人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
タケル「うんざり、と言った顔だな。奇遇にも同じ面持ちだ」
将門公『理不尽に興ずるも哀れなれば、迅速に仕留めるが善し』
アマテラス「ワフッ!」
『?慈母よ、何を──』
今すぐにも逃げ出さんとする四凶を押し留める為に、アマテラスが前へ出る。何を──そう問う前に、太陽神は全力の挑発を行ったのだ。
「ワゥ~」
【【【【・・・──】】】】
マーキング。無礼戦法その一。かつての大切な相棒より教わった必殺の粗相である。空気が、四凶の額に青筋が浮かぶ。
「ワゥ~?ゥ~?・・・ワフッ」
欠伸と共に、更なる無礼を行う。アマテラス。イッスンより行った無礼戦法・・・
・・・詳しくは言及を避けるが、マーキングの更なる上の排泄行動、四凶が類を見ないほどに逆上した事から何をしたかは察していただきたい。それはそれは・・・豊潤極まるニオヒが漂っていたという。
鬼門
【【【ガァアァアァァァ!!!】】】
桃子「確かに恐ろしき偉容と風格・・・私達も全身全霊にて挑まねばならないようです・・・!」
頼光「かつての土蜘蛛や虫どもに引けを取らぬ大怪魔。──助力を致しましょうか?」
桃子「ありがとうございます。ですが──此処は私達に任せ、どうかリッちゃんと共に宝の回収を!」
金時「お、おい桃子っち、そいつはデスフラグって言うもんじゃねぇか!?」
リッカ「──。信じても、大丈夫だよね!」
桃子「はい!どうか、あなたの妹を信じてください!必ず、役割を果たします」
リッカ「──うん!行こう、二人とも!!」
金時「・・・わかった!ベアー号に乗りな、リッカ!頼光サンは・・・・」
頼光「自らの脚で並走し、二人を守護しましょう。──どうか、お気をつけて。桃子様」
桃子「そちらも!リッちゃんを宜しくお願い致します──!!」
「──イヌヌワン、フワイサム、アンク。今こそ我等、リッちゃんに救われし御恩を全身全霊にて返す刻。覚悟と準備は宜しいですか!」
『『おう!!』』
『えぇ、此処で活躍しないでいつするのって事。思い切りやってあげましょう!』
桃のはちまき、旗、陣羽織。そして三匹の神獣のお供を有する日本最強の武士にして鬼退治の化身。桃子が刀を抜き放ち真っ直ぐに混沌の鬼達へと突き付ける。リッカ達を財宝の在処へと先行させ、追わんとする鬼達に立ちはだかった。──食い止める為に。同時に、全滅させるために。自らの使命を思い出させてくれた友にして、家族にして・・・大事な主君にして姉に報いる為に。その力を信念と共に発揮する。
言葉は不要。いざ───
【【【グゴァアァアォアッ!!!】】】
「───参る!」
慟哭の絶叫、叢雲剣を構え戦いの火蓋が切って落とされる。圧倒的な巨体の鬼が三体、桃子へ向けて地響きと共に殺到する。質量の暴虐、巻き込まれればあっという間に圧死するそれに、真っ正面から桃子は駆け抜けた。そして、交錯の刹那に白刃の軌跡が無数に閃く。
【【【カッ──?】】】
一瞬で、一度に全く同じタイミングで。五体を『十度』斬られた事に気付くのに三匹は一拍かかった。一度の抜刀で、合計三十もの太刀を浴びせた計算になる。多重次元屈折斬撃──かつて佐々木小次郎が秘剣として使用した技術を、彼女は再現して見せたのだ。
【ォオォオ!!!】
だが、その身体は一瞬で再生し変わらず特攻と突進を披露する。この呪詛の中では、元を断たねば元の木阿弥。リッカ達が宝を回収せねばこの鬼達は消え去らない。あちらには行く手に無数のまつろわぬ魂が立ち塞がっているだろう。──此方の鬼が合流する事なき様に、徹底的に相手取る必要がある。ならば──
「桃よ!」
ユニット、自身のキャリアでもあるMOMOへと指令を送る。それに呼応し、MOMOの内部で桃子の望む『武装』を生成し、そして──
【ヌグァアァアァア!!!】
「ふっ!」
攻撃を回避し跳躍。宙返り捻りにて空中に飛ばされし『槍』を手にする。瞬間、桃子の霊基が一瞬で変質、変化する。堂々なる陣羽織から、槍を振るうに動きやすい軽鎧。手にした槍が二方向に伸び、変異が完了する。ランサークラスへとチェンジした『桃子』の槍の腕前が冴え渡り閃いた。
「目!耳、鼻!──頚!!」
瞬時に巨大な大嶽丸の顔面に迅速の突きを見舞い、頚を即座に叩き落とす。残った身体を一刀両断に叩き薙ぎ払い、霧散させ吹き飛ばす。その一撃は、反応すら出来ない程に鮮やかかつ疾風怒濤の極致であった。
【ブモォオォオォアッ!!】
「──!」
猪突猛進、怒濤に突進してくる牛鬼に対し、槍を組み換え弓へと変じ的確に手足の関節を貫き射ち放ち続ける。脚と手を弾き飛ばされながらも、もろともに巻き込まんと突進してくる鬼に、お供達が行動を起こす。
疾風のイヌヌワンが、瞬く間に残る脚を切り落とす。神威の放出にて、物理法則を無視した加速と制動を執り行える戌のお供。それに続く剛力のフワイサム。溢れるGIが相手の分子振動を見破り、それに対応した分子分解拳を振るい絶対破壊をもたらす。総てを見据え、未来予測と環境操作を行うアンク。最適な未来と環境を、桃子へと見せる。それに対応し、桃子は更に無数の手練手管の武練を披露し、三匹の巨大な鬼を圧倒し続ける。
暴れ狂う鬼には騎馬鎧を纏うライダーとなり、供に乗り距離を取り、一瞬の隙を見せたならば鎖帷子の忍装束を纏いて頚を刃にて立つ。一気呵成ならば、薬剤法師のキャスターとなりて供達を強化させ、一斉攻撃を放つ。相手の攻撃は、セイバーに戻り『切り払い』、無力化する。その度に変化する霊基。それは本来の桃子の本領にして全霊。鬼神を討ち果たす為に・・・否、『生き残る』為に編み出した戦闘形態。
至極の武練。基本の所作を武芸百般にして極致の領域に至らせ鬼を退治す。温羅と戦う最中、絶望的なまでに圧倒的な強度、スペック差に苦戦した桃子が、戦う最中で自身をアップデート、ラーニング、そしてアジャストを猛烈極まるデッドヒートの中で繰り返した事に生まれた、神に至る武練。あらゆる霊基に自身を変化させ、あらゆる霊基で必殺を誇る。MOMOの神代三次元プリンターにて叢雲剣を神具に変化させ、その都度最適な形に変え振るう。万能鬼退治決戦兵装の顕現が今の桃子の得た戦闘スタイルである。その千変万化にして圧倒的な制圧力に、ただ強いだけの鬼に対処出来る道理は無い。無限に再生するだけ、無限に退治されるのみ。
「リッちゃんの言った通りです。──確かに強靭なれど、この魂達には研鑽がない・・・!」
暴れ狂う攻撃は、一度食らえば粉微塵な程に強力極まるまつろわぬ鬼達。並のサーヴァントであるならば即座に倒される程に強力かつ強大な鬼達。だが、それだけだ。強さに終始しているのみでそれ以上の発展と進歩が無い。ただ本能のみで動くのならば、畜生となんら変わらない。
「ならば、負ける道理無し!我等英雄、数多の人々の願いと祈りにて魂を奮う!心なき暴力、屈する道理も真理も在りはせず!」
【【【・・・!!!】】】
「我等の歴史!──人の歩みを侮るなッ!!」
気迫咆哮、一喝と同時にセイバーへと立ち返り、高々と天之叢雲剣を掲げ、お供達に号令をかける。
「三者、我が身に集い邪悪を祓わん!!」
『『『承知!!』』』
号令に頷き、三匹のお供が桃子の霊基と心を一つとする。セイバーの陣羽織が、三者のお供達の身体が変化した外套、大将軍が身に付けるに値する絢爛の鎧へと変化する。
【【【ウォオォオォオォオォオォオォオォオォオ──!!!!】】】
三体の鬼もまた、唸りを上げ辺りの呪詛を纏いて突進を行う。空間が捻れ、軋み、歪む程の勢いの全力突進。だが、桃子は・・・桃太郎が真正面から受け止め挑む。鬼退治の英雄、その名に掛けて一歩も下がらず。──真っ向から叩き斬る、正真正銘の紅蓮にして必殺の一撃。日本一の兵、セイバークラスの最強の一撃。鬼を断ち、平和の願いを結実させるその太刀の名は───
「『
真っ正面から突撃を受け止め、真っ向から刃を叩き込み、相手が叩き斬られるまで前進と斬撃を決して止める事はしない。ただ前へ、前へ。気迫雄々しく、意志気高く。人が鬼に勝るもの、心と魂の輝きを刃に乗せて一歩一歩進み行く。
「おぉおぉおおぁあぁあぁっ!!!」
髀として堕ちていた頃の慟哭ではない。数多の生きる人々の為、数多のあまねく未来の為に。未来へ繋がる命の為に。猛々しく鬼達を押し返し咆哮する桃子。単純明快に、際限なく跳ね上がる魔力と気迫に鬼達が押し込まれる形で、やがて、拮抗は完全に崩れ去り──
『『『いっけぇえぇえぇえーっ!!!!』』』
三体のお供の魂の叫びを背負い、紅蓮に煌めく天叢雲剣を力の限りに振り下ろす。軌道上の鬼も、呪詛も、空間も。総てを断ち斬る紅蓮の両断。
【【【カ────】】】
──其処には最早、恐ろしき鬼等影も形も存在していなかった。かつて、温羅に人の世の尊さと素晴らしさを知らしめた、暁と朝焼けの紅蓮を宿す一撃。
「──桃太郎。その名と武勇に一切の偽り無し!」
やがて、勝利を誇示する様に高々と桃子は刀を掲げる。
「我が名、桃子!日本一の兵なり!!」
『『『えい!えいっ!おーっ!!!』』』
魂毎消し飛ばす程の一閃を披露し、勝利の勝鬨と共に。今度こそ迷い無く・・・桃子は自らの役割を全うする。
桃太郎──日本で知らぬもの無き、日本一の鬼退治の名手たるその勇名。余す事なく。その意志、強大な呪魂すらも断ち斬らん──
奉納の間
リッカ「ここが・・・」
宝が安置されし、奉納の間。其処に、穢れきった状態の宝をリッカ達は認める。剣、鏡、勾玉。それは一目で、地脈の総てに呪詛を贈っているものと理解が叶う代物であった。
金時「こいつはなんつー、バッドカースだ。外で雑魚を食い止めくれてる頼光サンの為にも、さっさと回収したいけどよぉ・・・って、おい!?」
その宝に、リッカは吸い寄せられるように手を伸ばす。触れればただでは済まぬ程の呪詛に、リッカは確信を持っていた。
──大丈夫。なんだか、そんな気がする。
その予感と確信の下に、そっと宝に触れたその時──
金時「な、なんだぁ!?」
瞬間、宝の邪気が祓われ地脈を犯していた呪詛が一息に吹き飛ぶ。三種の神器がリッカの・・・否、リッカに宿っていた『何か』に反応し、浄化されたのだ。その浄化は、禍肚の全体に及ぶ。
~
カドック「!なんだ、まつろわぬ連中が一気に・・・!?──そうか、リッカがやったのか!皆!今だ!!」
カドック達の攻略せんとする地脈、霊脈に群がる呪詛が消え失せ、一気に道が拓ける。そして──
アルトリア「朱雀の霊脈、確保しました!」
アイリスフィール「こっちもよ!ガメラの霊脈、確保したわ!」
カドック「よし!こっちも──確保だ!」
すべての霊脈を、機を逃さず確保する!そして、それと同時に四凶にも変化が起きる。
【【【【!!!】】】】
それぞれの対応する方角に、四凶が封じ込められ身動きが取れなくなる。支配の領域が逆転した事による成果であり、最早自由に動くことすら叶わなくなったのだ。
ロマン『よし!封殺に成功だ!リッカ君!高天ヶ原に戻ってくれ!四霊の召喚を始めよう!』
リッカ「──解った!」
・・・そして、リッカは一つの確信を懐く。
「・・・・・・やっぱり、そういう事なんだね──」