人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

1018 / 3000
吹き飛ばされた京、禍肚。それらは一瞬で元に戻る。イザナギの権能『国造』の効果によりだ。

まつろわぬ魂達は皆四凶、或いはイザナミの腹に取り込まれ、再び永劫の苦悶の最中に放り込まれる。弱き者らに一切の救いは与えられぬのだ。

【高天ヶ原に逃げ仰せたか。あの場は容易に崩せん。原理が此方のものと同じな故・・・】

[天逆毎]

【・・・如何な用命か】

【伊邪那岐の垢と何故戯れたか】

【・・・汎人類史の人間の理念に温羅は迎合した。あの鬼神の心を変えた感情に興味が・・・】

【根絶やせ】

【・・・・・・】

【根絶やせ。根切れ。息吹も赦すこと能わず。伊邪那岐の垢めら、滅ぼすべし】

【何故にそうも今日は荒ぶるのか】

【忌々しき矛の女、忌々しき伊邪那岐の垢・・・赦せぬ、赦さぬ、赦さぬ、赦さぬ、赦さぬ】

【・・・四凶の躾を徹底させよう】

【あな憎し、あな怨めし。憎し、滅ぼせ。親も、子も、男も、女も、老いも、若きも、全て、全て、赦さぬ、伊邪那岐の垢めら、赦さぬ、赦さぬ、赦さぬ、赦さぬ】

(要らぬ、教養だったか・・・)



挑め!ゴッドクラフト高天ヶ原!

「それでは、改めましてこんにちは!人の世に生きるイザナギの子達、私はヒルコ、ヒルコと申します!ヒルコとはイザナミがイザナギに声掛けした事により産み出された最初の子。日本最古の児童虐待にもめげずに立派に育ってくれた健気な神!あぁ~!目から豊葦原の水の音ぉ~!そしてこちらはヤマトタケル、即ちタケちゃん!様々な場所で名を残す、日本のメジャーな男の子!ささ、挨拶をなさいタケちゃん」

 

「何度させる気なのか。先の通り、タケルという。此方の躁鬱気味な女神共々、宜しく頼む」

 

躁鬱!?あんまりな紹介にガビンと衝撃を受けるヒルコをスルーし、麗しき美貌の剣士は頭を下げる。ヤマトタケル・・・下総の際にも力を貸してくれた、日ノ本の大英雄の一角だ。そしてヒルコを名乗るテンションMAXの女神と共に、一足早く特異点を完成させぬように立ち回っていたと言うのだ。

 

『えぇと、この場所を高天ヶ原と仰いましたねヒルコ様。高天ヶ原といえば、日本における神の国。八百万の神々が住むと言われる神達のおわす場所。それが何故此処に・・・?』

 

「よくぞ聞いてくださいました!そう、あの天逆毎とおぞましきイザナミの手により侵略が行われたといち早く察したヒルコ、ヒルコはこれはならぬと日ノ本の未来を護るため即座にやって参ったのです!偉い!もう不出来の子なんて言わせない!そして私はあちらのイザナミの子、天逆毎を討ち取らんと日ノ本の八百万の神々の軍勢を呼び出さんとしていたのです、が!」

 

「彼方の天逆毎の使役した月読の権能『神無月』・・・(オレ)を呼んだきり招聘を封じられ、おまけに敵陣に乗り込んだが故孤立無縁に陥ってな。禍肚の完成を防ぐ為にヒルコは固有結界・高天ヶ原を建て対抗戦を仕掛けていた、との運びになる。迅速ではあったが迂闊極まりなかったが故の苦戦だ。反省されよ」

 

しぃましぇん・・・しょんぼりするヒルコと諌めるタケル。どうやら二人の関係は悪く無く、互いに背中を預ける立場らしい。そして楽園が観測するまで、特異点の完成を留めていたとあらば味方には間違いないだろう。

 

「ヒルコ様、タケちゃん様!ありがとうございます、私はリッカ!こちらはウラネキ、こっちはばらきー!あの禍肚を攻略するためにやってきました、楽園のグランドマスターとサーヴァントです!」

 

「宜しく頼む。此度はアタシの世界の怨嗟が大変迷惑をかけてすまなかった。温羅と言います」

 

「吾は茨木童子。貴様ら神に仇なす鬼の首魁!・・・まぁ、今は大恩を返すために呉越同舟と言った処だ。あの奴腹に報復せねば気が収まらぬのでな!」

 

「愛しき愛しきイザナギの子等よ!よく来てくださいましたヒルコ嬉しい!共に戦いましょう!あなた方に続く未来の為に!ヒルコキャンディ・・・あっ・・・」

 

喜びと同時に食べ物を渡そうとし、それを思い留まるヒルコ。リッカの目に映るその様子をフォローする様に、タケルが説明を行う。

 

「見ての通りに高天ヶ原は寂れきっている。神々を払う神無月・・・それに阻まれたが故に我等では神を呼べぬ。精々、お前達の穢れを御祓うが精一杯と言ったところだ。そしてそれでは、あの呪詛の都には太刀打ちできん。四凶と出逢っただろう。アレを下し地脈と霊脈を祓わなくては勝負にもならん」

 

『・・・確かに。計測してみた処、将門公が斬り飛ばした傷を残して部位は復元されているみたいだ。恐らくあれじゃあ、殺した処で・・・』

 

『太陽の神殿と理屈は同じか。確かに後ろから牙を突き立てられては一たまりもあるまい。泥に後ろから呑み込まれると同義よな。ふはは忌々しい』

 

そう。禍肚の守護者として這い出た四つの者達は何度殺しても復活する。あの場に満ち溢れる呪詛を祓わねば、どうにもならぬのだ。イザナミは愚か天逆毎にも辿り着けまい。障害が多すぎるのだ。

 

「不安がらせるのはお止めなさい!楽園の方々にはアマやマル様、けつぁる某やなんかうねうねした神様といった神々も多くおられます。今のままでは勝ては出来ても誰かが死んでしまうというだけ!勝てない訳では無いのです!ぷんすこ!」

 

「・・・磐石を期す楽園ならば、犠牲を強いた勝利は敗北と同義。ならば、早急に四凶に対抗し、天逆毎並びにその背後のイザナミを討ち取る必要がある。其処で不可欠となるのが・・・」

 

故に、秘策はあるという。この地は穢れを御祓うが故に神聖なる固有結界・高天ヶ原。今は力を喪ってはいるが、再び神を呼び施設を建てれば必ずや輝きを取り戻すとタケルは言う。それこそ即ち・・・

 

「そう!!おいでませ八百万!『高天ヶ原再建計画』!!(どどん!)皆様にはこの高天ヶ原を浄め、そしてかの禍肚に立ち向かう為の戦力拠点としてこの地の番頭になっていただきたく申し上げるのです!平に、平にぃ!」

 

『ほほう?また改築王の手腕が唸ってしまうか。ふはは!前線にも玉座にも後方支援にも引っ張りだことは、改めて我等のゴージャスぶりが恐ろしいな!』

 

そう。この高天ヶ原は今瀕死の状態にある。神々のいない呪詛の為、ヒルコもタケルも外からの召喚が出来ない。しかし、術式は生きているので来客であるカルデアが召喚の為に準備を整え、浄めることが出来たなら・・・。

 

「私ヒルコは英霊の座からは招けませぬが、神霊の座、或いは幻想の裏側からの召喚は可能なので!高天ヶ原の内部さえ綺麗になれば、四凶に対する勢力、正しき四方の守護者『四神』を呼び寄せる事が出来ちゃいます!そして高天ヶ原に招いた神の力を皆様に祝福として授け、呪詛に負けないつよーいパゥワーを与えてくりょうと参ります!」

 

「マジでか!?そんな神様紛いの真似ができちまうのか、アンタ!?はぇー、たまげたぁ・・・!」

 

「そうなのですよ、うらちゃん。引き換えに戦闘力はタケちゃんとこの槍頼みなのですが!ステータスにEが三つあるへっぽこなのですが!あぁいや、ヒルコは勇ましきエビスなのですが!ヒルコはやれば出来る子、イザナギイザナミの子なのです!」

 

その申し出はまさに生命線であり、光明であった。あの呪詛に負けない環境を整え、高天ヶ原を再建する。さすればあの恐ろしき四凶を討ち果たす守護者『四神』を使役できるというのだ。紛れもなく、世界が遣わしたカウンター召喚の賜物である。

 

「加えて、禍肚にはヒルコが奪われた宝具が呪具として奉られている。トツカノツルギ、ヤサカニノマガタマ、ヤタノカガミ・・・どれもヒルコが決戦武装として用いたモノを簒奪された形となった。地脈を汚染しているのはそれらが楔の役割を果たしているからだ。それも回収する必要がある」

 

「敵味方に分け隔てなく活路を拓きすぎじゃないヒルコ様!?」

 

「貴様はどちらの味方なのだ!?」

 

し、しぃましぇん・・・とシナシナになるヒルコ。しかし、彼女を決して見捨てず護り抜いた日本の大英雄の戦いは、此処に結実する事となる。

 

「まずは楽園の者達の力を借り、可能な限り高天ヶ原を再建する。あの呪詛の中では準備なくまともな戦いをする事も出来んからな。・・・」

 

「(しょぼぼん)」

 

「・・・ヒルコがいてくれたからこそ、吾は戦い抜く事が出来たのだ」

 

「!!(ヒュバァ)皆様、何卒何卒御頼みします!イザナギが愛し、神々がいる豊葦原の地を、あんな穢れた女神に踏みにじらせてはなりませぬ!我等力を合わせ、一丸となりて日ノ本の生命を護りましょう!」

 

「──解った!ヒルコ様、タケちゃん様!宜しく御願い致します!ギル、いいよね!」

 

『無論だ。都に攻め込む攻略戦、高天ヶ原とやらを護る防衛戦、並びに新たなる建国・・・愉快な難易度ではないか!楽園が挑むに相応しき難題よ!』

 

都を浄め高天ヶ原の力を伸ばし、神々を呼び戻し四神を招く事を念願に建て直す。そして四凶を倒し天逆毎に挑み、背後のイザナミを倒す・・・。

 

「それでは、二柱共々宜しく御願い致します!今、忌み子と捨てられたヒルコが日ノ本を救う戦いが幕を開けるっ!!いとエモし!」

 

「あは、あははは・・・。汎人類史の日本の神様は、愉快な奴等ばっかだなぁ」

 

「確かに!」

 

高天ヶ原を拠点とした、陣取り合戦の幕が上がる──。




タケル「吾は禍肚の攻略戦に加入する。零から地脈浄化を始めねばならぬ以上、吾は四凶を抑えねばならぬ」

リッカ「タケちゃん様一人で!?」

タケル「そうせねばならぬが故の戦だ。苦労とは呼ばん。そちらのサーヴァントの編成は任せよう。攻めるか、建国を行うかは自由だ。しかし・・・」

ヒルコ「強力なサーヴァント、神霊であればあるほど強力な社を建てられますが、穢れが挟んでは本末転倒。社が立つまで前線には出れない事をご念頭に・・・」

オルガマリー『つまり、サーヴァントはどちらかに割り振らなくてはいけない、ということね。強力なサーヴァントを前線に派遣し宝を探させるか、後方で支援施設を建てるか・・・』

ゴルドルフ『シミュレーションゲームの性格が出るなコレは。強力ユニットで無双するか、後方の高天ヶ原をコツコツ立派にするか・・・これはゲームではないのだ、捨てゴマなどない。施設の改築を進言するがね私は!』

ニャル【質問。神って日本じゃなきゃダメ?】

ヒルコ「とんでもない!神霊ならば、施設は建てられます!八百万ってそういう事!」

ニャル【ほほーう・・・。冒涜的な神殿とかありなのね・・・(ニヤニヤ)】

ギル『モノは試しだ、日本の神霊組よ!試しに建国してみるがいい!』

アマテラス『ワフ!』

将門公『承ろう。──此度、我等が鍵なれば』

茨木「・・・。おい、女神」

ヒルコ「?」

「面を貸せ。──力を借りたい神がいるのだ」

「・・・?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。