが、カラーギャングを名乗っている以上、当然の末路だ。

 お人よしではない仁は助けには入らず、そこを後にする。

 

 家に帰って自炊していると、竜ヶ峰からメールが来た。

 

『こんばんは、実は僕ネットの友達とチャットルームを作って会話してるんだけど、良かったらどうかな? 最近人が少ないから皆で一人ずつ誘おうってなったんだけど』

 

 そこは園原あたりでも誘えばいいんじゃないか、と思う。

 竜ヶ峰は園原に対し友人関係であると思っているだろうが、実際は園原に惹かれているのだろう。

 ただ園原自身が今は行方不明になっている張間美香を探すことに執着していることから、邪魔してはいけないと思っているのだろう。

 

『分かった、アドレスを送ってくれ』

 

 折り返し送られてきたアドレスをパソコンに転送し、起動する。

 パソコンからチャットルームへとアクセスする。

 

 

 ――JINが入室しました。

 

   JIN:こんばんは、田中太郎さんに招待されてきました。

 

  甘楽:こーんばんはー

 

田中太郎:あ、こんばんはー、来てくれたんですね

 

   JIN:お前が招待したんだろうが

 

  甘楽:あっれー、随分荒っぽい方ですねー

 

田中太郎:ま、まぁ悪い人じゃないですから

 

   JIN:あ、悪いご飯炊けたから飯食ってくる

 

  甘楽:はーい

 

田中太郎:いってらっしゃい

 

 

 パソコンから離れてキッチンへ、玉ねぎ一つ切って作れる酢豚を痛めながら片手間で薬缶に水を入れて火にかける。

 暫くして、ポケットにいれてある携帯が震えた。

 相手も見ずに電話に出る。

 

「もしもし」

『おう、俺だ、門田だ』

「門田さん、どうかしたんすか?」

『いや、もし知っていたらでいいんだがカズターノを見なかったか?』

「あのチケット売りの?」

『そうだ、ここ数日連絡が取れなくてな、渡草が心配してるし、俺達も気になって探してるんだ』

「いや、見てないっすけど、でもカズターノがいなくなると俺も困るんで、後で合流しますよ」

『良いのか? バイト中じゃ……やけに静かだな』

「家っす、今日は休みになったんで、それに明日休みなんで問題ないっす」

『そうか、じゃあお前の家の近くまで迎えにいく』

「うっす」

 

 電話を切ってポケットに戻す。

 カズターノは今じゃ珍しいチケットを売る男だ。

 そして渡草と仁はアイドル「聖辺ルリ」の大ファンだ。

 元々アイドルに興味など無かった仁だが、渡草に連れられて行ったコンサートでファンになってしまったのだ。

 渡草程熱狂的とは言えないが、仁は日程が合えばライブやイベントに足蹴く通うぐらいだ。

 

 手早く朝食を食べ、チャットルームに「所要が出来たので今日はこれで失礼する」と書いてパソコンを落とすと、私服に着替えて外に出た。

 

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