桐之助(オーブニカのテーマを草笛で吹く桐之助)
マシュ「こ、このメロディは!」
桐之助「オルガマリーから、リッカ君の趣味嗜好を聞いていてね。履修したのさ、彼女の力になるために!」
「成る程、流石はキリシュ・・・桐之助さんです!」
「今の私は夢の存在、小粋な風来坊として君達をサポートしよう!さぁさぁ皆様、どうか待避と避難を!」
マシュ(キリシュタリアさんってこんな方でしたっけ・・・?い、いえきっと夢だからはっちゃけているんでしょう!そうでしょう!)
ノッブ【ほれ、きちんと走らぬか?ん?】
男の子「ありがとう、お姉ちゃん!」
【うはは!おばさんと言わず良かったのぅ!さーて、あのお虎とやらの手並み拝見と行くとするか!わし役立たずだから是非も無いよね!】
桐之助「リッカ君の心配はしないのかい?」
【ん?わしのリッカ先輩が負けるわけ無いじゃろ】
マシュ「私の!私の先輩でもありますので!」
桐之助「サーヴァントとは・・・マスターとは・・・」
(オーブニカのテーマを吹く桐之助)
「ひぃいぃいぃい!化け物!化け物だぁあぁ!」
「逃げろ!逃げろぉ!食い殺されるぞぉ!!」
【(うん、これでよし・・・!皆一目散に逃げて行ってくれてる!)】
多数の兵を撫で斬りにし、撃ち抜き、蹴散らしていく黒鎧の龍ことリッカ。多数を全く意に介さない武勇を振るい兵を殺戮していくそれは、力なき民には暴虐の化身としか映らずに一目散に辺りから逃げ出していく。その気になればファブリーズ漂白モードに出来る鎧を敢えて黒くしたのは、こうしたれっきとした理由がある。
「あえて破壊と暴虐の権化を装い、野次馬すら残らぬよう避難を徹底させる目論見ですか。随分と献身的な手段を取りますね。謙信的にもビックリです、ホント」
【ありゃ、バレてた?】
瞬間、音もなくお虎が背後をカバーし、リッカの死角にいた兵をバラバラに寸断する。清澄、そして苛烈にして怒濤。リッカに宿る源の武勇に微塵も退けを取らない凄絶な一閃の煌めきが彼女に加護として舞い降りた。背中合わせに、黒白の少女が陣取り合う。
「その極まりに窮まった武勇に自信があるのは良く解りました。しかしまさか正面から一気呵成に仕掛けて行こうとは。敵陣の弱みを突く、機を窺うとかもじれったかったという心積もりですか?」
【うんっ!考えるより身体が動いてました!ありがとねお虎さん!フォローしてくれて!】
「あははっ、お礼と来ましたか!弱きを護り礼節を忘れず。あなたもしや神仏の化身でしょうか?」
【まさか。ドマイナー拝火教の──絶対悪のドラゴンちゃんです!】
迫り来る兵達を瞬時に切り払い、薙ぎ払い、吹き飛ばし、切り捨てていく二人の戦い。リッカは荒々しくも一つの舞い、舞踊が如く。お虎は流麗なれど、荘厳に。刀の閃きと槍の冴えに、瞬く間に兵達は消え去っていく。
「敵対戦力、評価規格外。増援の可否を──がふっ!?」
「戦場で何を眠たいことを言っているのですか。退くなら退く、攻めるなら攻める!外法と外道を唄う輩、念仏唱える暇すら与えません!毘沙門天たるこの私、そしてこちらの・・・」
【通りすがりのドラゴンさんがブッ殺して差し上げますわよぉ!!死にたくなければさっさと退けい!!】
戦いの進行と同時に、リッカらの周辺に光輝く小型のユニットが複数現れ守護を展開する。的確に意識の死角をカバーするそれはマシュのシールドユニットの一つ、『スパルタ』だ。これ幸いと口笛を吹き、刀を手放しアルテミスの弓矢を捉え渾身の魔力を込めて引き絞り──
【これで──おしまいっ!!】
一直線に撃ち放つ。魔力にて編まれた光の矢はスパルタにぶつかると反射を行い、乱反射の後に辺り全体を蹴散らし貫く【全方位射撃】と変化する。残っていた兵士達、残らず眉間を穿たれ戦闘不能へと陥り倒れ伏す。
「作戦継続──不可能・・・」
「お見事!現代の少女は此処まで強靭なものでありましたか!その腕前、私の次くらいに強いと太鼓判を押しちゃいます」
【あはは、まぁ世界を救うには強くなるしかなかったというか・・・】
「わぁ!お姉ちゃん達かっけー!」
「すごーい!つよーい!」
戦いが終わって見ると、子供達だけはリッカの事を恐れずに声援を送っていた。その行いとその心は、純真な心にきちんと届いていた様子である。リッカは慌てて、その場から一旦立ち去る為に走り出す。
「おや、どちらへ?」
【ちょっと鎧脱いでくる!怖がらせたままじゃ話拗れるし!ちょっとこの場をよろしくね!】
「あらら・・・武勲の誉れを受けとる余裕も無いとは、難儀なものですね現代っ子は・・・」
リッカが慌てて退散したと同時に、先に虐げられていた村人が感謝と共に声を掛ける。桐之助、マシュ、ノッブも同じくだ。
「いやはや、何処のどなたか存じ上げませんが助かりました!あの黒き鎧の怪物は・・・」
「弱き者を助けるは強き者が勤め、義を見てせざるはなんとやら。お気になさらず。あちらはほら、三分経ったので一目散に」
「?」
【ウルトラマン理論とか解っとるの!リッカ先輩とことんヒーロー街道歩くのが似合う女子でわし、感激!】
「見たかいマシュ瀬さん、彼女は刃と弓をあそこまで巧みに使いこなして見せた!あれほどの境地にどれだけの鍛練を積めば・・・私も出来るだろうか?ああいう礼装案を是非考案してだね!」
「き、桐之助さんは落ち着いてください・・・!確かに凄く男の子ではありますが・・・!」
「おぉーい!みんなー!」
「おぉ、あなた様もこちら方の皆様のお連れで?いやはや、立ち話もなんですから今日は我等の村でお休みになっていってくださいな」
「いいの!?やったぁ!是非是非お願いします!・・・それにしてもお虎さん、サーヴァントだったんですね!」
あの武勇、あの苛烈さ、あの武力。紛れもなく人智を越えた英雄のもの。リッカの言葉に頭巾を取り、にこにこと頷くお虎さん。
「えぇ、その・・・この地に召喚されたは良けれどマスターがおらぬはぐれの身。このままですと魔力が尽きて消滅の憂き目に・・・。あ!リッカちゃん、もしよければ私と契約していただけませんか?お虎さんの武勇、しかと堪能してもらえたかと!」
「いいよー!じゃあこれからマスターとサーヴァントとして頑張れるね!よろしくね、お虎さん!」
【あっさり家臣登用!使える人材は何でも使うが戦国龍!なんちゃって!これは幸先がいいのぅ!パーっとやろうぞパーっと!!】
気分が上々となり、新たな仲間も増える中、米俵を蓄える倉庫から顔色を真っ青にした村人がリッカ達の下へとやって来る。それは、切迫した状況をもたらす悪い報せ。
「た、大変だ!あいつら、もう米を持っていった後だった!畜生、今日食う米もねぇ!せっかくギリギリで食い繋いでたってのに・・・!」
「なんと!・・・すみませんお客様方、もてなしは味気無いものになってしまいますが・・・」
【さては村人とてんやわんやしてる内にかっぱらって行きおったか、小賢しい。──ん?米?あぁそうじゃそうじゃ!リッカ先輩あれじゃ!あれがあるじゃろ顔面八百万ばあ様から貰ったあれ!】
「!あーあれか!成る程成る程!よーし、理不尽に奪われたならば、理不尽に増やすとしちゃいましょう!今こそ恵みと豊かの矛を──そーれっ!」
ノッブに言われ、国造りの矛をえいやと大地に突き刺すリッカ。戦闘用には不向きとされたこの矛。戦闘に百度勝つよりも有意義で素晴らしき結果をもたらすまさに救世の矛の所以を此処に示す。
「う、う、う、うぉおぉおぉ!?米だ!?野菜だ!?魚だ!肉だーっ!?」
「すげぇ、すげぇぞ!稲が成る!稲が稔る!うほぉおすげぇ!豊作!大豊作だーっ!」
「ありがてぇ、ありがてぇ!俺達これで、飢えずに済む・・・!」
突き立てた矛が大地を潤し、実りを顕し、辺り一帯に幸をもたらす。村人全てが満たされる実りを。人がお腹いっぱいになる恵みを。戦わずして争いを終わらせる究極の矛、それがこの天沼矛。何処にいようと決して飢えず乾かぬ対貧困宝具、その一端が今、一つの村を救ったのだ。
「マシュ代さん!鯛だ!ウニもある!戦国時代でこの振る舞いはなんというか、もう戦う理由が無いのでは!?鮮度もいいぞ、最高だ!」
「桐之助さん!どうかおちついてください!?」
「あははははははっ!確かにこれは兵糧だのどうのだの考える必要がなくてよろしい!」
【キリの字が言うようにもう争いとかナンセンス!よーしリッカ先輩!宴じゃ宴!者共ありったけの杯を持てぇい!!】
「「「「おーっ!!!」」」」
(こんな素敵な槍をありがとう、イザナミおばあちゃん・・・!)
本当の意味で村を救ったリッカ達。これより夜に、超豪華絢爛な宴が開かれたのは言うまでも無い──
夜
桐之助「さぁ、マグロの刺身と寿司を握った。味噌汁もついでに手掛けてみたよ、召し上がれ」
リッカ「桐之助さん手際よし!?わぁいおいしそー!いっただきまーす!!」
マシュ「先輩!このわさびが・・・このわさびが!!」
お虎「ほうほう、楽園なる場所から遥々・・・はぁ、熱燗おいひぃ・・・」
【ま、何時ものように特異点解決しに来たわけよわしら。しかし呑むのぅ!いやー、腹が満たされてると戦う気勢も失せると言うものよ!ささ、一杯一杯!】
村人「遠路遥々大変でございましたでしょう。ここは越後の国境、戦ばかりで田畑が荒れて困ったところにあなた様ら。本当に助かりもうした、救世主さま!もしや西の浄土からの使者で?」
リッカ(西の浄土・・・?)
桐之助「いえ、困ってる人絶対助けるパーティーに過ぎませんよ。時に主人、今は何年でしょう?」
村人「今は天正十二年にてございます。いかがなさいましたか?」
桐之助「1584年、日本でいう群雄割拠の戦国時代。リッカ君、二年前には何が起きたかな?」
リッカ「信長がぁ!本能寺で敦盛踊りましたぁ!」
ノッブ【はーい!わしがミッチに裏切られ大炎上でくたばった年じゃの!わし何回裏切られるん?いやー、だからとことん信じてくれるリッカ先輩ホント好きなのよね!裏切らない部下とか黄金十枚より貴重だしネ!】
お虎「え?信長死んでたんです?・・・あの信長が?マジですか」
村人「いやはや、その信長公が本能寺で地獄から舞い戻ってから大変でしてなぁ」
桐之助「・・・、・・・いま、なんと?」
「へえ、本能寺で信長公が甦ったところ、各地に信長公達の手が回り・・・どこもかしこも戦だらけですわ」
桐之助「信長公はアメーバだった・・・?」
リッカ「キリさんや、ノッブは世界を代表するフリー素材ですぞ?」
桐之助「確かに!(納得)」
ノッブ【突っ込み不在wwwwいやーしかしそんな雨後の竹の子みたいにわしが増えたら武田とか北条とか黙ってないんじゃないかの?】
「武田?北条?何を言ってるんです?止めてくださいよ旅のお方。甲斐と言えば甲斐のうつけ、『織田吉法師』じゃありませんか」
ノッブ【え、わし!?幼名の!?】
「更に関東には漂流し火器と銃器を使いこなす『漂流者ノブノブ』!更に東海には野望と共に沈黙する『戦国無双信長』!そして尾張には真の信長こと『本物信長』!ところで何が本物なんでしょうなぁ?そして更に加賀の地にはチビノブ一揆衆!極め付きには安土の地には地獄の門を構え、全国に破壊と死を振り撒く『BASARA信長』!城よりでかいと噂の信長でさぁ!」
【これシミュレーターからテキトーにデータ吸い出したヤツじゃろこれ!!】
リッカ「越後には!?越後には誰が!?」
「はぁ、それが真なる信長を待ちわびる『カッツ同盟』が旗をかかげて抵抗を続けているようで・・・」
ノッブ【カッツwwwww】
桐之助「成る程・・・つまりだねリッカ君。信長を真の信長にするには信長を信長し信長を統一する信長天下布武を行うしかないようだ!」
リッカ「何がつまりなんです!?」
お虎「私の越後が大変な事にぃいぃいぃい!?」
風雲急にて次回に続く!!
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