人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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尾張・魔王城

信長【光ぃいつ秀ェェ・・・】

光秀「はい、信長公。侵攻の御時間で?」

【我、天下を越えェ・・・現世を焦土と化さんゥウ・・・】

「承知しました。では、新たな信長公の首を探して参りましょうか・・・ふふ、ウフフ・・・」

~越後信長城

オルミーヌ「伝令!伝令です!帝都の漂流者信長、魔王軍に攻め込まれている模様!」

ノッブ【魔王ってどの魔王かのぅ、わしいっぱいいるしネ!】

ミッチ「尾張のバサラ信長でございましょう。かの軍は徹底的、動かせば必ず領土が拡がるほどの苛烈さです」

【となると、ドリフターズノブノブは脱落か。短い命じゃったのー】

森「そりゃねーよ大殿!あいつは俺が殺すんだからよ!あの鎧の借りを返さなくちゃなぁ!」

【ホント容赦無いんじゃなお前・・・】

桐之助「てぇへんだてぇへんだ!ノブノブから便りが来なすった!」

リッカ「桐之助さん!?」

「どうやらこちらに豊久さんがいたのが解ったらしい、和睦と協力の文書が届いているよ。信長公」

【どれどれ~?】



ヘルプミー美人な俺、ナイスミドルな俺ピンチ。旅は道連れ世は情け、助けてくれたら超絶美少年契約させちゃう♪ 早急にカマン!! ノブノブ



【うははははは!!面白い!!確かに美少年は貴重じゃな!捨てるも惜しい!行くぞリッカ先輩!!】

リッカ「え、ふぁ、ふぁーーーー!!?」

マシュ「先輩ーーー!?」

こうしてノッブとリッカは、先んじて救援に向かった──!



帝都・本能寺

アーチャー「与一が時間を稼ぎますから、此処にいてください。あなたがいれば負けではありません」

信長「逝ってくれるか、与一」

「彼風に言えば・・・捨てがまりです」

「・・・・・・」

瞬間、帝都に火が上がる。バサラ信長の侵攻だ。一刻の猶予もない。

「それでは、武運を祈ります」

「──すまん、死ぬなよ・・・!」


絶体絶命・キャスター漂流者信長!

帝都・・・──関東に位置する、『漂流者信長』の領地。東の要たるその陣地に構えるキャスター・織田信長の陣地は今、紅蓮に染まっていた。紅蓮・・・焔に照らされる町並み、上がる火の手が燃え盛り、都市を燃やしている。

 

「ふふっ、ふふふ、うふふふふ・・・!此処の信長公は随分と粋がいい・・・!枯れてはいても味わい深く、素敵な味がしそうです。そうは思いませんか、小さい貴方。ねぇ・・・?」

 

痩せ細った身体に、手に持つ二本の大鎌。脚まで届かんとする白髪に病的なまでに鋭く、妖しく光る瞳。恍惚と舌なめずりする危険な雰囲気を醸し出す武将が、紅蓮に燃え滾る都市の真ん中で、敵と相対する。

 

「──・・・・・・そういった趣味は無いので」

 

弓矢を構え、小柄ながらも絶世なる美少年。成人に満たぬ齢の風貌を持つアーチャーが、火矢を瞬時に撃ち放ち武将の傍にある兵士を撃ち貫く。火炎放射にて殲滅戦を仕掛けた謎の男が、愉快げに目を細める。

 

「なんと可愛らしい・・・健気に過ぎて胸を打ちます。その弓で、その矢で。信長公を護ろうと言うのですね。なんと・・・痛ましく可愛らしいのでしょう」

 

「──・・・!」

 

「ですが、お諦めなさい。都市は火の海、そして今や兵らしき兵はあなただけ。マスターもいない・・・えぇと、サーヴァントでしたか?それらである君には何も出来ませんよ。えぇ、ですから・・・」

 

跳躍し、アーチャーが上空より弓を放つ。屋根に上り、上空から弓矢を一斉に撒き散らし戦力を削ぐ腹積もりだ。──だが。

 

「おっと、元気がいいですねぇ・・・実に鬱陶しい」

 

「ッ!がっ──!?」

 

跳躍したアーチャーの脚を狙い、無造作に鎌を放り投げる白髪の武将。その投擲の精度は恐ろしく正確で、為す術なく直撃したアーチャーは屋根より叩き落とされる。

 

(しまった、腱を切られた・・・!)

 

脚の切断は避けられたものの、致命的な損傷を受けてしまったアーチャー。ゆっくりと歩み寄る鎌のサーヴァントが、再び鎌を振り上げる。

 

『おい与一!大丈夫か!生きてるか美少年!死ぬなよ、こんな風邪引いた時に見るような夢で死んだら恥だぞ恥!解ってるよなお前!?』

 

「解ってますよ・・・というか色々、弾けすぎてて何が何やら・・・」

 

アーチャー、そしてキャスターは二人召喚されこの帝都にて活動を始めた。大急ぎで戦力拡張と状況把握に務めていたのだが・・・その身にマスターはおらず、サーヴァント二人だけと僅かな帝都市民しかいない状態は致命的なまでに初速を落とす事となった。

 

「魔王信長公に反抗し、降伏もしないとならば仕方ありません。私が、あなたたちを美味しくいただいて差し上げます」

 

予期せぬ機に起こる、バサラ魔王軍による日本全土の蹂躙。全国に黄泉の兵が、落とす一領土にこの大鎌のサーヴァントが派遣され信長を殺していく大粛清。不死の兵とサーヴァントの強力さに呑まれ、帝都は壊滅的な被害を受けていたのだ。火の手が回り、最早陥落は時間の問題という状況。その言葉を聞いた信長は、サーヴァント相手に、通信機越しにあらんかぎりの怒りと罵倒を浴びせる。

 

『お前が誰を殺すだ?誰が誰を殺すだ金柑頭野郎てめぇこの野郎お前!ようも信忠殺してくれたなぁ、解ってるよなお前、解ってるよなお前よぉ!』

 

「・・・・・・・・・」

 

『丹波一つに十年かかる雑魚が俺を殺るだと笑わせるな雑魚がよぉ、お前みたいな雑魚ちょっとでも信じた俺がバカだったわがっかりだわ!なにそのキモい鎧にキモいナヨナヨしたナリ、きもいんだよおぞましいんだよ気色悪いんだよ!なんか?聞いたら?謀反の後サルに殺されたらしいじゃん?しょうがないよなぁお前じゃあなぁ!』

 

・・・キャスター、織田信長は『身内への情』が強く表面化されている。彼がせがれである信忠を殺した相手を赦す筈がないのだ。そう──

 

「イイ、イイですよ信長公!もっと、もっと私にあなたの感情をぶつけてください!これだから、これだから止められない!『信長公殺し』は止められない!あぁ・・・イイ・・・!」

 

そう、かのサーヴァント、バーサーカー【明智光秀】。キャスターの信長が殺しても殺し足りない相手が一人。明智光秀その人だ。彼は怒りと憎しみを恍惚に受け止め・・・

 

「ぐあぁ・・・ッ!」

 

「おっと手が・・・。すみません、興奮を慰めようとしたら貴方を切ってしまいました。すみません、このままなぶらせていただいても?」

 

蕩けた表情のまま、アーチャーを手にした鎌で切り刻む。殺さぬように、屈辱的な追い打ちを繰り返し、鮮血を飛び散らせていく。とても記せぬ罵声と怒号が響く中、アーチャーはズタズタの裂傷まみれながらも光秀を睨み付ける。

 

「おや、本当に元気がいいですね・・・それほどまでに信長公を御守りしたいですか?」

 

「・・・共に、召喚された以上・・・見捨てるわけにもいきますまいよ。貴方のように、裏切りや謀反などに縁がないのが誇りであれば」

 

べっ、と唾を吐くアーチャー。その反骨心に、感心を浮かべながら光秀はアーチャーの背に鎌を突き刺す。

 

「ぐぁあっ!!」

 

「フフフッ、それは素晴らしい・・・。それではあなたを刈り取れば、信長公は更なる感情を産み出すと言うことですね?」

 

ガチャリ、と片鎌を首に突き付ける。少し手を引けば首が落ちる状態としたのだ。死期を悟り、アーチャーが目を閉じる。

 

「信さん、此処までのようです。──さらば」

 

『与一──!!』

 

「はい、さようなら。信長公、次はあなたにこの鎌を──ッッ!?」

 

「──!?」

 

瞬間、【鎌が手を離れ瞬時に上空へと飛来する】。鎌だけではない。辺りに構えていた兵隊の武具、アーチャーの弓矢、武具の全てが天へと飛来していくという奇怪に晒されたのだ。それは如何なるまやかしか──否。

 

閻魔沙汰(えんまざた)刀狩り(かたながり)。うははははは!なんじゃこれ本能寺?街を丸々焼くとは随分ロックな事をするもんじゃのぅ!そうら、乱入じゃ!】

 

上空より、真なる戦極の魔王が君臨する。これは彼女の宝具が一つ。サルこと秀吉が行った刀狩りの逸話を再現し、範囲内の宝具、武具の全てを奪い取る魔王の業にて辺り全ての武具を奪い取ったのだ。そのまま天より、魔王とそのマスターが迅速に割り入る。乱入の体だ。

 

【大丈夫ですか!与一さん!?】

 

「あなたは、越後の・・・良かった、間に合いましたか・・・」

 

そう、間に合ったのだ。キャスター信長が送った休戦と援軍の頼り。それらが間一髪間に合い、ノッブとリッカが先行した形を取り間に合ったのである。

 

「おや、これはこれは・・・!これはまたなんと麗しい信長公でしょうか!まさかこのような信長公までいらっしゃるとは!」

 

【んん?ミッチ!?おぬしミッチか!?なんじゃそれ、クラウザーさんの熱いリスペクトか!うははははは!ロックじゃのう!まぁそれはともかく・・・】

 

瞬間、ノッブが臨戦態勢を取った──それだけで、辺りの全てを掌握する。焔は黒く獄炎に染まり、一喝しただけで兵士が全て死に絶える。傍らに構えるリッカと共に、ノッブは光秀を威圧する。

 

【一戦交えるか、光秀?今一度この魔王を討つ事が出来るか試すが良いわ。二度も魔王を討ったとあらば、紛れもなく貴様は救世の主よ】

 

【──バサラ光秀さん。あなたは・・・】

 

「──フフ、今は止めておきましょう。いずれ信長公は一つとなるために戦う定め。美味しい料理は、最後に戴くのが風情と言うものです」

 

光秀はそう告げ、静かに去っていく。どうやら決着の場は、此処では無いとの様だ。

 

「我が信長公は、寝床に足る焦土をお望みです。貴方達が為すべき事を為したいのなら、あなた達とは必ずまた会う事になるでしょう・・・楽しみにしていますよ。本当に・・・フフ、フフフッ、フフフッ・・・!」

 

闇夜に紛れ、消える光秀。其処にいた痕跡も残さず消えた光秀の姿を、ノッブは静かに見つめている。

 

【──あいつ、あんなビジュアル系にもなったんじゃのー・・・】

 

そんな、割と失礼な事を考えながら──。無事に、帝都の救援は成ったのだった──




帝都・本能寺

ノブノブ「やー助かった!すまん!オッス!オラ信長!趣味は殺した敵の髑髏でかんぱー・・・」

ノッブ【うっは!ドリフターズで読んだまんまじゃ!小汚ないのぅ!いやぁわし美少女で良かったわー!というか美女で良かったわー!】

ノブノブ「あ、やっぱこれ夢だな!風邪引いた時の夢だわ!こんな長身ボインが俺とかこんな夢よく見るもん!」

オルミーヌ「うわっ、生きてたんですね信さん!」

ノブノブ「オッパイーヌてめぇ!!謀反とか心が痛まねーのか!!」

「あなた自分のやってきた事振り返ってくれません!?」

ノッブ【まあそんな事より、おぬしに会いたいやつが二人おるぞ?】

豊久「おう」森「よう!小汚ねー大殿よぉ!!」

ノブノブ「あっ、待って待って待ってギャーーーーーー!!!?」

与一「助かりました。私・・・いや僕でもいいか。那須与一と言います。用件は主文の通り。このままだとどのみち行き倒れ・・・マスター、契約しては貰えませぬか」

「いいよー!じゃあ同盟和睦契約ってことで!」

「感謝します。では主はあなたということで・・・この弓、お好きな様に御使いください」

(イケメェン・・・)

豊久「こん野郎心配させやがって!何処に行ってやがった!」

森「とりあえず死ね!!」

「いでででででで!こっちも、こっちも助けてくんない!?」

オルミーヌ「やれやれー!いいぞー!私達の信長がおっさんなわけないんですから!」

【うははははは!我ながら嫌われたのぅ!じゃあ存分に、役に立ってもらおうか!!】

キャスター・漂流者信長とアーチャー・与一が仲間になった!

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