ヒルコ「大きな声で!もー、きちんとあなたの事を知ってもらう機会を損なってはなりません!解りました、御手本を見せます!私のやり方をよく見ておくように!かいつまんで解りやすく!それでは参りましょう!はいっ!」
~父との確執
父「オウス(タケちゃんの幼名)!お前の兄に私の妃を奪われてしまった!凝らしめてやってくれはすまいか!」
オウス(タケちゃん)「承知した。不義理は赦さぬ」
タケちゃん、兄を剛力で叩き潰し、手足をもぎ、くるんで便所に投げ捨てました。
父「誰がそこまでやれといった・・・お前を最早人と思えぬ・・・」
この行為にドン引きした父、九州のクマソタケル兄弟討伐を命じます。引き離したかったのでしょう・・・なんと髪を結う年代以前の話!10代前半!
タケちゃん「人の妻に手を出す輩など死んで当然」
「穏便さは!?そゆとこですよタケちゃん!」
~クマソタケル兄弟討伐!
九州にクマソタケル兄弟というすっごいつよい兄弟がいまして、真正面から行くのはどうかなと考えたタケちゃん。なんと女装して宴に乗り込みます!其処にいた男女の誰よりもタケちゃんは美しかったとか!
タケちゃん「身体に触れた輩の顔を覚え、入念に斬り殺した。懐かしい」
・・・そ、そのまま宴もたけなわな頃にまず兄健を斬り殺し、弟健をズタボロにし転がします。・・・古事記のタケちゃんなんでこんなに怖いの・・・?
タケちゃん「作風だろう」
弟健は死の際、「西国に我等より強き者はいませんが、大倭国には我等より強い方がいました」とタケちゃんにタケルの名を贈り、武勇を称賛したのです!返礼に・・・タケちゃんはきっちり止めを刺しました・・・
タケちゃん「敵に情など要らん。だが、名前は大切にしている」
~出雲健の刃合わせ
その後タケちゃんは河、山、穴戸の神を叩き殺・・・平定し!出雲の国に入ります!難敵イズモタケルを真正面から倒すのは骨と考えたタケちゃんは、まず仲良くすることから始めました!
「出雲健・・・難敵だった。気のいい輩でも在りはしたが」
そして仲良くなった出雲健に、タケちゃん刃合わせのお誘い。なんとこっそり出雲健の刃を木刀にすり替え、そのまま斬り殺したのです!
「やつめさす、出雲建が佩ける大刀、つづらさは巻き、さ身無しにあはれ・・・」
意訳すると『出雲健の太刀はつづらとか飾って豪華だけどさ、刃なくちゃ意味無いよな可哀想に』・・・ゲームで現代子が煽り好きなのってもしかして・・・
タケちゃん(どこ吹く風)
~草薙剣拝領!
そして朝廷に復帰したタケちゃん。しかし父からはすぐに別命の東方の豪族を倒せとタケちゃんを飛ばしてしまいます。余程怖かったのでしょうね。
タケちゃん「流石に哀しかったが、自業自得な事は理解している」
そしてタケちゃんは自らの叔母の所に訪ね、草薙剣と叔母様の袋をいただきます。『困ったら開けなさいね』と言葉と共に
タケちゃん「感謝してもし足りぬ。心よりの敬愛を」
~草薙剣!
まずタケちゃんは国造家に入り、お嫁様を貰います。そして東に向かうのですが・・・なんと国造のお家、タケちゃんを騙し相模の国内でタケちゃんを火攻めにしてしまいます!
タケちゃん「娘が惜しくなったのやも知れぬな。ミヤズヒメは麗しかった」
絶体絶命のタケちゃん、しかし落ち着いて叔母様の袋を開けると其処には火打ち石!しめたと迎え火を付け、火を退けたのです!ここで辺りの草を薙ぎ払った事から草薙剣と言うとかなんとか!
タケちゃん「あなや、有り難し。叔母よ・・・ちなみに生還した際国造家は一族朋党皆殺しにした際に死体に火を付け焼いた訳だが、それが焼津の語源となったという。何が伝来するか解らんものだ」
ヒルコ「ち、ちなみにようやく半分程!後半に続きます!・・・タケちゃん、今は落ち着いてくれてよかったぁ・・・」
「・・・妻の別離に、病の辛さも知ったのでな」
「・・・そうか。ヒルコ・・・あやつはその様な事を」
再び禍肚に侵攻を開始する準備の最中、リッカと共に四凶を抑え込む役割を担う武神、タケルは事のあらましとヒルコの胸中をリッカから伝えられ、静かに頷いた。その心はまだ迷いの中にいる・・・そう受け取ったタケルは、まだ支えてやらねばならぬ事をリッカに伝える。
「素直になれんのだ、ヤツは。そもそも、本当に疎んじた相手にわざわざ接触、あまつさえ守護など受け持つまい。いの一番で日本の危機を察したあやつの行動が全てだ。・・・手間のかかる親子に過ぎる」
「でも、話や愚痴を聞くだけでも楽になるだろうし。私に出来ることは何でもやっていくつもりだよ。──まずは戦う。戦って、日本と世界の歴史を護る。全部無かった事にされて洗い流されたら、仲直りだってできなくなっちゃうしね」
リッカは既に戦う決意を固めている。いや、そもそも迷いなど生まれないのだ。一度世界を救うと決めた日から覚悟など決まっている。大切な皆が生きる未来以上に大切なものなど、今の彼女には無いのだから。それに、リッカは実のところ、然程心配はしていなかった。
「あれだけ関心が向いてるなら大丈夫だよ。嫌いの反対は仲直りしたいでもあるし!ちゃんと親子として認識してるんだから、いくらでもチャンスはあると思う!取り付く島も関心も無い、だなんて状況じゃないしね。後は私達のサポート次第かな!」
「そうだな。かの矛がイザナ、こほん。父から託されたものだと言うならば。日ノ本を護る、愛国の意で心は繋がっている。あとは切っ掛け次第の話だろう」
二人の親への印象、接し方は明るく、そしてやや翳りを持っている。リッカもタケルも、状況は違えど両親とは良好なものでは無かったからだ。リッカに関しては存在を認められなかったが故に関心があるなら大丈夫と認識し、タケルは自らの行いが元で絶縁に近しい関係となったが故に話せるならば自然とどうにかなるとの泰然さ。・・・あるいは、マスターとサーヴァントの縁は得てしてこんなものやもしれない。
「──そういえば、タケちゃんはどうしてヒルコ様の呼び掛けに応えられたの?誰よりもすぐ、だなんて凄いけど・・・やっぱり日本の危機には自分がいなきゃ、っていう自負と自信?カッコいい・・・!」
「サーヴァント修行の為だ」
「──ふぁ?」
一瞬、不意に出されたワードのトンチンカンさに固まるリッカ。サーヴァント、解る。修行、解る。サーヴァント修行、解らない。泰然・・・いや、ぼんやりと立つタケルに、自然調和の証の鳥たちが寄り添う。彼は静かに語り始める。
「
幼少の頃から非凡な武力と剛力を発揮していたタケルは日本にて様々な逸話を打ち立てた。無敵の領主を殺し、絶体絶命の窮地から脱し、果てには神殺しまで行った日ノ本の大英雄。──そして彼は常日頃からかの女神に言われていたという。
『あなたは一人でなんでもかんでも出来てしまうから人に頼ろうとしない。個人の武勲で動かせる世界はもう何処にも無いのですよ!』
「初めて問われた時には、戯言をとはね除けたものだ。神とは泰然自若にあり、畏れられるもの。己を信じずして何故神を名乗れよう。何故人と対等に在る事が出来ようか」
人の手に神が在れば、人は安堵し弱ってしまう。故に神は遠く、孤高に在れば良いと信じて疑わなかった。ただの一度も、人の召喚には応じなかったと言う。守護神たる将門公の呼び掛けに応える以外は、彼は神の在り方を決して軽んじる事はしなかった。故に、ヒルコの言葉も聞き入れる事はない・・・そう思っていた。
──人理焼却という、未曾有の危機に直面するまでは。
「吾が出来る事は何も無かった。──日ノ本の危機に、ただ座しているだけだった自身の無力さを痛感し、ヒルコの言葉の真意を正しく理解した」
人と寄り添わず、孤高なれと願った武神。──或いは、自らの危機に身をなげうった妻への想いから、傍らに人を置く事を恐れていたのかは、自身にも解らぬと告げるタケル。──彼は誰の願いにも、応える事が出来なかったのだ。
「神は孤高に在るもの。──しかし、『神は人に支えられている』と、吾は失念していたのだ。・・・余りにも、不甲斐の無いものだ。あまねくその慈悲で日ノ本を照らした天照、その威風と威厳でそなたを導いた将門の君・・・吾は未だ愚かであった事を、死後に改めて痛感してな」
力あれど、振るう機なくば意味は無し。志あれど、振るう義なくば意義は無し。己の不徳さを恥じたタケルは、ヒルコに謝罪し教えと修行を乞うたと言う。
「神さえ殺した吾に、言葉を告げる者はあまりいなくてな。数多の者に愛想を尽かされる中、変わらず根負けせず声を掛けていただいたのが、あの女神と言うことだ」
~
『いつかあなたも人の力になる日が来ます。一緒に勉強しましょう!』
~
『またそうやって伝えたい事を要点だけズバッと言うー!一言真理火の玉豪速球しか投げてはキャッチボールにならないでしょー!スローボールや相手の胸に投げることを覚えなさいな!はいもう一回!』
~
『『フッ』『だろうな』『であろう』『──(那須きのこ罫線)』はぜーんぶ禁止!神威で人を追い払わない!きちんと挨拶、会話、交流を怠らない軽視しない!──あ!タケちゃん、と親しみを持ってもらうのはどうでしょう?第一印象で神の気品は大体決まるのです!』
~
何度従わずとも、何度聞き入れずとも、ヒルコは決して自身を見捨てなかった。アマテラスや将門公、或いは世界の神々の人の在り方を自身に教え、いつか真に人が自らを必要とするその時が来ると信じ、タケルの心を支え続けた。
~
『大丈夫、タケちゃんは日ノ本が誇る大英雄。きっとあなたの力が乞われ、あなたの意志で人々を助ける日が来ますよ。
~
「流石に自ら死地に飛び込み身ぐるみ剥がされかけた女神を助けるとは思わなかったが・・・」
「あははは!火の玉肝っ玉お母さんだね!あれ、お母さんじゃないか!お姉さんか!」
「──。・・・吾は感謝している。かの女神には、神の在り方として大切な事を教わった。──流石は、最も旧き神。尊敬に値し、今も敬っている」
本人の前では言わんがな、とタケルは笑う。照れている訳ではない。面と向かって一度礼を言ったら心停止し霊基が軋んだからである。閻魔亭では偉いことになったのだと付け足し、タケルは告げる。
「故に。──吾も今の日本の在り方が好きでな。かのヒルコは踏ん切りがつかぬようだが、今の日ノ本はイザナギとイザナミが作ったものだ。どちらが欠けても歪な歴史にしかなるまいよ」
「うんっ!私も本当にそう思う!」
「戦うぞ、リッカ。我等イザナギとイザナミの子が、決して二人の国造りが間違いではないと証明する。それが吾の・・・、──吾等の親孝行に繋がると信じるのだ。・・・ヒルコを頼む。あやつの心の在り方こそが、此度の戦いの鍵となろう」
任せて!よーしやるぞー!やる気をみなぎらせ準備に勤しむリッカ・・・二人が成した歴史の結実の証に、タケルは静かに微笑む。
「──間違いで在るはずが無かろう、伊邪那美よ。お前が愛した者が産んだ子供が紡いだ歴史、その果てにもそなたの名前が記されている。──そなたはイザナギの妻であり、国の祖だ」
故にこそ──、我等は戦うのだ。子は親を選べない。それは何故か──
──『親子』であるならば、子は親を選ぶ必要など無く。子が親を敬い、親が子を慈しむは当然なのだと、ヒルコはタケルに教えたのだから──。
後編・オトタチバナヒメの献身
相模から上総の国に戻る際、神の波にてタケちゃんの船は進退窮まります。転覆か・・・とされた時、后たるオトタチバナヒメが、海に身を投げ供物となったのです。タケちゃんを救うために・・・
タケちゃん「・・・・・・吾が妻はや・・・・・・」
その際に、オトタチバナヒメはこんな和歌を遺しました。
『さねさし相模の小野に燃ゆる火の 火中に立ちて問ひし君はも』
・・・燃え盛る相模の原にて、私を気遣ってくださったやさしいあなたよ。・・・タケちゃんは、決して粗暴なだけのタケちゃんではないのです・・・
「・・・吾はその後蝦夷を殺し、山と河の神を捩じ伏せ、神の化身の鹿を殺し平定し、妻を想った。この時呟いた、吾妻はや。これが転じ、東をあづまと呼ぶようになったらしい」
~タケちゃんの最期
そして、伊吹山に荒ぶる神を倒しにいったタケちゃんは、白き猪と出逢います。
タケちゃん「神を殺す故、遣いに用はないとたかを括ったが・・・思えば、迂闊だった」
その猪は神そのものでした。大氷を降らし天変地異を起こしタケちゃんを失神させます。そして目覚めたタケちゃんの身体を、病が蝕んでいました。神威に野晒しにされた結果です。・・・人の身で、病には勝てぬは共通・・・
「病の身体を押し、岐阜の南部から三重の北部まで戻り、吾は息絶えた。・・・倭は国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる 倭し麗し・・・和歌を遺してな」
~そして白鳥へ
タケちゃんの死後、御子や后がたくさん集まり墓を建て、哀しみ這い回りました。哀しみの歌を歌いながら。すると、タケちゃんは白鳥になって飛んでいくではありませんか!
「いつまでも墓の下にいては、墓参りの手間をかけさせるのでな」
后たちは追いかけますが、白鳥は止まらず飛び立ち、何処かへ行ってしまいます。その時に歌われた歌の和訳は、こちらとなります。
墓の傍にて・・・
墓のそばの田の稲のもみの上で、ところづらのように這い回って、悲しんでいます。
斬り竹に足を斬られる痛みを省みず走り・・・
小さい竹の生えた中を進むのは、竹が腰にまとわりついて進みにくい。ああ、私たちは、あなたのように空を飛んで行くことができず、足で歩くしかないのですから。
白鳥を追い海に入りし時・・・
海に入って進むのは、海の水が腰にまとわりついて進みにくい。まるで、大きな河に生い茂っている水草のように、海ではゆらゆら足を取られます。
磯伝いに飛び立った時・・・
浜千鳥のように、あなたの魂は私たちが追いかけやすい浜辺を飛んで行かず、磯づたいに飛んで行かれるのですね。
これらの歌は大葬歌・・・天皇の葬儀に詠まれる歌となっています。色々ありましたが、タケちゃんは色んな人に別れを惜しまれた素敵なタケちゃんなのです・・・ちーん!!
「懸命に生きた結果だ。どう受け止めようと構わぬ。・・・が、少しでも親しめたなら幸いだ」
タケちゃんのお話、いかがでしたか!是非是非、神殺しの大英雄タケちゃんを・・・ずびっ!よろしくお願いいたします!
タケちゃん「語り手が感極まってどうする・・・」
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