人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

1095 / 2537
すずめ亭

ギルガメッシュ「いよいよ魔王が激突するか。漸く最初の山場、天王山といった所よな?」

キャスター「えぇ全く。あの魔王が勝ってしまうと、この世界があちらと対消滅を起こしカルデアの皆様の数割が消し飛んでしまうので頑張っていただかなくては」

──やはり、それほど迄にあの魔王は強大に・・・

ギルガメッシュ「フン、起こらぬ仮定程無意味なものはあるまい。我が財の錬磨と研鑽、高々魔王風情に錆びると思わぬ事だ」

「あなたの言葉は、なんと言いますか。『良くわからなくても真実なんだろう』という確信が宿っていますね。これが最古の王の威厳なのでしょうか?」

──そうですともっ!数多の英雄達の王を名乗りあらせられし英雄王!その威風はまさに世界一!ガチャ以外は常勝無敗のお方であるのですから!

《ふはは、無敗の敗北者とは笑うしかあるまいなエアよ!うぅむ、我には因果律操作能力が足りんのか・・・?》

「まぁそれはともかく。盟約の件、頼みましたよ御機嫌王。楽園にならば、遠慮なく託せます。──私の破壊、並びに悪魔の討伐をね」

ギルガメッシュ「当然よ。首を洗って待っていろ、偽りの永久機関、粉微塵にしてくれるわ」

キャスター「はい。待っています。私が望むのはあくまで、真なる永久機関の成就。子供を切り捨てる幸福など・・・あまりにもナンセンスですので」




出陣!魔王征伐の鬨!!

【敵は安土城にあり!!】

 

「語呂悪くねぇかそれ。あとあんまり縁起良くねぇから止めような!信長キラーワードだぜ!」

 

そんな、シリアスの中でも笑いは忘れぬ二人の戯れ言にて口火を切った魔王、バサラ信長の討伐。重要な武将達、マスター達が集合勢揃いし神妙な顔持ちで作戦の立案を聞き届ける。偵察を繰り返していたオルミーヌが、資料を纏め展開する。

 

「バサラ信長は今、光秀の謀反により戦闘中。お陰さまで概要の把握は容易でした。本拠地である安土城の周りに、霊脈を掌握した陣がいくつか展開されており、それがバサラ信長に力を与えている模様です。全てを備えし魔力はまさに無限と言ってもいいでしょう」

 

「その陣が邪魔となると、信長を討ち取る部隊に陣を奪い取り弱らせる部隊で分けなきゃならんな。オッパイ、陣地は如何程あった?」

 

「はい、信長さま!最低五つは確認されており、それぞれに強力な魔物や兵士達が配置されていました!」

 

【でかしたオルミーヌ!やはり時代は情報戦じゃな!】

 

「おいぃ!オメーが信長ったら俺だろうが!?」

 

セクハラオヤジ、華麗にスルーされる。軍は二手に分かれ、二面電撃作戦を行う事となった。まず、陣地を刈り取りバサラ信長の力を奪う試みの、ギミック解除部隊。それらの編成に、カドックが素早く献策を行う。

 

「リッカと魔王・・・えぇと、ノッブ信長は当然魔王を討ち果たす役割だから本隊だ。同時に光秀とも戦う可能性もある以上、二人くらいはサーヴァントを連れていくんだ。残りは全て陣の掌握に投入するべきだと思う。マスターを武将と見立てるなら、これだけ数がいれば攻め手には困らない」

 

「ほう、小僧もしかして戦術家か?ならばどのように陣地を取る?」

 

「まず、登用した仲間達を護衛する形で突入、適時適役を選出し敵兵と勢いを殺いだ後に僕らマスターがサーヴァントと陣地を奪取する。これだけ軍備があって戦力が整っているのなら、小細工や奇策は必要無いだろ」

 

カドックの言葉に膝を叩くノブノブ。彼の見立ては、ノブノブが考える立案の骨組みに大いに合致していた為だ。愉快な笑みと共に、ノブノブは兵を割り当てる。

 

「新撰組、吉法師、豊久と森で敵陣に突っ込め。立ち止まるな、暴れ続けろ。兵には石化、指揮官クラスには蝦夷のガキをぶつけ、銃を持たせたちびノブどもで制圧する。リッカちゃん以外のマスターは適宜、適役の相手に仲間をぶつけて無力化しまくれ。陣地奪還の指揮とタイミングは、カドックとやらに任せる。マスターどもにちゃんと指示飛ばせよ?」

 

「・・・責任重大だが、いいだろう。やってみせるさ」

 

怯む事なく頷くカドック。最早彼は卑屈な存在ではなくなっている。カルデアを支えるグランドマスターの一人なのだという自負は何よりも男を強くする。

 

「僕達サブマスター組は、陣地を取り戻す部隊に全編成を投入する。僕達が陣地を掌握出来るかどうかに、リッカの勝敗はかかってる。いいな、皆。全力を尽くそう」

 

頷くマスター達。一人一人を武将と換算し考えれば、中級指揮官たるマスターが大量にいるというアドバンテージは大いに活かせるというものだ。異論を唱える者はいない。一様に同感という事だろう。陣地攻略の要たる部隊は、此処に定まった。

 

【となると、わしとリッカ先輩、数人のお付きが安土城に殴り込みじゃな?腕がなるのぅリッカ先輩!】

 

「うん、ノッブと私と、後は・・・」

 

本陣に一気に攻め込む魔王討伐の本隊。リッカとノッブは確定としても、あと数人は必要とされる大役。意外にもトントン拍子に話は進む。楽園の議題は、決して躍りはしないのだ。

 

「ちぇ、だけど地獄の兵ってのは始末すんの初めてだからこっちで点数稼ぎするわ!気を付けてな、リッ殿様よ!」

 

「か~・・・」

 

「気を付けてね、森君に豊さん!じゃあお付きの一人はマシュに頼もうかな!困ったらマシュ!」

 

「!!!お、お任せくださいッ!家老マシュ、リッカ先輩の期待に添えられるよう、粉骨砕身の所存です!!」

 

「あははは!気合いが入っていてよろしい!それでは虎さんも本隊に入りたく思います。軍神たるもの、なんとしても勝利をもたらさなくては!はい!」

 

「あっという間に枠が埋まっちゃった!頼もしいメンバーで・・・討とう!バサラ信長!!」

 

おーっ!!気運高まり、士気が互い軍の編成に呼応するかの様に響く本隊メンバー、そして最後に、桐之助もまた名乗りを上げる。

 

「では私とイニスは遊撃を。戦況を垣間見、為すべき事を為すために動くとしようか」

 

「あぁ、それがいい。僕の知る君に、少しでも合致した存在が君であるなら。君は切り札の一つになり得るからな」

 

桐之助は独自に動き、陣地奪取部隊と本隊間の遊撃を選択した。望むまま、信ずるままに動く。それこそがベストの選択だと、カドックとリッカも疑わなかったのだ。桐之助という人物相手には。

 

「お話はまとまった様ですね。私ども、魔玖主教も全面サポート致します。と言うわけで、私が掴んできたあちらの安土城の地理マップをどうぞ」

 

「てめぇクズのキャスター!いつの間に湧きやがった!!」

 

森君の槍の攻撃も、まるで悪魔を証明できない。涼しい顔で槍をすり抜け、キャスターがさらりとマップを渡す。

 

「いつの間にか、ですよ。敵陣なので兵士の無限湧きは避けられません。そちらはちびノブと部員の皆様に頑張っていただければと。極楽浄土の完成はもうすぐ。頑張って参りましょう」

 

 

【ふん、調子のいい事を言いおってからに。作戦は大体こんな感じじゃ、何か異議はあるか?】

 

ノッブの言葉に続く声は無かった。一同が全員、やるべき事と為すべき事を果たさんと神妙に構えている。

 

【うむ!無いようじゃの!それじゃあ最後にわしから一つ!わしが迷惑かけてすまん!ごめんネ!】

 

「ちょっと、今茶化すムードじゃないですよノッブ」

 

【まぁまぁ聞け聞け人斬りサーの姫。・・・魔王と呼ばれとるわしじゃが、ただの一度も人を滅する事に踏み切った事はない。バサラ信長は、バサラ信長の形を借りたわしの肥大した畏怖の具現なんじゃろう。──焦土の世など、わしは望まん。だってそれじゃ、新しきも革新も、リッカ先輩だって産まれんじゃろ?】

 

それは嫌だ、嫌だから戦う、立ち向かう。英雄とは今を否定する怨霊になってはならない。今を未来に繋げる革新の刃であるべきなのだとノッブは言う。

 

【故にこそ、あの魔王は此処で討つ!巨大になり、遂に独り歩きを始めた第六天魔王、カーマパイセンに訴えられんうちに始末する!この日本、数多の革新が巻き起こる地を脅かすは我が赦さん!例えそれが我自身であろうともよ!!】

 

「うん!やろう皆!私達の天下、誰にも奪わせない!私達の未来を、皆で護って紡いで行こうよ!」

 

【今一度言う!──敵は安土城に在り!!暴虐無比たる怨嗟と憎悪の成れの果て──織田信長(だいろくてんまおう)を討ち滅ぼさん!!!】

 

「「「「「おおーーーっ!!」」」」」

 

決意の咆哮と共に、楽園信長軍は突入出陣を開始する。挑むは信長、待つは魔王。今と未来を滅ぼさんとする魔王に、人と神が真正面から殴り込む。

 

「ぶおぉー!!ぶおぉー!!!」

 

「しゅーつーじーんかちーどきあーげー!!」

 

『カルデアも勿論全霊でサポートするわ。皆・・・無事でね!』

 

そう、何度でも言う──此度の敵は、安土城に在り!

 

 




リッカ「桐之助さん!」

桐之助「やぁ、リッカ君か。激励しに来てくれたのかい?」

イニス「優しいのですね。とても嬉しく、好ましく思います。リッカさん」

カドック「僕も来てみたが、リッカが来た以上あまり意味もないかもな。いいか桐之助、成果を残そうなんて考えなくてもいい。その瞬間、出来ることをすれば勝てる」

桐之助「ふふ、というと?」

「僕らの奮闘を、必ずリッカが結実させてくれる。僕らの戦いはどうやって勝つかじゃない。勝ち方を誇れるものに出来るかだ。僕達の戦いは無駄にはならない。必ずリッカが、カルデアが形にしてくれる。だから僕達がすることは一つ。──諦めるな、だ」

桐之助「───」

リッカ「カドックが、ぐっさんが、皆がカバーしてくれるよ!だから思いっきりやってみて!イニスさんを信じて、マスターとして!」

イニス「どうやら、私の身体は傷がつかないみたいです。どうか、私を存分に使い・・・ではなく。どうか私を信じてください、桐之助様」

桐之助「──あぁ」

カドック「・・・なんで泣くんだ」

桐之助「嬉しいからさ。この瞬間、この時間こそ・・・私が願い止まなかった瞬間だからさ。そうだ、感極まると・・・人は涙を流すんだなぁ──」

・・・そして、楽園カルデア全軍はスキマを通り、安土へと雪崩れ込む──

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。