人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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キャスター「こちらの情報と、あなた方の忍達の情報を照合しますと・・・バサラ信長軍の戦力はこんな感じですね」

ノッブ【ふぅむ。無限に涌き出る地獄の亡者に怪物、展開されし数多の陣。安土の城の護りにだめ押しに吸えば死に至る病か・・・】

ノブノブ「おまけに総大将も一騎当千と来た。地獄の覇者を名乗るに相応しい陣よ。真正面から戦うなら、それこそ全霊で挑まにゃならん」

ノッブ【雑兵はハサン太夫率いるちびノブどもに相手取らせるが、巨大な怪物は荷が重かろう。ここは蛇神の眼で石化じゃな。本丸は我等が攻めるが、後は怪物の指揮官をどうするかじゃが】

ノブノブ「闇から無制限に兵士を呼ぶから、おちおち陣も展開できねぇぞ。背後を護り、結界を阻む何かがいるな。んで、病はあの粥みてーなのを食って耐性をつけなきゃな。僅でも吸ったら偉い騒ぎだったそうだぞ」

ノッブ【であるかー。此処はやはり、リッカ先輩らの登用の腕を信じるしか無いかのー】

ノブノブ「外からの援軍も、二、三ならいけるんだろ。厳選して呼んでもらおうや」

キャスター「今は沈黙していますが、放っておくと一番致命的なエラーを引き起こすでしょう。どうか、迅速な討伐を」

【解っておるわ。ふうむ。あと二人はほしいのぅ・・・】


渡来!蝦夷からの商人!

【リッカ先輩!なんだか蝦夷から商人が来るようじゃの!蝦夷って何処か解るかの?今で言う北海道じゃ!北国も北国、最北端の場所から遥々やって来るとは御苦労なことじゃ!】

 

上機嫌なノッブの言葉にリッカは頷く。先日ほどから、何やら遥々商人が商いの許可を取りたいとの文が届いていたのである。蝦夷・・・つまるところ北海道である場所から遥々、ということだ。

 

「俺ら戦国の時代から考えてもあそこはよーわからん。遠すぎてまともに何があるのかも解らんかったからな。豊の出身とタメ張る秘境のド田舎だったわ」

 

「あまりいい思い出がねぇな。北・・・函館はよ」

 

「あっ、そっか。ヒッジは最北端の函館で・・・」

 

最後の新撰組、土方は函館の地にまで追いやられ、戦わんとしていた所を銃撃に倒れたとされている。徹底抗戦に反感を抱いた味方の隊士に銃撃された・・・とも。故に、土方としては縁深き地でもあるのだ。茶をすすり、空を眺める副長は心なしか寂しげな様に見えた。

 

「俺の話はどうでもいい。商人だってんなら出迎えが必要だろ。お前らは行かないでいいのか」

 

「勿論行くよー!・・・あれ?森君に豊さんは?」

 

見れば、いつも仲良く酒を煽っている鬼島津と鬼武蔵コンビの姿が見えない。厠かな?なんてのんびり話し合っているところ、沈痛なトーンで桐之助が告げる。

 

「・・・すまないリッカ君。非常に申し訳無いのだが、人の好奇心を抑えることは出来なかった様だ。『最北端の商人だってよ!面白そうだから見に行こうぜ!』『おう!』とまさに一番槍の如くに一目散。制止すらも甲斐なく・・・」

 

「行ったの!?二人で!?」

 

ガキ大将×2のスピーディーさを止めることは出来なかったよ・・・と項垂れる桐之助。その報を聞き、信長二人が血相を変える。

 

 

【なんじゃと!?それはいかんぞ!橋と勝蔵の組み合わせはいかん!あいつは橋の門番にちょっと注意されたらノータイムで斬り殺すハートフルな逸話持ち!サルもわしもまともに言うこと聞かせられなかったハートフルな男なんじゃ!】

 

「それハートフルじゃないよね!?ハートが無くなってるよね!?即死だよね!?」

 

「豊もあいつ空気も読まんのだよなぁ。読めんのではなく、道理など知るかと言って突っ走る。乳児より目が離せん男よ。あ、これ誉めてるとかじゃないから」

 

「マイナスとマイナスで・・・無限大のプラスだね。あまり解りたくは無いが・・・」

 

「大変大変、大変よリッカちゃん!あ、殿中って言うの?まぁともかく大変!橋で商人の子と二人のやんちゃくんが争っているの!止めないとまずいのではないかしら!?」

 

アイリスフィールが着物姿で裾を掴み襖を蹴破って風雲急を告げる。どうやら実に忠実だったようだ。その血の運命に。

 

「こうしちゃいられないよ桐之助さん!マシュ!すぐに保護しに行こう!商人さんを!」

 

「は、はい!拙速を尊びましょう!今すぐに!」

 

「迂闊だった・・・バーサーカー、精神汚染持ちのサムライとの付き合い方を学ばねば・・・」

 

大慌てて駆け出すリッカ一行。二人の信長は祈る事しか出来なかった。うっかり二人のやんちゃくんが、商人を血に染めておらぬ事をただ切に──

 

 

 

「あっちよ!私が人払いの結界と霊核保護の陣を敷いているから消滅はしていない筈だけれど・・・!」

 

「森くん大丈夫!?殺してない!?」

 

「豊久さん!その首は取ってはいけない首ですよ!」

 

アイリスフィールの案内の下、三人が目にしていたもの。それは暴虐と暴力の嵐吹き荒れる天下の往来。だが、その様相は混沌の極みと化していた。

 

「うははははは!蝦夷のサムライも中々やるじゃねーか!」

 

「◼️◼️◼️◼️◼️──!!!!」

 

血塗れの森君、見上げるような巌の大男としのぎを削り覇を競う。それはリッカが見間違えようの無い、バーサーカー・ヘラクレスそのものであった。

 

「雪国ん熊も中々に骨があっな!けつぁ熊鍋が楽しみよ!」

 

「ガァアァアァアァ!!!」

 

こちらは豊久、白熊と心暖まる触れ合いにて大道芸を執り行う。組伏せられながらも太刀一つで押し返す信じがたい腕力一つで熊と渡り合う薩人マシーン。どちらも相まって、異様極まる光景が繰り広げられている。

 

「あ、来た来た!もうなんなの?橋を渡ろうとしたらいきなり斬りかかってこられたんだけど!何とかして止めて貰えないかしらー!」

 

ぶんぶんと手を振る、見慣れない装束に身を包む白き肌と髪、そして紅き眼の少女。その見た目はリッカ達の馴染みある姿である、が・・・

 

「あれ!?イリヤ!?」

 

「珍しいサーヴァントもいたものだね。あれは器にいくつかの神霊が介在しているかなり特殊なサーヴァントだ。七クラスにも収まらないカテゴリに分類されるのではないだろうか?」

 

桐之助が分析する通り、その少女の醸し出す雰囲気は楽園のイリヤとは異なっている。あちらは間違いなく小学生だが、こちらは見た目に似合わぬ落ち着きと風格を備えている。どうやらかなり困っている様子だ。

 

「見てないで止めてー!戦いに来た訳じゃ無いんだからー!」

 

「豊さんは私が止めよう。リッカ君、アイリ氏は森君を!」

 

「わ、解った!マシュ、桐之助さんをカバー!」

 

「はい!」

 

「イリヤもシリーズ化の時代なのね・・・。あぁいけない、迅速に止めましょう!そーれっ!」

 

其処からの鎮圧は速やかであった。まずはアイリスフィールが霊亀の礼装を展開し、辺りを沈静化させるフィールドを展開することにより戦意を削ぐ。

 

「森君!ストップ!ストップだよ森君!」

 

「ん?おぉリッ殿じゃねぇか!なんだ来てたのかよ!」

 

「バーサーカー、ありがとう。もう大丈夫よ」

 

「◼️◼️◼️・・・」

 

速やかに互いの陣営に待ったをかけ、戦闘を速やかに終わらせる。誤解から始まった戦いは、熱を覚ませば容易く鎮圧が叶うのであった。

 

「豊さん!落ち着いてください!この熊さんは大将首ではありません!」

 

「どうどう、どうどう・・・熊さん、落ち着いてほしい。君はきっと優しい熊だ・・・」

 

「ん?あぁ、そう言えば客やったか。あまりに見事な熊やったもんでちと力比べを挑んじまった。ごめん!!」

 

「グルルル・・・」

 

マシュが盾で割り入った瞬間に説得。それに応じ、速やかに非を認める豊さん、鎮静化する熊、シロウ。森君よりかは大分話の解る一人と一匹はすごすごと引き下がる。無事に刃は収まったようだ。

 

「はぁ、一時はどうなる事かと。楽園なんて名乗る割には、随分と血の気が多いのね?」

 

「ごめんなさいね、イリヤ。本当は二人ともいい子なのよ?ちょっと気にくわないと相手を殺してしまうだけで・・・」

 

「いやぁな、殿の使いの俺の前で馬・いや熊から降りねぇとはふてぇ野郎だと思ってよ」

 

「一分の隙もない過失十割で大変ご免なさい!えっと、サーヴァントですよね・・・?」

 

「えぇ。真名はあるけれど・・・イリヤ。今は蠣崎イリヤと名乗らせてもらうわね。きっと、その内に私の名前を知る日が来るだろうから」

 

「秘された名前、と言うわけか。その気持ちは私にも理解できるよ。私には、秘されたもう一つの名前がある。果たしてその正体は敵か味方か・・・」

 

(キリシュタリアさんは隠し通せていると思っているのですね・・・)

 

「バサラ信長、とか言うのに今日本は大変なんでしょう?少しでも力になれないかと思って遥々やってきたの。こう見えて女神でもあるから、魔の怪物や軍勢は任せておいて!」

 

「まぁ、それは凄く頼もしいわね!見れば不思議だけど可愛らしいかっこうだし・・・是非是非、お話を聞かせてもらえないかしら!さぁさぁ、こっちこっち!」

 

「う、うん。なんだか野蛮なのか丁寧なのかよくわからない場所なのね、楽園越後って・・・」

 

困惑しながらも、アイリスフィールの手により楽園越後へと誘われる蠣崎イリヤ。こうして、バサラ信長の対抗人員が増えるのだった。──ちょっとやんちゃさが祟り付与した変なイメージと共に。




すずめ亭

ギル「ふむ、黄金の収集はこんな所か?島国とはいえ侮れん金脈の宝庫よ。黄金の国ZIPANG、伊達では無いと言うことか」

──金山、埋蔵金・・・本当に資源豊かなのですね、この国は!

「人材よし、資源よし!極東の地と侮れぬわ!ふはは、ますますもって滅ぼさせる訳にはいかぬと言うものだ!さて、次は秘湯巡りでも・・・」

イリヤ「てぇーい!!!しねー!!」

ギル「ぬおっ!?」

イリヤ「ちぃ、かわしたか!後ろから心臓を抉らないだけありがたく思いなさい!次は外さないわ!」

ギル「何の話だ、人違いであろう。聖杯の入れ物たる人形など我はこれっぽっちも記憶に無い。ハートキャッチ、或いはバビロニアチョップの餌食になりたくなくば回れ右して失せるがいい!」

イリヤ「ぜーんぶ心当たりあるでしょ馬鹿ー!ここであったが百年目、いじめられた恨みを晴らしてやるわー!」

ギル「たわけ!貴様の死は雑種を殺しに殺したが故の大いに自業自得であろうが──!!」

アイリスフィール「・・・なんの話かしら?」

リッカ「前世というか・・・別作品の因縁?」

桐之助「私も皆の心に残り、長く愛されるような人物になりたいなぁ・・・その為にも今を頑張らなくては。今日と言う日を頑張った者にだけ、明日は来るのだから!」

蠣崎イリヤが仲間になった!

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