人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ハーメルンの子らよ。お前たちもまた、ローマである


世界(ローマ)

「――来たか、愛し子」

 

 

宮廷の玉座、立ち尽くす建国の王、ロムルス

 

 

 

「うむ!来たぞ!建国成し遂げし王、ロムルス!」

 

 

対峙せしは、当代にて皇帝なりし、ネロ・クラウディウス

 

 

「――再び、呼び掛けは必要か。皇帝よ」

 

ローマを体現せし男の呼び掛けを、ネロは否定する

 

 

「無用!何故なら余は、過去、現在、未来においても、第五皇帝ネロ!故に!貴方が造りしローマは、余が護ってみせる!」

 

 

「――良い。良い答えだ。ならば来るがいい。私(ローマ)の愛を、おまえの愛で蹂躙してみせよ」

 

 

ゆっくりと、真紅の槍を掲げる

 

 

「見るがいい。我が槍。――即ち。ローマが此処にあることを」

 

 

「リッカ!あの喧しい余を呼んでくれ!」

 

「ネロを?」

 

 

「うむ!余の事だ、晴れ舞台にうずうずしているだろうからな!」

 

「フハハ、読まれているぞ花嫁」

 

『そ、その通りではあるが!えぇい!ブーケを用意しようとしていたのに台無しではないか!』

 

――カルデアのネロと、当代のネロ。うん、いい

 

ローマの末を決めるにふさわしい布陣だ!

 

 

「来て!『ネロ・クラウディウス』!」

 

右手が輝き、現れしは白き皇帝。花嫁衣装のセイバー

 

「――待たせたな!!真打ち、登場である!」

 

ネロ・クラウディウスが二人、揃い踏む!

 

 

「これが余か・・・なんというか、不思議な気分だな・・・」

 

「マスター!マシュ!英雄王!そなたたちには決戦が控えている!そこで温存がてら見ているがよい!」

 

『す、凄い自信ね・・・皇帝は凄いのね』

 

「王はその上を行くがな。――負けるなよ?」

 

「当然であろう!見ているがよいっ!!」

 

 

「――おいで。我が愛し子達よ」

 

 

「ロムルスよ!余たちのローマを此処に!」

 

「さぁ――」

 

 

 

「「あげていくぞっ!!」」

 

「――ローマ」

 

 

 

 

二つのローマが、ぶつかり合う!!

 

 

 

「はぁあぁあぁあぁ!!!」

「むぅ」

 

赤き情熱のネロが切り込み、ロムルスの槍と原初の火が星のごとき輝きを散らす!

 

 

「――天幕よ、落ちよ!!」

 

白き無垢なるネロが肩を踏み、一直線に切り裂く!

 

「『花散る天幕(ロサ・イクトゥス)』!!」

 

ローマを体現せし肉体に斬撃を食らわせる!!

 

「むっ――」

 

「やるな!余!余も続くぞ!」

 

原初の火が、素早く反転し三連斬を浴びせかける!

 

「『喝采は剣劇の如く(グラディサヌス・ブラウセルン)』――!!」

 

「ぬうっ」

 

僅かにみじろぐロムルス――ダメージは浅い!

 

「良い。総てを見せよ。ネロ。お前のローマを、私(ローマ)に」

 

「そのつもりだとも!次は余だ!!」

 

 

ネロと手を繋ぎ回転し、位置を入れ換え剣を振るう!!

 

「『喝采は万雷の如く(パリテーヌ・ブラウセルン』!!」

 

白き焔が、より強くより華やかに振るわれ、建国王の身体にダメージを与える!!

 

 

「ぬううっ」

 

 

「続けてたたみかける!余にあわせよ!」

「うむ!我等余はイケイケなのだ!!」

 

舞うように、踊るように!斬り、突き、薙ぎ払い、叩ききる!

 

「良い――良い。ローマの輝き、ローマの繁栄がお前たちを後押ししている。更に強く、更に激しく、情熱に身を委ねよ」

 

しかしロムルスもまたローマ。いくら斬られようと裂かれようと、その不動なりし肉体は崩れ落ちず

 

 

「我が愛し子よ、もっとだ。もっと猛るのだ!この身を焼き付くすローマの大火の如くに!輝ける神々の如くに!」

 

 

「解っているとも!見ていてくれ!これが余の覚悟だ!――聖者の泉よ!」

 

「うむっ!余も負けぬぞ!天に星を、地に花を!」

 

 

――二人のステータスが高まり、攻勢に勢いが高まる!

 

 

 

「ふふっ・・・」

 

「先輩?」

 

 

固唾を飲んで見守るなか、マスターが笑みをこぼす

 

 

「あぁ、ごめん。――なんていうか、あの三人、戦ってるって言うか・・・」

 

「うむ。過保護な親もいたものよ。丸きり親子のじゃれあいにしか見えぬわ」

 

「それそれ!うん!お転婆娘が、お父さんにあまえてるみたいだなぁって」

 

 

――あまり他人をバカにしてはいけないが、レフは本当に見る目がないとしか言いようがない

 

 

 

「そうだ。ローマはお前達を受け入れる。私(ローマ)はお前達を愛しているぞ――さぁ、来い」

 

 

「解っている!神祖よ、貴方と言う存在に感謝を込めて――!!」

 

「余の、余たちの晴れ姿を見るがよい!貴方が造り、貴方が形にしたローマの美しさが余だ!!」

 

「――そうだ。ローマはけして潰えぬ。愛すべき我が子が、こうして息づいているのだから」

 

 

 

――あれほど愛と、懐が深い方に・・・世界を滅ぼす役などを押し付けたのだから

 

 

「――・・・」

 

 

――一瞬、ロムルスがこちらを一瞥した、ような気がする

 

 

「――そうか。ローマに出でたるか」

 

――?

 

「――――ローマ!!!!!」

 

 

槍の一振りで、ネロ二人を吹き飛ばす!

 

「ぐぁあぁあぁっ!!」

「くぅうぅうぅう!!」

 

 

なんという力か。傷付き、負傷したその身であの力・・・!

 

 

「神の座に迎えられたというのはあながち誇大評価でも無さそうだ。――紛れもなく国造りの覇気は備えている。紛れもなくトップサーヴァントであろうな」

 

『だ、大丈夫かしら・・・』

 

『信じましょう、所長。今を生きるローマ、英雄になりしローマを』

 

 

「頑張れ!ネロ――っ!!」

 

 

 

「さぁ、我が愛し子らよ。お前たちの総てを私(ローマ)に見せよ。ローマたる美しさを。ローマそのものに足る美しさを」

 

 

「ぬっ、ううっ・・・美しさ――そうか。今のままではロムルスとしては足りないと言うか・・・」

 

「流石は神祖、であるな!惚れ惚れする偉容だ!」

 

「感心している場合か!?」

 

「事実であるからな!――よし!生前の余よ!そなたも見るがよい!」

 

カン!と剣を突き立てる!

 

「神祖ロムルス――今こそ目の当たりにしてほしい!我が生涯、我が未来!そして遥か永遠なるローマの美しさを!」

 

白き薔薇を握り、花吹雪が宮廷に満たされる!

 

 

「――春の日射し、花の乱舞!皐月の風は頬を撫で、祝福は星の彼方まで!」

 

――其は固有結界と似て非なる大魔術。自分の心象を具現化した異界を魔力にて再現し、一から世界に上書きして作り出すネロの宝具!

 

 

「――これは!!」

「おぉ、おぉ・・・」

 

 

 

「――開け!!『招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)』よ!!」

 

 

開かれしは黄金劇場!ネロが己のために作り上げ、出入り口を完全封鎖し講演を聞かせたと言う豪華絢爛なりし黄金のステージ!!

 

 

「わぁあぁあぁ・・・!」

 

「綺麗、です・・・!」

 

「ふはは、ステージばかりが立派ではな!客の苦労も分かろうと言うものよ!さぞかしローマの民草は苦しめられたろうさ!」

 

 

「こんな、事もできるのか・・・余は・・・万能の天才、すごい!」

 

「呆けるな余!今こそ最大の一撃を以て!ロムルスを倒すのだ!!」

 

 

「――良い。おいで、ネロ。お前達の全てを、ローマを。私(ローマ)が受け止めよう」

 

「――うむ!!見よ、建国王!これが余の!」

原初の火が、焔を纏う!

「余たちの!!」

 

白き無垢なる刃が、輝きを放つ!

 

 

「「ローマである!!!!!」」

 

 

「――――うむ・・・良い」

 

 

二人の皇帝が、絢爛なりし劇場にて再美の演目を、ローマなりし建国王に見せつける――!!

 

 

 

「『童女謳う(ラウス・セント)』――」

「『星馳せる(ファクス)』――」

 

 

「良きものだ――――我が愛しき、ローマ達よ」

 

「『華の帝政(クラウディウス)』――!!」

「『終幕の薔薇(カエレスティス)』――!!」

 

その一撃が、神祖を穿つ――!!

 

――両手を広げ、懐にて二人のネロを抱くロムルス

 

 

「――見事だ、我が愛しき子らよ」

 

太く、逞しき腕に抱かれる、二人の皇帝

 

「ぁ――」

「神祖、ロムルス・・・」

 

 

 

「真紅と黄金、その絢爛なりし世界たるローマを・・・おまえと、おまえの後に続くものたちに託す」

 

 

「――――っっ、神祖、ロムルス・・・!」

「――貴方と刃を交えても、貴方への畏敬と感謝は忘れはしませぬ・・・」

 

「うむ、うむ。――忘れるな。世界は、ローマは。永遠でなければならぬ」

 

――深き視線が、此方に向けられる

 

 

『――無垢なりし無銘の魂よ。思うままに世界(ローマ)に臨むがいい』

 

――!

 

『進め。空を行く鳥のように。世界を救わんと足掻くお前の研鑽は、偉大である』

 

 

――神祖、ロムルス・・・

 

 

『マグナ・ウォルイッセ・マグヌム(偉大なことを欲したということが、偉大である)――お前を、世界(ローマ)が待っている――』

 

 

――穏やかに、荘厳に

 

 

ローマを造りし、偉大なる建国の王は座へと帰還していった――

 

 

「・・・ギルを見てなかった?あのローマ様」

 

「さて、な。同じ半神同士、感じるものがあったのやもしれぬ」

 

 

――偉大なことを、欲したということが、偉大である

 

 

――神祖の深き愛に、触れることが出来た気がした




――ローマは、永遠である


進め。ローマが待っている!
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