人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
「はぁ、めんどくさかった。本当にめんどくさかったわ。――まぁでも、いい経験になったわ」
「――食べたら、感想。聞かせなさいよね」
『リッカ!マシュ!ギル!しっかり!返事して!大丈夫!?応答して!!』
オルガマリーの必死の呼び掛けに意識をはっきりさせる
――スパルタクスの介入により、無事に生き延びることができたようだ
「――反逆と反骨の英霊よ、その反骨の矜持、確かに見届けた」
――ありがとう。スパルタクス。貴方の言葉を、けして忘れはしません
「スパルタクス・・・すまぬ、死ぬかと思ったぞ・・・」
『対城宝具を間近で受けて、よく無事だったね・・・!どうだいギル!防御に関してはすごいんじゃないかな!』
「たわけ。我の懸念はタイミングだけだ。質に関しては心配などしておらぬ」
「皆様、無事でよかった・・・」
「ご苦労であった、ジャンヌ」
――アルテラ。自らを大王と名乗る、ただならぬ大英雄
あの冷然とした眼を思い出す。掲げた剣の余波だけで、凄まじい威圧を見せつけた破壊の化身
――アレは総てを破壊するまで止まらない。この時代を破壊しつくすまでけして停止しないだろう
――止めなければならない。あの大王。あの化身を
「――勝てる、のでしょうか。私たちは」
弱音を呟いたのは、マシュだった
「マシュ?」
「あの輝き、あの威圧は紛れもなく最高クラスのサーヴァント・・・アーサー王に比肩する強さのサーヴァントであるでしょう」
「――・・・」
「英雄王がいてくださることを加味しても・・・もし、万が一、私が先輩を護りきれ無かったなら・・・」
――・・・
『マシュ・・・』
――大丈夫
「勝つとも」
「!?」
大丈夫だ。必ず自分達は勝つ。
「言った筈だ。貴様らは露払いを為せ、詰みは我がやってやろう、とな。我が盟約を違えると思うか?」
「英雄王・・・」
――そうだ。自分達は勝つ。相手がなんであろうとも、最後に勝利するのは自分達だ
理屈は無い。根拠もない
だが――確信と、意志がある。
自分は、この世界を『滅ぼさせたくはない』し。『護りたい』と思い、『救いたい』と感じている
いや――そう、感じさせてくれた人達がいたのだ
果てに挑み、熱き血潮を見せつけたウェイバー・ベルベット
ローマを愛し、世界を愛し。こんな頼りない魂に声をかけてくれた、神祖ロムルス
揺るぎない意思と矜持のもと、自分達を救い、生かしてくれた、スパルタクス
――その熱い男たちの生きざまが、この魂を熱く昂らせている
「貴様らは我を黒幕にまで運んだ。足掻き、もがき、敵の首に食らい付いた。我を導き、そこにたどり着いた事で、その勝利は確定したのだ。『詰み』とはそういう理屈だ」
「英雄王・・・」
「そも、認識からして違えているぞ。『勝てるか』ではない。貴様らは既に『勝っている』のだ。我を聖杯の下まで連れ、黒幕に相対した時点でな」
「私達は、勝っている・・・」
――そうだ。君達の道筋は、既に実を結んでいる
後は、その勝利を磐石とし、胸を張って帰還するのみ
――そして、それは。他ならぬこの自分の役目だ
「凱旋の帰路の鋪装は任せておけ。――だからな、そう不安そうな顔をするな、マシュ」
ポン、と頭に手を置く
「此処に至る道筋、よく護り、よく戦った。デミ・サーヴァントと卑下する必要はない。その功績が何よりの証だ。――お前は確かな、マスターのサーヴァントだろうよ」
「――!!」
――後は、任せてほしい。
最早、転生した、使命だなんて理屈はどうでもよくなっている
頼り無くとも、無銘であっても。――英雄王の庇護が無ければ、まともに世界に向き合う事ができない儚いものであったとしても
自分は紛れもなく、今此処にあり。――この美しい世界を『護りたい』と想っている
――そう。自分は確かに、『願い』を見付けたのだ
――遥か続く、この美しい『世界』を。一つの魂を懸けて、全力で。この器と、英雄王と共に
そして、その先へ。総てを救い、その先にあるものが何かを見てみたい。
それが――このローマの旅にて見つけた、自分の『願い』だ
――男達の熱い生きざまと情熱は、無銘の魂にまた。色彩を加えたのだ――
「うん!行こうよ皆!」
マスターが声をあげる
「ここまで来たんだから、後は勝つだけ!苦労や困難なんて今更だよ!」
「先輩・・・」
「うむ、そうだ!神祖は言った!世界は永遠であると!ならば、滅びる筈もない!我等には、神祖がついている!」
ネロが、情熱に満ちた言葉を紡ぐ
「人を越え、時を越え、国を越え、ローマは在るだろう!ローマあるかぎり、世界は潰えぬ、世界は滅びぬ!そしてローマは紡がれる。ありとあらゆる形を変え、それでも連綿と受け継がれ、確かに紡がれていく人類の樹系図!それこそが!そなたたちが護りし、人理であるっ!」
「・・・ネロ公、何言ってるか解んない」
「うむ!余にもよくわからぬ!」
『形を変えても、変わらぬものがあり、それを未来に繋げていく。形が変わっても、ソレはミームとして確かに受け継がれていく・・・ということね』
『うん!僕も好きだ!その考え方!ロマンチックだしね!』
「ふはは!そうだ。難行に挑むに要する者は、時に賢しさや理屈ではない!」
人類最古の英雄が高らかに笑う
「愚かさ、浅ましさ、意地汚さ!そういった愚者、雑種こそが――理不尽を打倒し、未来を掴む事もままあると言うことよ!それが人間だ!それが人間が織りし織物だ!」
――それが、彼という王が愛する人間の――可能性なのだろう
「そうと決まれば出撃だマスター!マシュ!ネロ!ヤツはこの眼が捉えている!『徒歩で来た』などと余裕をかますやつめに、キツい灸を据えてやろうではないか!」
「うん!」
「はい!」
「うむっ!!」
「後ろの防御は私がやるよ。おもいっきりやっといで!」
「任せたぞ!ブーディカ!よし!では余に」
「我に続け!!クラス・ゴージャス!英雄王ギルガメッシュの名の下に!リンゴの帝国ローマを取り戻してやろうではないか――!!」
「リンゴの帝国――――!!?」
――程無くして、かの破壊の大王と
「――・・・阻むか、私の道を」
――人理を切り開く、黄金の王が相対する――!
「阻むとも。我の進む道は唯一無二!――
――此処に、最後の戦いが幕を開ける!
「麻婆デリバリー始めました!甘味の後は、辛味もどうぞ!」
「安心しな、ちゃんと食えるぜ。――まぁ、刺激が苦手なヤツは気を付けてな」