人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「行け」 

「・・・いいのか?」


「神託は下った。人理を救う戦いに参ずるがよい」

「私も私も!いっていいわよね、お爺様!」

「通るがよい」


「最後の刺客は後より来る。――行くがよい」


召喚・宗教真偽――大成功編

「はい、オルタ!素材と、種火!霊基を強化しようね!」

 

マイルームにて、マスター、リッカはジャンヌオルタの強化に励んでいた

 

 

「・・・本当にいいの?」

 

ジャンヌオルタが口を開く。すっかり砕けた、素の口調

 

 

「何が?」

 

「ほら・・・その。私の他に・・・いたりしないの?」

 

「いないよ?」

 

「強化する、サーヴァント・・・とか。金ぴかとか、マシュとか」

 

「二人はもちろんやるけど、まずはオルタに。半人前から、はやく一人前にならなきゃね」

 

「・・・どうして、そこまで・・・私に」

 

 

「?だってまだまだ、オルタは本当の強さじゃない。私は見たいの!あのときのオルタの強さなら、誰にも半人前なんて言わせないじゃん!」

 

「・・・私なんかを、信じているのですか?ジャンヌもいるのに、私を」

 

「うん。信じてる。弱さを言い訳にしないで、一生懸命頑張るオルタを信じてる」

 

「――」

 

「いつか、カッコいい魔女として!一人前のサーヴァントとして皆に自慢してやろうよ!『どんなもんだ!私は、最強の魔女だ!誰にも文句は言わせない』ってさ!」

 

「マスター・・・」

 

「だから、これからも・・・よろしくね。ジャンヌオルタ!」

 

「・・・・・・マスター」

 

「?」

 

「――あの。その・・・あの時、あの金ぴかに邪魔されて言えなかったから・・・その」

 

「うん」

 

「わ、私を・・・呼んでくれて・・・その。あり、あ、あ、・・・・・・あり・・・が・・・」

 

 

「あ!」

 

「!?」

 

「大成功だ!大成功した!やったよオルタ!」

 

「・・・そ、そう。良かったわね」

 

 

「うん!じゃあちょっと待ってて!」

 

駆ける、マスター。見送るジャンヌオルタ

 

「・・・また言えなかったわ・・・」

 

ぼんやりと、虚空を見上げる

 

「・・・ありがとう、マスター。・・・私、やるわ」

 

ぐっ、と、ファーを脱ぐ

 

「もう少し、頑張ってみる。世界でたった一人、私を求めた、あんたにかけて」

 

そっと、エプロンをかける

 

「だから、あんたも負けるんじゃないわよ。マスター」

 

 

 

 

 

「大成功が為ったか。よし、ガチャの時間であるな。――時間切れだ、天草四郎時貞」

 

 

シミュレーションルームにて報告を受ける黄金の王、ギルガメッシュ

 

 

視線の先には、英雄王に徹底的なまでに痛め付けられ、瀕死に喘ぐ天草

 

「我の威光はその身に染みたか?貴様の願い、人類の救済と言ったか。召喚されて真っ先に我の聖杯を狙い戦いを挑むとは中々に胆の据わった男よ」

 

「・・・貴方には、暗躍など無意味と悟りましたからね。ならば、我が全てを懸けてと思ったのですが・・・」

 

「なに、不穏分子の調教も我の役目だ。貴様の魂胆は読めている。ならば正道にて相対するまで。そら――」

 

黄金の波紋から、無数の聖杯を地面に落とす

 

「『貴様の所望の品』はご覧の通り、掃いて捨てる程にある。貴様が我を下せば、即座に願いが叶おうさ」

 

「――意地の悪い人だ。それが出来れば苦労はしないというのに」

 

「手に噛み付く犬に容赦はせん。飴と鞭で徹底的に打ち据え躾るのみだ。だが反逆の自由はくれてやる。『貴様に価値あり』と我が認めたならば、この程度の容器、一つや二つくれてやろう」

 

「・・・」

 

「オルガマリーらカルデアの職員に害を為すは許さぬ。アレは我の財だ。貴様の手垢をつけさせはせん」

 

――自分も驚いた。召喚されて即座に、『貴方の所持する聖杯をいただきたい』などと声をかけられたのは

 

「成る程、貴方を下せば総てが手に入り、逆に倒さねば何も手に入らない・・・と。――解りました。我が悲願を成就するための手段は、貴方に挑むことと致します」

 

立ち上がる天草。その瞳は、透明で、――達観していた

 

「これからも、私の悲願を懸け私は貴方に挑み続ける。私は諦めが悪いですからね――かなりしつこいと思いますよ」

 

「よい、許す。――カエサルやダビデめは政に長けていたな」

 

 

「・・・?」

 

 

「犬は好きにさせておく故無駄を為す。貴様らの役職を思いついた迄だ」

 

財を収納し、シミュレーションルームから退出する

 

 

「努忘れるな、天草。――貴様の悲願は、人類の救済の夢は・・・我の手の内にあるぞ?」

 

黄金の粒子を残し、退出する。残される天草

 

――弛緩し、深い溜め息をつく。

 

 

「――全く。つくづく『俺』の悲願は遠いな。よりにもよって、英雄の王が聖杯を握っているとは・・・」

 

 

「お疲れさまです!天草さん!麻婆いります?」

 

「えっ――」

 

 

 

 

 

管制室に全員が集合する

 

 

「オルタはどうであった?」

 

 

「強化できたよ!大成功!」

 

 

「うむ。よし!では早速、大成功教の真偽を確かめるとするか!」

 

 

「ラッキーが続くかどうかだよね。うぅん、実証できる手段が・・・」

 

「構わぬ。真偽などよりロマンと勢い(ノリ)だ。上々ならば笑い、下首尾でもまた笑え!そら開幕だ!」

 

 

やがてサークルが輝き、回転が始まる

 

 

「誰が来るかな~?」

 

「まぁ期待半分で期待しておけ。さて――」

 

現れたのは――

 

 

「サーヴァント、ランサー!あなたが私のマネージャー?大切に育ててね?」

 

 

――バラドルだった

 

「エリエリだ――――!!」

 

 

「やっほーゴージャス!私というアイドルが来てあげたわ!泣いて喜びなさい!」

 

「邪教!弾圧!!」

 

 

「何でよ――――――!?」

 

 

「まさか金星の妖精が釣れるとは・・・ふざけすぎであろう・・・いい加減にせよ英霊の座」

 

「アイドル!アイドルだから!」

 

 

「ネロいるよ!」

 

「デジマ!?」

 

 

「黄金P的に貴様は無い――次!」

 

 

サークルが回転し、更に英雄を招かんと輝く

 

 

「何かの間違いは捨て置け。我は初めて引くのだ、そうだ」

 

「前を見るんだね、わかる!」

 

 

「さぁ、誰が我が楽園に招かれるのだ?」

 

現れたのは――

 

 

 

 

「サーヴァント、諸葛孔明だ。・・・英雄王。貴方には別人であることは明白だろう」

 

 

長身、長髪の男性

 

「やはり来たか、忠臣」

 

 

「――その呼び方は止めてくれ。照れ臭くて敵わない」

 

――ローマにて、総てを懸けて戦い、散っていった男が。このカルデアを訪れた

 

 

「い、インテリヤクザ・・・インテリヤクザ・・・?」

 

 

「・・・――貴方、何処かで・・・」

 

「・・・いや、私は諸葛孔明だ。断じて時計塔の講師ではない。違うぞ」

 

 

「名前は、なんといったかな?」

 

「英雄王!戯れは止めてもらおう!」

 

「ふははははは!貴様はマスターやオルガマリーのよい講師になるだろうよ!――さて」

 

 

――そして

 

 

「さぁ、回せ。――我には読めたがな。次に来る英雄は」

 

 

――回る召喚サークル。収まる光

 

 

「――!!」

 

 

現れたのは――

 

 

「――おう!よくぞ余を引き寄せた!!」

 

 

撒き散らす覇気、見上げる偉丈夫

 

 

雷鳴轟かせ、現れし征服王――

 

 

「征服王イスカンダル!貴様らの道を切り開こう!!」

 

「――・・・・・・」

 

 

「おぅ、英雄王!貴様の楽園とやらに参じてやったぞ!当然酒に、遊楽の総ては取り揃えていような!!」

 

「無論だ。だが貴様にはその王道にてとあるものを簒奪してもらうぞ」

 

「んん?ほほう。余に簒奪を命ずるか。英雄王たっての要望とは、耳を傾けぬ訳にはいくまいて!余としては、この楽園も欲しいわけだが・・・」

 

 

「――雑種どもに奪われた、人間どもの未来だ」

 

「――あぁ、そりゃあ。――余の王道を懸けて制覇するに相応しかろうさ!」

 

「であろう。励め、そこの男と共にな」

 

「――まさか、人理が焼却した事で、二度見えるとはな・・・」

 

「ンン?こりゃあまた、随分と厳つい軍師だのぅ!だがよい面構えだ!貴様、名前は?」

 

 

――彼が、征服王。英雄王が認め、彼が仕えし王・・・――

 

「――ウェイバー」

 

 

「ん?」

 

 

「――ウェイバー・ベルベットだ。征服王・イスカンダル」

 

「ほぉう、そうか――随分とまた、眉間に皺が寄っておるのぅ!わはははっ!」

 

「あだっ――!!!」

 

 

「おっきい・・・!」

 

「貴様がマスターか!よし!このカルデアとやらを案内せい!英雄王の吹聴する楽園!余すことなく味わってやろうではないか――!!」

 

 

 

――青年は再び、運命と出会う――




「よぉし!!まずはゲームにて親睦を深めようではないか!!」

「まずは脚絆を穿け、征服王――!」

「あぁ、あれか。――アレは必須か?」


「必要不可欠だ――!!」

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