足軽「当方、日輪城の魔力炉が豪遊相まり空になった御様子。金色障壁が消えました」
「ゲェー!?絶賛城攻め中!?」
「取り囲まれてますが大丈夫ですかね?」
「ど、どうしよう。よく考えたら殿下いないと魔力補充できないし!ゴージャスならなんとかできたかもだけど連絡も弾くんだった!ど、どうしよ、籠城・・・?い、いや!経験上良いことなし!かくなる上は!茶々に続けー!」
「「「「おー!!」」」」
「・・・実は殿下とか、真田とか召喚されてないかな?」
「特には・・・」
「ですよねー!」
そんなこんなで。なんか図らずとも公式と足並みが完全に揃ってしまったぐだぐだ戦国の戦乱は続く・・・
「な、なぁ。茶々様ってあの茶々様だよな。浅井の陣営にいた茶々様」
「それ以外の何処に茶々様がいらっしゃるんだよ。誰がどう見てもこれは秀吉様の逸話に紐付けられた城だろ。すっげぇ趣味悪いもん」
茶々が籠ってかれこれ一週間。辺りをズラリと取り囲むバサラ軍兵士達。バサラ信長の命を受け、浅井の城を落とさんと張ってはいる。いるのだが・・・
「やーでも、俺たちんとこの秀吉様ってこんな趣味悪く無いよな?黄金って本願寺のイメージしかないんだけど」
「金箔なんてレベルじゃないぞこれ。全部黄金だ、黄金の城。魔力障壁も黄金と来たもんだ。どうなってんだ?俺達が地獄に行ってるあいだこんなに趣味悪くなってるってある?」
「知るかよ・・・まぁバサラ歴に不可能は無いだろ。なんたってうちの信長様、スタンド使いになっちゃってるもん」
「まぁ俺らも今骨だしな。風の噂じゃ越後の信長様は高身長のナイスバディなねーちゃんらしいぞ!」
「まじでか!?だったらアレか!バインバインな信長様なのか!?」
「一目拝みてぇなぁ・・・とにっかくうちんとこの信長様怖いんだよなぁ・・・」
「それにアレだぞ。もし信長様が女だったら、秀吉様の有名な草履のエピソードが一気に変態に・・・」
「「「「・・・うわあ・・・」」」」
「話じゃあの陣営じゃ3食白米食べ放題らしいぞ。年貢もどの場所よりもずっとずっと安いとか」
「・・・・・・転職してぇなぁ・・・」
地獄から叩き起こされた信長兵、魔の属する軍だけあって兵卒ですら骸骨の兵士なのだが、そんな威厳と気風が保ったのも数日だけ。今では中々出てこない茶々の籠城にあくびと雑談交じりに包囲しているのみである。
何故か?理由は単純。魔力消費が余りにも尋常ではないため限界はその内来るだろうと全員で確信しているからである。籠城するにはあまりに無駄遣いが過ぎ、追っ払い用にチラチラと兵を差し向けてくるなんだか野戦なのか籠城なのかはっきりしないみょうちきりんな采配にすっかり毒気を抜かれたからである。まぁそんなこんなで・・・
「あ、魔力障壁消えちまった。そうかー、無駄遣いが改まる事は無かったかー」
「どうすんのこれ?攻め落とすの?」
「そりゃあ信長様がやれって言うんだからやるしかないだろ。でもなぁ、茶々様なぁ・・・死んだ後も悲運を被る事も無いと思うんだよなー」
「茶々様やーい。投降してくださいませんかー。正直あなた様の命も誰の命もうちの信長様は区別してませんよー」
なんとなしに勧告してみるも、返事なんて来るわけねーよなと冗談交じりに兵士は笑い・・・
「そこまでかも!我が国を荒らす無法者ども!」
「いや何出てきてるんですか茶々様・・・」
速攻でやって来た大将首に一同は絶句するしか無かった。何で今出てきたの・・・死に花咲かせに来たの・・・織田家ゆかりの方はうつけムーヴしないといけない決まりでもあんの・・・と敵兵ながらも本気で心配してしまうものである。
「あれ?その骸骨の方ら・・・与作にゴロキチに益生?なんか痩せた?具体的には骨だけど」
「解るんですか!?俺らの事!?」
「大将の為に身を粉にする兵卒を忘れるわけが無いのが茶々なのよね!覚えてないと労う事ができないし!」
彼女は決して愚か者ではない。誰かを気遣い、敬える慈愛を持てし母なのだ。肉などない骸骨の姿であろうと、話した相手を彼女は忘れなどしない。
(・・・やべ、ちょっと泣けてきた・・・涙なんて一滴も出ないけど・・・)
(戦争、戦だからって敵が極悪非道じゃいけないなんてルール無いよなぁ・・・)
「え?その旗の家紋って叔母上?そちら信長軍!?お、叔母上はまさか浅井家再興の野望すらも打ち砕きにやって参った的な感じなの!?」
「あ、や、違うんですよ。そちらの美女信長様じゃなくてこちらはちょっと魔王ガン振りな信長様であって・・・」
「お、叔母上・・・!そなたらも!浅井家の茶々と知っておきながら戦を仕掛ける・・・!?そなたら、血も涙も無いの!?あ、そなたらは無いか。ごめんね。いやそんな事はともかく!茶々をいじめて平気なの!?」
「そ、それは・・・うぅむ・・・」
順風満帆な関係から転落、子も死に城も家名も徳川に蹂躙され幼少から苦労に苦労を重ねぬいた茶々にちょっとシャレにならない問い詰め方をされ押し黙る兵士達。平気かと言われたら・・・
(平気じゃないよなぁ・・・)
(そもそも俺達の姿を見知ってると解ったらもう・・・情がね・・・)
「茶々がこの国を統一して、茶々や皆がだらだらおやつできる世を作る!それを邪魔して平気なの!血も涙も無いのね!あ、無いのか」
(だらだら出来る世か・・・そんなら俺達も、あの世からわざわざ殺し殺されにくる必要も無くなるんだな)
(天下泰平かぁ・・・どんな世の中なんだろうなぁ・・・)
(言える事は・・・まず間違いなく、うちらの信長様の灰塵焦土よりはマシなんだろうなぁ・・・)
「かつて叔母上を支えた兵士を焼くのは心苦しいけれど、戦場はいつでも情け無用!こうなればとことんやるしかないかも!籠城を捨て、戦う茶々!これは徳川滅亡するかも!」
かかってこーい!意気軒昂な茶々、平穏の望みを知ってしまった兵士達。そんな中、伝令が武将たる田吾作に語りかける。
(越後の信長軍、まっすぐこちらに向かってきております・・・!どうやら茶々殿を迎えに参ったのかと!)
(あ!迎えに来てくれたんだ!やったじゃん茶々様!)
(聞いた話の限りじゃ、俺ら雑魚が挑んだって焼け石に水だよな)
(まぁそういう役割なところあるけどな。無双ゲーの兵士ってそんなんだし)
(だからって此処で取るのか?茶々殿の命・・・)
(・・・見てみたいよな。皆がぐだぐだだらだらする世界)
(あぁ、少なくとも、誰かの首を自慢気に掲げる世界よりはずっとずっとマシだろうさ)
(子供が腹一杯食える世界なんだろうなぁ)
(・・・そっちの方がいい世界だよなぁ)
そう、兵士の意志が一つになった瞬間に変化は起きる。──バサラ兵士達が粒子となって消え始めたのだ。
「え?え?なんかキラキラしてない?消滅間近じゃない?どしたの皆?」
「やーすみません。すっかり戦意喪失しちゃいましたし、未練も無くなっちゃったんで成仏します」
「成仏!?そんな行きつけのラーメン屋みたいなノリで!?」
驚愕する茶々に、骸骨の兵士達は笑う。例え笑むだけの筋肉が無いとしても。
「いや、もう悲劇はお腹一杯でしょう茶々様も。たまには甘い夢や綺麗事が無いと生きていても甲斐が無いじゃないですか」
「割と終わりの始まりみたいなところあるでしょうけど、俺達は好きですよ。ぐだぐだな天下泰平はね」
「たまには勝ってみてくださいよ。徳川とか、運命とか色々に。俺ら・・・そんな未来が見てみたいんで。あの世で席を確保してます」
「皆・・・」
「・・・俺達を俺達と認識してくれてありがとうございました、茶々様」
「お元気で。食べ過ぎだとボケちゃいますよ、あなたの殿下みたいにね」
「俺達と同じ場所には来ないでくださいね。・・・それじゃ、どうか二度目かどうだかの生をお楽しみくださいな」
「「「御武運を──」」」
田吾作、与作、益生は成仏し、他の兵士達も続いていく。・・・茶々は自身が倒したと言う事実を認識しておらず、キョトンと首を傾げる。
「・・・もしかして、徳川滅亡の兆し?」
次々と消えていく織田軍兵士達。それが自身が与えた悲運と運命により打ち勝ったものだと理解した茶々は、それでももしかしたらスーパー茶々なのかも?なんて想いを浮かべるのでしたとさ──
ノッブ【おう茶々!生きとったか!バサラ兵から逃げ延びるとかよくよくしぶとい!流石わしの家系じゃな!】
茶々「誰これ?茶々の知ってる叔母上は裸マントが似合ううつけもの!モデルはお呼びでないかも!」
ノブノブ「面食らうのは解る。だが受け入れよう、俺もまた信長だからね」
「もっと有り得ないかも!嘘つけホームレスジジィ!」
「俺だけ酷くない!?」
与一「ホームレスとは?」
リッカ「住居不在者の事だよー。大分身体が心配になるジョブ!」
「なるほど。似合い候」
「似合ってねーよ!?」
茶々「ま、こうして会えたならいいや!小腹空いたからお汁粉を希望します!」
ノッブ【うはは!無事で何より!忘れてなかったぞ!忘れてなかったぞ!うははははははは!!】
リッカ(誤魔化すの下手ー!?)
兵士『うん、こっちだな』
兵士『あぁ、こっちがいい』
兵士『勝ってもらいたいなぁ・・・頑張れよ、越後の皆。・・・御無事で、茶々様や』
茶々「ん?」
・・・・・・・・・
「──うん。きっと、気のせいかも!」
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