人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「――オルガマリー、君の風景はカルデア大冒険日記の表紙にするよ(フォウ!)」


ラスボスかっ!?

「ガっ、ぐ、ぁ・・・馬鹿な・・・」

 

 

 

這いずり出るレフ。右腕と頭しか残っておらぬ凄惨な有り様だ

 

 

「聖杯で延命――いや『死ねなかった』とはな。だが同情はせんぞ。我に唾を吐いた愚行を骨身で悔やんで詫びて死ね」

 

 

「たかが、たかが一人の英霊に――アニムスフィアの末裔に、我等が御柱が退けられたというのか・・・!」

 

 

――そうだ。貴方が無価値といったモノは全て、かけがえのない宝物だったのだ

 

――無価値なのは当然だろう。――貴方が磨かず、捨て置いてしまったに過ぎないのだから

 

 

「終わりだよ、レフ。聖杯を渡して」

 

「貴方にもはやなにもできることはありません。降伏を」

 

 

「――、バカめ」

 

 

――瀕死のレフが、邪悪に笑う

 

『!マシュ!リッカ!下がって!レフはまだ!』

 

「え!?」

 

『聖杯が活性化!何かするつもりだ!気を付けて!』

 

 

――この期に及んで、まだ!

 

 

「末期の足掻きか。よいぞ、顛末まで愉しませるとは道化の鑑だ」

 

 

「――古代ローマを生け贄に、私は最強の英霊の召喚に成功している!」

 

聖杯が輝き、召喚が為される・・・レフが嘲笑う

 

「喜べ!皇帝!今こそ真に、ローマが潰えるときだ!」 

 

「世界は滅びぬ!世界たるローマも、また然り!」

 

 

「誇りも方向性を間違えれば愚直でしか無いか!みるがいいカルデアよ!!来たれ!!」

 

 

阻めない――来る!!

 

 

「破壊の大英雄アルテラよ!!!!」

 

 

召喚の光が宮廷を覆いつくす――!

 

 

「アルテラ・・・ほう・・・」

 

 

――現れしは、褐色の肌と、白きベールを戴いた無機質な女性

 

手に握る近未来意匠の刀剣が、ただならぬ雰囲気を醸し出している

 

 

――解る。アレは・・・あの英雄は、強い――!

 

 

「収穫者の尖兵、その残骸か。まさか英霊の座に抱えられていようとは驚きだ」

 

――器はアレにも心当たりがあるようだ。――だが、こちらは話に興じている余裕はない・・・!

 

 

「・・・・・・」

 

 

「・・・ボールペンみたい・・・」

 

「先輩っ」

 

 

 

「は、はは、はははははははははは!勝った!勝ったぞ!そして終わりだ!ロマニ!オルガ!このサーヴァントこそ破壊の化身!このサーヴァントこそ、人類の土台を砕き、滅ぼすに相応しき破壊の王!」

 

「・・・」

 

「英雄王!貴様にすら打倒は叶わぬ!何故なら14000年前の折、貴様を造りし神を蹂躙したのは――!!」

 

「黙れ」

 

 

「え?」

 

一閃、両断。レフは真っ二つに引き裂かれ、末期の断末魔もなく死に絶える

 

 

――マスターを、殺した・・・!?

 

「フォウ(これが噂のレ/フかぁ)」

 

 

『レフ・・・――!!』

 

 

息を呑むオルガマリー。曲がりなりにも恩師の死を、彼女はなじることが出来なかった

 

「――呆気ないものよ。末期は悲鳴にて愉しませるが道化の本懐であろうに。それと訂正しておこう、我が両親どもは散ってすらおらぬ。浅ましく命乞いにて永らえたのだ」

 

『レフ教授を殺した――!英雄王!そのサーヴァントは!』

 

 

「さて、な。一つ解ることは――」

 

聖杯を拾い上げる、アルテラと呼ばれしモノ

 

「聖杯、が・・・吸収されて――!」

 

 

「私は、フンヌの戦士である」

 

 

ゆっくりと、剣を掲げる

 

「そして、大王である」

 

 

――刹那

 

 

『莫大な魔力反応!!対城クラスの攻撃が来るぞ!!』

 

高速回転せし未来の剣、溢れだす莫大な破壊の力――!!

 

 

「お前たちは言う。私は神の懲罰だと」

 

 

『マシュ!リッカを護って!!リッカ!ジャンヌを召喚――!』

 

「――チ、間に合わぬか?」

 

 

「私は――神の鞭なのだと」

 

 

爆発的に振るわれる凄まじき勢いの破壊の奔流!エアに勝るとも劣らぬ神罰がごとき勢いがマシュ達を――

 

 

飲み込む、刹那

 

 

「そこにいたか!!圧制者ァアァア!!」

 

 

――筋肉(マッスル)が、破壊の奔流を塞き止める!!

 

「スパルタクス!?そなた、来たのか!?」

 

 

「はは、はははははははははは!!来る、そう来るとも!!この時代の圧制者は全て潰えた!残るは頂点なりし圧制者!そして!!」

 

「――・・・」

 

愛にたぎる笑顔、冷たく一瞥する眼が交錯する

 

 

「――星と文明の圧制者を残すのみ!!今こそ、今こそ今こそ今こそ!!我が愛!!世界を包むとき――!!」

 

――無茶だ!見れば身体は満身創痍、霊基も崩壊寸前!そんな身体でアレを受ければ――!

 

「――本懐に散るか。反逆の徒よ」

 

「――否。散るのではなく、愛を掲げて逝くのである」

 

 

「マシュ!!」

「ブーディカさん!!」

 

 

「来て!『ジャンヌ・ダルク』!!」

 

「はい!!宝具、展開!『我が神は(リュミノジテ)』――!!」

 

 

「ははははは!!ははははは!!ははははははははははははははは!!!いいぞ!これだ!!この圧制の輝きこそが――!!」

 

 

爆発、歓喜、焦り、動揺、冷眼

 

 

――全てを呑み込む怒濤は、閃光となりて――

 

 

 

 

 

――圧制者、黄金なりし圧制者よ

 

 

 

――!

 

 

――君を、この時代にて抱擁するといったな

 

 

――・・・

 

 

――アレは、(あやまり)である

 

 

 

 

「行くぞ!!我が愛は――!!」

 

 

――気高くあれ、強者であれ。頂点であれ、輝かしくあれ。どのような時代にて、輝きを忘れるな

 

 

「――爆発する――!!!!!!」

 

 

 

――その輝きに、きっと私は辿り着こう。反逆の刃が、勝鬨が、いつか必ずその身体を貫こう

 

 

「――・・・」

 

 

――我が反逆、永遠不滅

 

 

 

「――見事であったぞ、スパルタクス」

 

 

――同じように

 

 

 

――スパルタクスがこちらを見やる

 

 

――我が愛は、永劫不滅であるのだから

 

 

 

――その笑顔は、死の淵にあるとは思えぬ程に、穏やかだった――




「ローマの終わりも近いな。名残惜しい――筋肉総集編はマーリンに送っとこ(フォウ・・・)」

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