リッカ「こちらこそ!日本の龍に出逢えるなんて感激しちゃうよね!よろしくお願いいたします!」
応龍『ふふ・・・昨今の龍の親しまれ方は私にとっても好ましい。やはり龍は、無条件に強く見える生物の筆頭。足りぬは愛嬌と親しみ易さと考えていたが・・・うむ、よしよし』
(あ、もしかして見た目で不利益被ったタイプ?)
『これからもよろしく頼みたい。時に私は、虞美人の戦術眼や戦闘をこの瞳にて垣間見たが・・・』
リッカ「あっ」
ザビ「あっ(飴食べてる)」
『控えめに言って・・・──私が割と本気でカバーする事を決意した程だ』
リッカ「そん」
ザビ「なに」
『今成果が現れる。我の苦心の成果を垣間見てほしい──』
【グォオァアァアァッ!!!】
東方の方角、北と南を奪還したカルデアが残すは東西の方角のみとなる。それぞれのマスター達が配置され、四凶と戦う決闘作戦は半ばを過ぎていた。東にはヒナコ、虞美人がサーヴァントと共に凶悪極まる戦闘狂、トウコツと凌を削っている。
トウコツは人面虎であり、何よりも戦いと虐殺を好む。生きるためではなく戦うために戦い、戦いの結果として殺す。武神たるタケルとの戦いに、形振り構わず戦いを挑み続けていたのもこのトウコツであった。だからこそ、この存在には語るべき信念も、生き様も、思考も、何も存在しない。闘争、そして殺戮。この言葉だけが、トウコツを動かす全てであった。故に──
「汝の滅び、必定なり──!!」
中華にて紛れもない最強の武勇を誇る虞美人の夫、項羽が真正面から相対するは自明の理だ。未来予測じみた超高速演算、災禍の根源たる存在を蹴散らし滅する。虞美人のあまり妙ではない指揮をその武勇で補い続けてきた項羽。その人型ではない駆体、幾つもの剣と馬がごとき多脚にて行われる覇王の武。最早人の域に無い武勇がロストベルトの修羅たるトウコツとたった一人で互角に持ち込んでいる。神ではなき機械の身体でありながら、その武はタケルにすら届かんばかりの境地へと達しているのだ。
そのぶつかり合いは壮絶を極めた。五体四肢の命のやり取りは大地を深く抉り、建造物も大気も何もかもを蹴散らし吹き飛ばし粉々に粉砕し、東の方角には最早町並みや形あるものは戦う両陣営しか存在していない。恐ろしいまでの戦闘の余波が、辺り全てを破滅により浄化したのだ。互いに損傷を受けど微塵も気にかけぬ片や勇猛、片や破綻の狂気のぶつかり合いは文字通り、山を抜き気迫にて世を覆わんばかりの大決戦の様相を呈している。
「項羽様、今・・・虞がお力添えを致します。中華に名を記す神霊の力を借り、今こそ・・・」
「つかぬことをお聞き致しますが。もしや応龍様の力を借りてまでする事が自爆ではありませんね?」
疑問と疑惑の問いを投げるは、項羽に妻の防衛を頼まれ忠なる従者の役割を果たす蘭陵王。虞美人が応龍より賜りし格式高き礼装を纏っておきながら、まさか馬鹿ならぬ虞の一つ覚えなどと・・・そんな困惑の問いに、否定も肯定も混じった問いを返す。
「失礼ね!そんな規模で収まらないわ、自爆じゃないの、変転よ変転!私の宝具がパワーアップしたの!凄い事になることは確かよ、刮目なさい!・・・あとほら、人龍はリッカがいるし。キャラ被りは良くないじゃない?」
「何を仰る。あなた様ほどオモシロ・・・個性的な方はおりませぬ。この様な禍肚にて歓談する胆力。飛ぶ星よりも速き愉快な一面の吐露。そして一途な妻の面。被せようとしても被りませんとも」
「あんた仮面の他に歯に衣も着せなさいよ本当・・・!まぁいいわ、──そのあまりにも強く、猛々しい項羽様。故に戦場において傍らには誰も寄り添えない。この私ですらも。だけど──」
そんな願いすらも、応龍は見据え願いを叶えていた。どんな形にもなれ、環境を自らの命とする精霊。呪詛と哀れみの涙で命を呪っていたかつてとは違う、安寧と安らぎの終着点に招かれ、見出だされた事への──言葉なき感謝。
「──私には私だけの戦い方があるのよ!見ていなさい蘭、リッカ!参ります項羽様・・・応龍よ!私に力を貸していただきますれば!」
「何を、マスター・・・!?」
爆発的に高まる魔力。天の御柱の如くに立ち上る魔力。辺りを満たす神威。示される、神霊と精霊の能力の合致にして極致──!
「『
「なんとぉっ──!?」
気迫と共に、蘭の傍らにいた虞美人の身体が何時ものように爆発四散した──否。只の肉体の破棄ではない。辺りに飛び散る肉塊も血雨も無く、残りしは応龍の賜した礼装が浮遊するのみ。
「マスター、何処に──はっ!?」
その疑問を浮かべる刹那、礼装が天高く飛び去り辺りの暗雲を巻き込み形を為す。──虞美人は自爆したのではない。精霊たる肉体を、神霊の神威たる応龍礼装と一つにしたのだ。それ故に、衣装のみが天に登ったのである。──そして、変化はすぐに巻き起こった。その場に、トウコツのみに【天変地異】が巻き起こったのである。
【グゴォアァアァアァ!!!?】
雹が落ち、落雷が落ち、嵐が巻き起こり、吹雪が巻き起こり、地震が起き、竜巻が吹き荒れ、地割れより溶岩が溢れ出る。数多無数の天変地異が、信じがたい事に指向性を以てトウコツのみに吹き荒れているのだ。人の手ですら再現が叶わぬ、自然の暴威そのものが項羽の戦いを大いに助けている。
「これは──」
『項羽様、虞と蘭、何より応龍様が付いておられます!どうか思うままに戦われますよう!』
「おぉ、虞や・・・。私は今、古今無双の助力を得ん!」
天空より響く妻の声、同時に魔力を含む癒しの雨が項羽に落ち、治癒と強化を為された項羽の猛攻、天変地異が徹底的にトウコツを打ち付ける。最早、勝機は完全にカルデア側が掴んでいた。
ドラゴニック・ラメント。環境と霊核を同じくする虞美人が、環境を『統べる』応龍の力を借り宝具の力が限界を突破し昇華したもの。託された衣装に自らの魔力を込め天空と一体化し、応龍の魔力を引き出し一定時間、一定範囲の『環境』全てを自由自在に操ることの出来る精霊種ならではの規格外の対国宝具。万象万物を司る龍の力を使役する事により、単一極まる虞美人の戦法を神威へと昇華したものだ。応龍はこれを見越して力を授けた。自爆ではなく天に身を委ねるが良し。その天は、そなたが夫を見守る座とならん。その心遣いの為に、自らの力を分け天女の資格を彼女に能えた。
──応龍は万里を見透す眼を持つ。虞美人の指揮官、そして対人の拙さを一目見て考え編み出した戦法が天との合一であった事はかの龍のみの秘密である。
「ならばいざ、決着の機を此処に示さん──!!」
『はい!項羽様!蘭、離れてなさい!』
【ガガ、グウォオァアァアァアォーーーーッ!!!?】
項羽が突進し、幾つもの腕の刀にてトウコツを切り刻む。腰から上を大回転させ、竜巻の様に切り上げ真上へ吹き飛ばしていく。──そして、その神威の顕現が訪れた。辺りの暗雲が全て集まり、なんと礼装を中核に『龍』の形を取ったのだ。そして竜巻と水を口の部分に生成し、魔力の螺旋波動にして一気に撃ち放つ──!
『──勇猛の叫びで!勝利を謳え──!!』
気迫の咆哮と共に、放たれる龍の咆哮。まさに竜巻と水の大瀑布が、大河の氾濫の如くにトウコツを呑み込み地面を抉りながら水圧で叩き潰していく。
【ガババッ、グガ、ゴガハァアァ──!!】
大地が数百メートル程穿たれ、完全に消滅した事を暗雲が晴れた事により告げられる。トウコツが消え去った事により、東の方角が呪詛から解放されたのだ。
「──ふぅっ・・・」
「虞や。そなたの助勢、助力。心から感謝せり」
「──助け合うのが夫婦にてございます。漸く私も妻として、あなたと共に戦う事が叶いました」
肉体を再形成(担当は応龍)し舞い降りた虞美人を、項羽が柔らかに受け止め勝利を噛みしめる二人。その様子を、仮面を外し涙ぐみながら蘭が告げる。
「マスター・・・大変御立派でした・・・!あなたをフォローするための応龍様の心労を思えば、仮面を外し心から涙するも致し方無し・・・!」
「なんか涙するとこ違くない!?」
まさかの自爆しないではなく、大爆発からの天との同一という常軌を逸した戦法を編み出した虞美人と、それをカバーするために心を砕いた応龍、並びに漸く妻と共に在れる項羽を想い。蘭は流れる涙もぬぐわず微笑み天に祈り続けた──。
ぐっちゃん「と言うわけで大勝利よ、大勝利!見た?リッカ。見たわよね?敬いなさいよグランドマスターとして。八倍!」
リッカ『色んな意味でぐっちゃんにしか出来ない凄すぎる戦法だね!本当に凄かったよ!ドラゴンガールコンビ結成だね!』
ぐっちゃん「それはいやだけど」
『嫌なのぉ!?そんなー、ロンリードラゴンかぁ・・・』
ぐっちゃん「・・・カルデアの龍って言ったら、もうあんたなのよ」
『?なんかいった?』
「別に!カドック、終わったわよ!」
カドック『やったな。後は僕だけか・・・なんとかやってみせる!』
応龍『大事無く、何よりだ』
ぐっちゃん「応龍様。・・・ご助力、心より」
『時に肉体形成の件だが、事細かく数値を告げられその様にしたつもりだが・・・相違は発生してはおらぬか?』
ぐっちゃん「あーっ!あーっ!!その話は内密にとお頼みしたはずですよねっ!」
ザビ『これが、最速ギャグ堕ち真祖』
アルク『もー!知的でたおやかな真祖のイメージが台無しじゃないのー!』
リッカ『えっ?』
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