葵と天草 作:アクア
という願望を込めて書いてみました
「なんだ葵、出かけるのか?」
パートナーである水澤葵の部屋で寛いでいたナポレオンは支度をする彼女に声をかけた
「うん、悪いんだけどナポはノストラダムスと留守番お願いね」
「任されたダムス」
ノリノリでピースするノストラダムスだったがふと彼女がどこへ行くのか気になった
ナポレオンも同様の様で先ほどから葵をじっと見ている
「な、なに?」
「それで、たった一人でどこへ行く気だ?」
「ん~、デート、かな?」
そう言って葵は出かけていく
そのままジーっと彼女が出ていった方角を見つめていた二人
「レンとか?」
「いやいや、いきなり進展しすぎでしょ、花火大会の時ちょっといい雰囲気にはなっていたけど」
「気になるな、こういう時こそお前の出番じゃないのか?」
ナポレオンがそう言って横目にノストラダムスを見ると
「見える!見えるわ!」
「おお!それで何が見える?」
早速予言を実行するノストラダムスの姿
「見える!誰かと歩いている葵、あ!おっきな動物を連れたレンと話してる!」
「………待て!」
その予言に違和感を感じたナポレオンはノストラダムスを制止して声をかける
「誰かと並んで歩いている葵がレンと話していたということは、相手はレンじゃないんだな」
「おっきな動物………」
「ああ、それはあいつの家で飼ってるシベリアン・マスティフのライオネスだろうからいい、だとしたら相手は誰だ」
「………あ!本当だ!誰!相手は!」
サングラスをかけたナポレオンとノストラダムスがちらりと電柱の影から顔を出した
「しかし………勝手に抜け出してきてよかったのだろうか」
「アンゴルモアを置いてきたから大丈夫ダムス」
「それより葵は本当にここに来るんだろうな」
そう言って目の前に見える皆風をじっと見つめるナポレオン
「間違いないダムス!さっき予言の中で見えた建物はあそこに違いない」
「今回はずいぶん正確に予言できているんだな」
するとナポレオンはライオネスのリードを握りながら歩いてくるレンの姿を見つけた
「レンがあちらから歩いてきた、先ほどのシチュレーションなら偶然出くわした形のはず、となると………」
レンが来たのと反対の方向を見るナポレオン
すると葵が楽しそうに話しながらやってくるではないか
隣に居るのは青い髪の少女
「なんだ、誰かと思ったら天草じゃないか」
「なーんだ、天草か………」
相手が同姓と知ってホッとしたのかそのまま二人は引き返していく
「「なんで天草!?」」
二人がそれに気づいて声を上げたのは葵の部屋へ戻ってからだった
ここで少し時間を巻き戻してみるである
葵は自宅から出た後適当な場所で立ち止まりモンストのアプリを起動する
スマホから出現した天草はあたりを警戒するように見回すが
「ああ、違う違う、今日は一緒にお出かけしようと思って」
葵の言葉に天草はとても戸惑った様子だった
「私と………ですか?」
「こないだナポやノストラダムスとお祭りに行って思ったんだけど、天草とこうして二人きりになることってなかったからさ」
「そう………ですね」
思い返して天を仰ぐ天草
そんな彼女の手を引く葵
「さ、いきたいところ決めてるんだ」
葵につられてやってきたのはモンストコロシアムだった
「思い出すでしょ、ゲノムの事件のすぐ後だったよね、私の指輪が光って」
過去の冒険で共に戦った天草
姿は変われど、天草も葵のことを忘れてなどいなかった
仲間たちがいることも忘れて天草に飛びついたことを葵は昨日のことのように覚えてる
「私も………葵さんとまた会えてよかったです」
普段は感情の起伏が少ない天草だったが
この時だけは口元を緩め笑っているのを葵は見逃さなかった
続いてやってきた洋服屋さんで葵は天草に様々な洋服を試着させていた
「あの………これは………」
小花柄のワンピースを着た天草が恥ずかしそうに身を庇いながら問いかける
「天草も女の子なんだから、たまにはこういうのもいいでしょ」
「なんだか恥ずかしいです」
「まあまあ、ほら次はこれ」
なんだか楽しそうな葵に従うしかなかった天草はその後も様々な洋服を試着し続けた
ショッピングモールを出た二人は公園で休憩していた
ベンチに座って先ほどの出来事に悶えている天草に対し葵は屋台でクレープを購入していた
「はい、天草の分」
差し出されたクレープに戸惑う天草
「ほら、遠慮しないで」
クレープを受け取り一口食べてみるとよほど気に入ったのか天草は目を輝かせていた
「(こういうところはやっぱり女の子なんだなぁ)」
そんな天草の様子を見ているとポケットに入れていたスマホからアラームが
「え?モンスター反応?」
それと同時に天草の顔面に何かが飛びついて彼女はベンチから転げ落ちてしまう
背中から地面に転げた彼女の手から離れたクレープを顔面に飛びついていた大きな猫のようなものが踏みつけていった
「えっと、もしかしてあれ猫又?」
その猫の尾が二つに分かれていることに気付いた葵は記憶の中にあるモンスターの名前を呟くが
「っと、モンストスタート!」
すぐさま4DARを展開し猫又をその中に隔離した
「大丈夫天草………わっ!?」
立ち上がった天草は地面に転げ踏みつけられたクレープを見て光の灯っていない座った目つきに変わっていた
「こわっ」
「私の………クレープ」
そのまま無言で剣を取り出した天草は猫又に一直線で向かっていった
「あ!天草!………って、止めても無駄かな」
葵がそう呟くのとほぼ同時に剣で斬る音が立て続けに聞こえると共に猫又の断末魔の叫びが響いた
「で、ここに来たと」
皆実の父、ドルフ若葉が出してくれたクレープを口にして幸せそうなオーラを放って見える天草を見ながらレンが問いかける
葵はジュースを飲みながら頷いた
「けどいいな、私もガブちゃんとお出かけしようかな」
「皆実はしょっちゅうガブリエルと一緒に居るでしょ」
「てへ、そうでした」
皆風を出た二人は雑貨屋さんに来ていた
「天草、ちょっとこっちに来て」
物珍しそうに商品の棚を眺めていた天草に葵が声をかける
「おぉ~」
家に帰った葵はナポレオンにウサギのキーホルダー
ノストラダムスに星型のチャームを渡した
先の雑貨屋さんで購入したものだ
「ありがとう葵」
「えへへ、日ごろのお礼ってことでね」
「む、ということは天草も何か貰っているのではないか?」
ナポレオンの言葉にドキッとなった天草は手に持っていたピンク色の小さな包みを背中側に隠した
「怪しい、何を貰ったのか見せてもらおう」
「だめです」
「見せて!」
「だめです」
いつの間にか加わったノストラダムスも交えて包みを死守する天草
そんな三人の様子にくすくすと笑っている葵
ふと背後に感じた気配で振り返ってみると
「うわっ!?」
フォックスメタルが体育座りで落ち込んでいた
そんなフォックスメタルに苦笑しながら葵は水色の包みを差し出す
自分が忘れられていなかったことに感動したフォックスメタルは両手を広げて飛びついた
「ちょ!フォックスメタル苦しい!」
「見せて!」
「見せろ!」
「絶対だめです!」